線型代数 II 演習問題(第12回) 学修番号 氏名 12. (1)2 次形式 f = 8x21 + 5x22 + 5x23 + 4x1 x2 + 4x1 x3 − 8x2 x3 を定める実対称行列 A を与えよ. (2)f の直交標準形を求めよ.また,そのときの直交座標変換を求めよ. (3)f は正定値であるか. 解答例 x1 8 2 (1)x = x2 , A = 2 5 x3 2 −4 2 −4 とすれば,f = txAx. 5 (2)A の固有多項式を計算する. x−8 −2 −2 −2 −2 x − 8 φ(x) = −2 x−5 4 x−5 4 = −2 −2 0 −x + 9 x − 9 4 x−5 x−8 −4 −2 x−8 = (x − 9) −2 x − 1 4 = (x − 9)(−1)3+3 1 −2 0 0 1 ゆえに固有値は 9(重複度 2),0(重複度 1). x−8 −2 −2 = (x − 9) −2 x−5 4 ③−② 0 −1 1 −4 = (x − 9)(x2 − 9x) = x(x − 9)2 . x−1 固有値 9 に対応する固有空間 V9 の正規直交基底を求める. ⟨ 1 −2 −2 1 −2 −2 2 2 ⟩ 9E − A = −2 4 4 → 0 0 0 より V9 = a1 := 1 , a2 := 0 . −2 4 4 0 0 0 0 a1 , a2 に対してグラム・シュミットの直交化を施す. 2 2 2 1 1 4 b1 = a1 = 1 , b2 = 0 − b1 = −4 .正規化して e b1 = √ 5 5 5 0 1 5 固有値 0 に対して同様に計算する. −8 −2 −2 1 5/2 −2 ②/(−2) 1 0 0E − A = −2 −5 4 → 0 18 −18 ① − 4 × ② → 0 1 1 2 2 1 b2 = √ −4 . 1 ,e 3 5 0 5 1/2 −1 0 0 −2 4 ⟨ −1 これより V0 = 2 2 −5 0 9 −9 ③−② 0 ⟩ −1 1 e ,基底を正規化して b3 = 2 を得る. 3 2 √ 6 2 − 5 √ 1 e b1 , e b2 , e b3 は R3 の正規直交基底であるから,それらを並べた P = √ 3 −4 2 5 は直交行列であ √ 3 5 0 5 2 5 9 0 0 y1 り,P −1 AP = 0 9 0 .直交座標変換 x = P y ,y = y2 により,直交標準形として f = 9y12 +9y22 0 0 0 y3 が取れる. (3)正でない固有値 0 をもつので正定値ではない. [別解] 例えば a3 = t[−1 2 2] ̸= 0(y = t[0, 0, 1])に対して f = 0 となるので正定値ではない. 線型代数 II 演習問題(第11回) 学修番号 氏名 11. 5 (1)実対称行列 A = −1 −1 −2 5 −2 を直交対角化せよ. −2 −2 2 1 (2)f (x) = 6 Ax は,x に対して,ある平面への正射影を与えることを説明せよ. 解答例 (1)固有多項式を求める. x−5 1 2 1 2 x − 5 φ(x) = 1 x−5 2 x−5 2 = 1 2 −2x + 12 x − 6 ③ − 2 × ② 2 x−2 0 x−5 x−5 5 2 1 2 = (x − 6) 1 x − 1 2 (第 2 列 + 2 × 第 3 列) x − 5 2 = (x − 6) 1 0 0 0 1 −2 1 5 3+3 x − 5 = (x − 6)(−1) 1 = (x − 6)(x2 − 6x) = (x − 6)2 x. 1 x−1 これより固有値は 6(重複度 2),0(重複度 1).固有空間を求める. ⟨ 1 1 2 1 1 2 −1 −2 ⟩ 6E − A = 1 1 2 → 0 0 0 より,V6 = a1 = 1 , a2 = 0 . 2 2 4 0 0 0 0 V6 の基底にグラム・シュミットの直交化を施すと, −1 −1 −2 −1 a 2 · b1 1 2 e b1 = a 1 , b2 = a 2 − b1 = 0 − 1 = −1 , b1 = √ 1 b1 · b1 2 2 0 1 1 0 固有値 0 に対しては, −5 1 2 0 −A = 1 −5 2 → 1 2 2 −2 0 1 0 −1/2 ①+5×② → 0 1 −1/2 −24 ①+5×② 1 −5 1 −1 1 e ,b2 = √ −1 . 3 1 ② → 0 1 −1/2 ①/(−24) 2 −6 ③−2×② 0 0 0 ③ + ①/2 ⟨ ⟩ 1 1 1 より,V0 = a3 = 1 .V0 の基底を正規化して e b3 = √ 1 . 