略解プリント

力学 (後期) ワークブック
担当:柴田 神秘絵
平成 26 年 10 月 1 日
目次
1
多変数の関数の微分とチェインルール
1
2
拘束のある運動 Motion with Constraints
4
3
仮想仕事 Virtual Work
5
4
ダランベールの原理・ラグランジュ方程式 D’Alembert’s Principle and
Lagrange’s Equation
8
5
ラグランジュ方程式を使ってみる Tests of Lagrange’s Equation
10
6
ラグランジュ形式のまとめ Summary of the Lagrangian Form
12
7
変分法 Calculus of Variations
13
8
ハミルトンの原理 Hamilton’s Principle
16
9
保存則と対称性 Conservation Law and Symmetry
17
10 ハミルトンの運動方程式 Hamilton’s Equation of Motion
17
11 Canonical Transformation 正準変換
21
12 正準不変量としてのポアッソンの括弧式 Poisson’s Brackets
23
13 ポアッソンの括弧式を用いた定式化 Formulae in terms of Poisson’s
Brackes
23
1
多変数の関数の微分とチェインルール
1
解 1- 1 (多変数関数のテーラー展開)
1.
f (p + ∆p, q + ∆q) = f (p, q) +
p
∆p + mg∆q
m
(1)
2.
ϕ(p + ∆p, q + ∆q) = ϕ(p, q) + 2(x2 + y 2 − 1)2x∆x
+2(x2 + y 2 − 1)2y∆y
(2)
= 4(x2 + y 2 − 1)(x∆x + 2y∆y)
(3)
3.
E(x1 + ∆x1 , ..., xn + ∆xn ) = E(x1 , ..., xn ) + 2
n
∑
xi ∆xi
(4)
i=1
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 1- 2 (チェインルール)
1.
df
∂f dx
=
dt
∂x dt
= (3ax2 + 2bx + c)x˙
(5)
(6)
2.
df
∂f dx ∂f dy
=
+
dt
∂x dt
∂y dt
= 2xx˙ + 2y y˙
(7)
(8)
3
∂f dx ∂f dy
df
=
+
dt
∂x dt
∂y dt
= (sin y − y sin x)x˙ + (x cos y + cos x)y˙
(9)
(10)
4
df
∂f dp ∂f dq
=
+
dt
∂p dt
∂q dt
1
= 2pp˙ + 2 q˙
q
2
(11)
(12)
5
df
∂f dp ∂f dq
=
+
dt
∂p dt
∂q dt
2
2
q(p + q ) − pq(2p)
p(p2 + q 2 ) − pq(2q)
=
p
˙
+
q˙
(p2 + q 2 )2
(p2 + q 2 )2
q(q 2 − p2 )
p(p2 − q 2 )
=
p
˙
+
q˙
(p2 + q 2 )2
(p2 + q 2 )2
=
(q 2 − p2 )
(q p˙ − p q)
˙
(p2 + q 2 )2
場合によっては一つ前の
変形がいいこともあるかもね
(13)
(14)
(15)
(16)
参考のため二階微分の場合の例題を示す。
1′ .
df
∂f dx
=
dt
∂x dt
= (3ax2 + 2bx + c)x˙
]
d2 f
d [
2
=
(3ax
+
2bx
+
c)
x
˙
dt2
[dt
]
[
]
d
d
2
2
=
(3ax + 2bx + c) x˙ + (3ax + 2bx + c)
x˙
dt
dt
= (6ax + 2b)x˙ 2 + (3ax2 + 2bx + c)¨
x
(17)
(18)
(19)
(20)
(21)
いちおうこれで良いのだけれど、少し別の考えも確認しよう: まず、一階微分した
結果を g とおいて、それは x と x˙ の関数であると書くと、
g(x, x)
˙ = (3ax2 + 2bx + c)x˙
(22)
となる。これを時間で微分する。
dg(x, x)
˙
∂g dx ∂g dx˙
=
+
dt
∂x dt
∂ x˙ dt
]
]
∂ [
∂ [
(3ax2 + 2bx + c)x˙ x˙ +
(3ax2 + 2bx + c)x˙ x¨
=
∂x
∂ x˙
2
2
= (6ax + 2b)x˙ + (3ax + 2bx + c)¨
x
(23)
(24)
(25)
(26)
となる。結果は最初の計算と同じだけれど、x˙ の扱いを知る上ではこのような考え
を知っておく必要があった。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
3
2
拘束のある運動 Motion with Constraints
解 2- 1 (一般化座標の練習 I)
自由度は5である。
仮に M を原点としたとき、ひとつの原子の位置は、方位 θ と ϕ を用いて、
((a/2) sin θ cos ϕ, (a/2) sin θ sin ϕ, (a/2) cos θ)
で表せる。したがって、原子1と2の位置は
a
sin θ cos ϕ
2
a
y + sin θ sin ϕ
2
a
z + cos θ
2
a
x − sin θ cos ϕ
2
a
y − sin θ sin ϕ
2
a
z − cos θ
2
x1 = x +
(27)
y1 =
(28)
z1 =
x2 =
y2 =
z2 =
(29)
(30)
(31)
(32)
(33)
運動エネルギーは
1
1
T = m(x˙ 21 + y˙ 12 + z˙12 ) + m(x˙ 22 + y˙ 22 + z˙22 )
2
2
(34)
(これを先に求めた関係を入れてシコシコ計算すると、、、整理されて)
T = m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 ) +
ma2 ˙2
[θ + (ϕ˙ sin θ)2 ]
4
(35)
を得る。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 2- 2 (一般化座標の練習 II)
質点の位置座標を一般化座標であらわすと、
x1 = a sin q1
(36)
y1 = −a cos q1
(37)
z1 = 0
(38)
x2 = a sin q1 + a sin q2
(39)
y2 = −a cos q1 − a cos q2
(40)
z2 = 0
(41)
4
速度を求めると
(x˙ 1 , y˙ 1 , z˙1 ) = (aq˙1 cos q1 , aq˙1 sin q1 , 0)
(42)
(x˙ 2 , y˙ 2 , z˙2 ) = (aq˙1 cos q1 + aq˙2 cos q2 , aq˙1 sin q1 + aq˙2 sin q2 , 0)
(43)
(44)
よって運動エネルギーは
T =
=
1
m(x˙ 21 + y˙ 12 + x˙ 22 + y˙ 22 )
2
1 2 2
ma [2q˙1 + q˙22 + 2q˙1 q˙2 cos(q1 − q2 )]
2
(45)
(46)
位置エネルギーは
U = −mgy1 − mgy2
(47)
= mga(2 cos q1 + cos q2 )
■以上
3
(48)
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
仮想仕事 Virtual Work
解 3- 1 (剛体になる拘束力は仕事をしない)
原子の相対位置は、注目するふたつの原子の番号を i と j とするとき、r ij = r i −r j
で表せる。これを成分で書くと




