平成26年度 病害虫発生情報 第4号 平成27年1月16日 千葉県農林総合研究センター長 国内未記載種ハムシの発生 平成 26 年6月,農林水産省横浜植物防疫所から病害虫防除課に「千葉県内の公園に国内未記載種のハ ムシが発生しているおそれがある」との情報提供があった。病害虫防除課と横浜植物防疫所が現地調査を 行ったところハムシを発見し,同所による同定の結果,我が国において発生が未確認の Podagricomela weisei(和名:未命名)であることがわかった。 このため,病害虫防除課と横浜植物防疫所が,改めて平成26年6月と9月に県内のミカン産地5園と家 庭果樹栽培地4園で本虫の発生状況を調査したところ,千葉県北西部の家庭果樹栽培地2園において本虫 による葉の食害と樹皮下に潜む本虫を確認した。 発生が認められた園では,新葉等の柔らかい葉に食害が確認されたが,樹全体の葉が被害を受けるまで は至ってはいなかった。また,果実については未着果だったため被害を確認することはできなかった。 写真1 ハムシ(成虫)と葉の被害 写真2 樹皮下に潜んでいたハムシ(成虫) (撮影6月16日) (撮影9月12日) 国内未記載種ハムシ Podagricomela weisei の概要 和名: -(ハムシ科の一種) 学名: Podagricomela weisei Heikertinger 英名: 分布:中国 寄主植物:カンキツ属(Citrus spp.),カラタチ(Poncirus trifoveata) 形態: 頭部は黄褐色で上部付近は金属光沢のある緑色。触角は黒色で基節は黄褐色。体は長卵形。前 胸には強めの点刻が密に分布する。体長2.8-3.5mm。 生態: 成虫の寿命は約1年。1年間で1世代を経過する。成虫は寄主植物付近の土中または他の樹木 の樹皮の裂け目で越冬する。中国浙江省における発生経過は次のとおり。越冬成虫が3月下旬に 出現,4月頃産卵,4月中旬~5月中旬に幼虫による加害が見られ,5月頃蛹化の後,羽化,6 月上旬~翌春まで休眠・越冬。交尾は複数回行われ,卵は1個ずつ産みつけられる。葉の裏面先 端への産卵が最も多い。1雌あたりの平均産卵数は75.3卵。ふ化率は90%以上。ふ化後,幼虫は 若葉の内部に潜入して孔道を作りながら葉肉を食害し3齢を経て土中で蛹化する。蛹化場所は被 害樹の樹幹から半径1.3~1.6m,深さ約3cmの地点が最も多い。 被害 : 成虫はカンキツの種類にかかわらず,葉の裏面から表皮のみを残すように食害する。幼虫が 葉内に潜入して葉肉を食害する。幼虫の食害痕は表皮が残り,両面から虫体が透けて見える。 本虫については,引き続き植物防疫所と協力して調査を実施する予定であることから,生産園地におい て本虫による食害と疑われる葉を確認した場合は,病害虫防除課にご連絡ください。 写真3 ハムシ成虫(背面) 写真4 ハムシ成虫(腹面) ・病害虫発生予察情報はインターネットでもご覧いただけます。 http://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/nourin/boujo/ ・薬剤の選定については、最新の農薬登録情報を確認してください。 http://www.acis.famic.go.jp/searchF/vtllm000.html 問い合わせ先 農 林総 合 研 究セン タ ー病害虫防除課 〒266-0006 千葉市緑区大膳野町 808 TEL 043(291)6077 FAX 043(226)9107
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