Group Seminar 2014/10/20 M.Mitamura 1 Li0.9Mo6O17 (LiPB) [6]‐1 典型的な擬一次元(Q1D) (//b)材料で、 t⊥に対するラッティンジャー液体の安定性の研究 3次元の結晶であるが、価電子帯は単位胞あたり 2つの平行なジグザグのMo‐O鎖に由来する 鎖は別れた面にあり、面の外のLiイオンから電子を受け取る 理論や経験によるとQ1D材料は十分に温度上げれば1Dを示し得る しかし、温度下げていくとt⊥によりフェルミ液体やCDWやSDWのような3Dを見せる 優れたフェルミ面のネスティングにより密度波はもっともらしい [4]‐4 フェルミ面のネスティングにもかかわらず、 LiPBが超伝導になるときだけ密度波を形成せず 3Dクロスオーバーを示す可能性を探る 4で報告されるSCが本当なら臨界場は パウリの限界をはるかに超える パウリの限界磁場3.1テスラのおよそ5倍 2 TightBindingとLDAの結果 [6]‐3 LDA [5]‐2 Tight Binding [7]‐1 LDA [9]‐1 LDA 計算によるとMo‐O鎖軌道は4つのバンド;常にEFより下のA,B、横切るC,D フェルミ面は擬一次元的だが、LDAでは分裂とねじれが見られる [6]‐6 LDA 3 LiPBの物性 [10]‐1 LiPBの物性は1980年代に初めて測定された 電気抵抗は高い異方性(//bが伝導容易軸) Li化学量論や無秩序を含むかもしれない TSC=のバリエーションがあるが、 T < 1.9Kで超伝導を観測 最近の研究は異方性を確かめているが、 その絶対値の値や異方性の比は異なっている ・・・試料の違いや測定手法の違いを反映している? 4端子法との違いモンゴメリ法 300Kでの抵抗率 b : c : a ~ 1: 2.5 0.4:6(2) (モンゴメリ法) [23] b : c ~ 1:4(3) (4端子法) [23] b : c : a ~ 1 : 50 : 4.5 [27] [27]‐3b [23]‐2 4端子法 [23]‐3 モンゴメリ法 4 抵抗率上昇と密度波の証拠 図1aは以前[10:Greenblatt]と最近[25:dos Santos, 26:Xu]の//b抵抗率上昇の結果 抵抗率はTmin ~ 26 Kまで金属的に下がり、以下では上昇 垂直方向も同じ温度で上昇 :現在、その起源は分かっておらず、 無秩序によるアンダーソン局在やCDW形成による単粒子ギャップによると言われる それらの仮説については何度も行われ、[22]は最も包括的な概要となっている 図1 5 無秩序仮説 X線回折により関連材料にはCDW見られるが、LiPBには見られない CDWやSDWの単粒子ギャップを見つけてきた低温光学分光も、LiPBでは6 K、1 meV まで見つけられない [17]‐1~3 図1(b)のBCS曲線から分かるようにTminにおけるCDW転移の平均場の説明による 期待されるギャップ(~8 meV)により、この知見は確かなようだ 一方で、現実の転位温度はt⊥で制御され、単鎖の平均場の温度(26K)よりもかなり小さくなりうる その結果、ギャップはかなり大きくなりうる 一方で、T=0Kの単鎖ギャップはラッティンジャー液体振動により小さくなり、 6 ギャップは予測よりも小さくなりうる アレニウス法によるとギャップは低温で1meVより小さく、光学分光では検出できてない バンドのゼーマン分裂がフェルミ面のネスティングを壊すから磁場はCDWやギャップを抑制 [26]‐2 クーロン相互作用による純粋な電子系のCDWを取り上げる必要があるが、 Bechgaardが不可能であるように、純粋な電子系のCDWはX線回折で観測は困難 7 ギャップ関数を説明できるCDW理論がない 磁化率測定が抵抗率上昇に影響を受けないというギャップがない兆候も無視しないとダメ [22]によると、測定する磁化率は正と負の取り消しを含むから、測定は変化に敏感 これがCDWに重くのしかかる CDWを示すから、LiPBがCDWを示さないのは顕著な特徴 それらの材料は平面で、平面が互いに120°で配向する3つのMo‐O鎖を含有するように、 より高い対称性をもつ CDWのQベクトルは3つのうちの2つと関連した擬1Dバンドにギャップを作る ミューオンスピン測定によるとLiPBにおけるSDWの可能性はない 8 ラッティンジャー液体(LL)の兆候 光電子分光によりLLのふるまい;EFに向かってのべき乗則が観測された LiPBはLLを研究する非CDWのQ1Dの典型:LL特有の単粒子スペクトル関数がわかるはず! 朝永ーラッティンジャー(TL)モデルは3つの特徴を示す ・波数積分のスペクトルはEFに向かって、指数αのべき乗則を示す ・波数分解のスペクトルは異なる速度vc,vsを持つ分散ホロンピークとスピノンエッジで構成 ・量子臨界(QC);スケールの不変性 スピン回転不変の相互作用の場合は次の理想形に従う [37]‐2 ; 不変スケール関数 k ; kFからの波数 ω ; EFからのエネルギー ν ; 速度の単位の定数 η ; η=(α‐1) 最初のARPESはCDWを避けるために200‐300Kの高温 しかし、比較するTLモデルは0Kであった ↓ スペクトルの質が向上&0でない温度での理論線形が可能になり、 0Kで減らされていたパラメーターの温度変化の効果を含められる!! 高温のARPESスペクトルも角度積分スペクトルから直接αとTで描写できる 9 [38]‐7はT=250Kでのバンドの スケッチとARPESデータ、 ‐ 8はデータとT=250K,α=0.9,vc/vs ごとの計算でvc/vs=2が最も合ってる ように見える [38]‐7,8 [39]‐6 [39]‐6は同様の比較をαで行い、 α=0.9がkF近くのホロンピークの落ちが近い [38]‐7はフェルミ端がある 10 [40]‐3 スペクトルは結晶成長法によらない →結晶法が起源であるという過去の主張を覆した [41]‐1 高エネルギーはよりバルク敏感 へき開面よりも2層下に鎖があり、 表面効果から守られている ;多くの超伝導ケプレートと同じ状態 11 [51]‐1 走査トンネル分光STSはLLの場合に重要 55K‐5Kまで、分解能は9meV;ギャップサイズと同等 高温ARPESより小さいαであるが、べき乗則を観測 光学分光と同様、測定温度範囲で抵抗上昇観測されず 表面効果からは守られている 低温への光電子分光の拡大はTLモデル予測の 不一致をもたらす 300K‐30Kの角度積分スペクトルはαが温度依存すれば TLモデルでよくフィットされる αの温度依存は高温の0.9から低温の0.6まで連続的 TLモデルでない 顕微理論によると、 単位胞に2鎖の2バンドを巻き込むクーロン相互作用が αの再規格化を引き起こす 12 量子臨界が見られるがTL予測を満たさない ABはEFに近づくが0.12eVよりは近づかない CDは同化して一緒にEFを横切る スペクトル関数のスケールが保持されると k/Tが不変だからkを温度ごとに選べば T‐ηA(k, ω, T)は温度から独立 EFでのスペクトル強度は、 ηが減ることで 温度依存因子の逆数がべき乗則を示す kFの温度依存をプロットすると、 スピノンエッジが一列に並ぶ ηはTLのαー1でなく、αを持つように見える 13 TSC直上の新しい光電子分光のデータ TSC近くの分光データはSTSの5Kのみで光電子分光も300K‐30Kだった →STSと比較できるように2つの光電子分光を行った 分解能が非常によく、低温STSとも直接比較できる 最低温4Kと5Kの2つの異なるARPESセットアップ @ALSのMERLIN hν=30eV、ΔE=12meV、SCIENTA R8000アナライザー 