Title 演算・関数の連続化について Author(s) - Barrel

Title
演算・関数の連続化について
Author(s)
Citation
小樽商科大学人文研究 (2014), 127: 9-24
Issue Date
URL
兼岩, 龍二
2014-03-17
http://hdl.handle.net/10252/5288
Rights
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Barrel - Otaru University of Commerce Academic Collections
9
演算・関数の連続化について
兼岩龍一
1.導入
数学の発達の歴史を想像してみるに,最初は自然数があって,それらの数
同志の足し算や掛け算のような演算が行われたであろう.それが数概念の拡
張(実数さらに複素数概念の獲得)に伴って 3.5+2.86とか (
2十 i
)・
(
1ーのの
ように拡張された数同志の演算が行われるようになり,それらに対応する自
然現象や人為現象を我々人類は見出すことが出来てきた事と思う.そこでは,
例えば「足し算」の実数・複素数への拡張が「ごく自然に」行われてきた筈
である.これを足し算の連続化と呼ぶこととしよう.
さて次に,階乗演算の連続化という事を考えてみることにしよう即ち士!
! とかを考えるという事である.まず、実数への拡張であるが,オイラー
とか i
C
E
u
l
e
r,1
7
0
7
1
7
8
3
)は
n/
¥8-1
(
1
) r(S) ニ人 \10g~)
r∞
8 1
- d
du=)O e
-tt
t (
S>0)
のような関数(ガンマ関数)を定義して
(
2
) r
(
s十 1
)= s
r
(
s
)(
s>0
),
(
3
) n
l= r(η十 1
) (
nは非負整数)
2
)は
が成立することを示した. (
(
2
'
) n1=η ・(n-1)1 η
( は自然数)
2
),(
3
)を満す連続な関数は(1)で定
の実数への拡張となっている.ところが (
(
s
+1
)が nlの「自然な」
義されるもの以外にも無数に存在するのである .r
拡張であることが認知されるには次の定理が確定するのを待たなければなら
10
人文研究第 1
2
7 輯
なかった.
H.Bohr-Mollerupの定理. s>0において定義された正の実数値関数
/
(
s
)が 3つの条件
(
i
) /(s+1
)= s
/
(
s
), (
i
j
)/
(
1
)=1, (
i
i
j
)l
o
g
/
(
s
)が凸関数(下に凸)
を満たすならば /
(
s
)は(1)で定義されたガンマ関数 r
(
s
)に等しい. (証明は
[
l
J 参照)
この事もさることながら,筆者は次の事実に注目したい.
X
e
=
急
三;
(
xは任意の複素数)
はよく知られている.そ乙でコーシー (
C
a
u
c
h
y
) の積分公式 (
[
2
J参照)に
より
J
「
ニE
UJLK(C
は Oのまわりを正の向きに 1周する路)
となる.そこで変数 nを実数あるいは複素数に拡張し
S
eXx-(n+l) ;
を eXx-(s+l)= eXー(叶 l)logx と置き換えて,積分路
とし,被積分関数
C'を ∞から
3
(δ>0,δは適当に小さくとっておりまで実軸を右に進み,その間では xの
o
g
l
x
l
-Tri
)
. その後
偏角を一 π とする(1ogx= l
Sから Oを中心とする半径
3の円を正の向きに 1周し,次に -8から一∞まで実軸を左に進む(乙の聞で
は xの偏角は πとなる)路とする.このとき
お
(
4
) si=
Lex-(S+1)山
此
とすれば s
iは去の「自然な」拡張になっている
SI二
即ち
1 I 1¥
r
(
s干1)¥ニ 7了
/
となることが知られている (
[
l
J参照).また s
iの定義域は (
4
)により全複素
数に拡張され,そこで正則かつ当然のことながら
(
5
) (
s十 1
)i
(
s+1
)= si
が満たされる.
演算・関数の連続化について
11
一般に数列 {
A
n
}
n
E
N
o
(
N
o= {
O,1
,
2
,…})があるとき ,Anの連続化即ち「自然
な」拡張の候補として
!
C
'
(ゑAnゆ
(
6
) A
(
s
)= 2;i
が考えられる.勿論乙の積分が意味をもっ場合においてである.その際ガン
マ関数のときのような B
o
h
rM
o
l
l
e
r
u
pの定理に相当する性質が示されるこ
とが望ましいが,個々の数列 {
A
n
}に対して一般的にその性質を見出すこと
は困難と思われる.そこで楽観的に捉えて, (
6
)で得られる A
(
s
)を数列 {
A
n
}
のE
u
l
e
r
C
a
u
c
h
yの連続化と呼ぶことにしよう.
