H26年 糖尿病ケアチーム通信 第 5 号 SGLT2 阻害薬の適正使用について 我が国で最初の SGLT2 阻害薬が 2014 年4月に発売され、 現在5剤発売になっています。 SGLT2 阻害薬は新しい作用機所を有する2型糖尿病薬ですが、治験の際に低血糖など糖尿 病薬に共通する副作用に加えて、尿路・性器感染症など SGLT2阻害薬に特徴的な副作用が認 められています。 副作用報告によると、因果関係が明らかでないものも含まれていますが、重篤な副作用がさ らに増加しているため、副作用情報を共有することにより、今後、副作用の拡大を未然に防止 することが大切です。 副作用の事例と対策 重症低血糖: 114 例の低血糖が報告され、うち 12 例は重症低血糖で、9 例がインスリン併用例でした。 また、SU 薬の併用は 4 例でした。併用する場合は予め減量を検討することが必要です。 ケトアシドーシス: 4 例のケトアシドーシスが報告され、インスリンの中止、極端な糖質制限、清涼飲料水多飲な ど原因になっています。インスリン分泌能が低下している症例への投与は注意が必要です。 脱水・脳梗塞: 重症の脱水が 15 例報告され、さらに、12 例の脳梗塞も報告されました。脳梗塞発症者の年 齢は 50 代から 80 代で、脳梗塞は SGLT2 投与後数週間に起こることが大部分で、脱水との 関連が疑われました。また、SGLT2 投与後に心筋梗塞・狭心症は 6 例報告されました。 高齢者や利尿剤併用患者等の投与は、十分な理由がある場合のみとし、十分な観察と適切な水 分補給を必ず行い、シックデイには万全の注意が必要です。 皮膚症状: 薬疹、発疹、紅斑など非重篤なものを含めれば 500 例以上が報告され、最も頻度の高い副作 用です。ステロイド治療がなされたなど重篤と判断されたものも 80 例以上あります。症状は 投与 1 日目から 2 週間以内に発症しています。投与日を含め投与後早期より十分な注意が必 要です。 尿路・性器感染症 治験の時から SGLT2 阻害薬との関連が認められていますが、尿路感染症が 120 例以上、性 器感染症が 80 例以上報告されています。投与開始から 2、3 日及び 1 週間以内に起こる例も あれば、2 ヵ月程経って起こる例もあり、重篤な尿路感性症も 12 例報告されています。適宜 問診・検査を行って、発見に努めること、発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーショ ンする事が重要です。 参考: 「SGLT2 阻害薬の適正使用に関する委員会」により抜粋 ∼お知らせ∼ 次回の糖尿病チームの勉強会は、1月 19 日(月)別館2F 会議室にて検査科担当で行います。 文責 薬剤師 木村・新井山
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