力学 II 演義(スタンダード) No.5 (2014 年 6 月 3 日提出分) 小テスト問題(振り子):鉛直方向に a cos Ωt に従って運動する支点から,長さ ℓ の軽くて伸び縮みしない糸 をたらして,その先に質量 m のおもりをぶら下げた.おもりは水平面に垂直な平面内を運動するとし,鉛直 下向きから測ったおもりの振れ角 θ を一般化座標として採用する.以下,重力加速度を g とする. (1) 運動エネルギー K を一般化座標とその時間微分を使って書き下せ. (2) 重力ポテンシャル U を一般化座標の関数として表せ. (3) Lagrangian L = K − U から Lagrange 方程式(θ が従う運動方程式)を導出せよ. ———————————————————————問題 1(極座標と Lagrangian):保存力場中を運動する質量 m の質点を考えよう.三次元空間を記述する一 般化座標として,三次元極座標 (r, θ, ϕ) を使う.保存力を表すポテンシャルは,極座標の関数として U(r, θ, ϕ) と表されている. (1) 微小時間 ∆t の間に r が ∆r,θ が ∆θ,ϕ が ∆ϕ だけそれぞれ変化したとする.この微小時間の間に質 点が移動した距離 ∆ℓ を r, θ, ϕ, ∆r, ∆θ, ∆ϕ のうち必要なものを用いて表せ. (2) 質点の速さ(速度の大きさ)は v = lim∆t→0 ∆ℓ/∆t と表せる.この事実に注意し,質点の運動エネル ˙ ϕ˙ のうち必要なものを用いて表せ. ˙ θ, ギー K = mv2 /2 を r, θ, ϕ, r, (3) 系の Lagrangian は L = K − U と表され,一般化座標 (r, θ, ϕ) に共役な正準運動量はそれぞれ pr = ∂L ∂L ∂L , pθ = , pϕ = ∂r˙ ∂θ˙ ∂ϕ˙ と定義される.(pr , pθ , pϕ ) の表式を求め,それらの次元を調べよ. (4) 保存力が中心力ならば(つまり U が r だけの関数だったら)Lagrangian が ϕ に依存しないことを示 せ(この事実を ϕ は循環座標であると言う). (5) (4) の結果に注意し,中心力の下での運動では pϕ が保存すること,つまり,p˙ ϕ = 0 を示せ. 問題 2(くさび上の小物体):No. 3 の問題3で扱ったくさび上の小物体の運動を,もう一度考えてみよう. すなわち,水平面上にくさび形の台(質量 M)があり,その斜面上にそっと質量 m の小物体をのせたところ, 小物体はくさび上を滑り落ち,くさびも動いた.斜面と水平面のなす角は θ であり,台と水平面,小物体と斜 面の間の摩擦は無視できる. (1) 水平方向に x 座標を取り,台の重心と質点の座標をそれぞれ X,x とする.重心座標 xG = (MX + mx)/(M + m) と相対座標 xr = x − X を一般化座標として採用し,系の Lagrangian を書き下せ. (2) Lagrangian は x˙ G , xr , x˙ r だけの関数で,xG に依存しない(つまり xG は循環座標である).問題 1 の (4) と同じように考えると,この事実から導かれる保存量がある.それはどのような量か. (3) xr についての Lagrange 方程式(xr が従う運動方程式)を導け. 1 問題 3(球面振り子):固定された支点から長さ ℓ の糸を垂らし,その先に小さなおもり(質量 m)を付け た振り子を考えよう.おもりの運動が平面内に限らないとすると,おもりは支点を中心とする球面上を動く. 従って,おもりの位置は支点を原点とする極座標の角度部分 (θ, ϕ) を使って指定できることになる.これを一 般化座標として採用する.重力加速度を g とする. (1) Lagrangian を作れ. (2) Lagrange 方程式(θ, ϕ が従う運動方程式)を導け. (3) 特に質点の高さが一定 (従って θ が一定) である場合を考えよう.このときおもりが描く軌道は円とな り「円錐振り子」と呼ばれる.このときの円運動の角速度 ϕ˙ を θ の関数として求めよ. 2
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