2015年1・2月号

腸は、「第2の脳」と呼ばれる重要な臓器です。腸は食物
の消化をはじめ、栄養の吸収、老廃物の排出、解毒、免疫
機能など生命に関わるさまざまな働きを担っています。こ
のため、腸内環境が悪化するとこれらの働きが阻害され、
肌荒れや免疫力の低下、ひいては生活習慣病や大腸がんの
リスクを高めることに繋がります。そのためにも、腸内環
境を整えて心身の健康を保ちましょう!
大腸には1000種類、100兆個を超える腸内細菌がす
んでおり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つのタイプに分
かれます。
●善玉菌
腸内を良い環境にし、健康に役立つ菌のこと。乳酸菌やその一種
のビフィズス菌に代表される菌。
●悪玉菌
腸内を悪い環境にし、健康を害する作用がある菌。腐敗物を作り、
有害物質を発生させるもので大腸菌やウェルシュ菌、ブドウ球菌
などの菌のこと。
●日和見菌
善玉、悪玉のどちらにもなりえる菌のこと。善玉菌が優勢な腸の
中では日和見菌も健康に役立つように働いてくれますが、腸内に
悪玉菌が増えると悪玉菌の味方をします。
整った腸内環境の比率は「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」。
日和見菌が悪玉菌に変貌しないように善玉菌を増やして量を
保ち、悪玉菌の勢力を抑えるようにしましょう!
<便秘>
一度便秘になるとガスが腸内にたまりやすい傾向に。たまった毒
性のガスが腸の働きを悪化させ、さらに便秘がひどくなります。
便秘→便の腐敗進行→悪玉菌増加→便秘という悪循環に陥ってし
まいます。
<肉類や脂質(飽和脂肪酸)の摂り過ぎ>
過剰に摂取すると消化が十分にされないまま大腸に運ばれ、悪玉
菌の恰好のエサとなってしまいます。
<スナック菓子や甘いものの食べすぎ>
作られてから時間が経ったスナック菓子や甘い菓子は、体内で酸
化・糖化しやすく、たんぱく質が消化できない形に変性する可能
性があります。消化ができなかったたんぱく質は大腸で悪玉菌の
エサになります。
①腸が喜ぶ食材を食べる
●ヨーグルトや納豆などの発酵食品
乳酸菌には腸内で多量の有機酸を生成する働きがあります。こ
れらの有機酸が悪玉菌の増殖を抑制するほか、病原菌やウィル
スがすみにくい環境を作ります。納豆菌には腸内の乳酸菌を増
やして安定させる働きがあります。手軽に食生活に取り入れ、毎
日継続しましょう。
●オリゴ糖
善玉菌のエサとなる、食物繊維やオリゴ糖。
これらは野菜、果物、穀類、豆類、海藻、きのこにたくさん含ま
れています。オリゴ糖は糖質の一種で、体内で消化がしにくいた
め、そのまま大腸に届いてビフィズス菌のエサとなり増加を促し
ます。
●食物繊維
食物繊維には、2種類あります。
・「水溶性食物繊維」
水に溶けやす便を柔らかくして排出しやすくする繊維
(昆布、わかめ、こんにゃく、野菜類、果物類、里芋)
・「不溶性食物繊維」
水に溶けずに腸内で水を吸い込み、かさを増して老廃物
を押し出す繊維
(穀類、野菜類、豆類、エビ・カニの表皮)
それぞれ腸内環境を整える役割があります。
毎日摂取することが大切なので、
日々の食習慣に無理のないように取り入れましょう!
②よく噛んで食べる
よく噛むことで消化酵素の分泌も促され、胃や腸への負担
が減って、消化・吸収・排出の流れがスムーズに行われま
す。また、脳の満腹中枢が刺激されるので食べ過ぎを防ぐ
効果もあります。
③水分をたっぷり摂る
朝起きたら、まずコップ1杯の水を飲みましょう。冷水よ
り常温の水がおすすめです。常温の水を飲むことで、腸を
穏やかに目覚めさせることができます。そして、1日1.
5ℓを目安に、毎日たっぷりの水分を摂取することを習慣
づけましょう。便の硬さは水分量で決まります。
水分を十分に摂れば、便が柔らかくなって排便もスムーズ。
のどの渇きを感じる前に摂取するのがポイントです。
善玉菌が増えると・・・
↓
悪玉菌の増殖を抑えて、有害物質や
病原性細菌の増殖が抑えられる
↓
免疫力アップ
↓
風邪予防、アレルギー症状の緩和、肌荒れ改善、肥満予防
など、全身の健康につながります。
<参考文献>
・腸活でまるごと解決!
eo健康
http://eonet.jp/health/special/special66_3.html