淡路富男(行政経営総合研究所代表)
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※関連した情報は上記の URL を参照下さい。
※未定稿のため誤字などはご容赦下さい。
1.地方創生の成功なくして地方の未来はない
◆国民の言動を結集できない政治リーダーの言動
第三次安部内閣は、予想外の第二次安部政権の閣僚すべて留任といった
現状維持の形で発足しそうです。勝利に安心したのか、果敢な姿勢がやや
薄れています。税600億円を投入した選挙実施の意義を半減させていま
す。リーダーは真摯であることが前提条件です。意義なきことは厳禁です。
今回の選挙では政治家のマネジメント力不足が露呈しました。各政治リ
ーダーの、投票を通じた支持表明の必死の依頼に対して、有権者の二人に
一人が意思表示を放棄しました。政治家の重要な役割の一つである、国民
の言動を結集することができない実例で
す。一回の選挙の結果より、国民の半分
が政治リーダーの要請を無視したことの
方が重要です。また、勝利した政党には、
表明した人の半分弱(48%)の支持し
か得られていない、有権者全体に占める
得票割合は25%しかないといった、脆
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弱な支持内容であることも判明しました。政治家の魅力が薄れています。
リーダーとしての資質が問われています。
マネジメント的な視点でこれをみると、有権者の四人の内の一人からし
か、支持を得られていない人や組織では、国家経営の遂行に不可欠な国民
の協働が得られるかが、大きな課題になります。
民間企業でのコンサルティングで行う社員意識調査で、経営陣に対する
社員の支持が25%で、その主要な支持理由が「他に適当な人がいない」
では、社長は辞任しなければなりません。この結果を踏まえて、政府・行
政は、真摯な姿勢で、国民生活の安定と発展に貢献できる成果を、産出し
なければなりません。
◆地方創生の重要性
成果産出の最優先課題に、「地方創生」の成功があります。これは成功
させなければなりません。ただ、これまで失敗してきた現状能力の強化や
継続では、ますます成功から離れることになります。地方創生の成功には、
地方創生を担える能力を有する組織への改革が必要です。
異次元の金融緩和、大規模な財政出動、必死の株価 Up、円安誘導を推
進している、千兆円の借金を抱える我が国では、これ以上の浪費は死に至
る道への更なる前進になります。
よって地方創生の成功には、借金に頼る予算の拡充を宣言するのではな
く、成果を出せる地方行政組織の行政経営改革の実行を宣言することです。
成果を出せる組織の創造に、地方創生成功の糸口があります。
◆成功の2番目の鍵は職員の参画
この地方創生の成功に不可欠な行政経営改革には、前稿で明らかにした
「成功の3つの鍵」、1.首長のリーダーシップ(前回掲載)、2.職員
の参画(今回掲載)、3.よく錬られた行政経営改革(次回掲載)が必要
になります。本稿では、二番目の鍵である、
「職員の参画」を検討します。
地方創生の成功に向けた行政経営改革には、
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①迅速な行動
②住民評価への対応
③実践力の向上
を要件とする、より多くの職員参画による改革の推進と職員のマネジメン
トの修得が不可欠です。住民・国民と接する職員のマネジメント力不足は
地方創生成功の大きな障壁です。現在の現場のマネジメント不足から生じ
ている、「後手行政」「縦割行政」「手法行政」では、地方創生の成果は皆
無になります。
2.最初の要件は後手行政の改革:職員全員参画による「迅速性」実現
◆行政職員一人ひとりにマネジメントが必要
住民・国民も含めた社会環境の最大の特質は変化です。社会の一つの機
関である行政組織は、この社会の変化に、常に住民の立場で、すばやく的
確に対応できる経営体制の構築と維持が必要になります。
現場職員が、何事も一々上司に聞かないと対応で
きない「後手行政」では、住民の変化に遅れ、地方
創生の成果を最小にします。事実、行政組織には、
1991年のバブル崩壊からこれまでに、この後手
行政で問題を大膨張させてきた実績があります。
これには、日頃から住民と接し、同時に担当の行
政業務を一番よく理解している個々の職員には、現
場で住民の変化を受け止め、そこから、全庁の方針
に基づいて、行政組織全体の力を活用して、すばや
い合理的な対応を実行することが求められます。これを可能にするのが、
職員個々のマネジメント力です。
◆職員参画でマネジメントを修得する
マネジメントは管理職の専有物ではありません。トップのマネジメント
と個々職員のマネジメントは、担当範囲の広狭といった多少の違いがある
ものの、本質的な部分では違いがありません。マネジメントは、それぞれ
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の担当範囲で成果に責任のある働く職
員すべてに必要なものです。
職務に関する成果に責任のある職員
の多くが、行政経営改革に参画するこ
とで、そのマネジメントを修得し、住民変化への迅速で的確な対応を実現
することで、組織の成果実現に貢献することが可能になります。
職員すべてがマネジメントを修得できれば、職員一人ひとりが住民基点
の迅速な行動が可能になり、その成果は大きなものになります。職員一人
ひとりのこの成果の蓄積が、地域社会を変えることにつながります。
地域を変えるのは、トップではなく個々職員の働きです。本来、個々の
職員以外のマネジメントは派生的なものです。一番重要なのは住民と接す
る職員のマネジメント力です。トップがいくら指示命令しても、職員の頭
の中までは、見ることはできません。指示命令では、後手と手抜きが横行
し住民のための組織の成果はほぼ失われます。マネジメントとは、社会に
貢献する職員一人ひとりに必要なものです。
3.二番目は縦割行政の改革:職員参画による「住民評価への対応」
◆住民の合理性の尊重
二番目の要件は、住民評価への対応です。自
分の仕事もある住民は、行政組織全体を見るこ
とも、接することも、調べることもできません。
よって住民は自分が見た、接した、聞いた行政
活動に関する評価で、税金の活用を委託した行
政全体を評価します。それが住民の合理性です。
よって庁内でよく聞かれる、「住民は十分に理解しないで政策を評価す
る」といった発言は意味がありません。それが税金の活用を委託している