2
.B
e
l
l数 Enとその連続化丘 (
s
)
B
e
l
l数 Enは基数 n(ι
No)の集合 A を類別する仕方の数で式で書けば
(
7
) E
nニ非{It;I
tc2
A,Y
X
E
"
-Y
YE"-X宇 y=
今X パ y =φp
φ$A,UXE"-Xニ
A
}
と表される.例えば nニ 3であれば,A={
l
,2
,
3
}として A の類別¢はIt=
{
{
l
}
,{
2
},{
3
}
},{
{
l
}
,{
2,3
}
},{
{
2
},{
l
,3
}
},{
{
3
},{
l
,2
}
},{
{
1,2
,3
}
}の 5種類で,
E3エ 5となる.ちなみに E5ニ 5
2でこれは源氏香の数として知られる.源氏
香というのは一種のゲームで 5種の香木を 5セット計 2
5本用意し,そのうち
5本だけを顕に焚く,全国異なる香木が焚かれる場合から全国同じ香木が焚
かれる場合まで計 5
2種類の組合わせがある.例えば香図聞は 1回目(1番右
の縦棒)と 4回目(右から 4番目の縦棒)で同じ香木が焚かれ,それとは別
の 1種類の香木が 2
,3
,5回目で焚かれたことを意味している.香人は焚か
れた状態、を香図で示して当てる.各香図には源氏物語 5
4巻の初巻と終巻を除
く各巻の名前,例えば 1
1
mは夕顔,聞は須磨という具合に名前がついている.
n=Oのときは空集合のの類別として空類別It=φ があるから ,Eoニ 1
である
Enの意味を考えれば
人文研究第 1
2
7輯
12
(8)Bpz=22n! 2
1nh2rfNo(1!)n1nI!・
(
2
!)
nn2!・
.nl+~.n2 ー… =n
であることが解る.例えば n=3のとき
n
l,n
Z,
…の在り方
(
8
)の項
3=1+1+1
(
的 =3
,
1
1
2
=
η:1=… =0)
3=1十 2
(
1
1
1ニ 刀2=1
,他は 0
)
3=3
(
1
1
3
=
1,他は 0
)
311
万市E
了一
3
!
(
1
!)
1
1
!・(
2
!
)
1
1
!=3
対応する類別
1
1
1
m日 m
m
311
(
3
!
)
1
1
!-
のようになり ,E3 1+3+1=5となる.
二
一方,合成関数の高階導関数の公式 (
F
a
ad
iBrunoの公式)
(
9
) 友 TW(z))=Eirv(x))141+E
…
n
!(
f'(xW'
{
{
"
(
X
)
}
n
2
n
l
+
n
2
+
.
.
=
k
X
とすれば,
において ,/
(
X
)=♂ -1,g
(
x
)= e
dn .ex-i
I 一合
d
x
nι l h O - i J F t
を得る
側
X
e
e
-l は c
={x;xは複素数}で正則な関数だから
〆
忍
会xn (xεc)
1_
とテイラー展開される.このことを利用すれば次のようにして漸化式
(日)島+I=(~)Ên 十 (~)Ên-1 十十 (:)Êo
(
(
;
)=n
C
k
)
を導くことができる.まず(10
)の両辺を微分して
∞口
〆 1・6xzpzlu当pn1=Ei;Lzn
由
を得=る. したカまって
日
13
演算・関数の連続化について
国会
1
国会ZJqz
了
忍すよxn.
会一
この左辺を整理すれば ;
z
x
宮前て許2
7
了となるから (
1
1
)が得られる.
∞
Xk=
n
国
勿論 (
1
1
)は組合わせ論的にも導くことができる.
E
n
/n
!}nENoの E
u
l
e
rCauchyの連続化
そこで我々は数列 {
司
ω 乎 = 剖 ハ S-ldx (σ=ms>0)
を考える.ここに s
!=r(S+1
)=1
/siである.ここで注意したいのは,
J
1
z
e
e
xl=1/eであるから s=σ +
i
t
(σ,tεlR={
x
;xは実数})とするとき,
(
12
)の右辺の積分は σ>0の範囲でないと収束しないということである.し
たがって
(
1
3
) nE N ={
1
, 2,3,
…}
=?E(η
)ニ E
n
は保証されるが,たとえ E
(s)を解析接続して定義域を拡張したとしても
E
(
O
)は Eo=lに一致するとは限らないのである.実際あとで示すように
(
14
) E
(
O
)ニ
1
f
となる .σ>0のとき (
1
2
)の右辺を部分積分すれば
1 r1 ,
_
E
(
s
)
,1
1
r,_
ゴ 互 万L
s
x-e- ^
I
c
'十 s
.
