平成 19 年度 調査研究実績報告書 1.課題名 種苗生産(ばれいしょ)のコスト低減に係る技術の開発 2.小課題名 バレイショにおけるより効率的な施設内生産技術の開発 3.調査研究実施期間:平成 18 年度 ~ 年 22 度 ( 新 ・ 継 ・ 完 ) 4.調査研究担当者及び協力・分担者の所属及び氏名 担当:嬬恋農場 調査研究チーム 下田聡 5.調査研究の目的 急速増殖技術等によりニーズに的確に対応した新品種の早期普及や培養系を活用 した新増殖体系の実用化のための効率的な種苗生産(ばれいしょ)システムの技術 を開発する。 6.調査研究の方法 材料 供試品種:デジマ・メークイン 養液栽培:NFT水耕(協和ハイポニカ 303 を改良して使用)、 培養液としてハイポニカ専用肥料、大塚ハウス肥料SA処方使用 栽培法 ・MTと同等のものから生育させた苗を栽植密度 20cm×20cm でベットに移植し、E C1.3 程度で管理し約6ヶ月間栽培した。 ・分離栽培は、根とストロンを板等によって分離し、茎がある程度に伸長した時に 地上部約 20cm を遮光し、苗の根だけを養液中に生育させストロンを伸長させ塊茎を 形成させた。 7.試験結果の概要・要約 NFT水耕による根とストロンの分離栽培での大塚ハウス肥料SA処方使用で は、総重量がデジマ 428.4g・メークイン 324.5gとなり、昨年度報告した湛液毛 管水耕(フィールド養液栽培システム)による根とストロンの分離栽培での大塚 ハウス肥料SA処方使用の総重量デジマ 272.3g・メークイン 167.6gよりそれぞれ 1.5 倍以上の収量となった。一方個数はメークインで約3倍の収穫個数となったが、 デジマでは約 1/2 倍の収穫個数となった。協和ハイポニカ専用の肥料と大塚ハウス 肥料SA処方を較べると、大塚肥料の方がパイポニカ肥料より個数・重量ともに著 しく収量が良かった。 これらより根とストロンの分離栽培法は、NFT水耕の方が湛液毛管水耕より優 23 れていることが示唆され、またこの方法では、昭和 62 年度に十勝農場で調査された 時のNFT水耕の問題点であった皮目肥大が見られなかった。そのためこの方法は、 MnT一斉収穫や収穫MnT貯蔵の簡素化等のより効率的な養液栽培の方法として 期待される。 8.主要成果の具体的データ 表1.栽培方法による株当たりのMnT形成状況 個数 総重量 g 大塚ハウス肥料SA 10.1 428.35 ** 処方 デジマ ハイポニカ専用肥料 8.6 48.44 大塚ハウス肥料SA メーク 処方 イン ハイポニカ専用肥料 38.8 * 14.5 平均重量 g 324.53 ** 98.50 51.60 ** 8.88 11.26 9.56 *、**はそれぞれハイポニカ専用肥料と1%、5%水準で有意差があることを示す。 図1.調査装置概略図 100% 80% 60% 40% 20g以上 10gー20未満 5-10g未満 5g未満 個数 重量(g) 個数 デジマ ハイポニカ 大塚 大塚 ハイポニカ 大塚 ハイポニカ 大塚 0% ハイポニカ 20% 重量(g) メークイン 図2.肥料種類による形成MnT重量・個数分布 図3.分離栽培によるMnT形成状況 9.今後の問題 現在の種苗生産システムでは上記のような技術開発を行っても、コスト低減効 果は一部に限定される可能性がある。培養系を活用した新増殖体系では、検定作 業の効率化・簡素化が技術的には可能であると考えられるので今後はその検討が 望まれる。 10.次年度の計画 国際ジャガイモセンター(CIP)等で、種イモ生産に有効であると昨年報告 された養液栽培の一種である噴霧耕栽培(Aeroponics)システムを用いて、当場 における従来の養液栽培方法と増殖率等の栽培効率を調査する。 また種苗生産における有用な成果については、積極的に特許等を取得する。 11.実用化に移し得る事項 養液栽培として根とストロンの分離栽培によるNFT水耕システムの利用 24
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