水の循環と水資源

水の循環と水資源
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水文学とはなにか(13.1)
地下水(13.4)
水資源(13.5)
水文学
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人文学
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人に関わる様々な学問
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地文学
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地球に関わる様々な学問
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人文科学,社会科学へ分化
地理学はこの学問の直系・・・未分化な性質
水文学もここに含まれる
天文学

地球以外の天体に関わる様々な学問
水文学を学ぶ意味
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地球の表面積の70%が水(海)で覆われている
地球の気候は「熱」と「水」で決定されている
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水は地形を形成する営力である
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熱の運搬には,大気循環と海洋(海流)が重要である
が,大気による熱の運搬に於いても水(水蒸気)によ
る潜熱の運搬は重要
河川による物質運搬が外的営力の主体
生物の生存に水は不可欠である
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人間の体の60~65パーセントは水
資源としての水/災害としての水
地理学の中で
「水文学」を
扱う意味
水の循環(図13.1)
水の循環(拡張版)
河川(13.2)
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河川の平面形(p132)
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蛇行・・河道が曲がりくねること
攻撃斜面と滑走斜面
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攻撃斜面側では侵食が起こり,滑走斜面側では堆積が起こる
攻撃斜面
滑走斜面
河川の平面形
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三角州では網目状の流路
(網状流)となる
扇状地では分流・伏流する
河川の縦断形(p130)
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日本の河川は,河床勾配が急である
降水量も多く,流出率も大きいため,侵食量も
大きくなる.
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比流量(=流量/流域面積)の年変化
季節によって,河川に流れる水の量が大きく異なる
河況係数
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日本の河川は,最小流量
に対する最大流量(洪水
時)の比(河況係数)が
大きい
河川の状態が,流量によ
って極端に変化する
管理の難しい河川である
治水(p131)
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流れが激しく,河況係数の多い河川と共生するた
めに,日本人は水を治める営み「治水」を行って
きた.
治水:堤防,浚渫,分流
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堤防:水が溢れないように,溢れる量を制限する
浚渫:河川の断面積を増やし,通水量を増加させる
分流:流路を分割し,流量を減少させる
伝統的な治水構造物
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霞堤による治水
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わざと不連続な堤防を設置すること
により,洪水流を溢れさせることに
より,制御をしていた
黒部川の霞堤
水害防備林による治水
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河川沿いに森林を人為的に設けること
によって,穏やかに洪水流と土砂を溢
れさせる
溢れた土砂は周囲の水田に肥料を供給
させていた
氾濫を前提とした「氾濫許容型治水」
霞堤と水害防備林を組
み合わせることにより,
洪水流と土砂を緩やか
に溢れ出させる
近代の治水
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洪水流を連続堤で堤外地に閉じこめ
,できるだけ早く海に流し出すこと
で洪水を制御する
都市化の進展,堤防の整備に伴って
流量が増加するため,堤防の大規模
化が必要になる→スーパー堤防
湖(p132)
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湖沼
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陸地に囲まれた窪地が湛水したもの
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湖:水深が深く,中心部に植物が生育していない.大規模な人
工的な水域も湖と呼ぶ=ダム湖
沼:水深が浅く,中心部まで植物が生育している
池:人工的に作られた小規模な水域
成因
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断層湖:断層による地表の陥没
火口湖・火口原湖:火山作用による火口が湛水
堰止湖:溶岩,土砂などにより河川が堰き止められた
氷河湖:氷河作用によって形成
湖沼の分類(p134)
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湖沼の栄養状態によって分類=湖沼型
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調和型
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バランスの取れた栄養塩類.濃度による分類
貧栄養湖→中栄養湖→富栄養湖
自然的,人為的影響によって,濃度が上昇し遷移する
非調和型
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特定の含有成分によって特徴付けられる
酸栄養湖
アルカリ栄養湖
腐食栄養湖
鉄栄養湖
地下水(p134)
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地下に存在する水
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不飽和の部分=土壌水
飽和帯=地下水 /帯水層の上面が地下水面.重力で
流動する
圧力状態による分類
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不圧地下水,自由地下水:地下水面の圧力が大気圧に
等しい.
被圧地下水:帯水層が不透水層によって覆われ,圧力
を受けている.地下水面の圧力が大気圧より大きいた
め井戸を掘ると上昇する=水頭.水頭が地表面より高
いと自噴井となる
地下水汚染(p135)
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地下水は,水資源としても重要.工業用水,農業
用水だけでなく,飲用水としても使われる.
土壌は懸濁物質や有機物などに対する濾過,浄化
作用を持っている.が,一定量以上の汚染や,微
量でも人体に影響がある物質を完全に除去するこ
とはできない.過剰な物質供給により地下水の汚
染が起こる.
水資源(p135)
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世界に存在する水→13億~14億km3
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海水(97.5%) 淡水(2.5%)
淡水の大部分は,氷河として陸上に固定されている
実際に容易に利用できる水資源は0.01%程度
資源として利用できる水は,地域の気候(降水量と蒸発量)
と人口によって規定される
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その地域の降水量と蒸発量の差(水資源賦存量)をその地域の人口で
割った値<1人当たり水資源賦存量>として理解する.
質問
①石川県の1人当たり水資源賦存量は下のA~Dのどの国と同じ程度か?
②東京都の1人当たり水資源賦存量は下のA~Dのどの国と同じ程度か?
A アメリカ
B カザフスタン C カナダ D サウジアラビア
世界の1人当たり水資源賦存量
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水資源の利用(図13.6)
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水利用は,農業用水(大部分が水田灌漑)が大きな割合を占める.
工業用水は減少傾向にあるが,生活用水は増加傾向にある
仮想水という考え方
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都市水文と都市型水害(p137)
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都市では,コンクリート・アスファルトに被覆さ
れる割合が大きくなるため,降水が土壌中に浸透
しない → 河川・下水道に対する流出が大きく
なる(日本の下水道の多くは合流式下水道)
都市化の進展により急激に下水道への流入が大き
くなるため,処理能力を超えてあふれ出す
→ 都市型水害
河川流量にも降水の直後に大きなピークが生じ,
大規模な堤防の建設が必要になる
都市型水害のメカニズム
雨水浸透ますの導入
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都市型水害や河川流量の急激な増加を防ぐためには,降水を一旦,土壌
水や地下水として地下に貯留し,流出を分散する必要がある
雨水を直接下水道に流さず,徐々に地面にしみこませる「雨水浸透ます
」や,雨水を利用するための雨水貯留タンクの設置が進められている.
本時のまとめ
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水文学とは何か?
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水の循環
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海→大気→河川・湖沼・地下水・氷河→海 <自然循環>
近年は,人為的な水循環のコントロールが大きくなっている
河川,湖沼,地下水
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地文学の一部.地上の水に関わるさまざまなことを考える学問
気候・地形・生物にとって重要な要素=地理的な考察の必要性
日本の河川の特性と災害,治水
水資源,都市水文
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水資源の偏在=21世紀は水の世紀/仮想水
適正な水資源の管理,流出の管理が必要