2
万ん ,x
γ
1 1
r_,
pX_ll
= ・ τで--,- /x-eS t7
r
Z.
IC
'
pX_l-'-γ
^'ー
pX_l-'-γ τ
… 似
a
x
マ
となるカ冶ら
E
(
s
)
1
(
1
5
) 芸子十二百~.
l¥SI
r
x
I
_
e
e
t7
r
Z
.
lC
山
x
S
d
x
が成立する.右辺は C の任意の c
ompact部分集合で一様収束するから,
E
(
s
)
苛 立 は Cで正則である.さらに sニ 0
,-1,-2, のとき被積分関数は xの
整関数 (
Cで正則)であるから, (
15
)の右辺は Oである.したがって E(s)も
S の整関数である.
次に
人文研究第 1
2
7輯
14
E
(
s
)=
側
七
了1
=
r
(
X
ee- -1-Xx
-sd
x
σ<1
)
を示す .σ<1のとき(15
)より
手段古f
:
eex 品
川
1
=
つ
=
豆
長
=半
(e7riS_e-7ri
μ
i
s
slog( 知
x
ee
…
…
政
X
ee-1-x
x
-Sd
x
ftex1XX S此
これとガンマ関数の相反公式 (
[
l
J 参照)
π両
n
a
一
↑
、、,,
--
J
QU
J't
、、,ノ
F
F
、
、
により, (
16
)を得る.
(
1
6
)により
I
=
1
=
E(u)=
1- ~
X
ee- -1-X此 =[- eeX-]
即ち前に述べた (
1
4
)を得る.
次に E
(
s
)のディリクレ級数表示
日7
) E
(
s
)ニ
を示す.
7
2
1
7
L
M
C
)
(
4
)により
s
よかX(すr
与
Eurys--ldx=
ニ
5芋I
育
7
了
仇
n
t
剖j =子
S
したがって
主
苛 =21JTF(s+1)zLLrq-sM
イ
京
五
(s+1)EUS147x 1dZ4(s十 1
)
さらに (
1
5
)により
S
x
(ee
1
)
x
-S-1ぬ.
15
演算・関数の連続化について
ニ
士
主
苛 =r(s 1
)
z
L
L
J
(〆1
)x- dx
r
(
s十
1
)
{
京[
L
x
sf
v
1
)
]
c
E
U
(
f
)
ェ
ウeX+Xdx}
ニ
r
(
s
)
S 1
-
十
キ
ル
x
e
+
x
-1x
-Sd
x=E(s)
即ち(17
)を得る. (
1
4
)は(17
)からも得られる .E(x)を実変数実数値関数と観
るとき
士
会
話
(
logn,)k>0 (托 N,xER)
日8
) 計 )
(
x
)=
が成立するので E(x)は何回微分しても単調増加の関数である.また
心
→
(日) limE(
である.次に (
1
1
)に相当する E
(s)の関係式を求めよう.
定理 .s己 C に対して
側 Ê(s+ト士+与+急(~){Ê(s
)
1
約
七
(
s¥ s(s- …(s-k+1)
¥
k
J
k
!
が成立する.ここに(~ )
証明.
十=
士2
1
4
=士
会1
写完了寸+岩片 1主
11 n ,(1一
1
¥
S 12 1 n (s¥ b
二一+-"'-~一一(
lニ
ー
+
一
一
+
"
'
-~~
(
~/
)
n
e 'e n
!¥十
nJ
e
e
n
!~o
¥
=J4
寸孟(
;
)
2
2
V寸+宇部)
{
E(S-k) 士
}
口
E(s 1
)
,
∞
S
,
,
f
;
;
'
l
特に
Sニ
, s,
∞
S ∞
e~二~
k
f
;
"
nENoのとき, (
2
0
)は
乱
ニE(川
)
ニ
士
+
与
+
主(
z
){E( 約
七
=f
十
与
十
五(
Z
)
E
(
n
k
)十
郎
)
士
会
。(
Z
)
1
η
16
人 文 研
究 第
=1 十五(~)Ê(η
1
2
7輯
こ
さ;
(
;
)
B
p
t
h
k
)
l
l
)に一致する.
