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第1学年1組 国語科学習指導案
指導者
1 単元名
教材名
大好きな登場人物に手紙を書いて,その思いを友達と発表し合おう
「くじらぐも」
(光村図書1年下)他
2 単元を貫く言語活動とその特徴
本単元を貫く言語活動として,
「物語の中の大好きな登場人物に手紙を書いて発表し合う」ことを位置付けた。
ここで取り上げる「手紙を書く」言語活動の内容は,物語のお気に入りの場面を見つけて書き抜いたり,選んだわけにつ
いて自分の生活体験や読書経験と関連付けたりして,感想としてまとめることである。それを行うために,児童は手紙を書
くという目的をもってお気に入りの場面を探し,自分と重ね合わせて登場人物の行動を追い,想像を膨らませながら文章を
読んでいく。また,選んだわけを書くために,自分の生活体験や読書経験を振り返りながら,感想語彙を用いて書き表して
いく。
これらのことから,
「C読むこと」の指導事項「ウ 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読む
こと」
,
「オ 文章の内容と自分の経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめ,発表し合うこと」の力を伸ばしていく
のに適した言語活動であると考える。
3 指導にあたって
(1) 児童について
1学期に学習した文学的な文章「おむすびころりん」や9月に学習した文学的な文章「ゆうだち」では,場面の様子や
登場人物について想像を広げながら読む力を育成するため,言語活動として音読発表会を位置付けた。その学習では,多
くの児童が,登場人物の気持ちを想像しながら音読の仕方を工夫したり,交流によってそのよさに気付いたりすることが
できた。しかし,自分が工夫した理由,それに込めた思いや考えを伝え合うことには課題が見られた。また,作品を読ん
で感じたり考えたりしたことをその場で話すことはできても,文として書き表す力は身に付いていない。そこで本単元で
は,叙述を基に想像した場面の様子や登場人物の気持ちを工夫して音読してきた経験を生かしながら読み深め,交流の中
で膨らんだ児童の思いや考えをもとに,感想として書き表す力に結び付けていく必要がある。さらに,12 月の「ずうっと,
ずっと,大すきだよ」では,登場人物の行動を中心に,想像を広げながら,お話と自分の経験とを結び付けて読む力をさ
らに伸ばしていくことが求められる。
(2) 本単元の構成について
本単元では,文章の内容と自分の生活体験や読書経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめて感想を書き,発表
することを指導する。そこで,第1次では,並行読書する中川李枝子さんの本についてのブックトークを行うとともに,
教師がモデルとして示す手紙についてその内容や特徴を確認することで,本単元での学習の見通しをもつ。第2次では,
お気に入りの場面を見付け,登場人物の行動や場面の様子について想像を広げながら読み,グループごとに思いや考えを
交流して音読の工夫を考えることで,一人一人の思いや考えを大切にしながら読みを深めていく。そして,音読や交流を
する中で膨らんできた思いや気付きを書きためる活動を積み重ね,感想を「くじらぐも」への手紙という形で表現するこ
とで自分の考えをまとめる。第3次では,第2次で学習したことを生かして,自分の選んだ本についての感想を登場人物
への手紙として表し,友達と感想の交流することで,児童の思いを大切にした単元作りをしていきたいと考える。
(3) 手立てについて
指導にあたっては,児童が見通しをもって学習を進めていくために,教師が手紙のモデルを示す。そのモデルを参考に,
音読する中で膨らんだ「くじらぐも」に伝えたい思いや自分の考えを手紙に書いたり,並行読書してきた本の感想を物語
の中の大好きな登場人物に宛てた手紙として書いたりする。そして,その手紙について交流する言語活動を設定すること
で,児童の思いを大切にした主体的な学習ができるようにしたい。また,学習形態としてグループ学習を取り入れる。グ
ループでの話合いの中で,それぞれの思いや表現のよさに気付かせ,感想として書き表す力を伸ばしていきたい。
4 単元の指導目標
○ お気に入りの場面を紹介したいという気持ちをもち,本や文章をくり返し読んだり紹介し合ったりしようとする。
(国語への関心・意欲・態度)