住民の合理的な評価方法なのです。
このように評価する住民の評価内容は、住民の行動や協働意識に大きく
影響します。よって各職員、各部署、首長まで、この住民の合理性を受け
入れて、住民が納得する同じレベルで仕事に取り組むことが必要になりま
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す。縦割行政などは厳禁です。
もし、1階の受付けと市民課だけが親切で、上階に上がればあがるほど
他の部署は住民無視のお役所仕事といったことでは、住民は憤慨し落胆す
ることになります。居眠り、不正、過剰報酬と手当、飲酒事故などは論外
です。公務員であるあなたの志の遂行を阻害します。
◆職員すべての参画によるマネジメント修得の必要性
この住民評価に対応するには、職員すべてが、行政経営改革活動に参画
し、真摯なマネジメントについての同じ考え方と体系を学習して理解し、
それを実践することが不可欠になります。
この接した部分から全体を評価
する住民の評価の仕方を考えると、
縦割組織や一部の部署だけが目立
つ改革は、不満の原因になります。
改革では、行政組織全体が、住民満足の実現に向けて、同じ歩調で進む仕
組みと体制が不可欠になります。
これには、
①行政経営改革は全体で取り組むこと
②マネジメントの修得は職員すべてに必要なものになります。
部分的な改革は自己満足だけで、成果とは関係がありません。時間と労
力の浪費、かつ不満の源泉になります。行政経営改革は、職員全員参画が
前提です。そこで職員全員がマネジメントを修得します。
3.三番目は手法行政の改革:職員参画による「実践力の発揮」
◆手法の導入では成果はない
最後の要件は、成果の産出に向けた実践力の発揮です。行政改革を実施
して、各部の方針、政策会議、目標管理制度、人事考課制度、行政評価な
どを導入実行しても、組織の成果には、結びついていないことがよくあり
ます。
これは行政改革が、縦割り各部署の少数の関係者による「流行の手法の
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導入」が中心になり、経営、つまりマネジメントに関する基本的な考え方
や、それを具現化する仕組みや手段が、組織全体には体系的に導入されて
いないことに起因します。成果な
しの「手法行政:手法てんこ盛り
改革」です。
手法が乱立する一貫性と整合性
のない取組では、成果があがるこ
とはありません。政策の多くが税
金投入に見合わない浪費になり、
住民の活力を萎えさせます。地方
や日本低迷の元凶です。
◆手法行政からの脱却
行政経営改革の目的は。経営の改革であって、手法の導入ではありませ
ん。人と組織に、社会に貢献できる成果をもたらす考え方と、それを実現
する仕組みの構築です。現在の行政組織の庁内には、流行の手法が意味な
く跋扈しています。「手法行政」は即座の廃止と是正が必要です。
公務員にマネジメントの素養が不足すれば、行政組織にマネジメントの
仕組み導入が不十分であれば、人と組織の活動は、目的に関して一過性と
整合性が欠落し、成果を手にすることはありません。業務を増やすだけの
個々の手法が庁内を歩き回るだけです。
マネジメントが機能しなければ、人も組織も、成果に結びつく実践力を
発揮することはできません。行政組織の場合、それは地域社会の疲弊とひ
どい困窮になります。現在の継続では、地方創生の成功はありません。
-地方創生に傾向に向けて-
住民との接点を担う公務員は、住民の変化に、整合性と一貫性のある行
動で素早く対応し、経営の仕組みを活用して実践し、成果を産出しなけれ
ばなりません。しかし、現状の職員のマネジメント力のままでは、地方創
生成功の大きな障壁になります。
ここですべての職員に必要なことは、福祉の専門知識を高めると共に、
行政経営改革活動に参画し、それを社会に貢献できる組織の成果に結びつ
ける、マネジメントの修得です。
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マネジメントは普通の人と組織に成果をもたらす唯一の方法論です。さ
あ、今日から地方創生の成功に向けて、真の行政経営改革とマネジメント
の修得に挑みましょう。
【参考資料】
本文は、市長と職員が地方創生に向けて行政経営改革を実践したことを
描いた地方創生成功の必読書、『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジ
メント教科書(同友館)』を参考にして作成しています。また、フェイス
ブックや YouTube にも関連した資料があります。学習の参考にして下さ
い。
https://www.facebook.com/tomio.awaji
https://www.facebook.com/pages/%E3%82%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%
83%BC%E8%A1%8C%E6%94%BF%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AE%A4/2
84336248425931
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https://www.youtube.com/channel/UCKmN1mLRCoPAuSx7tnNgoVA
-著者紹介-
淡路富男(あわじとみお)
行政経営総合研究所代表
民間企業を勤務後、民間大手コンサルティング会社、
(財)日本生産性本部主席経営
コンサルタント、自治体マネジメントセンター主席コンサルタントを経て、現在は
行政経営総合研究所の代表。
◆兼職
各自治体 長期総合計画審議学識委員
各自治体 行政改革推進学識委員
各自治体職員研修所 自治体経営研修講師、管理職向けマネジメント研修講師
各シンクタンクのコンサルティングと研修講師
◆専門領域:総合計画、行政経営改革、マネジメント、公共マーケティング
◆主な著書:
『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジメント教科書』
(同友館)
『突破する職員になる』
(公職研)共著
『三鷹がひらく自治体の未来』
(ぎょうせい)
『自治体マーケティング戦略』
(学陽書房)
『民間を超える行政経営』
(ぎょうせい)
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