xij
xi − xj




 y = y −y 
j 
 ij 
 i
zij
zi − zj
(49)
剛体の条件(相互の距離が不変)は
x2ij + yij2 + zij2 = c2ij
(50)
と書ける。ここで cij は定数。両辺の微分をとると、
xij δxij + yij δyij + zij δzij = 0
(51)
※ ここは、心の中で (50) を時間で微分して
xij
dxij
dyij
dzij
+ yij
+ zij
=0
dt
dt
dt
5
(52)
であるので、時間差が有限、つまり、∆t → 0 の極限をとる前の状態の式として、
xij
∆xij
∆yij
∆zij
+ yij
+ zij
=0
∆t
∆t
∆t
(53)
を想定し、∆t をはらったあと、この式の変位を仮想変位と読み替えると理解しやすいだろう。
(51) は
r ij · δr ij = 0
(54)
とかける。問題の条件より、ここで相互作用の力 F ij = f r ij を用いると
F ij · δr ij = f r ij · δr ij = 0
(55)
であること、つまり、剛体であるようにする原子間の力(拘束力)は上の式を満た
すことが分かる。
さて、相互作用の力のする正味の仕事は
N
∑
F i · δr i =
i=1
N
∑
i=1


N
∑

F ij  · δr i
j̸=i
+F 21 · δr 1 +F 31 · δr 1 + . . .
=
+F 12 · δr 2
+F 32 · δr 2 + . . .
+F 13 · δr 2 +F 23 · δr 2
+...
+F 21 · δr 1 +F 31 · δr 1 + . . .
=
−F 21 · δr 2
+F 32 · δr 2 + . . .
−F 31 · δr 2 +F 32 · δr 2
+...
(この変形で作用反作用の法則を使った)
=
∑
F ji (δr i − δr j )
i,j all pairs
=
∑
F ij · δr ij
i,j all pairs
この値は、(55) より零である。
こんな別解をした人が居た:
N
∑
F i · δr i =
i=1
=
=
N
∑