となり, 乙れは前にみた漸化式 (
M
o
l
l
e
r
u
pの定理に相当するものとして,
筆者はガンマ関数のときの Bohr
次のことを予想するが目下それを証明しようという気力に乏しい.
〆
t
--
、
、
) ) )・1
UHu ・
:
・
1
(
(A
'
(
x
)が 3つの条件
予想 .XElRにおいて定義された C∞級関数 /
右辺の収束を込めて /(x 十ト 2 X 十 ~/~)/(x 叫が成立する
i
/
(
0
)= e-2
j
<k
)
(
X
)>0 (
kεNo,x巴lR)
(
x
)は eE(x)-lに等しい.
を満たすならば /
n
(ηεN)の大きさは興味の持たれ
ηが大きくなっていくときの E(n)= E
るところである. d
eB
r
u
i
j
nの本 [
3
Jに
(
2
1
)
ω イ logn-log凶
l~V5 n
~v5 ~v5 n
1+坦
担
土
l
o
g
n十
'lo
gn
寸(寄託~r十。(な訪~ }
)
なる記述がある.
l
o
gn1= nl
o
gn-n+o
(
logn
)
と比較するとかなり複雑で、ある.ガンマ関数のときのスターリング (
S
t
i
r
l
i
n
g
)
の公式
吋吋
x
l=r(x十 ト /
2
i
i
x
τ
会
)(x>0,0<θ<1)
x+
のような s
i
m
p
l
eで精密な公式が E(n)についても,無理かもしれないが,期
待されるところである.
(
2
1
)により E(s)は位数 1の整関数であるから,アダマーノレ (Hadamard)
の因数分解定理([
4
J参照)により ,E(s)の零点たち ρ(
E
(ρ)=0となるよ
うなん無限にある) を用いた無限積
あ )=
(
1
-~ )e-ssI
](
1
-~ )
e
叩
17
演算・関数の連続化について
(ここに
t
3 lo
g
(1-+
i+~j: 十 log( 1-:i で
, ρは E
(
s
)の零点全体に重
U¥
e/ ρ l P ¥ ρ / )
ニ
複度を込めて渡る)の形に書くことができる.
σ。を E(σ。
)=
2
/
ε となるような実数とすれば σ<σ。のとき
│
急
三
1
1
<急
三
千 =eE( )-1
白
=
1
となるからiRs=σ<σ。
(
今0
.
3
8
8
3
2
3
6
)なるところには零点はない. また
σ=σ。の線上で ~;;'~2
n
S
/
n
!=-1となることはないから, σ=σ。上にも零
点、はない.
)にある E
(
s
)の零点、を実軸に近い順に ρ1,ρ2,…とすれ
上 半 面 白s= t>0
ば 4番目までの数値は
ρ
1今 0
.
9
6
4
4十 3
.
6
9
2
8
i
o
.
6
4
8
1+1
3
.
9
7
1i
ρ
2与
ρ
3当l.3
7
9
0
5+2l
.3
7
5
2
i
ρ4与 0
.
6
6
0
6
1
2+3
1
.6
1
3
4
i
のようになる.零点の分布については何も解っていない.
3
.S
t
i
r
l
i
n
g数とその連続化
第 1種の S
t
i
r
l
i
n
g数 S
n
.
k
(
O三 h三 n,nENo)は次の (
2
2.
1
)~ (
2
4.
1
)のどの
式でも定義することができ,それらはすべて同値となる:
k=
(
2
2
.
1
) ぷ.
_
2
:
一
一
一
笠!
n
1n
n
2n
1
d・2
2
!…
(- I
)n
k
.nl+2・ n2+"・ ~n
n
l
+
n
z
+
.
.
=
k
) (
(
2
3
.1
ル =x(x-1)"'(x-n+ト
(
l
7
x
)
}
h二
ゑ5
n
h
f
;
2FJ,
只
(
2
4
.
1
) {h
第 2種 の S
t
i
r
l
i
n
g数 S
n
.
k
(
O三 h三
二 n,
nENo)は 次 の (
2
2
.2
)~ (
2
4
.
2
)の ど
の式でも定義することができ, それらはすべて同値となる:
18
人 文
(
2
2
.
