■ 日米欧:金融政策の二速化が進む 2015 年 ご参考資料 ストラテジー・レポート 2015 年 1月 ■ 米国は政策金利の利上げへ。 ユーロ圏と日本は 量的・質的金融緩和政策の 効果の見極めへ 2015 年、米国は出口戦略を本格化。ユーロ圏・日本の金融緩和 は継続。 ■ ■ ■ 先進国株式・リートに対する投資環境は、引き続き良好。 低金利が継続。スプレッドが確保できる債券が引き続き選好さ れる可能性。 円安の地合いは不変なるも、米ドル/円為替レートの最高値から は 6 割程度の円安が進行。絶対水準では高値圏。 フィデリティ投信 商品マーケティング部長 太田 創 三菱銀行、シティグループ等の外 資系資産運用会社等を経て、2007 年 フ ィ デ リ テ ィ 投 信 入 社 。商 品 マーケティング部長として、商品 企画およびマーケティングに携わ る 。メ ガ バ ン ク で の 資 金 デ ィ ー ラーとしての経験を活かし、マー ケット関連の著作・出稿を数多く 手がけ、テレビ・ラジオでのコメン テーターなども担当。 昨年 10 月末に米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩 和の終了を発表する一方で、日銀は「量的・質的金融緩 和」の拡大を発表しました。これを受け世界的に株価が 上昇し、さらに円安が進む中、日米欧の金融政策の方向 性が注目されています。 今回のレポートでは、グローバルな投資環境と、主要投 資対象資産である株式・リート、債券、為替の見通しに ついて考察していきたいと思います。 2015 年:米国は出口戦略を本格化。ユーロ圏・日本の金融緩和は継続。 昨年 10 月、FRB は量的緩和の終了を決定しました。FRB が ずれかの時点で利上げがあると見ています。 投入した資金量(ベースマネー)は、リーマン・ショック前の 一方、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、昨年 11 月 21 日 約 8700 億ドル( 08 年 8 月末 約 94 兆円)から足元の 3 兆 に行われた欧州銀行会議で ABS(資産担保証券)の買い入れ 8870 億ドル(14 年 11 月末 約 450 兆円)と比べ実に 4.5 倍 を発表し、さらなる金融緩和を図っていくことを表明しまし にも増え、これが米国金利の低下と株価の上昇を支えました た。しかしながら、同総裁は「インフレがしかるべき水準ま (図 1)。 雇用環境と民間住宅市況の回復次第ですが、早けれ で到達するまで、あらゆる手法で金融緩和の規模、ペースや ば 15 年・第 2 四半期に政策金利の利上げが実施されると考 その内容を見直し、引き続き金融緩和を進めていく」と同時 える向きもあります。実際、シカゴ・マーカンタイル取引所 に発言していることからも、2015 年のいずれかのタイミン ( CME )の 2015 年 9 月限・ユーロドル 3 ヵ月金利先物が グで、本格的な量的金融緩和政策を導入することが考えられ 0.6%程度で取引されていますので、市場関係者は来年のい ます。 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 1 ストラテジー・レポート ■ 日米欧:金融政策の二速化が進む 2015 年 2015 年 1 月 ご参考資料 日本については、アベノミクスの金融緩和政策導入から 2 年 けました。景況感は決して好ましいものではありませんが、 程度経過した後、14 年第 2・第 3 四半期の GDP 成長率がマイ 期待感により株価が上がる状況が今後もあり得ると考えて ナスとなる景気後退局面に突入しました。その後、安倍政権 います。 は衆院を解散し、12 月 14 日の衆院選では自民党が圧勝。ア さて、こうした背景を前提に、各資産クラスがどう推移して ベノミクスの強化と、17 年 4 月の消費増税へ一定の道筋をつ いくのか見ていきましょう。 (図 1)各中央銀行のベースマネー増加推移 600 欧州中央銀行 (ECB) 500 イングランド銀行 400 日銀 米連邦準備制度理事会 (FRB) 米国・英国と比べ、 日本・ユーロ圏の 金融緩和規模は、 300 絶対額ではまだ小さい。 200 2014年 8月 2014年 4月 2013年 12月 2013年 8月 2013年 4月 2012年 12月 2012年 8月 2012年 4月 2011年 12月 2011年 8月 2011年 4月 2010年 12月 2010年 8月 2010年 4月 2009年 12月 2009年 8月 2009年 4月 2008年 12月 2008年 8月 2008年 4月 2007年 12月 2007年 8月 2006年12月 0 2007年 4月 100 (注)Bloomberg よりフィデリティ投信作成。期間:2006 年 12 月末∼2014 年 9 月末。2006 年 12 月末を 100 として指数化。 <株式・リート> 企業業績が復調している米国株は、2015 年も好調を維持す た、14 年 10 月を基準とするとした米国企業の予想 1 株当た ると考えています。