N
∑
i=1
j̸=i
i=1
2

F ij  · δr i


N
N
∑
∑
1

(F ij + F ij ) · δr i
j̸=i


N
N
∑
1∑
 (F ij − F ji ) · δr i
2 i=1
6
j̸=i
■以上
=
N ∑
N
1∑
[F ij · (δr i − δr j )]
2 i=1 j̸=i
=
N ∑
N
1∑
F ij · δr ij = 0
2 i=1 j̸=i
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 3- 2 (仮想仕事の原理の適用)
(1) 物体1に働く外力は鉛直方向の重力であり、仮想変位は針金に沿って、水平方
向に右または左に微小距離動く事である。外力と仮想変位のベクトルは垂直である
からこの仮想変位にたいして外力のする仕事はゼロである。したがって、この系は
釣り合っているとかんがえられる。
(式で書きたい場合の答え:) 針金に沿って水平方向に x 軸、鉛直上向きに z 軸を
考えてそれぞれの方向の単位ベクトルを、ex 、ez とすると、外力は F 外力 = −mgez
であり、仮想変位は δr = δxex であるので、仮想仕事は
F 外力 · δr = (−mgez ) · δxex = 0
(56)
となる。仮想仕事はゼロであるので、この系は釣り合っているとかんがえられる。
(2) 物体1に働く外力は鉛直下向きの重力である。(拘束力は斜面に垂直な抗力で
ある)仮想変位は斜面に沿った上向きまたは下向きの移動である。この仮想変位に
よる外力の仕事はゼロでない。(具体的には、傾斜角を θ とすると、外力が mg 、斜面
に沿った移動距離 (下向きを正とする) が δx とすると、外力がした仕事は mgδx sin θ
になる。)
しがたがって、この系は釣り合いの状態ではない。
(なお、θ = 0 なら仕事はゼロ、釣り合い状態である。)
(3) おもり1、おもり2が上下に動いた時、支柱に取り付けられた平行四辺形のた
めに、ふたつのおもりの移動距離は等しく、符号が逆になる。仮想変位に対する仕
事は
+mgδx − mgδx = 0
となる。従ってこの系は釣り合っている。
(4) 天秤が動いたときのおもりの上下の移動距離は腕の長さに比例して異なる。重
力はいずれも鉛直下向きで同じ大きさである。従って、仮想変位に対する全仕事は
ゼロにならない。
もし、ふたつのおもりの腕の長さが等しければ上下の移動の大きさは同じである
ので、仮想変位に対する全仕事はゼロにない、系は釣り合っている。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
7
4
ダランベールの原理・ラグランジュ方程式 D’Alembert’s
Principle and Lagrange’s Equation
解 4- 1 (利用した恒等式)
右辺を調べよう:v i · v i の微分をすると、
∂
∂ q˙j
(
1
mi v i · v i
2
)
(
∂v i ∂v i
1
+
· vi
=
mi v i ·
2
∂ q˙j
∂ q˙j
∂v i
= 左辺
= mi v i ·
∂ q˙j
)
(57)
(58)
2. 位置ベクトルは t と一般化座標で表されている。つまり、r i = r i (t, q1 , q2 , ..., qn )
の形をしているので、速度は
vi =
n
dr i
∂r i ∑
∂r i
=
+
q˙j
dt
∂t
j=1 ∂qj
(59)
であらわされている。この両辺を q˙j で偏微分すると、
∂v i
∂r i
=
∂ q˙j
∂qj
(60)
になる。
3.
d
dt
(
∂r i
∂qj
)
=
n
∑
∂ 2 ri
∂ 2 ri
+
q˙k
∂t∂qj k=1 ∂qk ∂qj
∂
=
∂qj
∂
=
∂qj
■以上
(
(
n
∂r i ∑
∂r i
+
q˙k
∂t
k=1 ∂qk
dr i
dt
)
=
(61)
)
∂v i
∂qj
(62)
(63)
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 4- 2 (ダランベールの原理からラグランジュ方程式を導く)
板書の通り。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 4- 3 (ポテンシャルから力を求める練習; 勾配)
1. 位置エネルギーを書き下ろすと:
1
V = k(x2 + y 2 + z 2 )
2
8
(64)
したがって、力は
∂V
= −kx
∂x
∂V
= −
= −ky
∂y
∂V
= −
= −kz
∂z
Fx = −
(65)
Fy
(66)
Fz
(67)
となる。ベクトルで書くと F = −kr になる。
2.
(
)
(
)
∂ kqQ
∂ kqQ ∂r
Fx = −
=−
∂x
r
∂r
r
∂x
(68)
最後の因子の微分は r2 = x2 + y 2 + z 2 の両辺を x で偏微分して
2r
∂r
= 2x,
∂x
ゆえに
∂r
x
=
∂x
r
(69)
よって
kqQ x
·
r2 r
おなじ計算を他の成分についても同様におこなうと
Fx =