6 2 0 0 0 2 1 1 1 − √3 √6 −√ 12 3 √ √1 √1 は直交行列であり,P −1 AP = R の正規直交基底 e b1 , e b2 , e b3 を並べた行列 P = − 2 3 6 √1 √2 0 3 6 6 0 0 0 6 0 . 0 12 2 −5 12 0 0 (2)f (e bj ) = e bj (j = 1, 2) より,f は V6 の点を動かさない.f (e b3 ) = 0 より,f は V0 を原点に移す. ⊥ R3 = V6 ⊕ V0 であり,この直交直和分解において x = w + w′ とするとき f (x) = w であるから,f (x) は x の平面 V6 への正射影である. 線型代数 II 演習問題(第10回) 学修番号 氏名 10. 1 0 0 1 a2 = 1 , a3 = 0 とし,v 1 = a1 とする. |a1 | 1 1 0 (1)ベクトル v 2 , v 3 で行列 P = [v 1 v 2 v 3 ] が直交行列となるものを一組求めよ. (a1 , a2 , a3 にグラム・シュミットの直交化を用いよ) (2)R3 の線形変換 f (x) = Ax は f (v 1 ) = −v 1 , f (v 2 ) = v 2 , f (v 3 ) = v 3 を満たすとする.行列 A 空間 R3 において,a1 = −2 , を求めよ. (3)f は直交変換であることを確かめよ. 解答例 (1)P が直交行列となるのは v 1 , v 2 , v 3 が正規直交基底になるときである.a1 , a2 , a3 にグラム・シュ ミットの直交化を施す. b1 = a1 , 0 1 1 1 −2 1 b2 = 1 − = // −2 1 1 , 6 3 0 1 1 1 0 1 1 −1 1 1 1 b3 = 0 − −2 − 1 = 0 6 3 2 1 1 1 1 単位ベクトルにして 1 1 v 1 = √ −2 , 6 1 1 1 v2 = √ 1 , 3 1 −1 1 v3 = √ 0 2 1 を得る. (2)AP = [−v 1 v 2 v 3 ] √ √ −1 2 − 3 √ 1 =√ 2 2 0 √ √ 6 −1 2 3 より,A = [−v 1 v 2 v 3 ]P −1 = [−v 1 v 2 v 3 ] tP 1 −2 1 4 4 −2 2 √ √ 1 1 √ 1 2 2 2 = 4 −2 4 = 2 √ 6 3 √ √ 6 −2 4 4 −1 − 3 0 3 2 −1 2 −1 2 2 (3)計算により tAA = E が確かめられるから,A は直交行列である.表現行列が直交行列であるから f は直交変換である. [別解] P ,Q := [−v 1 , v 2 , v 3 ] は正規直交基底をならべた行列であるから直交行列である.直交行列の逆行 列・積は直交行列であるから,A = QP −1 も直交行列である. ※ f は R3 において,平面 x1 − 2x2 + x3 = 0 に関する鏡映変換である. 線型代数 II 演習問題(第9回) 学修番号 9. 氏名 " (1)A = 1 (2)A = 5 1 −2 2 " 5 2 1 3 4 # に対し,exp tA を求めよ. # に対し, lim An を求めよ. n→∞ 解答例 2 (1)φ(x)" = x2 − 6x #+ 9 = (※) " (x − 3)# .固有値は 3(重複度 2). 2 2 1 1 3E − A = → .階数 1 であるから固有空間 V3 の次元は 2 − 1 = 1 であり,ジョル −2 −2 0 0 ダン標準形は J(3, 2) になる.2 次正則行列 P = [v 1 v 2 ] に対し P −1 AP = J(3, 2) となるのは Av 1 = 3v 1 , Av 2 = v 1 + 3v 2 と同値." # " # " −2 −2 −a 1 1 v 1 として固有ベクトル を取り,(A − 3E)v 2 = v 1 を解く. → 2 2 a 0 0 " # 1 となるから,任意の a に対し解が存在し,例えば a = 2 に対し v 2 = が取れる. 0 " # " # " # −2 1 3 1 0 1 P = と置くと,J = P −1 AP = = 3E + = 3E + J(0, 2). 2 0 0 3 0 0 J(0, 2)2 = O より exp tJ(0, 2) = E + tJ(0, 2).E と J(0, 2) は可換であるから, " # 1 t 3t 3t exp tJ = exp(t(3E + J(0, 2))) = (exp 3tE)(exp tJ(0, 2)) = e (E + tJ(0, 2)) = e . 