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2014 年計量経済学 II 10/27 講義の補足 角田 保 講義でさらっと流したところを書いておきます.飛ばしたところを理解したい人は参考に.
1 (cos θ + i sin θ)n = cos(nθ) + i sin(nθ)
任意の n は 1 以上の整数と,任意の実数 θ について,この式が成り立つことを示す.なお i =
√
−1.
証明: (i)n = 1 のときは,主張は明らかに成り立つ.
(ii)n = k のときに主張が成り立つと仮定する.このとき,
(cos θ + i sin θ)k+1 = [cos(kθ) + i sin(kθ)][cos θ + i sin θ]
= cos(kθ) cos θ + i sin(kθ) cos θ + i cos(kθ) sin θ + i2 sin(kθ) sin θ
= cos(kθ) cos θ − sin(kθ) sin θ + i(sin(kθ) cos θ + cos(kθ) sin θ)
加法定理より
= cos((k + 1)θ) + i sin((k + 1)θ)
となり,n = k + 1 のときに主張が成り立つ.
(i)(ii) より,数学的帰納法から主張が成り立つ.
2 3 項間実数列 xn+2 + bxn+1 + cxn = 0 について
実数列 xn について,x0 , x1 がある実数値として定まっており,
xn+2 + bxn+1 + cxn = 0 (n = 0, 1, 2, · · · )
(1)
が成り立っているとする.講義で以下のように述べた.特性方程式を以下とする.
x2 + bx + c = 0
(2)
(1). b2 − 4c ̸= 0 のとき.特性方程式は異なる 2 解を持つのでそれを α, β とする.xn は適当な実数 A, B で,
xn = Aαn + Bβ n
(3)
と表される.
(2). b2 − 4c = 0 のとき.特性方程式は重解を持つのでそれを α とする.xn は適当な実数 A, B で,
xn = Aαn + Bnαn
(4)
と表される.
ではこれを証明しよう.
(1) の証明: 2 次方程式の解と係数の関係より,b = −(α + β), c = αβ である.これをもとの 3 項間の式
に代入すると,
xn+2 − (α + β)xn+1 + αβxn = 0
これを変形して
xn+2 − αxn+1 = β(xn+1 − αxn )
(5)
この式をよく見ると数列 {xn+1 − αxn } が初項 (x1 − αx0 ) で公比 β の等比数列となっていることがわかる.
その結果
xn+1 − αxn = β n (x1 − αx0 )
(6)
が成り立つ.この式で α, β を入れ替えたものも同様に成り立つので,
xn+1 − βxn = αn (x1 − βx0 )
(7)
α ̸= β なので,(6) 式から (7) 式を辺々引いた後に,両辺 β − α で割ると,
xn = −
x1 − βx0 n x1 − αx0 n
α +
β
β−α
β−α
がいえる.これから主張が成り立つ.
(2) の証明: α = 0 の場合は b = c = 0 となる.よって (1) 式から,n ≥ 2 で xn = 0 となるので,主張は
明らかになりたつ.
次に α ̸= 0 の場合を考える.2 次方程式の解と係数の関係より,b = −2α, c = α2 である.(1) の証明と同
様の変形によって,(6) 式で β に α を代入した式
が成り立つ.両辺 αn で割って,
この式から,k の数列 {
よって
xk+1
αk
−
xk
αk−1
xk+1
αk
−
xk
}
αk−1
xn+1 − αxn = αn (x1 − αx0 )
(8)
xn
xn+1
− n−1 = x1 − αx0
αn
α
(9)
は,任意の整数 k ≥ 0 について x1 − αx0 で一定であることが言える.
を k = 0, 1, 2, · · · , n − 1 で全て加えると,
xn
x0
− −1 = n(x1 − αx0 )
αn−1
α
これを整理して,
xn = x0 αn + (α−1 x1 − x0 )nαn
がいえるので,これから主張が成り立つ.
(10)