(70)

x

kqQ 
kqQ

F = 3  y 
= 3 r

r
r
z
■以上
(71)
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 4- 4 (ポテンシャルから力を求める練習; 勾配(その2))
相対位置を R = r 2 − r 1 と置くと、V = kqQ/R とかける。ここで、R = |R| であ
る。粒子1の x 成分の力は
F1x = −
(
∂V
∂V ∂R
kqQ
x2 − x1
=−
= 2 −
∂x1
∂R ∂x1
R
R
)
(72)
各成分について同様の計算をすると、
F1 = −
F2 =
kqQ
kqQ
R=−
(r 2 − r 1 ),
3
R
|r 2 − r 1 |3
(73)
kqQ
kqQ
R=
(r 2 − r 1 ),
3
R
|r 2 − r 1 |3
(74)
を得る。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
9
解 4- 5 (一般化力がポテンシャルをもつときのラグランジュ方程式)
板書の通り。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
(ポイント 4- 1) (ラグランジュ方程式 I)
自由度 n である系の一般化座標を (q1 , q2 , ..., qn ) とするとき、次の Lagrange 方
程式がなりたつ:
(
)
∂T
d ∂T
−
− Qj = 0
(75)
dt ∂ q˙j
∂qj
ここで、T は系の全運動エネルギー:
T =
N
∑
1
i=1 2
mi vi2
(76)
であり、Qj は一般化力といって
Qj =
N
∑
Fi ·
i=1
∂ri
∂qj
(77)
で定義される。
なお、この式を導出にあたって、拘束力は仕事をしないという仮定をしてい
る。また、系は質点からなりその番号を i として、その位置ベクトルを r i 、速
度ベクトルを v i としている。
また、一般化座標の定義からして、すべての質点の位置は一般化座標と陽に時
刻 t の関数である:
(78)
r i = r i (q1 , q2 , ..., qn , t)
解 4- 6 (一般化ポテンシャルがあるとき)
ほとんど自明なので、省略します。
■以上
5
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
ラグランジュ方程式を使ってみる Tests of Lagrange’s
Equation
解 5- 1 (Atwood の機械)
運動エネルギーは
1
1
T = M x˙ 2 + mx˙ 2
2
2
10
(79)
位置エネルギーは
V = −M gx + mgx
(80)
1
L = (M + m)x˙ 2 + (M − m)gx
2
(81)
よって、ラグランジアンは
ラグランジェの運動方程式は
d
[(M + m)x]
˙ − (M − m)g = 0
dt
(M + m)¨
x − (M − m)g = 0 よって x¨ =
■以上
(82)
M −m
g
M +m
(83)
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 5- 2 (回転する棒に通されたビーズ玉)
一般化座標 q と質点の座標の変換式は
x = q cos ωt,
y = q sin ωt
(84)
x˙ = q˙ cos ωt − ωq sin ωt
(85)
y˙ = q˙ sin ωt + ωq cos ωt
(86)
で、速度は
運動エネルギーは
1
T = m(q˙2 + ω 2 a2 )
(87)
2
で位置エネルギーは V = 0 である。(T がそのままラグランジアン) ラグランジュの
運動方程式を立てると、
q¨ = qω 2
(88)
を得る。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 5- 3 (根本が回転する振り子)
一般化座標 θ と質点の位置との変換式は
x = b cos ωt + a sin θ
(89)
y = b sin ωt − a cos θ
(90)
(91)
11
これから Lagrangian を求めると
1
L = m(ω 2 b2 − 2ωabθ˙ sin(ωt − θ) + a2 θ˙2 ) + mg(b sin ωt − a cos θ)
2
(92)
これから Lagrange equation を求めると、
aθ¨ = bω 2 cos(ωt − θ) + mg sin θ
■以上
(93)
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 5- 4 (ケプラー問題)
運動エネルギーと位置エネルギーを r と θ で表すと、
T =
m 2
(r˙ + r2 θ˙2 ),
2
V = −k
1
r
(94)
よって Lagrangian は