0 1 " # " # " # 0 −1 −2 1 1 t 1 −1 3t よって exp tA = P (exp tJ)P = e 2 0 0 1 −2 −2 −2 " # " #" # " # 3t 3t 1 − 2t −2t −2 1 − 2t 0 −1 −2 + 4t 4t e e 3t = =e . = 2 2 2t 1 + 2t 2 2t −2 −2 −4t −2 − 4t −a a a/2 0 # [別解](※)から N = A − 3E とおくと,N 2 = O だから exp tN = E + tN .E と tN "は可換であるから# 1 − 2t −2t exp tA = exp(t(3E + N )) = (exp 3tE)(exp tN ) = e3t (E + tN ) = e3t . 2t 1 + 2t 1 (2)φ(x) = x2 − 65 x + 15 = 15 (5x2 − 6x + 1) = (x − 15 )(x − 1). " #(※)固有値は 5 , 1. " # " # 1 1 −1 1 1 −1 −1 ⟩. E−A= → .よって V 1 = ⟨ 5 5 5 −3 −3 1 0 0 " # " # " # 3 −1 1 −1/3 1 1 E−A= → .よって V1 = ⟨ ⟩. 5 −3 1 0 0 3 " # " # 1 −1 1 0 5 P = とすると,P −1 AP = .求める行列は, 1 3 0 1 # ! " # " 0 0 ( 15 )n 0 −1 n P =P P −1 lim A = lim P n→∞ n→∞ 0 1n 0 1 " #" # " # " # " # −1 1 0 0 3 −1 −1 −1 1 1 1 1 1 = = = . −4 −3 −3 4 3 3 1 3 0 1 −4 −1 −1 [別解](※)から,xn = (x − 1)(x − 15 )Q(x) + cx + d とすると,1 = c + d,( 15 )n = c 5 + d.これより 1 5 c = 45 (1 − ( 15 )n ),d = 54 (( 15 )n − 15 ).n → ∞ のとき c → 54 ,d → − 14 であるから,An → A − E = 4 4 " # 1 1 1 . 4 3 3 線型代数 II 演習問題(第8回) 学修番号 氏名 " 8. (1)行列 A = 1 1 −1 −1 3 (2)行列 A = 1 # のジョルダン標準形 J および J = P −1 AP となる正則行列 P を求めよ. −1 0 1 1 −1 0 のジョルダン標準形 J および J = P −1 AP となる正則行列 P を求めよ. 2 解答例 x−1 −1 (1)A の固有多項式は φ(x) = |xE − A| = = x2 .よって固有値は 0(重複度 2). 1 x+1 " # " # −1 −1 1 1 まず固有空間 V0 を求める.行基本変形により 0E − A = → となるから,V0 の 1 1 0 0 " # −1 基底として v 1 = が取れる.(0E − A)2 = O であるから,rank(0E − A) − rank(0E − A)2 = 1 で 1 " # " # −1 −1 −1 ある.(A − 0E)v 2 = v 1 となる v 2 を一つ求めると,v 2 = が取れる.P = [v 1 v 2 ] = 0 1 0 " # 0 1 とすると,求めるジョルダン標準形は J = P −1 AP = . 0 0 x−3 1 0 (2)φ(x) = −1 x−1 0 1 −1 x−2 (x − 2)3 .固有値は 2(重複度 3). −1 1 行基本変形により 2E − A = −1 1 x−3 1 3+3 = (−1) (x − 2) −1 x−1 0 1 −1 0 = (x − 2)(x2 − 4x + 4) = 0 → 0 0 0 となるから,固有空間 V2 は x1 − x2 = 0 1 −1 0 0 0 0 の解空間で,dim V2 = 3 − rank(2E − A) = 2.これより固有値 2 のジョルダン細胞は 2 個なので,ジョルダ ン標準形は(ジョルダン細胞を並べる順序を除いて)J = J(2, 1) ⊕ J(2, 2) である. (※参考.