四季だより33号H26.12

麗澤瑞浪の
四季だより
70.カイノキ(ランシンボク)
こうよう
黄葉している大
きな木をみたこと
がありませんか。
その木はカイノキ
発行
という中国原産の
麗澤瑞浪中学・高等学校 自然科学部
黄葉高木で 15m
第33号
2014年12月20日
~25mほどの高さになります。この木には面白い言
133.イチョウ(銀杏)
い伝えがあります。儒学の祖である孔子の死後、師を
いおり
イチョウの葉は夏には鮮や
最も尊敬していた子貢が墓に三年間小さな 庵 にとど
かな緑色に、そして秋には黄金
まって塚をつくり、楷の木を植えてその地を離れまし
色になり、やがてはらはらと散
た。それが世代を超えて受け継がれ現在、
「孔林」と
ってゆくのが印象的な樹木で
いう国家的遺跡になり儒学の精神を体現する象徴的な
す。原産地は中国の南東部で、
存在となりました。また、
ルーツは中生代・ジュラ期(1
このことから学問のシンボ
億5000万年以上昔)にまで
ルとされています。カイノ
遡ります。その後の氷河期に絶滅したと思われていま
キは、四季折々に見せる美
したが、中国南東部で氷河期を生き抜いてきたわずか
しい佇まい、特に、秋には
な種が、やがて日本に渡来して各地に広がりました。材
濃橙色に黄葉し、果実が赤褐色に熟す様子がすばらし
質もよく、木目が密で加工しやすいので、建築や彫刻に
いことで有名です。(水野)
こうりん
よく用いられています。
しゆういしゅ
イ チ ョ ウ は 雌雄異株
新.ミノウスバ
で葉の展開と同時に花
少しグロテスクな
がつきます。雄花は尾状
見た目をしたマダラ
で淡い黄色、雌花は緑色
ガの仲間です。幼虫は
で長い柄の先に裸の胚
生垣や庭によく植え
珠が2つ付きます。受粉
られているマサキの
ふうばいか
方法は風媒花(風で花粉を運ぶこと)です。最近は銀杏の
葉を主食とするため、害虫として駆除されることも多
実の臭気を嫌って雄株の接ぎ木苗が多くなったので、
いです。成虫は年に 1 回秋のみに出現します。昼行性
街路樹などでは雄株ばかりとなっており、雌花を見る
の蛾でマサキなどの日当たりがよい枝に集まり、交尾、
ことは少なくなってしまいました。
産卵します。触覚が太く、翅が半透明で腹部に鮮やかな
イチョウには耐寒耐暑性があり、所によっては暴風、
はね
オレンジ色の長毛が生えているのが特徴です。つつい
防火林として用いられています。さらに、水分を多く含
たりして刺激を与えると固まって死んだふりをします。
んでいることから、火の手が迫ってきたときに、イチョ
また、触覚を立て、ちょっとお尻を上げたポーズを取る
ウの木が水を噴いたという伝説も数多くあります。だ
ことが多いです。蛾を好きな人は少ないかもしれませ
んだんと寒くなってくるこの時期には、枯葉などを集
ん。しかし、蛾もよくよく観察してみるとかわいい挙動
めて焼き芋を作ったり、たき火をしたりする人も多く
をしていたりするので今度見かけた時は是非じっくり
いるのではないでしょうか。その時に、間違えてイチョ
眺めてみてください。
(田中)
ウの葉をたくさん入れてしまい、
「なんだか燃えにくい
参考文献・URL
なぁ…。
」なんてことにはならないように注意してくだ
日本野生植物館 奥田重俊 小学館
さいね。
(髙森)
http://www.hana300.com
注:植物名の前に記載した数字は、『麗澤瑞浪の樹木図鑑』の樹木ナンバー。『新』と書いてあるものは、新たに紹介する植物。