m 2
1
(r˙ + r2 θ˙2 ) + k
2
r
である。これから Lagrange の運動方程式を立てると、
T =
m¨
r = mrθ˙2 −
(95)
k
r2
(96)
および、
d
mr2 θ˙ = 0 あるいは mr2 θ˙ = constant = ℓ
dt
最後の式(角運動量の保存)により θ˙ を上の式から消去すると
m¨
r=
(97)
ℓ2
k
− 2
3
mr
r
(98)
を得る。
■以上
6
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
ラグランジュ形式のまとめ Summary of the La-
grangian Form
解 6- 1 (電磁場中の粒子のラグランジアン)
この粒子に働く力は
[
]
∂A
F = e(E + v × B) = e −∇ϕ −
+ v × (∇ × A)
∂t
12
(99)
である。ここでベクトル場に対する公式 ∇(A · v) = (A · ∇)v + (v · ∇)A + A × (∇ ×
v) + v × (∇ × A) を用いる。ただし、∂vx /∂x = ∂ x/∂x
˙
= 0 などが成り立つので、
∇ × v = 0 (A · ∇)v = 0 であることに注意する。
[
∂A
F = e −∇ϕ −
+ ∇(A · v) + (v · ∇)A
∂t
一方、
]
∂A
∂A
∂A
∂A
∂A
d
A(x, y, z) =
x˙ +
y˙ +
z˙ +
=
+ (v · ∇)A
dt
∂x
∂y
∂z
∂t
∂t
こうして、
[
dA
F = e −∇(ϕ − A · v) −
dt
(100)
(101)
]
(102)
を得る。ここで、
∂U
∂
=
(eϕ − eAx x˙ − eAy y˙ − eAz z)
˙ = −eAx
∂ x˙
∂ x˙
であり、同様に
(103)
∂U
∂U
= −eAy 、
= −eAz 、の関係がある。よって、力は結局、
∂ y˙
∂ z˙
∂U
d ∂U
+
∂x
dt ∂ x˙
∂U
d ∂U
= −
+
∂y
dt ∂ y˙
∂U
d ∂U
= −
+
∂z
dt ∂ z˙
Fx = −
(104)
Fy
(105)
Fz
(106)
が成立する。■証明終
なお、これが成り立てば一般化座標でも
Qj = −
∂U
d ∂U
+ (
)
∂qj dt ∂ q˙j
(107)
が成り立つことが容易に証明できる。
■以上
7
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
変分法 Calculus of Variations
解 7- 1 (最速降下線)
√
1. 所要時間をもとめると、微小な道のりを ds = dx2 + dy 2 として
√
∫ 2
ds ∫ x2 1 + y˙ 2
=
dx
J=
v
x1
1 v
13
(108)
で (ただし、y˙ = dy/dx)、さらに、(1/2)v 2 = mgy を利用すると、
∫
x2
√
J=
x1
√
1 + y˙ 2
1 ∫ x2 1 + y˙ 2
dx = √
dx
2gy
2g x1
y
(109)
2. 上の J の最後の表現の被積分関数を f として Euler-Langrange の方程式
∂f
d
−
∂y dx
(
∂f
∂ y˙
)
=0
に代入する。まず、f = y −1/2 (1 + y˙ 2 )1/2 は以下のように微分できる。
∂f
1
∂f
= − y −3/2 (1 + y˙ 2 )1/2 ,
= y −1/2 y(1
˙ + y˙ 2 )−1/2
∂y
2
∂ y˙
次に、第二項目として
]
d [ −1/2
y
y(1
˙ + y˙ 2 )−1/2
dx
1
= − y −3/2 y(1
˙ + y˙ 2 )−1/2 + y −1/2 y¨(1 + y˙ 2 )−1/2
2
( )
1
+y −1/2 y˙
(1 + y˙ 2 )−3/2 ]2y˙ y¨
2[
(
)]
y˙ 2
y˙ 2
−1/2
2 −1/2
= y
(1 + y˙ )
− + y¨ 1 −
2y
1 + y˙ 2
[
]
y˙ 2
y¨
= y −1/2 (1 + y˙ 2 )−1/2 − +
2y 1 + y˙ 2
(110)
(111)
(112)
(113)
がえられる。これらの結果を Euler-Lagrange の方程式に代入すると目的の方程式が
得られる。
3. 両辺に y˙ をかけると
(
)
d 1 2
y˙ = y˙ y¨
dx 2
になり、d(1 + y˙ 2 )/dx = dy˙ 2 /dx であることに注意すると
1 d(1 + y˙ 2 ) 1 dy
+
=0
1 + y˙ 2
dx
y dx
と変形できる。これはただちに積分できて
]
d [
ln{(1 + y˙ 2 )y} = 0
dt
したがって、
(1 + y˙ 2 )y = 2a
とおける。ここで a は定数。
14
4.
y˙ =
よって
dy
dy/dθ
a sin θ
=