(2E − A)2 = O であるから最小多項式は (x − 2)2 であり,よって固有値 2 のジョルダン細胞のサイズの最大は 2. ) 正則行列 P = [v 1 v 2 v 3 ] に対し条件 J = P −1 AP は,[Av 1 Av 2 Av 3 ] = [2v 1 2v 2 v 2 + 2v 3 ] と同値で ある. a 1 −1 0 a v2 ∈ V2 から v 2 = a とおける.(A − 2E)v 3 = v 2 を解く.[A − 2E|v 2 ] = 1 −1 0 a −1 1 0 b b 1 −1 0 a → 0 0 0 0 ② − ① 解を持つ条件は a + b = 0.たとえば a = 1, b = −1 とおいて,v 2 = 1 0 0 0 ③+① a+b 1 (※別解.(2E − A)x ̸= 0 であるが (2E − A)2 x = 0 1 とすると,特殊解として v 3 = 0 が取れる. −1 0 1 1 となるベクトルを任意に一つとると,v 3 = 0 が取れる.v 2 := (A − 2E)v 3 = 1 とする. ) 0 0 2 −1 0 0 1 1 v 2 と 1 次独立な V2 のベクトルを一つ選んで v 1 = 0 とすると,P = [v 1 v 2 v 3 ] = 0 1 0 , 1 1 −1 0 2 0 0 −1 J = P AP = 0 2 1 . 0 線型代数 II 演習問題(第7回) 学修番号 7. 氏名 −6 (1)A = −3 6 5 2 3 の各固有値に対し,一般固有空間の次元と一組の基底を求めよ.一般固有空 −5 6 4 間分解の具体形を求めよ. (2)正則行列 P を見つけて P −1 AP が上三角行列になるようにせよ. (参考:定理 19.1.対角化と同様 に固有ベクトルを並べて基底を作っていくが,足りない部分は一般固有空間のベクトルをうまく補う) 解答例 x+6 −6 (1)φ(x) = |xE − A| = 3 x−2 5 −6 1 0 −1 = (x + 1) 3 x − 2 −3 = (x + 1) 5 −6 x−4 x+1 0 −x − 1 ① − ③ x−2 −3 −3 = 3 −6 x−4 x−4 5 1 0 0 3 x−2 0 (第 3 列+第 1 列)= (x + 1)2 (x − 2). 5 −6 x+1 −5 以上より固有値は −1(重複度 2),2(重複度 1). まず,(−E − A)x = 0 の解空間を調べる.行基本変形により, 5 −6 −5 1 −1 −1 ②/3 1 −E − A = 3 −3 −3 → 5 −6 −5 ① → 0 −1 −1 0 0 −1 0 ②−5×① 0 −6 −5 0 0 0 ③−① 1 0 −1 ①−② → 0 1 0 −② . 0 0 0 階数 2 だから解空間の次元は 3 − 2 = 1 であり,重複度(一般固有空間 W−1 の次元)より小さい.よっ て,次に (−E − A)2 x = 0 の解空間を調べる.行基本変形により, −18 18 18 1 −1 −1 (−E − A)2 = −9 9 9 → 0 0 0 は階数 1 なので解空間は,次元が 3 − 1 = 2 であ 5 −18 18 18 0 0 0 1 1 り,W−1 と一致する.一組の基底として,w1 = 1 ,w2 = 0 を取れる. 0 1 8 −6 −5 1 0 −1 ②/3 固有値 2 に対しては 2E − A = 3 0 −3 → 8 −6 −5 ① 1 0 → 0 −6 0 −6 −1 3 ②−8×① 3 ③−5×① 以上より C 3 = W−1 ⊕ W2 = ⟨ −6 1 → 0 0 1 1 , 0 −1 2 1 −1/2 .よって W2 の基底として w3 = 1 が取れる. 0 0 2 1 2 0 ⟩ ⊕ ⟨ 1 ⟩ と直和分解される. 0 1 5 −2 5 −6 −2 2 (2)一般固有空間をそれぞれ上三角化する. (1)の −E − A の行基本変形の結果より,固有空間 V−1(1 次元)の基底として w2 が取れ,これを延長して W−1 の基底として w2 , w1 を取れる.P = [w3 w2 w1 ] = 2 1 1 2 0 a 1 0 1 とおくと,P は基底を並べた行列であるから正則で,P −1 AP = 0 −1 b (a, b, c は 2 1 0 0 0 c 定数)となり上三角行列になる. (a, b, c の値は必要ないが,a = 0, b = 1, c = −1 である. ) 線型代数 II 演習問題(第6回) 学修番号 氏名 6. −5 2 10 (1)A = −6 3 10 は対角化可能か判定し,対角化可能なら P −1 AP が対角行列になる正則行列 −3 1 6 P を一つ求めよ. " # a2 − a a + 1 (2)A = が対角化可能となるための定数 a の条件を求めよ. 