○ お気に入りの場面について,登場人物の行動や会話に着目し,想像を広げながら読むことができる。
(読むこと)
○ 文章の内容と自分の生活体験や読書経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめて感想を書き,発表し合うことが
できる。
(読むこと)
○ 感想語彙や心情語彙を使って,考えたことや思ったことを表現することができる。
(伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)
5 単元の評価規準
国語への関心・意欲・態度
読む能力
言語についての知識・理解・技能
○ お気に入りの場面を紹介した ○ お気に入りの場面について,登場人物の行動や会話 ○ 感想語彙や心情語彙を
いという気持ちをもち,本や作
に着目し,読み方の工夫を考えながら,想像を広げて
使って,思ったことや考え
品への思いを膨らませながら,
読んでいる。
たことを書いている。
くり返し読んだり紹介し合った ○ 文章の内容と自分の経験とを結び付けて,自分の思
りしようとしている。
いや考えを手紙にまとめ,発表し合っている。
6 単元の指導計画(全11時間扱い)
次 時
主な学習活動
指導上の留意点(・)と評価規準(◇)
1 1 ① 中川李枝子さんの本についてのブッ ・ 「くじらぐも」の作者である中川李枝子さんの作品を教室に用意す
クトークを聞く。
ることで,並行読書ができるように読書環境を整える。
② 「ぐりとぐらのおきゃくさま」の登 ・ 「ぐりとぐらのおきゃくさま」について,教師が作成した手紙のモ
場人物である「ぐりとぐら」へ宛てた
デルを紹介することで,手紙に書く感想の内容を具体的につかめるよ
手紙を読んで,手紙の内容や特徴を確
うにする。
認する。
◇ 手紙に書く感想の書き方や特徴を理解している。
(読む能力:発言・ワークシート)
2 ① 単元の学習計画を確認し,学習の見 ・ 読書案内を行い,児童が自分の読書力に合った作品を選べるように
通しをもつ。
する。
② 並行読書の本を選んで,読書をする。 ◇ お気に入りの作品を見つけたいという気持ちをもって,並行読書す
る作品を選ぼうとしている。
(関心・意欲・態度:観察)
2 3 ① 「くじらぐも」の挿絵を見たり音読 ・ 5枚の挿絵を順に並べながら「いつ・だれが・何をしたか」
,分か
をしたりして,話の内容の大体をとら
らない言葉の意味や用法を押さえることで,話の内容の大体をとらえ
える。
られるようにする。
◇ 挿絵と文章を関連付け,場面の様子を想像して読んでいる。
(読む能力:ワークシート・発言)
4 ① 感想を話し合う中で,お気に入りの ・ 大好き,おもしろいと思ったところを探し,その理由について話し
ところを見つけ,グループを作る。
合うことで,作品のおもしろさに気付き,お気に入りの場面を見つけ
られるようにする。
◇ お気に入りの場面を見つけるために作品をくり返し読み,感想をま
とめたり伝えたりしている。
(関心・意欲・態度:発表・ワークシート)
5 ① グループごとに,音読を通して,
「伝 ・ 読み方や動作,付け足す会話などの工夫を,叙述に沿って考えるこ
6
えたい」内容やくじらぐもへの思いを
とで,
「くじらぐも」への思いを膨らませていけるようにする。
膨らませ,メモに書き留める。
・ 音読を通して読み深める中で,気付いたことや感じたこと,特に大
・読み方の工夫
好きな場面やそのわけをメモに書くことで,手紙を書く際の手立てに
・動作
できるようにする。
・付け足す会話
◇ 音読する中で見つけた大好きな場面やそのわけ,
「くじらぐも」へ
・考えた理由や思い
の思いをメモに書いている。 (読む能力:話合い・ワークシート)
7 ① 音読の学習を振り返り,思ったこと ・ お気に入りの場面を想像しながら,どのような思いや考えで音読し
や感じたことを発表し,話し合う。
たのか,
「くじらぐも」に一番伝えたいことは何か,について話し合
・どのような思いや考えで音読をした
うことで,お互いの「くじらぐも」への思いを共有しながら,手紙に
か
書く自分の考えをまとめられるようにする。
・くじらぐもに一番伝えたいことは何 ・ 自分の生活体験や読書経験を振り返って,自分だったらどうするか
か
や今までに読んだ本と似ているところなどを思い出し,メモに書くこ
・自分の生活体験や読書経験を振り返
とで,手紙を書く際の手立てにできるようにする。
ってどうか
◇ 音読の学習や生活体験,読書経験を振り返り,