世界企業の株主資本利益率(ROE )を地 り利益(EPS)の成長率は、15 年 10 月は約 11%増、16 年 10 域別に見ると、米国企業は 15%弱、新興国企業は 12%前後、 月が約 4 %増、17 年 10 月も約 12 %増と、今後 3 年間で平均 欧州企業が 8%弱、世界全体では 12%程度となっており、米 約 9%増の成長が見込まれています(図 2)。 米国株には、今 国企業の収益性の高さが見て取れます。 ( 14 年 9 月時点)ま のところ死角は見当たりません。 (図 2)米国株式と予想収益の推移 (米ドル) 160 2,800 2,600 S&P500種指数(左軸) 2,400 予想EPS (右軸) 140 2,200 120 2,000 1,800 100 1,600 1,400 リーマン・ショック 前半の調整 1,000 800 600 80 量的緩和縮小 1,200 60 欧州債務危機 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 40 (年) (注)Bloomberg よりフィデリティ投信作成。期間は、S&P500 種指数は 2002 年 12 月末∼2014 年 10 月末。予想 EPS は 2003 年 6 月末 ∼ 2017 年 10 月末。予想 EPS は指数の 1 年後予想収益を使用。ただし 2003 年 6 月末∼ 2005 年 12 月末は Factset より算出した MSCI 米国の予想 EPS 増益率で指数化。黄色の矢印は、短期的下落を指す。 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 2 ストラテジー・レポート ■ 日米欧:金融政策の二速化が進む 2015 年 2015 年 1 月 ご参考資料 また、商業用不動産を投資対象とする米国リート( REIT:不 上げている銘柄も散見されます。為替リスクも考えれば、ハ 動産投資信託)は、14 年に 30 %程度上昇しました。13 年に イリスクな資産クラスかもしれませんが、15 年もリカバ は株式に大きく劣後しましたが、14 年には景気回復ととも リー狙いの投資チャンスは十分存在すると考えます。 に賃料収入の上昇や入居率の上昇を背景に、極めて活況とな 日本株については、15 年以降も個別企業の業績推移が重要 りました。米国の商業不動産の需給が引き締まった状態に なポイントであることには変わりはありません。しかしなが なっているため、米国リートは堅調に推移するでしょう。 ら、特に日銀の金融緩和政策が、実体経済にどれくらいプラ 欧州企業の収益性は世界平均に劣るものの、欧州には米国に スの影響を与えるのかということと、その期待感がより大き 次いで世界を代表する製造業や金融機関などが数多く存在 なポイントです。株価形成は、まさにこの一点にかかってい し、かつ中小型株銘柄の中には、驚異的なパフォーマンスを るでしょう。 <債券> 世界的な低金利時代に突入し、債券投資には、 (1)そもそも高利回りを求めることがむずかしくなってきた こと。 (2)高利回りを求めると、必然的にリスクが高くなること。 といった 2 つのリスクがあることが顕在化しています。 券投資でかつてのような高利回りを追求すること自体がむ ずかしい状況です。 ( 2)債券投資でより高い利回りを求めるには、①投資期間を 長期化する、または、②信用リスクを取るしか方法はありま せん。しかしながら、これらは金利上昇リスク(価格下落リ ( 1 )については、先進国・地域の政策金利はほぼゼロ%であ スク)または信用リスクを取ることでしか実現できないた るため、中長期金利も限界的な低位に推移しています。長期 め、この低金利下、安全性と同時に高利回りを得ることはで 的な観点では、先進各国の資金需要が急増するとは考えにく きなくなっています。 く、金利水準も低位にならざるを得ません。したがって、債 <為替> 執筆時(12 月中旬)の米ドル/円の為替レートは、1 米ドル (2)日銀による、さらなるサプライズ的追加緩和の実施。 = 120 円をやや下回る水準で推移しています。11 年 10 月 (3)ECB の量的金融緩和政策導入による、ドル独歩高の継続。 25 日に 1 米ドル= 75 円 74 銭の * 最高値をつけた水準と比 較すると、6 割近く円安が進んでいます。これだけ主要通貨 に対して切り下がった円ですから、15 年以降さらに円安が (4)原油価格が低位安定し、潜在的なドル高(円安)要因の 進行するためには、次のような条件が必要になってきます。 スクを懸念する市場関係者も散見されます。新たに外貨建て 定着。 足元はかなり急速なペースで円安が進みましたので、円高リ 資産への投資を検討される際は、為替変動リスクにもご注意 (1)FRB の利上げタイミングが予想よりかなり早いか、利上 げ幅が想定以上に大きい。 いただきたいと思います。 * データ:Bloomberg ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 3 ストラテジー・レポート ■ 日米欧:金融政策の二速化が進む 2015 年 2015 年 1 月 ご参考資料 フィデリティ・ワールドワイド・インベストメントは、資産運用業界におけるグローバル・リーダーとして、英国、欧州、中近東及びア ジア太平洋地域の個人投資家や機関投資家に向け、資産運用サービスを提供している非公開企業です。