0 2 解答例 (1)まず固有多項式を求める. x+5 0 −2 −10 x − 1 |xE − A| = 6 x−3 x − 3 −10 = 6 3 3 −1 −1 x−6 1 0 0 0 −2 1 = (x − 1) 6 x − 3 −10 = (x − 1) 6 x − 3 2 3 3 −1 x −1 x−6 −2x + 2 ① − 2 × ③ −10 x−6 x−3 (第 3 列 + 2 × 第 1 列)= (x − 1) −1 2 x = (x − 1)(x2 − 3x + 2) = (x − 1)2 (x − 2).よって固有値は 1(重複度 2),2(重複度 1). 6 −2 −10 −3 1 5 −③ 固有値 1 に対しては,行基本変形により,E−A = 6 −2 −10 → 0 0 0 ② − 2 × ③ とな ①−2×③ x1 x1 1 0 るから,x2 を用いて x1 , x3 を表すと V1 の要素は x2 = 3x1 − 5x3 = x1 3 +x3 −5 と表せ x3 x3 0 1 1 0 7 −2 −10 る.よって V1 の基底として 3 , −5 が取れる.固有値 2 に対しては,2E−A = 6 −1 −10 → 0 1 3 −1 −4 1 0 −2 ①−2×③ 1 0 −2 1 0 −2 → → となるから, 6 −1 −10 0 −1 2 ② − 6 × ① 0 1 −2 −② 3 −1 −5 0 0 0 −1 −4 0 −1 2 ③−3×① 0 0 0 ③−② x1 2x3 2 2 x2 = 2x3 = x3 2 .よって V2 の基底として 2 が取れる. x3 x3 1 1 固有空間の次元の和が全体の次元 3 に一致するから A は対角化可能である.固有空間の基底を並べて 1 0 2 1 0 0 P = 3 −5 2 とすれば,P −1 AP = 0 1 0 . 3 0 1 1 0 0 2 ※ rank(A − E) = 1 がわかった時点で,対角化可能であることは言えている.なぜか. (2)上三角行列であるから固有値は重複度を込めて対角成分と等しく,a2 − a, 2.重複度が 2 以上とな るのは a2 − " a = 2 すなわち a = −1,#2 のときであり,このとき固有値は 2(重複度 2).固有空間を求める. −a2 + a + 2 −a − 1 2E − A = .a = −1 のときこれは零行列であるから固有空間 V2 は 2 次元となり 0 0 固有空間の次元(の和)が全体の次元 " # 2 に一致するから,対角化可能. 0 −3 a = 2 のとき 2E − A = .この階数は 1 だから固有空間の次元は 2 − 1 = 1 となり,固有空間 0 0 の次元(の和)が全体の次元と一致せず,対角化不可能. a ̸= −1, 2 のときは,相異なる固有値を持つから固有空間の次元の和が全体の次元と一致し,対角化可能 である. 以上をまとめると,対角化可能となる条件は,a ̸= 2. 線型代数 II 演習問題(第5回) 学修番号 氏名 5. 2 0 1 0 0 3 (1)行列 A = 0 2 2 の最小多項式を求めよ. 0 0 3 (2)(1)の A について,An (n = 1, 2, . . .) を求めよ. 2 1 0 (3)行列 A = 0 2 0 の最小多項式と各固有空間の一組の基底を求めよ. 解答例 x−2 (1)まず A の固有多項式 φ(x) を求める.φ(x) = |xE −A| = 0 0 最小多項式 m(x) は,φ(x) と根が共通で,φ(x) を割り切るから, 0 x−2 0 = (x−2)2 (x−3). x−3 −1 −2 (x − 2)(x − 3) | m(x) | (x − 2)2 (x − 3) である.これより m(x) は(最高次の係数は 1 であるから)(x − 2)(x − 3) または (x − 2)2 (x − 3) のいずれ かに等しい.次数の小さい方から,x に A を代入して O になるかどうかを確かめる.(A − 2E)(A − 3E) = 0 0 1 −1 0 1 0 0 2 0 −1 2 = O であるから,最小多項式は (x − 2)(x − 3) である. 0 0 1 0 0 0 (2)xn = (x − 2)(x − 3)Q(x) + cx + d と表して x = 2, 3 を代入すると 2n = 2c + d,3n = 3c + d.