2014/7/13 運動の勢いと運動量 運動量 • 止めるのに要する力が大きいのは(激しい運動) 速く動く物体 (速度) 重い物体 (質量) (急に止める (時間)) 運動の法則の拡張 運動の激しさ(勢い)を表す • 運動量=質量×速度 → p mv 大きさmv,速度の向きと同じ → ベクトル量 → p mv 単位 kg・m/s 衝突、 分裂 加速運動における運動量の変化 運動量と力積 質量m の物体に一定の力F を加えてΔt 秒間加速したとき • 運動量が変化した 運動量変化に相当する力積が働いた • 運動量の変化の向き=力の向き t t 2 t1 運動の法則 • 同じ力積を得る→力小さいと時間長い。 力大きいと時間短い Δt秒間の速度変化 運動量 F at v2 v1 p mv m Ft mat mv2 mv1 p2 p1 p 吹き矢の筒の長さと飛行距離 a Ft p 矢に与えれる力が同じ:筒が長い→矢が力を受ける時間が長い Ft 力積 〔N・s〕 = 〔 kg・m/s 〕 p2 mv2 p1 mv1 v1 F t1 F t v2 F mv →受ける力積が大きい 運動量小 速度小 mv 運動量大 速度大 t2 物体に加わる力 問17 • ボールを受け止める 力を弱くしたい→力を働かせる時間を長く 力が働く時間が短い → 力が大きい 運動量は物体の 質量 × 速度 で表されるベクトル量である. 物体 • 床に物を落としたとき(エアバッグ) 固い床:力が働く時間は短い→力は大→破壊 である. に力が働いたとの運動量変化は 力積 に等しい。 ここで力積= 物体に加えられた力 × 力の作用した時間 • 野球やゴルフのボールを遠くへ飛ばす 大きい速度(大きい運動量)→大きい力積→大きい力 を長い時間加える ボールとバットまたは,クラブの接触時間を長くする 1 2014/7/13 2.11.2 運動量の保存(衝突・分裂) 問18 10(m/s)で走る1000kgの車の持つ運動量は 10000(1.0×104) 〔kg・m/s〕である.この車に後ろ向きの400 Nの力を10 sの間働かせた とき,速度は 6.0 〔m/s〕である.車を静止させるにはさらに 15 秒 • 互いの物体には同じ大きさで反対向きの力が働く (作用反作用の法則) 同じ大きさで反対向きの力積が働く 間 この力を加え続けなければならない. p mv 1000kg 10m/s 10000kg m/s 1.0 10 4 Ft 400 10 Ft p mv2 mv1 -4000=mv2‐10000kg・m/s • 互いの運動量変化は同じ大きさで反対向き → 両物体の運動量の和は変わらない 衝突 mv2= - 4000+10000=6000kg・m/s 6000=1000×v2 Ft mv1 mv2 t=15 s -400×t+6000=0 同じ大きさで互いに反 対向きの力積 運動量の保存 F t p • 力積の部分を消去して m1 v1 • 物体間に作用反作用の力のみが働き,外部からの力が働 かないとき,運動量の和は必ず保存される • 平面での衝突では,x ,y 方向それぞれの方向で運動量が 保存される m2 v2 +Ft ‐Ft v1’ m1v1 m2 v2 m1v1 m2 v2 運動量 増す 運動量保存の法則 • 衝突前 質量をm1,m2,速度をv1 v2 • 衝突後 質量変化無し,速度をv1' v2' m1v1 m1v1 Ft m2 v2 m2 v2 Ft Ft ‐Ft v2=6 m/s 運動量 減る 力積 v2’ px py 0 • 衝突の前後で運動量の和が変化し ない → 運動量が保存される 2.11.3 反発係数(衝突) • 反発係数e =衝突後の速度差/衝突前の速度差 m1 v1 ただし, 0≦e≦1 v v 2 1 v2 v1 e ‐Ft • 反発係数=1(弾性衝突) 衝突後の速度差=衝突前の速度差 •壁に当たったと同じ速さで跳ね返る • 反発係数=0(完全非弾性衝突) 衝突後の速度差=0 衝突後合体,跳ね返らない 反発係数=0(完全非弾性衝突) 衝突後の速度差=0 衝突後合体,跳ね返らない m2 v2 m1 v1 +Ft v1’ m2 v2 v2’ 衝突前後で 相対速度は 逆を向くので マイナス v2 v1 v2 v1 e v2 v1 v2 v1 0 v2 v1 v2 v1 2 2014/7/13 弾性衝突での運動量の保存 反発係数=1(弾性衝突) 衝突後の速度差=衝突前の速度差 壁に当たったと同じ速さで跳ね返る 片方の台車を止めておき,片方を衝突させる.