「くじらぐも」への
思いや考えを膨らませながらメモにまとめている。
(読む能力:発表)
8 ① 学習の振り返りをし,どのような言 ・ 自分の思いに合った感想語彙や心情語彙を見つけるために語彙表を
葉を使ったら「くじらぐも」に自分の
活用し,気持ちのこもった手紙が書けるようにする。
思いがより伝わるか,話し合う。
・ 学習を振り返りながら,書きためてきたメモを読み返すことで,
「く
②「くじらぐも」に宛てた手紙を書く。
じらぐも」に伝えたいことを手紙として表現できるようにする。
・お気に入りのところを書き抜く
◇ 感想語彙や心情語彙を使って,自分の思いや考えを「くじらぐも」
・気に入ったわけ
への手紙に表現している。
(言語についての知識・理解・技能:手紙)
・生活経験,読書経験と結びつけて
9
本
時
3
10
11
① 手紙を読み合い,感想を伝え合う。
・よいと思ったところ
・すてきだと思った言葉や表現
・自分の生活体験や読書経験と比べて
・ 「くじらぐも」への手紙を読み合い,お互いの思いを分かち合うこ
とで,感じ方や考え方のよさを認め合い,読みを深められるようにす
る。
◇ 「くじらぐも」に宛てた手紙を読んで,思ったことや考えたことを
まとめ,そのよさについて伝え合っている。 (読む能力:話合い)
① 選んだ本についての感想を,登場人 ・ 2次の交流で学んだ表現の工夫を生かすことで,より思いの詰まっ
物に宛てた手紙として書く。
た手紙を書けるようにする。
◇ 自分が選んだ本について,適した感想語彙や心情語彙を使って,自
分の思いや考えを手紙に書いている。
(言語についての知識・理解・技能:手紙)
① 手紙を読み合い,感想を伝え合う。 ・ 友達と交流し,そのよいところについて伝え合うことを通して,伝
・よいと思ったところ
え合う喜びを感じさせたり,自分の読書生活をふり返らせたりする。
・すてきだと思った言葉や表現
◇ 友達と交流したことを生かして読書していこうとしている。
・読んでみたいと思った作品
(関心・意欲・態度:発表・ワークシート)
7 本時の指導
(1) 目 標
○ 「くじらぐも」に宛てた手紙を発表し合い,思ったことや考えたことをまとめ,そのよさについて伝え合うことがで
きる。
(読むこと:話合い)
(2) 準備・資料
学習計画表(掲示用,児童用)
,語彙表(掲示用)
,振り返りカード,児童が書いた手紙のコピー
(3) 本時の展開(9/11)
指導と評価規準(◇評価規準 ◆配慮を要する児童への支援)
学習活動と内容
1 前時までの学習を振り返り,本時の学習課題を確 ・ 音読をしながら「くじらぐも」への思いを書きため,その思いが
認する。
伝わるように手紙を書いたことを思い出し,本時の学習への意欲を
高める。
「くじらぐも」へのてがみをよんで,
・
本時の学習内容について,学習計画表で確認することで,活動の
よかったところをたくさんみつけよう。
見通しをもたせる。
2 話合いの仕方を確認する。
・ 話合いのポイントを示すことで,観点を意識しながら手紙の発表
<話し合うこと>
を聞けるようにする。
・よいと思ったところ
・
批判や助言はせず,友達のよかったところや真似をしてみたいと
・すてきだと思った言葉や表現
思ったところを中心に話合いを進めるよう伝える。
・自分の生活体験や読書経験と比べて
3 グループで手紙を発表し合う。
・ 一人が手紙を発表したら,その手紙について感想を話し合うとい
(1) お気に入りの場面が同じところだったグルー
う流れで,司会者を中心に話合いを進める。
プで手紙を発表し,話し合う。
◆ 感想をうまく伝えられない児童には,自分との共通点や相違点を
中心に比べ発表し合うよう助言する。
(2) お気に入りの場面が違うところだったグルー ◇ 「くじらぐも」に宛てた手紙を発表し合い,そのよさをとらえ,
プで手紙を発表し,話し合う。
伝えている。
(読む能力:話合い)
4 全体で気付いたことについて話し合う。
・ 友達の手紙や感想のよかったところ
・ 真似をしてみたいと思った言葉や表現
・ 自分の生活体験や読書経験と比べて
・ 全体で話し合うことで,同じ「くじらぐも」に宛てた手紙でも,
様々な表現や思いがあることに気付くようにする。
5 学習の振り返りをする。
・ 交流の中で感じたことや気付いたことを振り返りカードにまとめ
る。
・ 次は○○という言葉を使ってみたいな。
・ ぼくと○○さんは同じ場面を選んだけど,感想
がちがっておどろきました。
・ 私とちがって○○さんの書いた○○は,とても
おもしろかったです。