これよ 2 0 1 1 0 0 り c = 3n − 2n ,d = 3 · 2n − 2 · 3n .x に A を代入して,An = cA + dE = c 0 2 2 + d 0 1 0 = 2c + d 0 0 0 c n 2 = 2c + d 2c 0 0 3c + d 0 0 n 2 0 3 −2 n n 0 0 3 0 0 1 2 · 3n − 2n+1 . 3n x−2 −1 0 (3)A の固有多項式は φ(x) = |xE − A| = 0 x−2 0 = (x − 2)2 (x − 3). 0 0 x−3 (1)と同様に,最小多項式 m(x) は (x − 2)(x − 3) または (x − 2)2 (x − 3) のいずれかに等しい. 0 1 0 −1 1 0 0 −1 0 (A − 2E)(A − 3E) = 0 0 0 0 −1 0 = 0 0 0 ̸= O であるから,m(x) ̸= 0 0 1 0 0 0 2 (x − 2)(x − 3).よって m(x) = (x − 2) (x − 3) である. 0 0 0 0 −1 0 固有値は 2 と 3 である.2 に対する固有空間 V2 は,行基本変形により 2E − A = 0 0 0 0 0 −1 0 1 0 1 → 0 0 1 とできるから,V2 の基底として基本解 0 が取れる. (※重複度 2 だが固有空間は 1 0 0 0 0 次元) −1 −1 0 1 0 0 0 固有値 3 に対しては,3E − A = 0 −1 0 → 0 1 0 とできるので V3 の基底として 0 0 が取れる. 0 0 0 0 0 1 線型代数 II 演習問題(第4回) 学修番号 氏名 " 4. (1)A = 0 2 2 −3 # の固有値とそれに対する固有ベクトルを求めよ. −1 1 1 (2)A = 0 1 2 の各固有値に対して,重複度と,固有空間の次元と基底を求めよ. 0 2 1 解答例 (1)まず A の固有多項式 φ(x) を計算する. x −2 φ(x) = |xE − A| = = x(x + 3) − (−2)(−2) = x2 + 3x − 4 = (x − 1)(x + 4). −2 x + 3 固有値は φ(x) = 0 の解であるから,x = 1, −4. 固有値 1 に対する固有ベクトルは,同次連立一次方程式 (A#− E)x = 0 の自明でない解である. " # " " # 1 −2 1 −2 ① x1 行基本変形により E − A = → となるので,解は = −2 4 0 0 ②+2×① x2 " # " # " # 2x2 2 2 = x2 .よって固有値 1 に対する固有ベクトルは x2 (x2 は 0 でないスカラー). x2 1 1 " # " # −4 −2 1 1/2 −②/2 と 同様に,固有値 −4 に対する固有ベクトルは,−4E − A = → −2 −1 0 0 ①−2×② " # " # " # " # x1 − 21 x2 − 12 − 12 = なるので,解は = x2 .よって固有値 −4 に対する固有ベクトルは x2 x2 x2 1 1 (x2 は 0 でないスカラー). " # 1 ※もちろん x1 (x1 は 0 でないスカラー)などとしてもよい. −2 x+1 −1 −1 x−1 (2)A の固有多項式を計算すると,|xE − A| = 0 x−1 −2 = (x + 1) −2 0 −2 x−1 (x + 1)(x2 − 2x − 3) = (x + 1)2 (x − 3).よって固有値は −1(重複度 2)と 3(重複度 1). 固有値 −1 に対する固有空間 V−1 は,(−E − A)x = 0 の解空間である.行基本変形により 0 −1 −1 0 1 1 −① x1 −E − A = 0 −2 −2 → 0 0 0 ② − 2 × ① となるので,解は x2 = −2 x−1 = x1 −x3 = x3 0 −2 −2 0 0 0 ③−2×① x3 1 0 1 0 x1 0 + x3 −1 .よって V−1 は 2 次元で,基底として 0 , −1 を選べる. 0 1 0 1 固有値 3 に対応する固有空間 V を同様にして求める. 3 4 −1 −1 1 −1/4 −1/4 ①/4 1 0 −1/2 ① + (1/4) × ② 3E − A = 0 2 −2 → 0 → 0 1 . 1 −1 ②/2 −1 0 −2 2 0 0 0 ③ + ×② 0 0 0 x1 x3 /2 1/2 1/2 これより解は x2 = x3 = x3 1 .よって V3 は 1 次元で,基底として 1 を選べる. x3 x3 1 1 ※もし固有空間を求めようとして 0 しか解が出てこなかったら,固有多項式の計算を間違っている可能性 が高いです.