1969 年に設立、現在は世界 25 カ国に拠点を設け、従業員は約 6,800 名、預かり及び運用資産は約 39 兆円 ※にのぼります。ファンド等の延べ受益者数は 5 百万を超 え、700 本を越える株式、債券、不動産、アセット・アロケーション型のファンドの運用を行なっています。運用を担当するポートフォ リオ・マネージャーは、世界 12 カ国で調査を行なう、業界でも最大級の調査チームによる調査情報へのアクセスがあります。日本にお いては、フィデリティ投信株式会社が投資信託及び企業年金や機関投資家向け運用商品やサービスを提供、フィデリティ証券株式会社 が投資信託を中心とした個人の長期的資産形成を支援するサービスを提供しています。 (※ 1 ドル =109.695 円で計算、データは 2014 年 9 月 30 日現在) • 当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではあ りません。 • 当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いず れも将来の傾向、数値、運用結果等を保証もしくは示唆するものではありません。 • 当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等 の売買を推奨するものではありません。 • 当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き当社に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固く お断りいたします。 • 投資信託のお申し込みに関しては、下記の点をご理解いただき、投資の判断はお客様自身の責任においてなさいますようお願い申し 上げます。なお、当社は投資信託の販売について投資家の方の契約の相手方とはなりません。 • 投資信託は、預金または保険契約でないため、預金保険および保険契約者保護機構の保護の対象にはなりません。 • 販売会社が登録金融機関の場合、証券会社と異なり、投資者保護基金に加入しておりません。 • 投資信託は、金融機関の預貯金と異なり、元本および利息の保証はありません。 • 投資信託は、国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元本が保証されていないため、当該資産の市場におけ る取引価格の変動や為替の変動等により投資一単位当たりの価値が変動します。従ってお客様のご投資された金額を下回ることも あります。又、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスク の内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては目論見書や契約締結前交付書面を良くご覧下さい。 • 投資信託説明書(目論見書)については、販売会社またはフィデリティ投信までお問い合わせください。なお、販売会社につきまして は以下のホームページ(http://www.fidelity.co.jp/fij/fund/japan.html)をご参照ください。 • ご投資頂くお客様には以下の費用をご負担いただきます。 ・申込時に直接ご負担いただく費用:申込手数料 上限 4.32%(消費税等相当額抜き 4.0%) ・換金時に直接ご負担いただく費用:信託財産留保金 上限 1% ・投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用:信託報酬 上限 年率 2.0844%(消費税等相当額抜き 1.93%) ・その他費用:上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等でご確認ください。 ※当該手数料・費用等の上限額および合計額については、お申込み金額や保有期間等に応じて異なりますので、表示することができ ません。ファンドに係る費用・税金の詳細については、各ファンドの投資信託説明書(目論見書)をご覧ください。 ご注意)上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 費用の料率につきましては、フィデリティ投信が運用するすべての公募投資信託のうち、徴収する夫々の費用における最高の料率を記 載しておりますが、当資料作成以降において変更となる場合があります。投資信託に係るリスクや費用は、夫々の投資信託により異な りますので、ご投資をされる際には、事前に良く目論見書や契約締結前交付書面をご覧下さい。 フィデリティ投信株式会社 金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第 388 号 加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 IM141216-2 ※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。 また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。 4
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