「全量/余剰徹底対決モデル実証」地域一括太陽光発電プロジェクト (株式会社ウエストビギン:旧ハウスケア) 住宅用PVの集中導入の手法検証と住宅用PV全量/余剰徹底比較モデル実証 本実証では、太陽光発電システムの普及拡大のため、一定の地域に集中的に導入(100戸×2グ ループ)するための手法の確立、及び余剰と全量のスキームについて比較・検証を行う。 集中導入することにより、募集~物流~施工コスト削減し、更なる設置コストの引下げを実証。 ローン等活用し住民の所有とする「購入グループ(余剰)」と、屋根貸しを活用した「屋根レン タルグループ(全量)」とで、それぞれ有効性、節電効果、経済効果等を実証する。 ○PVの一定地域、集中導入によるコスト削減手法の実証 ○余剰 / 全量制度の有効性を比較・検証 購入グループ(余剰) 屋根レンタルグループ(全量) 希望のあった住民に対し、PVを 設置する。PVの所有は住民であ り、余剰買取となる。 住民から、屋根を賃借しPVを設 置し発電事業を行う(全量)。P Vは、一定期間終了後住民へ譲渡 の予定。 住民が自己資金によりPVを設置 売電 電力会社 住民が屋根を貸出 ⇒ 発電 売電収益 賃料支払 設置 株式会社 ウエストビギン 設置 株式会社 ウエストビギン 施工依頼 合同会社 おひさま発電ふくしま (発電事業者) 委託事業者名:株式会社ウエストビギン(旧社名:株式会社ハウスケア) 実証事業項目:「全量/余剰徹底対決モデル実証」地域一括太陽光発電プロジェクト 株式会社ウエストビギンでは、「全量/余剰徹底対決モデル実証」地域一括太陽光発電プロジェクトと称して、太陽光発電に 関する2種類の導入方法を提案した。 「購入モデル」では従来からの主流である10年間の余剰買取制度を、「屋根レンタルモデル」では屋根貸しを利用したSPC (特別目的会社)による20年間の全量買取制度を採用した。 いずれのモデルについても共通して、特定期間における特定地域への集中的な、募集・商談・契約・施工を行うことで、商 品代・輸送代・工事費などの施工コスト削減を図っている。 導入費用による経済的負担が、太陽光発電の普及促進を阻害する最大の障害であると想定し、第一の課題として「コスト削 減のための集中設置手法の検証」を設定した。 第二の課題は、「屋根レンタルモデルの実効性の検証」である。 目的①: 実質負担の ない太陽光 発電の導入 方法の確立 。(購入の場 合は固定買 取期間10 年以内の回 収) 達成 状況 募集・商談・物流・施工を集中的に行うことで、コスト削減を実現する。また事業独自の補助金(導入費の1/3 の補助金)を利用することで、更なる負担軽減を図る。結果は目標の10年回収を上回り、現金購入の方の場 合は平均7.89年、信販利用をしての購入は平均9.77年の回収となった(現金・信販併用の方は除く)。さら に今回の事業は(株)オリエントコーポレーションの賛同を得て、金利を優遇していただいたことが、目標達成の 後押しとなった。 以上より、募集・施工を集中的に行うことによりコストを削減でき、一定の発電量が得られれば、設置費を実質 負担なしで導入することができることが証明された。 要因 分析 今回は、普段コストのかかっている営業費・物流費・施工費を大きく削減したことで、安価な太陽光発電の提供 に至った。従来通りの手法では企業努力でのコスト削減には限界があったが、地域を絞り短期間で集中的に 募集・施工を行うことは、経費削減につながった。 しかし、1度目の新聞折込の反響数が少なく2度目の折込の範囲を広げ募集してしまったために、集中施工に よるコスト削減といった面では、効果が薄まってしまったと言わざるを得ない。また工事の際、同地域の方々の 予定が合わなかったり、天候によって工事が延期になった場合にその日以降に予定している工事がすべて延 期になったり、と工事日程の調整の難しさがあった。この点については申込者の方々の事業への大きな理解 が必要であると思われる。 目的②: 購入モデル /屋根レン タルモデル の比較によ る太陽光普 及策の検証 達成 状況 アンケートによる比較検証および、設置者・事業者から見た収支比較を行った。 モニター説明会時の選好ニーズも、実際の申込数も購入モデルが多数を占めることとなった。 また、収支においてはレンタル件数が少なかったことにより、提示していたレンタル賃料では当初想定してい た収入より少なかった。施工費の差はそれほどなかったが、運営費については発電量によって抑えていく必 要が出てくる結果となった。 要因 分析 モニター募集説明会では、購入モデル/屋根レンタルモデルともに20年間で見ればほぼ同等、むしろ屋根 レンタルモデルの方が多くメリットがある可能性が高いように設定をしたが、購入モデルの傾向が強かった。 屋根レンタルモデルは賃料を段階的に設定し、20年間の契約の内後期になるにつれ賃料が高くなる設定を していた。そのため屋根レンタルモデルは、メリットが少なく見えてしまう消費者心理となり、また発電した電 気を自家消費できないことも相まって、少数になってしまったと考えられる。 事業収支については上述した通り屋根レンタルモデルの件数が少なかった為、スケールメリットが得られな かったが、件数が増えれば収支比較の面でも購入モデルと屋根レンタルモデルの大きな差はなくなると思わ れる。 今後の展望 モデルごとの比較を行ったことは屋根レンタルモデルの普及方法の足掛かりとなった。導入方法・運営方法が確立されれ ば、従来の購入モデルに加えて選択の幅が広がり、今まで購入モデルでの導入をためらっていた層への太陽光の導入を促す ことができるだろう。 コスト削減のための集中導入は従来の訪問型の販売方法とは違い、集中的に安価に太陽光を設置できるため、有効な検証 となった。しかし集中導入によるコスト削減をするためには、導入数がある程度確保できないと難しい。今回のプロジェク トで一定数を確保できた要因は公的機関の関与によるところが非常に大きい。募集段階での集客や申込率の高さは、通常の 販売方法と異なり、公的機関がバックアップしている安心感に他ならない。そのため今回と同様、企業と公的機関・自治体 が協働で太陽光発電の推進を行っていくことは非常に有意義であると考える。 また、今回の実証は家庭用太陽光発電に限定していたが、産業用太陽光の普及にも繋がる。集中施工によるコスト削減は もちろん、発電事業者が太陽光発電を設置・売電をし、売電収入の中から土地や屋根に対する賃借料を支払うといった、今 回のレンタルモデルに相当する手法も、事業を目的とする産業用の方が抵抗なく受け入れられるだろう。 公的機関・自治体と協働する面から見ると、スマートシティを目指す自治体があれば、集中施工・レンタルモデルを組み 合わせて安価で負担・リスクともに無い方法を利用し、積極的に導入しやすい環境を作ることができると考えられる。
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