固有多項式の解に対しては,必ず 1 次元以上の固有空間が対応します. ※ φ(x) = |A − xE| とする流儀もあります.奇数次のとき (−1) 倍になるだけです. 線型代数 II 演習問題(第3回) 学修番号 氏名 " 3. (1)線形変換 f : R → R は,f ( 2 2 2 1 # " )= 関する)f の表現行列 A を求めよ. " (2)(1)において,R2 の基底 B : b1 = 0 0 1 0 # " ,f ( # 0 " , b2 = 1 2 1 求めよ.また f の階数はいくらか. # " )= 2 # を満たすとする. (標準基底に 1 # をとる.B に関する f の表現行列 B を " 1 −2 # −1 2 (3)V = W = R として,線形写像 f : V → W は f (x) = Ax,A = であるとする.f " # 1 0 の表現行列が B = となるような V の基底 B : v 1 , v 2 と W の基底 C : w1 , w2 を,1 組求めよ. 0 0 (V = W であるが,ここでは基底を別々に選んでよいことにする) 2 解答例 (1)A が標準基底に関する f の表現行列であるとは,[f (e1 ) f (e2 )] = [e1 e2 ]A のことである.このと き,x = x1 e1 + x2 e2 に対し,f (x) = x1 f (e1 ) + x2 f (e2 ) = [f (e1 ) f (e2 )]x = [e1 e2 ]Ax = EAx = Ax で あるから, # " # " # f は行列 " # A の左からの掛け算に他ならない. " # " # " 0 1 2 2 1 0 2 2 = ,A = より,A = を解いて, A 0 0 1 1 0 0 1 1 " #" #−1 " #" # " # 0 2 2 1 0 2 0 1 2 −4 A= = = . 0 1 1 0 0 1 1 −2 1 −2 " # " # 1 0 ) ,f ( ) を 1.(2)の方法で計算してもよい. ※ f( 0 1 " # " # " # " #" # 0 2 1 2 1 x =x +y となる x, y を求める.右辺は に等しいから, 1 1 0 1 0 y " # " #−1 " # " # " # " # x 2 1 0 1 0 2 = = .よって x = 1,y = −2 であるから,f ( ) = f( )− y 1 0 1 −2 1 1 " # " # " # 1 −4 2 −4 2f ( )= .よって,[f (e1 ) f (e2 )] = [e1 e2 ]A より A = . 0 −2 1 −2 " # " # " # " # 0 2 1 −4 ※気付けば f ( ) = f( ) − 2f ( )= からいきなり求めてもよい. 1 1 0 −2 " (2)f (b1 ) = b2 = 0b1 + 1b2 ,f (b2 ) = 0 = 0b1 + 0b2 であるから,B = ら rank f = 1. ※今は一次結合にすぐ表せたが,P = [b1 b2 ] = " 1 2 0 1 0 1 0 0 # .階数は 1 であるか # として,B = P −1 AP を計算してもよい. (3)表現行列の条件は,f (v 1 ) = w1 ,f (v"2 ) =#0 である. 1 v 2 は ker f に属するから,v 2 として例えば が取れる. 1 これを適当に基底に延長する.v 1 としては v 2 と平行でないベクトルを選べばよいから,例えば " # " # 1 0 を取る.すると w1 = f (v 1 ) = .これを適当に基底に延長して,例えば w2 = . −2 1 これらは基底であり,表現行列の条件を満たす. " 1 0 # 線型代数 II 演習問題(第2回) 学修番号 氏名 " 2. (1)f : R → R を直線 y = −x に関する対称移動とする.f ( 2 2 1 0 # " ), f ( 0 1 # ) を求め,f (x) = Ax となる行列 A(f の表現行列)を求めよ. 3 −2 3 (2)行列 A = 1 −1 2 として,線形変換 f : R3 → R3 を f (x) = Ax で定める. −2 −1 5 核 ker f の次元と一組の基底を求めよ. (3)(2)の f に対して,像 im f の次元と一組の基底を求めよ. 解答例 " (1)f ( 1 0 # " )= 0 −1 # " , g( 0 1 # " )= −1 0 # " である.これらを並べて,表現行列は 0 −1 −1 0 # . ※次のように表現行列を計算する方法もある. 