第6学年1組 国語科学習指導案 指導者 1 単元名 宮沢賢治の作品を読み,その作品の魅力を友達に紹介しよう 教材名 「やまなし」資料〈イーハトーヴの夢〉 (光村図書 6年下)他 2 単元を貫く言語活動とその特徴 本単元を貫く言語活動として, 「宮沢賢治の作品の魅力を表現した読書感想画を書く」ことを位置づけた。ここで取り上 げる「読書感想画を書く」の内容は,物語のあらすじをまとめ,宮沢賢治の人となりや時代背景を踏まえた上で自分の考 えをまとめ,感想を文章で表現すること,また,文中の優れた叙述について評価し,そのよさを絵や言葉で表現すること である。それを行うために,児童は読書感想画を書くという目的をもち,場面についての優れた叙述を見つけながら読み 味わったり,それについての自分の考えを書きためたりしていく。また交流活動や並行読書を通して自分の考えをさらに 広げたり深めたりしていく。このことから, 「C読むこと」の指導事項「エ 登場人物の相互関係や心情,場面についての 描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまとめること」 , 「オ 本や文章で読んで考えたことを発表し合い,自分 の考えを広げたり深めたりすること」の力をより一層高めていくのに適した言語活動であると考える。 3 指導にあたって (1)児童について 本学年では,4月に文学的作品「カレーライス」を学習している。この作品の学習においては,登場人物の相互関 係に着目して,場面の移り変わりに即して変化する心情をまとめ,感想を交流する言語活動を行ってきた。この学習 を通して,登場人物の相互関係から人物像やその役割をとらえ,それによって,内面にある深い心情を合わせてとら えるという力は身に付いてきたと言える。しかし,優れた叙述に着目して作品を読み,それらを評価したり,自分の 表現に生かしたりするという点では十分に力が身に付いていない。そこで,文中の「色」や「音」 「比喩」 「反復」な どの,象徴性や暗示性の高い表現内容に着目するとともに,作者の考えや生きた時代背景を踏まえた上で,作品を評 価しながら読み,自分の考えを表現する力を育てたい。 (2)本単元の構成について 本単元では,場面の展開に沿って読みながら,優れた叙述について自分の考えをまとめることを指導する。第1次 では,教師が自作の読書感想画を提示し,児童が言語活動のイメージをもてるようにし,それに向かって単元計画を 立てる。また,宮沢賢治の伝記「イーハトーヴの夢」を読む活動を通して,宮沢賢治という作家の生きた時代背景を 学び,どのような人だったのかを自分なりに解釈する活動を行う。第2次では,第1次で立てた単元計画に基づき, 読書感想画を作る上で必要な学習を「やまなし」という物語を通して行っていく。最後に第3次では,自分の選んだ 作品の読書感想画を作ることで,児童の思いを大切にした単元作りをしていきたいと考える。 (3)手立てについて 第3次の読書感想画を作るためには,本や文章の内容を捉え要約する力,本や文章の中で使われている優れた叙述 から作者が作品に込めたメッセージを自分なりに解釈しまとめる力,そして,感じたことを絵や言葉で表現する力が 求められる。そのために児童が読書感想画のイメージをもてるように,教師が自作したモデルを紹介する。児童はそ のモデルを参考にしながら作品のまとめ方を学んでいく。この活動に対する見通しをもつことで,主体的に活動でき るようにしたい。また,第2次の場面のイメージ画を作成したり交流したりする学習では,少人数のグループ活動を 設定することで全員が主体的に交流し,一人一人の考えや感じ方の違いに気付き,そのよさを認め合いながら読み深 めていけるようにしたい。 4 単元の指導目標 ○ お気に入りの宮沢作品を選び, 紹介したいという気持ちをもちながらくり返し読み, 作品の魅力を伝えようとする。 (国語への関心・意欲・態度) ○ 場面についての描写を捉え,作品の中で使われている表現の幅を味わいながら,優れた叙述について自分の考えを まとめることができる。 (読むこと) ○ 本や文章を読んで考えたことを発表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすることができる。 (読むこと) ○ 物語を読んで,色彩語彙や明暗を表す語彙が使われている効果に気付くことができる。