数理解析 I 問題解説 #9 河野 ∂z ∂z ∂ 2 z ∂ 2 z ∂ 2 z , , , , を求めよ。 ∂s ∂t ∂s2 ∂t2 ∂s∂t 2 (1) z = f (x, y) = x + y ,x + y = s, xy = t (2) z = f (x, y) = x + y,x2 + y 2 = s, x2 y 2 = t 演習問題 2.4 次の関数に対し ∂x このタイプの問題は必ずできる様になっておいて下さい。(1) のみ解説しておく。最初に 等を求 ∂s ∂s ∂s à ! ∂x ∂x 1 1 ∂(s, t) ∂x ∂y ∂s ∂t めるためにヤコビ行列を求める。 = ∂t ∂t = なので ∂y ∂y = ∂(x, y) y x ∂x ∂y ∂s ∂t x −1 µ ¶−1 ∂(x, y) ∂(s, t) −y x − y となる。 ∂z = ∂z ∂x + ∂z ∂y より = = x−y 1 ∂(s, t) ∂(x, y) ∂s ∂x ∂s ∂y ∂s x−y x−y ∂z x −y x − 2y 2 =1 + 2y = ∂s x−y x−y x−y ∂2z ∂w ∂w ∂x ∂w ∂y ∂w ∂w ∂z とおくと = = = + あとは , を求めれば計算できます。 2 ∂s ∂s ∂s ∂x ∂s ∂y ∂s ∂s ∂t 他の導関数に関しては省略。 ∂x ∂x 講義ではふれていないが , 等を求める別の方法を紹介しておく。方法が 2 つあると混乱 ∂s ∂t する人は読まないように ! x, y と s, t の間の関係を与える式が 2 つある。この式 x + y = s と xy = t を s で微分すると ∂x ∂y ∂s ∂x ∂y ∂t ∂x ∂y + = 1(= )と y+x = 0(= ) が分る。これを と に関する連結方程式と ∂s ∂s ∂s ∂s ∂s ∂s ∂s ∂s ∂x x ∂y y ∂x ∂y 見て解くと = , =− を得る。また与式を t で微分する事により , が求 ∂s x − y ∂s x−y ∂t ∂t まる。 w= 演習問題 2.5 (1) x = u cos α − v sin α, y = u sin α + v cos α (α は定数) のとき次を示せ。 1) zx2 + zy2 = zu2 + zv2 2) zxx + zyy = zuu + zvv (2) x + y = eu+v , x − y = eu−v に対し zxx − zyy = e−2u (zuu − zvv ) が成立することを示せ。 (3) x + y = u, y = uv ならば xzxx + yzxy + zx = uzuu − vzuv + zu となる事を示せ。 合成関数の微分法が分かっていればできると思われる。(1) のみ示す。x を u で微分すると xu = cos α,v で微分すると xv = − sin α を得る。同様に yu = sin α, yv = cos α が分かる。合成関数の 微分法より zu = zx xu + zy yu ,zv = zx xv + zy yv が分かる。これを用いて zu2 + zv2 を計算すると zu2 + zv2 = (zx cos α − zy sin α)2 + (zx sin α + zy cos α)2 = zx2 cos2 α − 2zx zy cos α sin α + zy2 sin2 α + zx2 + 2zx zy sin α cos α + zy2 cos2 α = zx2 (cos2 α + sin2 α) + zy2 (cos2 α + sin2 α) = zx2 + zy2 が分かる。 zu = zx xu + zy yu を u で微分すると,席の微分法より (zu )u = (zx )u xu + zx (xu )u + (zy )u yu + zy (yu )u となる。xu , yu は定数なので (xu )u = 0, (yu )u = 0 である。また (zx )u , (zy )u に合成関数 の微分法をもう一度適用すると,(zx )u = (zx )x xu + (zx )y yu , (zy )u = (zy )x xu + (zy )y yu となる。 よってこれらを前式に代入すると zuu = zxx x2u + 2zxy xu yu + zyy yu2 = zxx cos2 α + 2zxy cos α sin α + zyy sin2 α を得る。ただし計算途中で zxy = zyx を使用した。