試料はb軸がアナライザーの角度方向を向くように P<8x10‐11Torrでへき開 偏光は電場ベクトルがb軸と垂直 フェルミ面マップはEF±6meVを足したもので作る 波数分解能は //slit(ΓーY)は0.01Å‐1、⊥slit(ΓーX)は0.03Å‐1 フェルミ面を形成する2つの鉛直線を観測 FSは分裂せず、直線的である 14 図4c STSや阪大のと比較のためにALSのARPESを積分する 図4ab フィッティングはTLモデルのvc/vs=2を用いている 分解能12meVでブロードになる 剰余(b)は本質的に滑らか α∼0.65の値は以前の30Kでの光電子分光結果と同等 STSによると、Tminの上下で顕著な違いはない 15 @阪大材料物理研 hν=10eV、ΔE=5meV、Scienta SES2002アナライザー 試料はb軸がアナライザーの角度方向を向くようにしてP<2x10‐10Torrでへき開 受容角度は±7°;0.11Å‐1at hν=10eV、ΓーYは0.57Å‐1;37°なので、 0°, 14°, 28°で測定してから足し合わせている SRの10倍くらい時間かかる ALSと同じTLモデルの計算を用いてフィッティング 金のスペクトルでは、フェルミ端α=0を予想したが、少しずれている;体系的誤差 T=4K,30Kで、B.E.~5meVで少しTLから偏差が見られ、4Kのが大きいが 30Kでも見られるから温度依存とは直接関係ない? 金にもこの特徴があるかも? これが本質的なのか体系的誤差なのかは不明 スペクトルは全体のエネルギースケールでの確認を見るだけにして、 5meVの分解能での構造の可能性の曖昧さととらえることにする [9]‐2b 新しいデータもα~0.65‐0.7という同じ値 STSによる値と同等で、 低温でのαの上昇かもしれない [9]‐3a 16 ARPESデータの現象論的説明 LiPBは1バンドTLモデル予測と少し違いがあり 温度前因子の指数や、温度低下によるシャープ化の違い;ホロンにスケールしないから 部分的には現象論的に説明できる! (αー1) でなくTαがTLスペクトル関数を積分する基本的な動機 T の変化を用いると 波数窓関数R(p/p0)、 図3b 定数因子1/vは になり、Atestは実験で観測できるTαを持つが、 でTがあるため、普遍関数ω/Tではない p0=0.065Å‐1を持つ規格化ガウシアンとなるようなRと低温のα=0.6を選ぶと 実験の前因子と矛盾せず、Bバンドが重要になるBEの説明ができる 強度に1/Tαをかけ、エネルギー軸をkBTにすると、 kFの曲線はエッジを落とすが、ピークは落ちない;実験で観測されたもの 低温でのEFより上のスケールエッジの偏差は、実験分解能による 17 図5 図2cを10倍したものとAtestの比較 途中(0.1‐0.12eVほど)まではよく一致 kFから離れるとBバンドのBE増加し 偏差は高BE(∼0.2eV)にシフト 現象学は一致はするけどαの値は出せない αを決める波数は広いけど、 現象学はkF近くでだけ使えるから 現象学は顕微モデルの置き換えにはならない ではこの現象学の意味とは??? ・もっとも単純な可能性は、波数がブロードになること 試料表面の質によってp0の値が分解能の5倍ほどになってしまっている 有限な波数分解能が重要であるにもかかわらず、相違の大きさがこの解釈を誤りとする ARPESのスケールするデータは、試料成長や表面準備技術の進歩で進化するかもしれない ・別の可能性は、本質的な物理をとらえていること 1バンドTLモデルが重要性の相互作用を逃しているのは明白 現象学は将来のためのガイド? 2バンドTLモデルでスペクトル関数を試したい 18 強靭な1次元物理 STSとARPESを組み合わせると少なくともTminまではLiPBはLLを示す 超伝導SCを持つべき3Dは如何にしてできるのだろうか?