別紙様式第 7号 (第 14条 関係 ) 学位論文審 査 の結果 の要 旨 ※ 整 理番 号 ふ りがな 氏 名 みかみ だいすけ 三上 大輔 Telmisartan activates endogenous peroxisome prolJる rator‐ activated receptor‐ 6 and 14ay haVe anti‐ 色brotic effects in human lnesangial ce■ s 学位論文題 目 有 す る。 ) 主査 審 査 委 員 副査 副査 馬塑 按推 (テ ル ミサル タ ン は ヒ トメサ ンギ ウム 細胞 にお いて ,内 因性 perOxisome proliferatOr‐ act予 ated receptor‐ δ (PPAR‐ δ)を 汚性 化 し,潜 在 的 な抗線維 化 作 用 を /写 .=ド 、 賜く ロ 考 印 ■ υ PPARは ,核 内ホルモ ン受容体 スーパ ー フ ァ ミリー に属 し,脂 質 リガ ン ドで活性 化す る転写因 子であ り,分 子構造 の違 い に よ りα,δ ,γ の 3つ のサブタイプに分類 され る。PPAR αと δは脂 肪酸 β酸化 を促進 し,PPAR γは脂肪細胞 を介 してイ ンス リン抵抗性改善 を誘導す る一方で,抗 炎症 。抗線維化作用 も有す る。ア ンジオテ ンシンⅡ受容体桔抗薬 (ARB)で あるテル ミサル タ ン (Telm)は ATl受 容体措抗作用 と PPAR γ作 用 を併せ持 ち,降 圧作用だけでな くイ ンス リン抵抗性 の改善 ,抗 炎症作用 をも呈す る selective PPAR γ modulatorと して 注 目されてきた 。更 に最 近 ,マ ウス Telmに は,脂 肪燃焼促進 と体重減少 を呈す る PPAR δ作用 も存在す る可能性 がで報 告 された。Telmは 腎保護 目的に も世界的 に汎用 され る ARBで あるが , ヒ ト細胞 での PPAR d活 性 につい ては不 明 であつた。本研 究 で ,申 請者 は ヒ トメサ ンギ ウム培養 細胞 (HMC)に お いて Telmの PPAR δ活性 を検討 し, PPAR δ作用 を介す る抗 線維化作用 につい て分子 生物学的に解析 した。 本研究 の結果 か ら,HMCで は,PPRE転 写活性 の検討 か ら Telmは 新 たに PPAR δ活性 を有す る ことが示 され た。また,実 際 に Telmは ,PPAR δの標 的遺伝子で脂肪酸代謝 に関連す る H― FABP と UCP-2の 発現 を有意 に増加 し,脂 肪酸燃焼 の誘導 と体重減少効果 を もた らす と推測 された。 更 に,TGF― β刺激 で増加す る線維 化誘導因子 である PAI-1や TGF― βを,Telmは PPAR δを介 し て抑制 し,抗 線維化作用 も併せ持 つ ことが示 された。最近 の報告 では,Telmは マ ウス骨格筋 で PPAR δ作用 を介 してイ ンス リン抵抗性 を改善す る こ とも示 され ,こ の 知見 と本研 究結果 は Telmの 作用 は脂肪細胞 では主に PPAR γを介す る一 方 で,骨 格筋や メサ ンギ ウム細胞 では PPAR δを介す るとい う細胞特異性 の存在 を強 く示唆 した。また ,そ の作用機序 に関 しては、PPAR δ 下流遺伝子 の発現 に よる genOmic作 用 と,一 部 は細胞 内 ERKの リン酸化 を抑制す る nOn genomic 作用 の 2つ の可能性 が示 され た。臨床的解析 では,本 邦 における慢性 腎炎 の主因をなす IgA腎 症 の 腎生検組織 に於 いて ,中 等度 まで の メサ ンギ ウム増殖 。拡大 と PPAR δ発現 の正相関 が確認 され ,早 期 か ら中期 まで の腎炎管理 では PPAR δ活性化 が治療 の選択肢 の一つ になる可能性 が示 された。 本論文 は降圧薬 として汎用 され てい る Telmが ヒ トメサ ンジ ウム細胞で も PPAR δ活性作用 を 有 し, γ/δ dual agonistと して抗線維化作用 を発 現 し,進 行性糸球体硬化 を抑制す る可能性 が ある ことを世界で先駆的に示 した ものである。腎疾患診療領域 にお ける Telmの 有用性 とARB の忠者病態に よる使 い分 けの可能性 を示 した内容 であ り,本 学医学博 士論文 として十分価値 あ るもの と認 めた。 , , (平 成 26年 1月 22日 )
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