=
dx
dx/dθ
a(1 − cos θ)
(114)
]
[
sin2 θ
a(1 − cos θ) = 2a
(1 + y˙ )y = 1 +
(1 − cos θ)2
2
(115)
で確かに与えられた微分方程式をみたす。(ちなみにこの曲線 (x(θ), y(θ)) はサイク
ロイドと呼ばれる。)
5. 積分範囲は 0 から 2πa であるので、
√
√
√ ∫
1 ∫ 2πa a
a 2π
a
J=√
dx =
dθ = 2π
2
2g 0
y
g 0
g
2πa = 9.8 × 104 m なので
√
√
2πa √
= 2π × 102 = 250sec
J = 2π
g
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 7- 2 (ガウスの法則の変分形)
実際のポテンシャルを ϕ˜ と置き、仮想的なポテンシャルを ϕ とする:
ϕ = ϕ˜ + δϕ
ここで、δϕ は実際のポテンシャルからのずれである。これを U の式に代入して U の
変化を調べると、
∫
δU =
(∇ϕ˜ · ∇δϕ − ρ δϕ/ϵ0 )dV = 0
V0
˜ = ∇δϕ · ∇ϕ˜ +
となる。(二次の微小量は無視する。) 第一項目については ∇ · (δϕ∇ϕ)
δϕ ▽2 ϕ˜ の性質があるので、
∫
第一項目 =
V0
˜
∇ · (δϕ∇ϕ)dV
−
∫
˜
=
δϕ ▽ ϕdV
2
V0
∫
˜
(δϕ∇ϕ)dS
−
∫
V0
˜
δϕ ▽2 ϕdV
面積分は体積の境界で境界条件を満たすように δϕ = 0 と置けば、零になる。よって、
∫
δU =
V0
δϕ (− ▽2 ϕ˜ − ρ/ϵ0 )dV = 0
いかなる δϕ にたいしても、常に δU = 0 が成り立つためには − ▽2 ϕ˜ = ρ/ϵ0 でなけ
ればならない。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
15
8
ハミルトンの原理 Hamilton’s Principle
解 8- 1 (ハミルトンの原理とラグランジュの方程式)
実際におこる運動を qi (t, 0) とし、そこからのズレのパラメータ α を導入して、仮
想的な運動を
qi (t; α) = qi (t, 0) + αηi (t)
(116)
で表す。ここで、ηi (t) はズレの形を表す任意関数であり、条件 ηi (t1 ) = etai (t2 ) = 0
を満たしている。これを作用の変分 δI の式に代入する。
(
)
dI
δI =
dα
dα
[∫ t2
]
d
=
L(..., qi (t; α), ..., ...., q˙i (t; α), ..., t)dt dα
dα t1 (
) ]
[∫
n
t2 ∑
∂L ∂qi ∂L ∂ q˙i
=
+
dt dα
∂ q˙i ∂α
t1 i=1 ∂qi ∂α
(117)
(118)
(119)
ここで二項目は以下のように部分積分できる:
∫
t2
t1
∫ t2
∂L ∂ q˙i
∂L ∂ ∂qi
dt =
dt
∂ q˙i ∂α
t1 ∂ q˙i ∂t ∂α
[
]t
)
(
∂L ∂qi 2 ∫ t2 d ∂L ∂qi
=
−
dt
∂ q˙i ∂α t1
dt ∂ q˙i ∂α
t1
(120)
(121)
ここで、∂qi /∂α = ηi (t) であるので、端点 t1 および t2 ではゼロになる。よって第一
項はゼロになる。すると変分は結局
∫
δI =
=
n
t2 ∑
[
t1 i=1
[
∫ t2 ∑
n
t1 i=1
d
∂L
−
∂qi dt
∂L
d
−
∂qi dt
(
(
∂L
∂ q˙i
∂L
∂ q˙i
)]
)]
∂qi
dα dt
∂α
(122)
δqi dt
(123)
ここで、軌道の変位 δqi = ∂qi /∂αdα を使って表した。任意の軌道の変位に対して
δI = 0 になるためには
d
dt
(
∂L
∂ q˙i
)
−
∂L
= 0 for all i
∂qi
が成り立たなければならない。これはラグランジュの運動方程式である。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 8- 2 (放物軌道で作用が最少になること)
16
(124)
x˙ = a(2t − T ) であることからラグランジアンを求め、さらに作用の式を書くと、
∫
∫
T
Ldt =
I=
0
0
T
1
m[(4a2 − g)t − (4a − g)T t + aT 2 ]dt
2
(125)
となる。これが極値をとる条件 dI/da = 0 から a の値をもとめると a = −g/2 を
得る。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
保存則と対称性 Conservation Law and Symmetry
9
解 9- 1 (電磁場中の粒子の運動の保存量)
1. 磁場を求めると






