バレイショにおけるより効率的な器内増殖システムの開発

平成18年度調査研究実績報告書
1.課題番号
2.中課題名
種苗生産(ばれいしょ)のコスト低減に係る技術の開発
3.小課題名
バレイショにおけるより効率的な器内増殖システムの開発
4.調 査 研 究 実 施 期 間
5.調 査 研 究 担 当 及 び 協 力 ・ 分 担 者 の 所 属 及 び 氏 名
平成18年度∼平成22年度 担
(
新
・
継
・
完)
当
嬬恋農場 調査研究チーム
協力・分担
下田 聡
6.調査研究の目的
網室栽培・基本栽培の高度代替え栽培技術である密植栽培は、無病・健全性は高い
が、必要苗数の確保に多大な労力がかかる。そのため必要苗数を確保するための効率
的な技術を開発する。
7.調査研究の方法
材料
供試品種:
ワセシロ
苗条育成:
MS培地+しょ糖3%+0.65%寒天、500mlマヨネーズビン
MT形成:
MS培地+しょ糖8% 、500mlマヨネーズビン
培養法
・マヨネーズビン1個当たり10本の苗条を1ヶ月マヨネーズビンで育成し、その後
MT形成培地を追加し、約2ヶ月暗所で培養した。
・通気培養はMT形成時に、約0.1vvm程度の通気量を2回滅菌フィルターに通
して器内に送り、苗を没しさせた液体培地(次亜塩素酸カリウム5ppm含有)を蒸
発させ、苗の8割が気相中に露出するまで液面を徐々に低下させた。
8.試験結果の概要・要約
通気による液面操作培養方法の容器当たりのMTの平均個数は54.4個、平均総
重量は14.98gとなり、標準培養方法のMTの平均個数17.2個、平均総重量
5.1gと較べてそれぞれ約3倍になり著しく増加した。これらはT検定で有意差が
認められた。
上記の結果から通気液面操作培養法は、MT生産をより効率的にすることが出来ると
考える。
今後はさらに培養室単位面積当たりの収穫MT個数・総重量の増加を目標に、大型培
養槽を想定した開発を行っていきたい。
9.主要成果の具体的データ
図1.調査装置概略図
図2.通気培養によるMT形成状況
100%
90%
80%
70%
60%
1.0g以上
0.5gー1.0未満
0.2−0.5g未満
0.2g未満
50%
40%
30%
20%
10%
0%
通気
標準
重量
通気
標準
個数
図3.培養方法とMT重量・個数分布
10.今後の問題
現在の種苗生産システムでは上記のような技術開発を行っても、コスト低減効果は
一部に限定される可能性がある。
11.次年度の計画
より効率的なMT・培養苗生産技術等の開発を行い、より低コストなシステムの検
討を行う。また種苗生産におけるコア技術については、特許等を取得するとともに、
ばれいしょの生産の振興及び適正な流通に資するため、積極的に農林水産省に提供す
る。
12.実用化に移し得る事項
小型容器による通気液面操作培養による効率的なMT生産
13.成果の発表等