同様に zvv を計算すると zvv = zxx sin2 α − 2zxy cos α sin α + zyy cos2 α を得, これらを加えると zuu + zvv = zxx (cos2 α + sin2 α) + zyy (cos2 α + sin2 α) = zxx + zyy となる。 演習問題 2.6 x = r cos θ, y = r sin θ とする (2 次元の極座標表示)。関数 z = f (x, y) に対し次 を示せ。 ∂(x, y) (1) ヤコビアン を計算せよ。 ∂(r, θ) µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 ∂z ∂z 1 ∂z ∂z (2) + = + ∂x ∂y ∂r r ∂θ 2 2 2 ∂ z ∂ z ∂ z 1 ∂z 1 ∂2z (3) + 2 = 2 + + 2 2 ∂x ∂y ∂r r ∂r r ∂θ2 この問題は前問と同様にできるので特に解説はしない。しかし極座標変換は大切なので一度は自 分で計算をする事。極座標変換でのヤコビアンには積分の変数変換のとき必ず出会います。出会い たくない人も多いかもしれませんが…。 演習問題 2.7 次の関数の偏導関数を求めよ。 (1) w = f (x, y, z) = x2 y 3 z 4 2 (3) ex +y 3 +z 4 (2) w = xyz sin(x2 + y 2 + z 2 ) (4) x2 y 3 log(x2 + y 3 + z 4 ) 3 変数関数の説明をしたので問題にしました。これができない場合事態は重大です。偏微分の部 分を復習するか,自分でできない場合,または友達に聞いても分からない場合は,私に質問に来て 下さい。 ∂w ∂w ∂w ∂ 2 w ∂ 2 w ∂ 2 w ∂ 2 w , , , , , , を求めよ。 ∂s ∂t ∂u ∂s2 ∂t2 ∂u2 ∂s∂t (1) w == x + y 2 + z 3 ,x + y + z = s, xy + yz + zx = t, xyz = u (2) w = x + y + z,x2 + y 2 + z 2 = s, xy 2 z = t, xy + yz + zx = u 演習問題 2.8 次の関数に対し 演習問題 2.4 の 3 変数版です。(1) の前半のみやっておく。ただし 3 次行列の逆行列の求め方は 既知とする。 ∂(s, t, u) = ∂(x, y, z) ∂x ∂s ∂y ∂s ∂z ∂s ∂x ∂t ∂y ∂t ∂z ∂t ∂s ∂x ∂t ∂x ∂u ∂x ∂x ∂u ∂y ∂u ∂z ∂u ∂s ∂y ∂t ∂y ∂u ∂y ∂s ∂z ∂t ∂z ∂u ∂z 1 = y+z yz 1 1 z + x x + y なので, zx xy = ∂(x, y, z) = ∂(s, t, u) µ ∂(s, t, u) ∂(x, y, z) ¶−1 = となる。 x2 (z − y) y 2 (x − z) z 2 (y − x) 1 x(y − z) y(z − x) z(x − y) (x − y)(y − z)(z − x) z−y x−z y−x ∂w ∂w ∂x ∂w ∂y ∂w ∂z = + + より計算を実行すればよい。 ∂s ∂x ∂s ∂y ∂s ∂z ∂s 演習問題 2.9 x = r sin θ cos ϕ, y = r sin θ sin ϕ, z = r cos θ とする (3 次元の極座標表示)。関数 w = f (x, y, z) に対し次を示せ。 ∂(x, y, z) (1) ヤコビアン を計算せよ。 ∂(r, θ, ϕ) µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 µ ¶2 ∂w ∂w ∂w ∂w 1 ∂w 1 ∂w (2) + + = + + ∂x ∂y ∂z ∂r r ∂θ r sin θ ∂ϕ µ ¶ ∂2w ∂2w ∂2w ∂ 2 w 2 ∂w 1 ∂ ∂w 1 ∂w + 2 (3) + 2 + 2 = + sin θ + 2 2 2 2 ∂x ∂y ∂z ∂r r ∂r r sin θ ∂θ ∂θ r sin θ ∂ϕ この問題は演習問題 2.6 の 3 次元版です。3 次元の極座標変換も大切です。前問同様ヤコビ行列 を求める事により計算できる。
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