1.宇宙機運用通信系における送信形式と送信フォーマット 宇宙機運用通信系では,宇宙機からの地球への通信をスペクトルの変化幅を文字コード に割り当てる方法で行う。通信系形式の概要を図7.5-2 に,文字の割り当て方法を表7.5-2 に示す。 通信形式は以下のルールとする。 (1) 基本周波数 f0 の 2倍(2 f0),3倍(3 f0),4倍(4 f0)),5倍(5 f0)の4つの周波数を用い る。 (2) 時間間隔⊿t ごとに周波数の切り替えを行う。 (3) 3回分の時間間隔3⊿t をひとつの数値に割り当て,この間での周波数の組み合わせを 数字に割り当てる。 (4) 3回分の時間間隔3⊿t のうち,最初の周波数は2 f0 に固定し,2番目と3番目を3 f0,4f0, 5 f0 のいづれかとする。 本ルールに生成された信号は,2 f0 の周波数のところに送信電力の1/3に相当する電力 が集中する。このため,長時間積分を行ったときに信号検出に有利である。 上記のルールによれば,周波数の組み合わせに対して9つのデータを規定することがで きる。このうちの8つを数字0から7までに割り当て,残り一つをBOF(Begin of Frame) に割り当てる。すなわち,8進数でデータを扱うことになる。 表7-5-3に,3回の繰り返しと1バイトのビット配列の対応を示す。1バイトの上位から3 ビットすつ切りだして,符号に割り当てる。こうすると,最後に1ビット余るので,これを パリティビットとする。 WSJTでは,f0 = 441 Hzとしているので,周波数の組み合わせは882 Hz,1323 Hz,1764 Hz, 2205 Hzとなる。 表7-5-4に,1フレームのフォーマットを示す。1フレームは,同期コード2バイト分(3× 3⊿t×2),BOF+Class 1バイト分(3×3⊿t×1),データ本体 8バイト分(3×3⊿t×8), 巡回符号 2バイト分(3×3⊿t×2)で構成され,通信に要する時間は117⊿tとなる。 frequency 3 回の繰り返して 1 バイト分送信 5f0 4f0 3f0 2f0 f0 time 3⊿t 図 7.5-2 通信形式 表 7.5-2 スペクトルの配置と文字の割り当て コード 数字 コード 数字 011 BOF 023 4 012 0 031 5 013 1 032 6 021 2 033 7 022 3 ※BOF: Begin of Frame, EOF: End of Frame 表 7.5-3 3 回の繰り返しと 1 バイトのビット配列の対応 MSB Bit 6 Bit 5 Bit 4 1 回目 Bit 3 Bit 2 Bit 1 LSB 2 回目 Parity 3 回目 表 7.5-4 通信フレームの構成 2 3 3 4 5 6 7 Sync1 Sync2 BOF+CLS Data1 Data2 Data3 Data4 8 9 10 11 12 13 Data5 Data6 Data7 Data8 CRCH CRCL BOF: フレームの開始, Sync: 信号同期, Class(CLS): データー種別, Data: データ, CRC: 巡回 符号
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