∂/∂x
0
0

 








B = ∇ × A =  ∂/∂y  ×  xB0  =  0 

∂/∂z
0
B0
(126)
2. ラグランジアンは
1
L = T + eA · v = m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 ) + exBy y˙
2
(127)
よって共役な運動量は
px =
∂L
∂L
∂L
= mx,
˙ py =
= my˙ + exB0 , pz =
= mz˙
∂ x˙
∂ y˙
∂ z˙
(128)
3. サイクリックな座標は y と z なのでそれに共役な運動量、py = my˙ − exB0 と
pz = mz˙ が保存する。
∑
4. 保存量 h = q˙i pj − L は
1
1
m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 )+exBy y˙ = m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 ) (129)
h = xm
˙ x+
˙ y(m
˙ y−exB
˙
˙ z−
˙
0 )+ zm
2
2
■以上
10
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
ハミルトンの運動方程式 Hamilton’s Equation
of Motion
解 10- 1 (ハミルトニアンがエネルギーになるとき)
17
条件により、一般化座標 (q1 , ..., qn ) から粒子の位置への変換則に t を含まないの
で、速度は
n
dr i ∑
∂r i
∂r i
vi =
=
q˙j +
(130)
dt
∂t
j=1 ∂qj
における最後の項がゼロになる。(ここで、n は系の自由度である。) これに注意し
て全運動エネルギーを求めると
T =
N
∑∑∑ 1
∑∑
1∑
∂r i ∂r i
γkj q˙j q˙k
mi v i · v i =
mi
q˙j q˙k ≡
2 i=1
∂qj ∂qk
i
j
j
k 2
k
という形を得る。
一般化運動量は、
pi =
∑
∂L
∂T
=
=2
γik q˙k
∂ q˙i
∂ q˙i
k
(131)
(132)
ここで、同じ番号の q˙k が2回出てくることと、γjk = γki であることを用いた。
∑
ここで、H = qip
˙ i − L を計算すると、
H=
∑
i
q˙i
∑
γik q˙k − (T − V ) = 2T − (T − V ) = T + V
(133)
k
となり、全エネルギーとなる。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 10- 2 (調和振動子をハミルトン形式で書く)
位置エネルギーは、仕事にマイナス符号をつけたものなので、
V =−
∫
∫
f dx =
1
kxdx = kx2 + const.
2
(134)
ここで定数は今後零とする。
2. ラグランジアンは定義より、
1
1
L = mx˙ 2 − kx2
2
2
3.
(135)
∂L
= mx˙
(136)
∂ x˙
4. 運動エネルギー T は x˙ の二次関数で、V は位置 x のみの関数なので、H = T +V
になる:
1
1 2
p2
1
2
H = mx˙ + kx =
+ kx2
(137)
2
2
2m 2
5.
∂H
∂H
p˙ = −
= −kx, x˙ =
= p/m
(138)
∂x
∂p
p=
18
でニュートンの運動方程式の結果を再現している。
6. Hamiltonian は時間を陽に含んでいないので、保存する。
7. H は保存するので
(
p
√
2mH
)2

x
2
 =1
+ √
2H/k
(139)
より、(x, p) 面で楕円であることが分かる。また、代表点 (x, p) の位相空間内での速
度は (x,
˙ p)
˙ = (p/m, −kx) であることから図のような奇跡を得る。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 10- 3 (電磁場中の粒子のハミルトニアン)
ラグランジアンを書くと
1
e
L = m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 ) + (Ax vx + Ay vy + Az vz ) − eϕ
2
c
(140)
となる。ゆえに、(共役な) 正準運動量は、
e
∂L
= mx˙ + Ax
∂ x˙
c
∂L
e
=
= my˙ + Ay
∂ y˙
c
e
∂L
= mz˙ + Az
=
∂ z˙
c
px =
(141)
py
(142)
pz
(143)
ここで、ハミルトニアンの定義通り計算すると、
H=
∑
1
1
e
e
qp
˙ − L = m(x˙ 2 + y˙ 2 + z˙ 2 ) + eϕ =
(p − A) · (p − A) + eϕ (144)
2
2m
c
c
19
ここで p = (px , py , pz ) である。(これは粒子の全エネルギーである。なお、ハミルト
ニアンなので x˙ などを用いること無く、px など正準運動量で書かないと正解ではな
いので注意。)
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 10- 4 (ケプラー運動のハミルトニアンと代表点の運動)
1. ラグランジアンを求めると。
1
k
L = T − L = m( r˙ 2 + r2 θ˙2 + r2 sin2 θϕ˙ 2 ) +
2
r
(145)
となる。
2. 共役な正準運動量は
pr =
∂L
= mr,
˙
∂ r˙
pθ =
∂L
˙
= mr2 θ,
∂ θ˙
pϕ =
∂L
= mr2 sin2 θ ϕ˙
∂ ϕ˙
(146)
となる。
3. 拘束力はなく、位置エネルギーは座標だけで書けているので、H = T + V にな
˙ ϕ˙ を消去すると、
る。ここで、r,
˙ θ,
(
p2
1
p2
H=
p2r + 2θ + 2 ϕ 2
2m
r
r sin θ
)
−
k
r
(147)
ハミルトンの運動方程式は、
−p˙r =
−p˙θ =
−p˙ϕ =
r˙ =
θ˙ =
ϕ˙ =
∂H
∂r
∂H
∂θ
∂H
∂ϕ
∂H
∂pr
∂H
∂pθ
∂H
∂pϕ
p2θ + p2ϕ / sin2 θ
k
+ 2
3
mr
r
p2ϕ cos θ
=− 2 3
mr sin θ
=−
(148)
(149)
(150)
=0
pr
m
pθ
=
mr2
pϕ
=
2
mr sin2 θ
=
(151)
(152)
(153)
4. pϕ = 一定 = 0 の解を考える。このとき、ϕ˙ = 0、ϕ =(一定) になるので、
ϕ =(一定) の平面 (r, θ) 内の運動になる。pϕ = 0 のため p˙θ = 0、つまり、pθ =(一
定)= ℓ (角運動量一定) の運動になる。ゆえに、位相空間内の (θ, pθ ) 面での代表点の
20
˙ p˙θ ) = (ℓ/mr2 , 0) なる直線になる。一方、(r, pr ) 面では、ハミルトニアン
運動は (θ,
は保存するので、
ℓ2 k
p2r
+ 2 − = H = 一定
2m r
r
の曲線になる。自分で計算して曲線を描いてみよ。(r, θ) 面内の軌道が、楕円軌道、
放物軌道、双極軌道に対応して位相空間上の軌道が閉じたり、開いたりするのを確
認せよ。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 10- 5 (ハミルトニアンが保存する条件)
簡単過ぎるので省略
■以上
11
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
Canonical Transformation 正準変換
解 11- 1 (母関数 F1 による正準変換)
板書のとおり
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 11- 2 (母関数 F2 による正準変換)
母関数は以下のように与えられていたことを思いだしすと:
∑
pi q˙i − H(q, p) =
∑
Pi Q˙ i − K(Q, P ) +
dF2
dt
これより後はノートにある F1 と同じやり方なので省略しますね。
21
(154)
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 11- 3 (単なる一般化座標の変換は正準変換)
二番目の変換式をもちいると