衝突はバネ を介して行われるとすると,衝突後の速度はそれぞれどう なるか? v2 v1 e v2 v1 v2 mv1 0 mv1 mv2 v2 0 1 v2 0 v2’ 壁 v1 0 v2 v1 1 0 v1 v2 v1 v1 v1 v1 0 v2 v1 e v2 v1 v2 v2 = 0 m m v2 v2 完全非弾性衝突 実験(分裂での運動量の保存) 衝突後合体させると.衝突後の速度はどうなるか? 1.質量の同じ2台の実験用台車を使い,2台を並べ ておき,バネで他方を押したとき,2つの台車の速 度はどうなるか? mv1 0 mv1 mv2 v2 v1 0 0 v1 v1 v1 v1 2 v2 v1 2 0 0 mv1 mv2 v1 v2 v2 v2 = 0 m v2 v1 m m m 反発係数や質量が違っても衝突において運動量は必ず保存される 問19 問20 物体の衝突において,運動量保存の法則が成り立つから 車の中に乗っている人は車と同じ速度変化を受ける. よって,人の運動量変化は速度変化により mA vA mBvB mA vA mBvB 反発係数から vB vA e vB vA (1) m v F t 人は運動量変化に等しい力積を受ける. (2) 500 10 1000 10 500vA 1000vB vB vA 0 (4) (10) (10) (3)に代入して vA vB vA vB 10 3.3 3 両車とも負の向きに3.3 m/sで動く 40 10 m/s 10 3 3 20 10 m/s vB vB ( 10) 3 3 A車の速度変化: vA vA この問題における条件を代入して (3) B車の速度変化: vA mA -vA mB vA vA’ vB vB’ 3 2014/7/13 問20 A車の人の運動量変化 40 mvA 50 〔N・s〕 3 B車の人の運動量変化 20 mvB 50 3 〔N・s〕 F t p 2000 FA 0.10 3 FA 6.7 103 〔N〕 1000 FB 0.10 3 FB 3.3 103 〔N〕 A車の人の受ける力の方が大きい,A車の乗員の方が ダメージを受ける. 質問 ◆ 居室 L1号館5階、物理学研究室1 物理学研究室2 http://phys.clas.kitasato‐u.ac.jp/~sai/kougisiryou‐RE.html 2.13.1 仕事 • 力を加えて物体を動かす 物体に対して仕事をする 物体は仕事をされる • 仕事=力×力を作用させた距離 単位 〔J〕 :ジュール(=〔N・m〕 ) 2.13 仕事とエネルギー •仕事 •位置エネルギー •運動エネルギー •力学的エネルギー保存則 仕事:力方向と移動方向 • 物体にF〔N〕の力を加えx〔m〕動かす ただしθは力と移動方向のなす角 力の x 方向成分=F cosθ 物体のされた仕事=力のした仕事W〔J〕 W F x cos W Fx Fcos F x〔m〕 F〔N〕 θ x 4 2014/7/13 仕事の単位 • 仕事の単位 J(ジュール) 物体に1〔N〕の力を加え1〔m〕動かしたときの仕事 =1〔J〕 問21 以下の質問に答えよ (1).図(a)において,親子で力を合わせて物体をx〔m〕動か した.どちらのした仕事が大きいか.また,二人のした仕事 はそれぞれいくらか. 父のした仕事=F1x 〔J〕 子のした仕事=F2x 〔J〕 F1<F2 だから子供 車のされた仕事=(F1+F2)x 〔J〕 (2).図(b)では,人が倒れかけたタンスを支えている.人は 仕事をしているだろうか. • 熱量 1 cal≒4.2 J (1gの水を1℃上げるのに必要な熱量) 移動していないので仕事はしていない F×0=0 〔J〕 F1 F2 (3).A君とB君が図(c)のように物体に力を加えている.