2
)
研
h舟
司R
7u
第
1
2
7輯
易
S
n
.
k
1
1
1
: .
t
L
f
(
1
!
)
h
n
1
1
1
;
!
)川
士
(
2
3
.
2
)
xn=孟
S
n
.川
(
2
4
.
2
)
日L 孟Sn
,
k
第 1種の S
t
i
r
l
i
n
g数 5
n,
k に対してその絶対値 1
5
n
A
│
=
( 1
)
n
h
g
n,けま基数
nの集合 A に対して A の要素を漏れなく重複なく使って k個の円順列(巡
,A ={
1
,2
,3
}のとき
回置換) を作る仕方の数である.例えば n=3
k=O
なし
1
5
3,
1
0=0 5叩 =0
hニ 1
{
(
1,2,3
)
},{
(
1
,3
,
2
)
}
1
5
3,
d=2 53,
1
=2
kニ 2 {
(
1
),(
2,3
)
},{
(
2
),(
1,3
)
},{
(
3
),(
1,2
)
}
{
(
1
),(
2
),(
3
)
}
hニ 3
のようになる.
1
5
3,
1
2=3 5
3,
2= -3
15d=1 5
3,
3
=1
n>0のとき A ニ{1,…,n
}の 上 記 の よ う な 円 順 列 分 解
U
n,
… ,d
k
}
(
kニ 1
,
…,n
)は A 上の置換を漏れなく重複なく 1つずつ与える.
例えば{d1,叶
したがって,
(
2
5
.1
)
急│ふト n
!
'
n
1十2
'
n
2十・・・ニ n,n1+n2十
・
・
・ =kのとき
である. また l
0・
n1+1・
均
十
・
・
・ =n-k
であるから, 円順列分解 {
d
1,
…
, b}(h=1
,
… ,n
)に対応する置換の偶奇と
n-kの偶奇は一致する. したカ宝って,
(注 2
)
2ignh=O η
である.
第 2種の S
t
i
r
l
i
n
g数 S
n,
k は基数 nの集合 A を h個の類に類別する仕方の
数である.例えば n=4のときは
k=O
なし
5
4,0= 0
k=l
冊
叩町田問問問叩
5
4
.
1= 1
k=2
5
4,2= 7
演算・関数の連続化について
k=3
s
l
I目│冊目1間間
S
4,3= 6
1
1
1
1
0
5
4,
4
=1
k=4
19
のようになる.したがって,
(
2
5
.
2
)
。
呂5
o
n, = En
k
である.また B
e
l
l数のときと同様
(
2
6
)
5
0
,
0
=0
5
0,
0=1
である.
5
n,
k, o
5
n
,
k の困帰関係(漸化式)はそれぞれ
(
幻
ω
2
7
.
1
υ) S ,
k エ g l -n
S
,
ぷ
ふ
g
ぷ
品n,
k
烏
帥一
叩
(
ω
2
7
.
2
幻
)
o
5
n
z1,
k
o
5
n,
k-l十 k
o
5
M
,
n
'k 仕
1ζ h n
)
肝
叶
川
+
叩
刊
ニ
三
云
二
叫
官
で与えられる.
そ乙で (
2
4
.1
)
と(
2
4
.
2
)を用いてぷ山
o
5
n,
kの E
uler-Cauchyの連続化を考え
る.まず第 2種の方から始めて, (
2
4
.
2
)から
(28) 主半1= 万~:
(皇1L-s1dZ(σ ニ況s>0)
Z7
r
ZJc' W !
とする.右辺を部分積分して
L
計
L
!
「
E
走
長
封
則
{
[
恥
[
(
μ
ト
(
e 例
l
)
W t
ヤ
)
x一
→
士
X
品 E
剖
品
長
以
ル
L
扮(
e -1) l
ex
-dx
o
5(
s
刊川,
ω
ω
刈
)ニ
X
人
叶
一
寸
叶甜
ぺ
(
-s
x
s
山
となるから
(却)
り(SJ)=zUJELl)凹 仇
此
S
=
京!
C
'
(
勺)
1leys-w
山
と置けば
側 い ) = 耐α
s,w)
2
2
で有理型で
となる .o(s,ω)は (
s,w)εc
5(
S
,ω)は c
で正則であるから ,o
ある.
