有機化学Ⅱ平常テスト②(2014.10.02)標準解答 Br Fischer 経路の E2

有機化学Ⅱ平常テスト②(2014.10.02)標準解答
1
次の分子の構造式⇒IUPAC 英名、和名⇒構造式の変換を示せ。(2)は、最も安定な conformer を描け。
(1)
CH3
(2) cis-1,3-ジクロロシクロヘキサン
C(CH3)3
(3) (3R,4R)-3-(1-ヨードメチル)-4-クロロヘプタン
CH2C(CH3)3
Br
CH(CH3)2
H
CH2I
(4S,5S)-5-bromo-4-(1,1-dimethylethyl)-2,2,5,6-tetramethylheptane
H
CH3CH2
(CH2)2CH3
H
Cl
Cl
← eq.-eq.で描くこと。最も安定な conformer と指定
Cl
2
されているので、ax.-ax.ではダメ。
A:1-ブロモプロパン,B:2-ブロモプロパン,C:2-ブロモ-2-メチルプロパンに対して、次の表のように各求核試薬を各
種条件で反応させた。SN1∼E2 反応を進めるための〔求核試薬〕と〔温度条件〕を書き入れよ。1 つの欄に入る
〔求核試薬〕は 1 つとは限らない。また、どの〔求核試薬〕と〔温度条件〕を用いても指定された反応が起きな
い場合は〔求核試薬〕欄に×を記入せよ。
〔求核試薬〕①1M KI in DMF,②1mM KI in DMF,③1M KOCH3 in CH3OH,④1mM KOCH3 in CH3OH
⑤1M KOtBu in tBuOH,⑥1mM KOtBu in tBuOH
〔温度条件〕(1)低温,(2)高温
SN1
臭化物
求核試薬
SN2
温度条件
×
A
①,②,④, (2)
B
求核試薬
E1
温度条件
求核試薬
E2
温度条件
①,②,③
(1)
×
①,②
(1)
②,④,⑥
④,⑥
求核試薬
温度条件
⑤
(1)
(2)
③,⑤
(1)
(2)
③,⑤
(1)
⑥
①,②,④, (2)
C
×
⑥
上記において、KI の I−は「良い求核剤」であるが Lewis 塩基性は殆どない。したがって、SN1 や SN2 反応を起
こす能力は高いが、E1 や E2 反応を起こす可能性は極めて低い。SN1 または SN2 欄中の②の反応は、1mM とい
う薄い濃度で行っているので単に遅くなるだけであり、薄い濃度にした意味が無い。次に、③や⑤の RO−は強
塩基性なのでA+③のときだけ SN2、その他のA+⑤,BorC+③or⑤は臭化物側ないし RO−側の立体障害によ
り E2 を引き起こす。E2 反応において、③は Fischer 経路が優先し、立体障害のため⑤は Hofmann 経路が優先
する(ここでは-CH3 しかないので議論しなくてよい)。tBuOH は立体障害が大きいので、SN1 欄中の⑥は立体
障害によって進みにくく、同様に E1 欄中の⑥も立体障害のためにやや遅い(Hofmann 経路が優先する)。②,
⑥,⑥は書かなくても正解とする。
3
(3R,4R)-3-ブロモ-3,4-ジメチルヘキサンを 1M KOCH3 の DMF 溶液中、0℃で反応させたときの主生成物を
与える反応式を示せ。反応式中の構造式は、Newman 投影式などを用いること。なお「反応式」は、物質収支
が取れていることが必要条件である(以下、この注意は略する)。
Br
CH3CH2
Fischer 経路の E2 が主反応である
CH3
CH3
+ KOCH3
CH3
CH2CH3
H
CH2CH3
C=C
CH3CH2
+ KBr + CH3OH
CH3