現時点では統一的な解はない 最近の議論は3Dクロスオーバーに注目が集まる 1Dが強靭で3DクロスオーバーはSCへの転位においてのみ生じるということを推測する そこでは、TSC以上では1Dに根ざした準粒子や密度波のない非フェルミ液体として振る舞う スピン三重項のようなパウリの限界よりはるかに高い臨界場を持つ型にはまらないSCの主張 LiPBの1Dは普通の1D理論では説明しきれない ;単粒子分光ではSTSとARPESはTSC以上でべき乗則を示す 4章で議論したように低温で5meVの分解能スケールの構造を持つかもしれないが、 そのスケールは58Kに対応し、抵抗上昇のTminや測定温よりはるかに高い 6Kの1meV(11.6Kに対応)での光学分光より、スケールはその程度になるかもしれない 赤外のドルーデの説明を用いても単粒子ギャップや抵抗上昇に伴う変化はない T=10K、エネルギー限界=6meVまで下げてもギャップはなく、赤外は非ドルーデ的 1meV以下のエネルギースケールを観測できる分光測定が必要だ! 19 抵抗上昇はクロスオーバーを示唆するが、 新しいギャップ関数やdc磁化率測定により 別の解釈も可能にさせる 図1 べき乗則はLLの量子臨界QCの特徴 [26]のデータは金属的な正の指数、 抵抗上昇の負の指数の2つのべき乗則で 説明できる bはアレニウス則によるこのフィッティングを示し、よく似ている 普通でないギャップ関数はべき乗則にアレニウスを突っ込んだ結果である 低温でのギャップは回転して確かに減少する この2つのべき乗則という考えは[25]で最初に用いられたが、クーロン力を無視していた 別の解釈は無秩序化によるアンダーソン局在 無秩序や局在はSCに相反するが、1Dにおける無秩序の感度の増加は TSCよりはるかに低いエネルギースケールでの無秩序をも可能にした なぜ全軸で同じ温度で上昇?なぜ静水圧が上昇を抑制?なぜ磁場で上昇が抑制? という予期せぬ問題が残る →ギャップは圧力や磁場に影響されるという仮説を立てたくなる ある方向への高磁場が上昇を抑制、1Dに高磁場かけると1.9Kより高い温度でSc転位する 20 t⊥の役割とエネルギースケールは? FSはまっすぐで分裂してなかった→CDW欠落の証拠? TSC以下でも適応されるメカニズム?現在の理論では難しいが不可能ではないので、 3つの可能性を議論する ・どんな輸送測定でも観測できてないが、TSCより大きいが分光では測定できないほど小さい 反対称スピンにおけるギャップの可能性 :そんなギャップは鎖間ホッピングの障壁となりt⊥を見当違いとさせ得る ・sliding Luttinger liquid(SLL)と呼ばれる可能性 たてのCDQが不安定になるようにパラメーターを調整しなくてはならず、 実際の材料に適用していいかという疑問が起こり、LiPBへの適用は困難 CDWが縦横のCDWにより抑制されるのに、変動はモデル計算より強靭であるので、 LiPBに対してSLL適用は面白そうである ・t⊥のスケールがTSCより小さいという可能性 LLがSCに直接クロスオーバーすることの決定的な理論は現在のところない 1D変動がt⊥(t⊥/t)α/(1‐α)でt⊥を抑制する LDAによるt~800meV、低温のα=0.6より、効果ホッピング0.22meVとなる;TSCと同等 この予測はαに敏感で、効果ホッピングは抑制されうるが、FSのデータは矛盾がない ARPESは鎖間のホッピングを測ることとFSの歪みと分裂の大きさをしることが目的 NMTO法を用いたLDAや傾斜法によりt⊥が詳細に特徴づけられている 強靭な1D性や、ひょっとしたら慣例的でないSCをLiPBに生むような電子状態を より詳細に得ることが望まれる 21
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