20
人文研究第 1
2
7輯
r
(
s
)は s=0,-1,-2,…に極を持つので 5
(
s,ω)は Sニ 0,-1,-2,…で
s
i
n
g
u
l
a
r,また ω-sニ 1
,
2
,…は o(
s,ω)の零点, ωニ 0
,-1,-2,…は
l
/
r
(ω)の零点となるので,(
s,ω)ニ (
n,k
)ε(
;
t
¥N)XZはすべて 5
(
s,w)の
不確定特異点となる
(
Zは整数全体からなる集合).したがって値 5(0,0
)は 2
変数関数の立場からは定義されない.勿論 n E N,
O三
二 k三
二 nのときは
5
(
n,k)= 5
n,
k
である.
しかるに ω を整数 hに固定して
sの 1変数関数 5
(
s,k
)を考えるならば
ぃ..は除去可能な特異点となる.こ
これは整関数である.即ち s=0,-1,-2
の立場を f
1変数の立場」ということにすれば, ω ニ 0
,-1,-2,…のとき
l
/
r
(ω)=(ω-l)iニ Oであるから, 1変数の立場では
5
(
s,0
)=5
(
s,-1)=5
(
s,-2)=…ニ O
となる. k E Nに対しては後出の (
3
4
)より
会ヰユ土 (k-~(
i
_
1
)
n
ln
(
3
1
) 5
(
s,k
)=
8-1
(k-1)!~1 \η-1/
(伝 N,l変数の立場)
が得られる.
O
(
s,
ω)は有名なリーマン (
R
i
e
m
a
n
n
)のゼータ (
z
e
t
a
)関数
t(s)=1-8十 2
-8十 3
-8十 … σ
)
( >1
と関係がある . t
(
s
)は
r
(
l-s) r e
一
心
お
主LCz=z
X
(
3
2
)
t
(
s
)=
ー
だ
政
なる積分表示をもち, sニ 1に 1位の極を持ち, C¥
{l}で正則な関数に解析接
続される.まず (
2
9
), (
3
2
)より
)=tr
側 川
が得られる.一般的には
(
ω -s) (1-s)2
∞ /ω1¥
(
3
4
) り(
s,
ω)=smπ
7f ~-S) r
J(W-:)(-1)n-1n8-1 (
況 s<況ω
)
π
n
=
l¥η1/
21
演算・関数の連続化について
である.証明は読者の演習問題としよう.特に ω ニ 0
,-1,-2,…に対して
(
3
5
)
。
,
封
じ
孟
│
ふ
,It(一 +1) (kεNo)
(
5 -k)=
が成立する .ω が自然数のときは (
3
4
)の右辺が有限級数になる.
回帰関係 (
2
7
.
2
)の連続化
(
3
6
) 5
(
5十 1
,
ω)ニ ω5(5,ω)十 5
(
5,ω-1)
や
, (
2
5
.
2
)の連続化
ニ
主(5,k)
(
3
7
) E
(
5
)
(1変数の立場)
3
6
)の拡張として 1変数の立場ではあ
などは容易に導くことができる. また (
るが,加法公式
T
(
3
8
) 5
(
5十 ω,r)=215(s,h
)
S
(
ω ,r,r-k)
(
5,ω ε C
,rEN)
を得ることができる.ここに S
(
ω ,r,q
)
(ω ε C
,rε N
,qENo)は
仇 r, q)=;主(川 ~)(r ν)却
とする. (
3
7
), (
3
8
)より E
(
5
)の加法公式
釘(5,k)告。円l
d
z (5,ωEC)
(
3
9
) E(5+ω)=
が得られる.
t
i
r
l
i
n
g数 S
n,
k の連続化を考える. (
2
4
.1)から
次に第 1種の S
主
'
"
-= 2
b
{
l
o
g
(
l+
xW.~~了
n
!
πi
J
c
k
!
l~V5
<): : (
o
g
(
l十 x
)と置げば
である. そこで y= l
ふ
となる
(
4
0
)
=
f
J
E
討内
l
)叫
Y_
の
Y
そこで n→ 5,k→ ω, C→ C なる変更を行って
双山)=品世古かW(eX_l)-s-l
刈
とするのである.これは当初の E
u
l
e
r
C
a
u
c
h
yの連続化とは少し異なるが,目
22
人文研究第 1
2
7 輯
的の「自然な」拡張の範轄を出ないものと思う .O
(
s,ω)の定義 (29)により
側双山)=品士官。(ω ,-s)
を得る.また (
3
0
),(
4
1
)とガンマ関数の相反公式により
(
4
2
)
双山)=立13(一ω,-s)
が得られる.即ち第 1種の S
t
i
r
l
i
n
g数の「自然な」拡張は第 2種の S
t
i
r
l
i
n
g数
u
l
e
r
C
a
u
c
h
yの連続化に帰着される.
