実力試験IV(2014年7月31日実施)

平成 26 年度
電気磁気学 I 及び演習
実力試験 IV (2014 年 7 月 31 日)
注意事項:・答には必ず計算過程を記述すること。
・答案用紙の裏も使用可能。
・問題ごとに別々の答案用紙に記入すること。
・クーロン定数 k 
1
を用いても良い。
4 0
問題 1 図 1 に示すように、電荷 Q をもつ半径 a の小さな導体球殻と、
これと同心で電荷-Q をもつ半径 b (>a)の大きな導体球殻とからなる
球形コンデンサーがある。以下の小問に答えよ。(25 点)
(1)
二つの導体球殻間(a<r<b)の領域の任意の点 r における電場 E をガ
ウスの法則を用いて求めよ。
(2) 二つの導体球殻間の電位の差 Va-Vb を求めよ。
(3) この球形コンデンサーの容量 C を求めよ。
(4)
この球形コンデンサーに蓄えられている静電エネルギー U を求め
よ。
図1
問題 2
問題1の説明図
図2に示すように、容量の異なる3つのコンデン
サー C1 , C2 , C3 ( C1  2C, C2  3C, C3  6C )からなる回路が
あり、C1にのみ電荷 Q0 が与えられている。ここでスイ
ッチ S を閉じると電荷の移動が起こり、最終的にコン
デンサー C1 , C2 , C3 の電荷がそれぞれ Q1 , Q2 , Q3 となった。
スイッチ S を閉じた後の以下の小問に答えよ。(25 点)
(1) コンデンサー C1 , C2 , C3 の電荷 Q1 , Q2 , Q3 を求めよ。
(2) コンデンサー C1 , C2 , C3 の電位差 V1 ,V2 ,V3 を求めよ。
(3) コンデンサー C1 , C2 , C3 に蓄えられる全エネルギーを U 、
スイッチ S を閉じる前にコンデンサー C1に蓄えられて
いたエネルギーを U 0 とするとき、比 U /U 0 を求めよ。
(4) (3)の比 U /U 0 は1に比べて大きいか小さいかをのべよ。
また、その理由を説明せよ。
図2
問題2の説明図
問題 3 図3に示すように、面積 A 、間隔 d の平行板コン
デンサーの極板間に比誘電率  、厚さ d / 2 の誘電体を挿入
し、極板に正負の電荷 Q0 を与えた。以下の小問に答えよ。
(25 点)
(1)
誘電体内の電場の大きさ E と誘電体がない(真空)
領域の電場の大きさ E0 を Q0 を含む式で表せ。
(2)
極板間の電位差 V とコンデンサーの容量 C を求めよ。
(3)
コンデンサーに蓄えられている静電エネルギー U を
求めよ。
(4)
極板から誘電体を抜き取った後のコンデンサーの静
図3
問題3の説明図
電エネルギーを U 0 としたとき、 U 0 は U より大きいか
小さいかを答えよ。またその理由を説明せよ。
問題 4 図 4 に示すように示すように、長さ L の正方形の
面と厚さ t を有する導体に直流電圧 V を印加したところ、
電 I 流が導体の断面を一様に流れた。以下の小問に答えよ。
(25 点)
(1)
導体内では、体積密度 n 、電荷量 q の電荷キャリアが
ドリフト速度 vd で移動する。ここで vd は易動度  と
電場の大きさ E を用いて、 vd   E と書ける。導体の
伝導率  を  を含む式で表せ。
(2)
導体を流れる電流 I および電流密度の大きさ J を、
,V を含む式で表せ。
(3)
導体の抵抗 R を求めよ。
(4)
導体で消費される電力 P を ,V を含む式で表せ。
図4
問題4の説明図
平成 26 年度
電気磁気学 I 及び演習の実力試験 IV 解答例
問題 1 (25 点)

(1) ガウスの法則より、 E  dA  4r E 
(2) 電位差は、 V  Va Vb  
(3) 容量は、 C 
2

a
b
Q
kQ
Q
 2 (6 点)
。したがって、 E 
2
0
4 0 r
r
E dr  kQ 
Q
ab

V k b  a 
a
b
1
1 1
dr
 b  a (7 点)
 kQ    kQ     kQ
2
 r b
a b
r
ab
a
(6 点)
Q 2 k b  a Q 2
(4) 静電エネルギーは、 U 

(6 点)
2C
2ab
問題 2 (25 点)
(1) C1 の電位差 V1 と C2 と C3 の合成電位差 V2+V3 は等しいので
V1 
Q1 Q1
Q Q
Q
Q

 V2  V3  2  3  2  3 ,
C1 2C
C2 C3 3C 6C
電荷は保存されるので Q1  Q2  Q0 。また、 Q2  Q3 より、 Q1  Q2  Q3 
Q0
. (6 点)
2
(2)
V1 
Q1 Q0 / 2 Q0


,
C1
2C
4C
V2 
Q2 Q0 / 2 Q0


, (2×3=6 点)
C2
3C
6C
V3 
Q3 Q0 / 2 Q0


.
C3
6C
12C
U 
Q1
Q
Q
Q / 4 Q0 / 4 Q0 / 4 Q0 6
Q
 2  3  0



 0 .
2C1 2C2 2C3
4C
6C
12C
4 12C 8C
(3)
2
2
2
2
2
2
2
2
(6 点)
(4)
2
U /U0 
2
2 1
Q0 Q0
/
   1. (4 点)
8C 2C 8 4
C1 から C2,C3 に電荷が移動する(電流が流れる)際に、ジュール熱や電磁波の放射が起こり、エネル
ギーが失われるから。(3 点)
問題 3 (25 点)
(1) ガウスの法則から、 E0 S  S /  0  Q0 S / 0 A  であるから、 E0  Q0 / 0 A  。
電束密度の連続、 D   0 E   0 E0 より、 E  Q0 / 0 A  。(4×2=8 点)
(2)
d
d
Q d Q0 d Q0 d  1  Q0 d   1 
V  E  E0  0


 1 

.
2  0 A 2 0 A 2 20 A     0 A  2 
2
C
Q0  2  A

0 . (4×2=8 点)
V   1  d
(3)
U
Q02 Q02   1  d   1  Q02 d
 

. (4 点)


2C 2  2  0 A  4  0 A
(4)
1 Q02 d
1
2
U

A
2
Q
1Q d
0
 2 
 1.
U0 

. であるから、 0 
2
U   1  Q0 d   1   1
2C0 2  0 A




 4   0 A  4 
2
0
2
0
ただし、   1 とする。(3 点)
よって、静電エネルギー U 0 は U より大きくなる。その理由は、誘電体を極板間から抜き取るとき誘
電体には引力が働き、元の位置に戻そうとする。誘電体を抜き取るためには、外力は仕事をせねばなら
ない。その仕事の分だけ静電エネルギーが増加する。(2 点)
問題 4 (25 点)
(1)
J  qnvd  qn E   E
(2)
V
V
J  qnvd  qn E  qn . I  JtL  qn tL  qnVt. (5×2=10 点)
L
L
(3)
R
(4)
V
I
および
P  RI 2 
より、   qn. (5 点)
I  qnVt より、 R 
1
. (5 点)
qnt
2
1
 qnVt   qntV 2. (5 点)
qnt