また,感想や作品を評価す る語彙を使って自分の考えを表現することができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) 5 単元の評価規準 国語への関心・意欲・態度 読む能力 言語についての知識・理解・技能 ○ お気に入りの宮沢作品を選び,紹 ○ 場面についての描写をとらえ,作 ○ 物語を読んで,色彩語彙や明暗を 介したいという気持ちをもちなが 品の中で使われている表現の幅を 表す語彙が使われている効果に気 らくり返し読み,作品の魅力を伝え 味わいながら,優れた叙述について 付いている。また,感想や作品を評 ようとしている。 自分の考えを読書感想画にまとめ 価する語彙を使って自分の考えを ている。 ○ 本や文章を読んで考えたことを 発表し合い,自分の考えを広げたり 深めたりしている。 表現している。 6 単元の指導計画(全10時間扱い) 次 時 1 1 2 2 3 4 5 6 7 本 時 3 8 主な学習活動 ① 並行読書を進めていく,宮沢 作品を選ぶ。 指導上の留意点(・)と評価規準(◇) ・ 並行読書をしていく宮沢作品について,文章の量,内容の難易度, 登場人物などの観点から,読書案内を行い,児童が自分の読書力に 会った作品を選べるようにする。 ② 読書感想画のモデルをもと ・ 教師のモデルを提示することで,お気に入りの宮沢作品の読書感 に,その内容や特徴を確認する。 想画を作ることをイメージできるようにする。 ◇ お気に入りの宮沢賢治の作品を紹介したいという気持ちをもって,並行 読書をする作品を選ぼうとしている。 (関心・意欲・態度:観察) ◇ 読書感想画を構成する要素として,感動の中心となる部分を絵で 表したものと,文章で表現したものが必要であることに気付くこと ができる。 (読む能力:話合い) ① 単元の学習計画を立て,学習 ・ 自分の選んだ宮沢作品の魅力を伝えるには,何をどのように,ま の見通しをもつ。 とめればよいのかを考えることで,読書感想画を作成するのに必要 な活動を考えられるようにする。 ② 「やまなし」を読み,そのお ・ 文中に出てくる色彩語彙・音・比喩や明暗を表す語彙に着目する もしろさについて話し合う。 ことで,その効果から, 「五月」 「十二月」の様子を自分なりに解釈 できるようにする。 ◇ 文中に出てくる色彩語彙・音・比喩や明暗を表す語彙に着目し,その効 果について理解している。 (言語についての知識・理解・技能:話合い) ① 「イーハトーヴの夢」を読ん ・ 自分が感じた宮沢賢治の印象を文章でまとめて,発表し合う場を で,作者についてどんな印象を 設定することで,様々な印象があることに気付けるようにする。 もったか考え,伝え合う。 ◇ 伝記を読んで,根拠を含めた自分の考えをワークシートにまとめ ている。 (読む能力:ワークシート) ① 「五月」または「十二月」の ・ 色彩語彙・音・比喩や会話などの表現に着目して,想像したこと イメージ画を作成する。 を絵で表現し, 「五月(十二月)は○○な世界」という小見出しを ② イメージ画で表現した部分か 付けて作成することで,自分なりの解釈をまとめることができるよ ら,自分なりの解釈を伝え合う。 うにする。 ◇ 五月または十二月を選び,色・音・比喩など表現に着目して読み 取ったことをもとにイメージ画に表現し,グループで説明してい る。 (読む能力:ワークシート・話合い) ① 「五月」と「十二月」から読 ・ 「五月」と「十二月」から読み取ったことを想起しながら,二つ み取ったことをもとに,2つの の場面を比べ,共通点や相違点について感じたことを交流すること 場面を比べる。 で,それぞれの場面のイメージを捉えられるようにする。 ◇ 二枚のイメージ画をもとに,「五月」と「十二月」の共通点や相違点,優 れた表現に気付きワークシートにまとめている。 (読む能力:ワークシート) ① 「やまなし」の感想文を書く。 ・ 感想語彙を使って,感じたことを表現できるようにし,作者の思 ・題名について いや,その当時の時代背景を踏まえた感想が書けるよう支援するこ ・優れた表現について とで,自分なりの解釈を十分に踏まえた感想文を書くことができる ・人物の関係について ようにする。 ◇ 叙述に着目しながら,心に残ったことについて適切な語彙を使い 感想文を書いている。 (言語についての知識・理解・技能:感想文) ① 感想文を発表し交流する。 ・ グループで感想文を発表し合い,考えたことや思ったことを話し ・ 発表を聞いての感想 合うことで,活動を通して友達との考えの違いに気付くことができ ・ よいと思ったところ るようにする。 ・ 似ているところや違うところ ◇ 感想文を読んで,感じたことを発表し合い,考えや感じ方に違い ・ 自分の表現に生かしたいところ があるおもしろさやよさに気付いている。 (読む能力:話合い) ① 自分の選んだ宮沢賢治の作品 ・ 宮沢作品の魅力を伝えるために第2次で学習した,作品を読み取 9 の読書感想画を作る。 る観点を意識しながら読み進めるよう伝える。 ・感想文 ◇ 宮沢作品の魅力を十分に伝える読書感想画を,構成内容を考えて ・印象に残った場面の感想画 作成している。 (読む能力:読書感想画) 10 ① 自分の選んだ宮沢作品の読書 ・ 友達のおすすめの宮沢作品の紹介を聞くことを通して,感想や気 感想画を紹介し合う。 付いたことを伝え合うようにする。 ◇ 自分のおすすめの宮沢作品を,読書感想画を使って友達に紹介し ようとしている。 (国語への関心・意欲・態度:話合い) 7 本時の指導 (1)目標 ○ 感想文を読んで感じたことを発表し合い,作品の魅力を伝えるための一人一人の感じ方について,違いがあるお もしろさに気付くことができる。 (読むこと:話合い) (2)準備・資料 学習計画表(掲示用・児童用) 語彙表(掲示用) 話合いの進め方(グループ用) 感想文 8 本時の展開(7/10) 学習活動と内容 1 本時の学習課題を確認する。 「やまなし」の感想文を発表し合い, 作品の魅力を伝え合おう。 2 交流の内容と進め方を確認する。 〈交流の内容(観点) 〉 ・ 発表を聞いての感想 ・ よいと感じたところ ・ 似ているところや違うところ ・ 自分の表現に生かしたいところ 〈交流の進め方〉 ①同じテーマで感想を書いたグループでの交流 ②違うテーマで感想を書いたグループでの交流 指導と評価規準(◇評価規準 ◆配慮を要する児童への支援) ・ 司会の児童が,本時の学習内容について,学習計画表で確認す るよう支援する。 ・ 交流の内容を確認することで,友達の発表を,観点を意識しな がら聞くことができるよう支援する。 ・ 交流の中で自分の意見を伝えるときには,その根拠(理由)を はっきりと示して話をするよう助言する。 ・ 話合いの進め方カードを活用することで,児童が主体となった 活動にしていく。 ・ 感想文のテーマは「題名について」 「優れた表現について」 「人 物の関係について」の3つとする。 3 グループで感想文を発表し,話し合う。 ・ 同じテーマで感想を書いたグループでの話合いでは,自分の感 ① 同じテーマで感想文を書いたグループで 想文と着眼点が同じであったり,違っていたりする点に気付くこ 感想を発表し,話し合う。 とで考えを深める活動にしていく。 ・ 違うテーマで感想を書いたグループでの話合いでは,友達の感 ② 別のテーマで感想文を書いたグループで 想文の中で,魅力を伝える着眼点や叙述の違いに気付くことで, 感想を発表し,話し合う。 考えを広げる活動にしていく。 ◆ 話合いの中で,自分の役割が十分に果たせていない児童には, 話合いの進め方を確認し,自分の役割を果たせるようにグループ で支援し合うよう助言する。 ◆ 共通点や相違点を見つけることができない児童に対しては,まずは友達 の発表と自分と似ているところを探してみるよう助言する。 ◇ 感想文を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方に ついて,共通する部分や違う部分があることに気付くことで,自 分の考えを広げたり深めたりしている。 (読む能力:話合い) 4 全体で気付いたことについて話し合う。 ・初めて気付いたこと ・自分と同じ考えだったところ ・自分と違う考えだったところ ・自分の表現に生かしたいところ ・ 全体で話し合う観点を,司会者に確認させることで話合いがス ムーズに進むよう支援する。 ・ 学級全体で交流することにより,同じ作品の感想でも様々なと らえ方があることに気付けるようにする。 5 学習の振り返りをする。 ・ 本時の学習で,考えたことを振り返りカードにまとめることで, 自分にフィードバックできるようにしたい。
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