物体 がx〔m〕 動いたとき,誰がどれほどの仕事をしたか. B君 A君のした仕事=F1x 〔J〕 A君 B君のした仕事=F2×0=0 〔J〕 (4).A君とC君が図(d)のように物体 に力を加え,物体はx〔m〕動いた. A君は物体に対し仕事をしたか. C君は物体に仕事をしたか. F1 エネルギー:仕事をする能力 高いところにある物体は、落下することで 他の物体を動かすことが出来る x〔m〕 C君 A君 A君のした仕事=F1x 〔J〕 C君のされた仕事=F2x 〔J〕 車はA君から仕事をされC君に仕事をした (C君のした仕事=-F2x) エネルギーと仕事 動いている物体は、衝突することで 他の物体を動かすことが出来る F2 F x〔m〕 F1 F2 x〔m〕 *物体に仕事をするとエネルギーとして物体に蓄えられる 問22 2.13.3 重力の位置エネルギー “地表”からh〔m〕の高さにあるm〔kg〕の物体は”地表”に対して mgh〔J〕だけ大きな位置エネルギーを持つ • 重力 mg 〔N〕に逆らってh 〔m〕の高さ持ち上げる のに要する仕事=mgh〔J〕 物体の位置エネルギーとして蓄えられている h • 地球と物体は重力で引き合う h〔m〕落下: 重力のした仕事mgh〔J〕 摩擦が無視できる斜面(水平と30°)に沿って1000kgの 車を,元の位置から10m高い位置まで引き上げた。引き 上げるに要した仕事は何Jか,また,車の位置エネル ギーの増加は何Jか. W Fx F mg sin 30 4900 斜面の長さ=x 10 x 20 sin 30 mg sin 30 F W 4900 20 98000 h=10m 30° 9.8×104J mg 直接持ち上げるとき W mgh 1000 9.8 10 98000 mg 9.8×104J 5 2014/7/13 仕事の原理 運動エネルギー • • • • てこや斜面を使って仕事をするとき, → 力は小さくてすむが、移動距離は大きい → 要する仕事は同じ 速度の向きに力を加える続けると速度を増す 速度と反対向きに力を加え続けると減速する 力をある距離だけ加え続ける=仕事をする 仕事の分だけ変化する量=運動エネルギー 1/3mg 1 : 3 Lsin 3 1 v0 F F v mg sin mg mg W = mg Lsin 重力のする仕事と運動エネルギー 仕事と運動エネルギー • 一定の力 F 〔N〕でt 秒間加速後の速度v〔m/s〕 v0 • 加速度a=F/m F F v=at+v0より s〔m〕 v • 物体が重力で落下している h 1からh 2までの間に物体が重力によって された仕事=位置エネルギーの差 仕事=m g(h 1-h 2) = 運動エネルギーの増加 移動距離と加速度の関係に代入して h1 v1 h 1-h 2 h2 v2 • 物体がされた仕事=運動エネルギー増加 力学的エネルギー保存の法則 力学的エネルギー保存 v1 元の位置 エネルギー 元の運動エ ネルギー 落下後の位置 落下後の運動 エネルギー エネルギー • 力学的エネルギー = (重力の位置エネルギー) +(運動エネルギー) = 一定 • 重力のみが働く落下運動(自由落下,斜面)の途中におい て力学的エネルギーは常に一定 v2 h2 h1 下り坂:位置エネルギーが減る→運動エネルギーが増す 上り坂:位置エネルギーが増す→運動エネルギーが減る 6 2014/7/13 問23 力学的エネルギーの保存 問23 力学的エネルギーの保存 図のような抵抗などは無視できるジェットコースターがある. A地点: 運動エネルギー= 位置エネルギー= A地点での重力による 位置エネルギーを 0とする A地点を速さv0〔m/s〕でスタートし,高さH〔m〕のB地点を乗 り越えるのに必要な速さを力学的エネルギーの保存則から B 求める.ジェットコースターの質量をmとすると,A地点での C H/2 H 運動エネルギーは D A 1 2 mv0 である.B地点での速度を0とし 2 て,B地点での運動エネルギーは 0 ,位置エネルギー は mgH である. B地点: 運動エネルギー= 0 位置エネルギー= mgH 問23 力学的エネルギーの保存 1 m 02 0 2 mgH 1 2 mv0 2 mg 0 0 B 問23 力学的エネルギーの保存 力学的エネルギーの保存則から,A地点での速さv0をg,H 1 2 mvC 2 H mg 2 で表すと 2 gH である.また,同様に考えるとA地点から H/ 2 だけ高いC地点での速さは H D A 1 2 mv0 0 mgH 0 2 v0 ? 1 2 H mvC mg mgH 2 2 vC ? gH でありA地点で 1 の速さの 倍である.また,D地点に達したときの速さ 2 C H/2 は v0 である. 7
© Copyright 2024 ExpyDoc