点 P (x1 , x2 ) が直線 y = −x に関して対称な点を Q(y1 , y2 ) とすると,P Q の中点が直線上にあることか −−→ ら (x2 + y2 )/2 = −(x1 + y1 )/2,P Q が直線と直交することから (y1 − x1 ) − (y2 − x2 ) = 0.これらを整 理すると y#1 = −x2 , y2 = −x1 .行列表示すると " # y"1 + y2 = −x # 1" − x2#,y1 − y2 = x1 − x2 であるから, " y1 0 −1 x1 0 −1 = .以上より表現行列は . y2 −1 0 x2 −1 0 (2)ker f は連立 1 次方程式 Ax = 0 の解空間に他ならない.行基本変形により 3 −2 3 1 −1 2 ② 1 0 −1 ① + ×② A = 1 −1 2 → 0 1 −3 ① − 3 × ② → 0 1 −3 −2 −1 5 0 −3 9 ③+2×② 0 0 0 . ③+3×② 1 階数は 2 であるから解空間は 3 − 2 = 1 次元で,ker f の基底として 3 が取れる. 1 (3)像は A の列ベクトルで張られる空間に他ならない.像の次元は階数に等しいから 2. 行基本変形で,列ベクトルの 1 次関係式は変わらないから, (2)の結果より A の第 1 列と第 2 列は一次独 3 −2 立で第 3 列はそれらの一次結合として表せるので像の基底になる.よって,基底として 1 , −1 −2 が取れる. −1 線型代数 II 演習問題(第1回) 学修番号 氏名 " 1. 1 # (1)平面の原点を中心とする 45 度回転(反時計回り)を f で表すとき,f ( ) を求めよ. 1 " # " # " # " # " # 3 1 5 1 1 2 2 (2)f : R → R が線形変換であり,f ( )= ,f ( )= のとき,f ( ) を求 2 2 3 3 0 めよ. # # " " x x 2 2 (3)f : R → R を f (x) = と定義し,g : R → R を g( ) = 2x − y と定義する. 2x y 合成写像 h = g ◦ f を具体的に求めよ. 解答例 " (1) 1 1 # " √ = 2 3 2 " # cos π4 sin π4 " 5 3 # " ( π4 ◦ = 45 )であるから,f ( # " 1 0 " # √ )= 2 1 1 " cos sin π 4 π 4 # # " + π4 0 = √ . + π4 2 # (2)まず と の 1 次結合として を表す. " # " # " # " # #" # 1 3 5 1 3 5 x =x +y とすると, = . 0 2 3 0 2 3 y " # " #−1 " # " #" # " # x 3 5 1 −3 5 1 −3 これより = = = . y 2 3 0 2 −3 0 2 " # " # " # 1 3 5 よって, = −3 +2 . 0 2 3 " # " # " # " # " # " # " # " # 1 3 5 3 5 1 1 −1 f( ) = f (−3 +2 ) = −3f ( ) + 2f ( ) = −3 +2 = . 0 2 3 2 3 2 3 0 " (3)h は R から R への写像で,h(x) = g(f (x)) = g( " ※ f (g(x)) = 2x − y 4x − 2y x 2x # ) = 2x − 2x = 0(零写像). # とは異なる. ※参考までに, " f, g,#h が単射であるか,全射であるかを調べ,核を求めてみよう. " # x y x ̸= y なら ̸= であるから,f は単射である. 2x 2y " # " # 1 0 g( ) = 0 = g( ) であるから,g は単射でない. 2 0 h(1) = 0" = h(0) # であるから,h も単射でない. 1 f (x) = となる実数 x は存在しないから,f は全射でない. 0 " # 0 任意の実数 a について,例えば g( ) = a であるから,g は全射である. −a h は恒等的に 0 だから h(x) = 1 となる実数 x は存在しないので,全射でない. 以上より,単射なものは f ,全射なものは g である. " # " # 0 1 f (x) = (= 0) となるのは x = 0 のときだから,ker f = {0} である.同様に,ker g = ⟨ ⟩, 0 2 ker h = R.
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