JBIA NEWS LETTER JBIA2014年度事業 『女性IMネットワーク形成』 国策と女性 先進諸国と較べると、わが国の女性の社会進出は圧 倒的に遅れが見られ、高齢化、少子化の中で労働力不 足が予測されているためか、今、国策として女性の団 体主要ポストへの登用あるいは起業の優遇措置等が叫 ばれている。 31期女性IM そのような折、2013 年度(一財)日本立地セ ンター主催のIM養成研修 で、女性の受講者が例年 になく多く、しかも女性 同士の積極的な結束が見 られた(写真右)ので、この動きを加速することによ り女性の起業に資する知見がIMから得られるのではな いかと考え「女性IMネットワーク」形成を構想した。 2014.8.12 第6号 中間報告 サミットの成果 サミットは本格的な女性IMネットワーク形成を目指 したプレ活動ではあるが、前述した拡大メンバーの希 望者と事務局の合計8名が参加し、成功裡に終了し た。(写真下) 沖縄の見学施設は、OGSとして広報されているの で詳報は省略するが、勉強会に当地を選定した理由 は、起業家育成において、通常は起業希望者にセミ ナー等で知識を授けるのみなのに対し、当施設では起 業の実践体験をさせており、この体験主導型を学ぶこ とにあった。 メンバーの交流が深まるに連れ、参加者同士お互い を良く知り合う点でネットワーク活動の効果があった 反面、女性の起業に対する関心度合いは様々であるこ とも判明した。更にネットワークの目的についても柔 軟性を望む意見が多く、性格的には何かを協働する場 というより、多くの事例に接し気付きを得る場に関心 があり、来年度は東京開催の意見でまとまった。 試行から事業へ そこでコアメンバーグループの事務局をJBIAが代行 し、推 薦 に よ り メン バ ー 増 加を 試 み た とこ ろ、メ ン バーが直接顔を合わせるリアルな会合の希望が寄せら れた。そこでわざわざ集まるならとセミナー開催を企 画し、アンケートにより開催地を検討した結果、那覇 市にある女性起業応援施設の運営を学ぶ傍らメンバー の交流を図ることが決まり、本年4月に「女性サミット in 沖縄」開催に漕ぎ着けた。この試行活動を基に女性 IMネットワーク形成を更に推進するべく2014年度の JBIA事業に本テーマを設定した。 『JBIA女性IM会員のポテンシャル』 サミットからの学びは上述のような顛末となり、女性なら同姓の起業に関心を抱くという思いは必ずしも賛同を 得られるとは限らないので、別なアプローチを模索するべくJBIA女性IM会員から先ずは基本的なデータを収集す るため簡便な方法でアンケートをすることにした。そしてアンケート設問設定に際し以下の疑問払拭を考慮した。 1.「女性」というくくりだけのIMネットワークは必要なのか。 2.「女性」と「男性」の違いはあるものの、その違いが女性起業者育成に有効なのか。 3.「女性」に優位性があるとして、それは一般的な事か、IMの個性に由来するものなのか。 必要性を感じない あるにこしたことはない 男性には理解されないことが多いので必要 女性の特性を生かし起業を促す上で必要 何はともあれ必要 <WIMソフトライン> サミットは自主参集によるメン バーにより試行的に実施された が、これをJBIA全女性IM会員 に拡大するため、69名の女性会 員からfaceook利用者45名を 抽出しSNSのグループを作成し た。この機能を利用し女性IMネ ットワークの意義についてアン ケートを実施した。左表横軸数 値は回答者の項目別%である。 『簡易アンケートの考察』 統計で結果を判断するには母数が45件と少なく、 しかも回答率は僅か31%の14件で厳しいが、回答者 は一般女性ではなく、IM研修を修了しさらに認定IM としてJBIA会員となっている知識・意識共に高い集 団であり、アンケートと呼ぶには簡単過ぎるかもしれ ないがそれなりの信頼度はあると判断される。 結果として極端な設問である1.5.の回答はさす がに0であり、設問2.への回答が圧倒的に多く「女 性の特性を生かす」という感覚的な表現なれどこの 言葉に今後注目すべき鍵があるように伺える。設問 3.への回答はもう少し多いと予想されたが意外に少 なかった。しかし、設問2.3.への追跡質問は今回 は実施せず、今後の課題としてある。総じてアンケー ト作成にあたり冒頭に掲げた疑問1.2.の回答は ネットワーク形成に肯定的と判断されるが、疑問3. (女性優位があるとしてそれは一般的かIMの個性か) に迫るため、回答者がどのようなバックグラウンドの 持ち主なのか、さらに分析を進めてみた。 『女性IM会員の就労実態』 IM研修を修了し、JBIA会員且つ女性認定IMとして登録されても、その後にIMとしての活動環境に恵まれ体験 を積まないと実力あるIMとは言えず、女性起業者輩出を目的にネットワークを形成しても知見を高めることにな らない。そこで会員の実態を調べてみた。年度初めに69名存在した女性IM会員は、本調査時点で60名に減少し ていたが、会員の内IM活動実施者は14名、その内主として女性の起業を担当しているのは僅か4名であった。 表ー1 就労実態別分類 表ー2 女性起業者育成者抽出 IM活動実施 BI事務職就労 産業関連就労 その他就労 『中間報告まとめ』 政府は女性の起業を増やすと簡単に報じている が、それが、就労人口を増やすことが目的なら、一 部少数の優秀な女性ではなく、多数を占める出産、 育児、家事、介護等を行う普通の女性が対象と解釈 される。そうなると起業に対する知識、経験は男性 を含めて一般的に低いのがわが国の事情であり、そ れ故にBI/IMの必然があるが、女性IMが感覚的にせよ アンケートで回答している女性の特性を生かす場つ くりのため、方式は別として女性IMネットワークに はより強い必然を感じる。 しかし前述のように60名も存在するJBIA女性IM 会員でも、女性の起業に関心を示し実践しているの は4名なので、女性という切り口や、母数の限られた 中でネットワークを呼びかけてもうまくいかないこ とが本事業のプレ活動で明らかになった。 元々JBIAはわが国に存在しなかったIMという職能 を粘り強く輩出してきた実績がある。女性起業者育 成増加も単に国が政策として提唱しているからと いうことではなく、普通の女性の起業拡大がわが国 に幸せをもたらすという合理的な理由が得られるな ら、困難があっても、再びゼロに近い状態から本事 業を遂行するのがJBIAの使命と考える。 調査で判った女性起業者に特化した会員活動の把 握は今後の事になるが、幸いなことに会員の中に起 業の各ステージで貴重な経験が蓄積されつつあるよ うなので、これらを一体化することで体系的なノウ ハウが完成すると仮定すると、これらの核を基にし て賛同者に呼びかけ希望者を募ることで意味のある 女性IM活動が構想されるが、それはいわゆるネット ワークというより研究会かもしれない。 本事業の後半は上述の結果に立脚して活動方向を 定める予定である。 本事業担当 星野
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