問 25(位相空間論の問題) 「コンパクトな位相空間は局所コンパクトである」という命題は成り立つか?成り立つなら 証明せよ。成り立たないなら反例を挙げよ。 問 26(線形代数の問題) 実係数一変数多項式全体の集合を R[ X ] とおく。 f R[ X ] に対して、 R[ X ] 上の線形変換 V f を V f g fg ( g R[ X ]) とおく。このとき、以下の問いに答えよ。 (1) f 0 ならば、 V f は単射であることを示せ。 (2) V f が逆変換をもつための必要十分条件は f が 0 次多項式(つまり定数項だけ)であるこ とを示せ。 (3) f 0 X とおく。このとき、以下の条件をみたす線形空間 W f 0 が存在することを示せ。 2 (ア) U f 0 T TW f 0 を満たす単射線形写像 T : R[ X ] W f 0 と W f 0 上の全単射線形変換 U f 0 が存在する。 l (イ) W f 0 span U f 0 Tg | l Z, g R[ X ] (4) 任意の V f に対して、 U f T TV f を満たす W f 0 上の線形変換 U f は存在するか。存在す る場合は証明せよ。そうでない場合は反例を挙げ、 U f が存在するための f に対する必 要十分条件を述べよ。 問 27(微分積分の問題) (1) R 上の調和関数 f が有界であれば f は定数関数であることを示せ。 2 (2) 「 R 上の調和関数 f が有界であれば f は定数関数である」という命題は成り立つか? 3 成り立つならば証明せよ。成り立たないならば反例を挙げよ。 問 28(複素積分と Fourier 変換をつかった計算) 以下の積分の値を計算せよ。 1 1 4 lim exp( x )dx 0 x i x i 問 29(Lebesgue 積分論の問題) R 2 上の非負値 Lebesgue 可測関数 f について、 N s y R | f (s, y) 0 (s R ) c とおく。このとき、任意の s について N s の Lebesgue 測度が 0 ならば、(Lebesgue 測度に ついて考えた場合の)ほとんどいたる t R について、M t の Lebesgue 測度が 0 であること c を示せ。ただし、 M t x R | f ( x, t ) 0 である。 問 30(加群の問題) Z 加群 V (n1 , n2 ,, nm ) | ni Zと Z 加群としての準同型写像 : V Z について、以下 の問いに答えよ。 l l l (1) 任意の l N について、 V V V V とし、準同型写像 : V Z を l l と定義する。このとき、V l / Ker l から V l 1 / Ker l 1 への単射準同 l 型 l で l l l 1 l を満たすものが一意に存在することを示せ。ただし、l は V か l らV l 1 への埋め込み写像とする。 (2) 加群 V lim (V / Ker , l ) と Z は同型であることを証明せよ。 * l l 問 31(bool 代数の問題) 半順序集合 ( X , ) について、任意の f , g X に対して { f , g} の上限 f g 、下限 f g が 存在する場合、 ( X , ) は束であるという。束 ( X , ) について以下の問いに答えよ。 (1) 任意の f , g , h X に対して、以下の性質が成り立つことを示せ。 (ア) ( f g ) h f ( g h) (イ) ( f g ) h f ( g h) (ウ) ( f g ) h ( f h) ( g h) (エ) ( f g ) h ( f h) ( g h) 一般に ( f g ) h ( f h) ( g h) や ( f g ) h ( f h) ( g h) は成り立たず、 成り立つ束のことを分配束という。以下の問題からは分配束の公理を満たすものと仮 定する。 (2) ( X , ) について、最小元 f min ・最大元 f max が存在するとき、以下の性質が成り立つこ とを示せ(以下 ( X , ) は最大元・最小元をもつものと仮定する) (ア) f f f min (f X ) (イ) f f f max (f X ) (3) ( X , ) 上の写像 : X X で、 (ア) f f f max (イ) f f f min (f X ) を満たすものが存在するとき、以下の性質が成り立つことを示せ。(このこと から、 ( X , ) に和を 、積を とした単位的可換環の構造が入る。そして、以下は写像 : X X が存在すると仮定して話を進める。) ・ f g f g ・ ( f g ) (f ) (g ) ・ ( f g ) (f ) (g ) ・ f max f min (4) ( X , ) のイデアル I について、以下の性質を満たすことを証明せよ。 ・ f I , g X について、 f g g I ・I I 2 (5) ( X , ) の極大イデアル I (もちろん f max を含まない)について、任意の f について以下の 命題が成り立つことを示せ。 ・ f , f のいずれか一方が I に属する。 問 32(関数解析の問題) Hilbert 空間 H 内の弱 compact な凸集合 X について、 exX が成り立ち、かつ co(exX ) X が成り立つことを示せ。ただし、co については弱位相における閉凸包を表し ている。 問 33(関数解析の問題・凸集合と端点集合) n 次正方行列 M n について、 ( M n )1 A M n | A 1 とおく。このとき、 ex (M n )1 A M n | A : unitaryが成り立つことを示せ。 問 34(情報数理で使う線形代数の問題) 実正定値行列 A (もちろん可逆)について、 A BB を満たす下三角行列 B が存在するか考 * える。このような行列の分解を Cholesky 分解という。 Cholesky 分解のアルゴリズムは以下のとおりである。(以下、 ai , j を A の (i, j ) 成分とする) ① b1,1 a1,1 と置き、 ai ,1 (2 i n) を a1,1 で割る。(割ったものを bi ,1 とする) ② (1,1) 成分に対する A の余因子行列を A1 とし、 B1 A1 b1 b1 とする( b1 は t bi ,1 (2 i n) を成分とした列ベクトル) ③ B1 に対して、上記①、②と同じ操作をして A2 , B2 を得る。 ④ ③の操作を n-1 回繰り返す(n は行列 A のサイズ)ただし、 Bn 1 を得た場合は、 その値の平方根を改めて Bn 1 とおく。 b1,1 0 b b2, 2 2 ,1 ⑤ ここで、 B bn ,1 bn , 2 0 0 とする。 bn ,n (1) 上記の B1 が正定値行列になることを証明せよ。 (2) A BB を証明せよ。 * 3 1 (3) A 0 0 1 0 0 2 1 0 は正定値行列かどうか判定し、正定値行列ならば Cholesky 分解 1 3 1 0 1 4 を行え。 問 35(実解析の問題) (1) R 上の有界単調増加関数の不連続点は高々可算個であることを示せ。 (2) R 上の右連続単調増加関数列 { f n }n1 が一様有界ならば、部分列 { f nk }k 1 と右連続単調増 加関数 g で、 lim f nk ( x) g ( x) k ( x は任意の g の連続点) を満たすものが存在することを証明せよ。 問 36(関数解析の問題) 実 Banach 空間 X の閉部分集合 X が以下の条件を満たす時、 X の錐(cone)という。 (ア) x, y X x y X (イ) x X , 0 x X (ウ) X X X (エ) ( X ) X {0} (オ) x y X x y 0 (1) X に二項関係 を以下のように定義する。 x y y x X このとき、 は X の半順序関係になることを示せ。 (2) X の元 1 が以下の条件を満たす時、 1 を X の単位元という。 ・ x x 1 (x X ) ・ 1 1 このとき、実線形汎関数 : X R について以下の命題は同値であることを示せ。 ・ X で、 * (1) ・ x X ( x) 0 (3) Y { X | は(2)の命題の条件を満たす}とおく。任意の x, y X について、半順序 * 関係 における {x, y} の下限・上限が存在するならば、Y は X * の cone となることを示 せ。
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