5 月 16 日 課題 解説

5 月 16 日 課題 解説
[
[1] θ ∈ R に対し、実 2 × 2 行列 T (θ) を T (θ) :=
cos θ
sin θ
− sin θ
cos θ
]
で定義する。このとき、
(1) θ1 、θ2 ∈ R に対して、T (θ1 )T (θ2 ) = T (θ1 + θ2 )、
(2) θ ∈ R に対して、T (θ)−1 = T (−θ)
を示せ。
[2] 実 2 × 2 行列の集合 GL(2, R)、SO(2) を
{
def.
def.
GL(2, R) := {A : 実 2 × 2 行列 | det A ̸= 0} ,
SO(2) :=
[
T (θ) =
cos θ
sin θ
− sin θ
cos θ
]
}
|θ∈R
とする。このとき、SO(2) は、群 GL(2, R) の部分群であることを示せ(GL(2, R) が群であることは認めてよい)。
[1] (1) 行列の積の計算より、
[
][
] [
cos θ1 − sin θ1
cos θ2 − sin θ2
cos θ1 cos θ2 − sin θ1 sin θ2
T (θ1 )T (θ2 ) =
=
sin θ1
cos θ1
sin θ2
cos θ2
sin θ1 cos θ2 + cos θ1 sin θ2
[
]
cos(θ1 + θ2 ) − sin(θ1 + θ2 )
=
= T (θ1 + θ2 )
sin(θ1 + θ2 ) cos(θ1 + θ2 )
− cos θ1 sin θ2 − sin θ1 cos θ2
]
− sin θ1 sin θ2 + cos θ1 cos θ2
(2) det T (θ) = cos2 θ + sin2 θ = 1 に注意して、2 × 2 行列の逆行列を計算すると、
[
] [
]
cos θ sin θ
cos(−θ) − sin(−θ)
1
−1
=
= T (−θ)
T (θ) =
det T (θ) − sin θ cos θ
sin(−θ) cos(−θ)
となる。
[2] 部分群の条件 (i) SO(2) ̸= ϕ、、(ii) SO(2) ⊂ GL(2, R)、(iii) A, B ∈ SO(2) ⇒ AB −1 ∈ SO(2) を満たすことを調べる。
[
]
1 0
(i) SO(2) ̸= ϕ : SO(2) ̸= ϕ をいうために、2 × 2 の単位行列 E2 =
が SO(2) に含まれることを示す。これ
0 1
[
] [
]
1 0
cos 0 − sin 0
は、E2 が実 2 × 2 行列で E2 =
=
と書けることよりいえる。よって、E2 ∈ SO(2) なので、
0 1
sin 0 cos 0
SO(2) ̸= ϕ。
(ii) SO(2) ⊂ GL(2, R) : SO(2) に任意の元が GL(2, R) に含まれることをいう。SO(2) の任意の元は、ある θ ∈ R を用
いて T (θ) の形で書けるが、これは、実 2 × 2 行列で、det T (θ) = 1 ̸= 0 である。よって、T (θ) ∈ GL(2, R) がいえたの
で、SO(2) ⊂ GL(2, R)。
(iii) A, B ∈ SO(2) ⇒ AB −1 ∈ SO(2) : A、B ∈ SO(2) とすると、SO(2) の定義より、A = T (θ)、B = T (η)(θ、η ∈ R)
のように書ける。このとき、AB −1 は、実 2 × 2 行列で、(1) の結果を用いると、
AB −1 = T (θ)T (η)−1 = T (θ)T (−η) = T (θ − η)
となり、θ − η ∈ R なので、AB −1 ∈ SO(2) がいえる。
以上、(i)∼ (iii) より、SO(2) は GL(2, R) の部分群であることがいえた。
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