のE
4
. ベルヌイ (Bernoulli)数の連続化とゼータ関数
n
(
X
)およびベルヌイ数 Bnは
通常ベルヌイ多項式 B
側 主T4
。
B
n
(
x
)
長,Bn
=
B
n
(
O
)
で与えられる.具体的な数値は
ニ-l,B2=1,B3zO,B4ニ
ュ
ー
3
0'
Bo=l,B1
である.本稿では B
nの代りに
,
孟jTxn=ヂT
凶 ト 臥1
)
として
{
ι
/川}の Euler-Chauchyの連続化を考える.尚 ιは n=lのとき
b
1ごすとなることを除いて ,Bnと一致する
b
n
n
!
η→
X
叫ん
s
,C→ C
'なる変更を行って
fん
乎
であるから
r
1
e ..-n.1 .
X
2
πi}ce
1
"
'
"
とする.これはと (
s
)の積分表示 (
3
2
)とほとんど変りがない.即ち
演算・関数の連続化について
b
(
s
)= -sS'(ト s
)
(
4
6
)
ニ
23
)
-sEdl (σ<0
s
)は {
ι/
n
!
}の E
u
l
e
rChauchyの連続化から得ら
である. ということはと(
四
れるということである.こう考えることの利点が何かあるのかと間われれば,
ιについて n一般に成立するある種の性質はS'(s)
に反映されるであろうことが予感される.実際 ι
の回帰関係
はなはだ心もとないが,
(
4
7
)
五(~)ι= 会10)5H 二 n
(これは (
4
4
)からすぐに導かれる)は連続化されて
主(~){b(s 府 s ト S2S-1 (sεC)
(
4
8
)
となる. S
'(
s
)の式で書けば次のようになる:
(
4
9
)
部)(い){S'(l+k-s) ト
(sεc),
d
ただし左辺の和において k=sとなる項は lとする.
(
4
8
)の証明. び < o
(
s=σ十 i
t
;σ,tER)のとき,
b
(
s
)十 SZ5
521が 1=sznS1
であるから,
前){b(s-k)+ け}=主(~)(s- 唱n S
=-S主(OL--1+ 主(~)鳴が-kーl
ニ -sLs合(~)n-k+s主(~二i)か-k-l
S
k
2
= やS
I
{(1 十 ~r-1}+ 合(s~ )
1
ゑn
=
-sか
n=2
並ヰど十 s:
:
En l+s:
:
En 迎司!ここ
-1
Sー
n
n=2
S
-
11=2
n
24
1
2
7輯
人文研究第
ー 1ー
(
n
+
1
)
S
}十 S2nH
nニ Z
S
、
内
白
つ
一
一
d
々υ
s
n
田
日
2日
十
s
n
c
d
∞
2
一
一
Pυ
s
n
田
2同
S
J'
、、,,,,
1i
十
n
n
a
2
M
∞、
目
、
十
-
記 {(n+1)S
=5
となり, (
4
8
)が σ<0で成立する .
5
.
(
5
)
+
5= 0
(
1
5
1
2
σ
)
(σζ-1)
であるから (
4
8
)の左辺は Cの任意の compact部分集合で一様収束し (
4
8
)の
関係は C 全体に解析接続される.口
参考文献
山小松勇作特殊函数(近代数学講座 9
) 朝倉書店
[
2
J高 木 貞 治 解 析 概 論 岩 波 書 庖
[
3
Jd
eB
r
u
i
j
n,A
s
y
m
p
t
o
t
i
cM
e
t
h
o
d
si
nA
n
a
l
y
s
i
s,N
o
r
t
h
H
o
l
l
a
n
d
,1
9
7
0
[
4
JT
i
t
c
h
m
a
r
s
h,TheT
h
e
o
r
yo
fF
u
n
c
t
i
o
n
s
,O
x
f
o
r
d
本稿は筆者が 1995~6 年に Salzburg 大学(填)で行った講義のノートをまとめた
ものである。このようなとりとめのない研究を許してくれた環境と,それをサポー
トして下さった関係諸氏に謝意を表したい。