その4(a5版 pdf file)

微積分 II 2014
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11 2 変数関数の合成関数の微分
本節では 2 変数関数の合成関数の微分について考えるが,まず 1 変数関
数について復習しよう.問題となっているのは 3 つの変数 x, y, z であり,y
は独立変数 x から関数 f によって決定される従属変数である.すなわち,
y = f (x) と書ける.さらに,z は y を独立変数と考え関数 g により決定され
る従属変数である.従って,z = g(y) と書ける.このような状況では変数 x
の値が a と定まると,y の値は f (a) と定まり,引続き z の値は g(f (a)) と定
まる.これを図示すると
x = a 7→ y = f (a) 7→ z = g(f (a))
となる.このように変数 y を仲介にして x が a と決まると z の値が g(f (a))
と決まるので,z は x に従属する変数と考えることができる.式で書けば
z = g(f (x)).
この x に z を対応させる関数を f と g の合成関数といい,g ◦ f と表わすの
であった.即ち,
z = (g ◦ f )(x) = g(f (x)).
この合成関数 g ◦ f に対し,x = a における微分係数はどのようにして求まる
かを春学期には勉強した.即ち,x を a から a + ∆x に変化させたときに y は
f (a) から f (a + ∆x) に変化し,それがさらに,z の変化を引き起こし,z は
g(f (a)) から g(f (a + ∆x)) に変化する.従って,∆y = f (a + ∆x) − f (a),
∆z = g(f (a + ∆x)) − g(f (a)) と書くことができる.これらの関係を関数
y = f (x) と z = g(y) の微分式を使って書くと,
∆z ≈ g ′ (f (a))∆y
′
∆y ≈ f (a)∆x
(55)
(56)
(57)
となる.ここで後者を前者に代入すると,
∆z ≈ g ′ (f (a))f ′ (a)∆x
(58)
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となり,合成関数 g ◦ f の a における微分係数は,g の f (a) における微分係数
と f の a における微分係数の積として求めることができるのであった.即ち,
(g ◦ f )′ (a) = g ′ (f (a))f ′ (a)
が成立した.以上が復習.
さて,今度は問題となっているのは 4 つの変数 t, x, y, z としよう.独立変
数 t よりその従属変数である x と y がそれぞれ別々の規則によって定まり,
さらに,変数 x と y を独立変数とする 2 変数関数によって従属変数 z が定ま
るという状況を考えよう.即ち,式で書くと
x = f (t), y = g(t), z = h(x, y)
という状況を考える.このとき,t の値が定まると,x は f (t),y は g(t) に定
まり,それから z は h(f (t), g(t)) に定まるので,z は t の従属変数となってい
る.この t から z を定める関数を l と書くと,
z = l(t) = h(f (t), g(t))
と表記できる.この l を,f, g と h の合成関数といい,h ◦ (f, g) と表記する.
この合成関数 l = h ◦ (f, g) は 1 変数関数であるが,t = a における微分係数
はどのように表現できるだろうか.
t を a から a + ∆t に変化させたとき,x は f (a) から f (a + ∆t) に変化する
ので,∆x = f (a + ∆t) − f (a) であり,同様にして,y は g(a) から g(a + ∆t)
に変化するので,∆y = g(a + ∆t) − g(a) である.このとき,z は 2 変数関
数 h を介して h(f (a), g(a)) から h(f (a + ∆t), g(a + ∆t)) に変化するので,
∆z = h(f (a + ∆t), g(a + ∆t)) − h(f (a), g(a)) となる.ここで,t = a にお
ける f と g の,そして,(x, y) = (f (a), g(a)) における h の微分式を書くと,
∆x ≈ f ′ (a)∆t
′
(59)
∆y ≈ g (a)∆t
(60)
∆z ≈ hx (f (a), g(a))∆x + hy (f (a), g(a))∆y
(61)
となる.∆x, ∆y の式を ∆z の式に代入すると,
(
)
∆z ≈ hx (f (a), g(a))f ′ (a) + hy (f (a), g(a))g ′ (a) ∆t
(62)
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従って,
z ′ (a) = hx (f (a), g(a))f ′ (a) + hy (f (a), g(a))g ′ (a)
をうる.導関数を問題にするのならば,a を t に変えて,
z ′ (t) = hx (f (t), g(t))f ′ (t) + hy (f (t), g(t))g ′ (t)
となる.別の表記をとるならば,
dz
∂z dx ∂z dy
=
+
dt
∂x dt
∂y dt
この表記では独立変数を表示していない.丁寧に明示すると,
∂z
dx
∂z
dy
dz
(t) =
(x, y) (t) +
(x, y) (t),
dt
∂x
dt
∂y
dt
x = f (t), y = g(t)
となる.以上の考察をまとめて定理の形にしておこう.
定理 4 [合成関数の微分] 三つの関数 z = h(x, y),x = f (t),y = g(t) の合
成関数
z = (h ◦ (f, g))(t) = h(f (t), g(t))
の導関数は以下の式で与えられる.
z ′ (t) = hx (f (t), g(t))f ′ (t) + hy (f (t), g(t))g ′ (t)
dz
∂z dx ∂z dy
=
+
dt
∂x dt
∂y dt
問 3 z = log(x2 + y 2 ), x = 2t + 1, y = t(t − 1) のとき,合成関数の微分法
の公式を使う方法と,x と y の式を z の式に代入し合成関数の具体的な形を
求めそれを直接微分する方法の二通りについて z ′ (t) を求めることにより同じ
答になることを確認しなさい.
問 4 z = xy, x = f (t), y = g(t) についての合成関数の微分法を考えること
により積の微分法の公式を導きなさい.
問 5 上と同じ方法で商の微分法の公式を導きなさい.
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演習 7
1.
z = x2 + 3xy + y 2 ,
であるとき,
x = 1 + t,
y = t2
dz
を求めよ.
dt
dz
= (2x + 3y) + 2t(3x + 2y)
dt
2.
z = x3 − xy 5 ,
であるとき,
x = 3t2 − 1,
y = 4 − 5t
dz
を求めよ.
dt
dz
= 6t(3x2 − y 5 ) + 25xy 4
dt
3.
z = x2 + y 2 ,
であるとき,
x = 2t,
y = log t
dz
を求めよ.
dt
dz
2y
= 4x +
dt
t
4.
f (x, y) = x2 − y 2 ,
であるとき,
x = 4t2 ,
y = 1 − 3t
df
を求めよ.
dt
df
= 16tx + 6y
dt
5.
f (x, y) = xy 2 − x3 ,
であるとき,
x = e−t ,
y = t2
df
を求めよ.
dt
df
= (3x2 − y 2 )e−t + 4txy
dt
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6.
f (x, y) = x/y,
であるとき,
x = log t,
y=t
df
を求めよ.
dt
df
1
x
=
−
dt
ty y 2