n
∂ ∑
Qi =
fj Pj  = fi (q1 , q2 , ..., qn )
∂Pi j=1
(155)
となるので、単なる点変換 qi 7→ Qi が得られた。
ここで正準運動量の変換は、第一式より


n
∑
n
∑
∂fj
∂ 

pi =
fj P j =
Pj
∂qi j=1
j=1 ∂qi
(156)
となり、連立 n 元一次方程式になるので、これを解いて pi 7→ Pi が得られる。
このときハミルトニアンは変わらず K = H である。
Name = 10ten.ans.tex
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 11- 4 (単振動に対する正準変換の応用)
板書のとおり
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 11- 5 (正準変換の例)
まず、小文字の世界 (q, p) でハミルトンの運動方程式が成り立っているとする:
p˙ = −
∂H
∂H
, q˙ =
∂q
∂p
(157)
いま、H は (q, p) の関数である所を与えられた変換式を用いて (Q, P ) の関数にした
ものを H(Q, P ) とすると、
∂H
∂q
∂H ∂Q ∂H ∂P
−
= −
∂Q ∂q
∂P ∂q
∂H
1 ∂H
− cot p
=
q ∂Q
∂P
p˙ = −
22
(158)
(159)
(160)
∂H
∂p
∂H ∂Q ∂H ∂P
−
= −
∂Q ∂p
∂P ∂p
∂H
q ∂H
= cot p
−
∂Q sin2 p ∂P
q˙ =
(161)
(162)
(163)
∂H
を消去すると、
∂P
∂H
q
−
= q˙ cot p −
p˙
∂Q
sin2 p
と運動方程式が変形される。二つの式を用いて
一方、変換式より
P˙ = q˙ cot p −
q
p˙
sin2 p
(164)
(165)
よって、
∂H
P˙ = −
∂Q
が成り立っている事が分かる。同様にして、
∂H
q˙
= p˙ cot p − = Q˙
∂P
q
(166)
(167)
が示される。よって、同じ形のハミルトンの運動方程式が成り立っている事が分か
る。つまり、この変換は正準変換になっている。
■以上
12
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
正準不変量としてのポアッソンの括弧式 Poisson’s
Brackets
13
ポアッソンの括弧式を用いた定式化 Formulae in
terms of Poisson’s Brackes
解 13- 1 (角運動量の保存を H とのポアッソンの括弧がゼロになることから示す)
ポアッソンの括弧の定義によって、
(
)
(
∂ℓ ∂H
∂ℓ ∂H
∂ℓ ∂H
∂ℓ ∂H
[ℓ, H] =
−
+
−
∂x ∂px ∂px ∂x
∂y ∂px ∂py ∂y
(
)
(
)
py
px
∂V x
∂V y
− px − x
= −py − y
m
∂r r
m
∂r r
= 0
となり、H とのポアッソンの括弧式が零になるので ℓ は保存する。
23
)
(168)
(169)
(170)
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
解 13- 2 (物理量の発展をテーラー展開でもとめる際、時間微分にポアッソンの
括弧を用いる)
ハミルトニアンは
p2
H=
+ mgx
(171)
2m
ここで Poisson の括弧式を計算する:
[x, H] =
∂x ∂H
∂x ∂H
p
−
=
∂x ∂p
∂p ∂x
m
1
1
[[x, H], H] = [p, H] =
m
m
(
∂p ∂H ∂p ∂H
−
∂x ∂p
∂p ∂x
(172)
)
= −g
(173)
さらに、括弧をとると、
[[[x, H], H], H] = [g, H] = 0
(174)
以上を展開式に代入すると、
x(t) = x(0) +
1
p(0)
t − gt2
m
2
となり落下の法則に帰着する。
■以上
(こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと)
24
(175)