2014 年度 第 3 回 FD 研修会実施報告

2014 年度
第 3 回 FD 研修会実施報告
タイトル:高次のアクティブラーニング(AL)
~知識の定着から活用へのレクチャープロセス~
発表者:経営学部 松尾 尚 教授
開催日時:2014 年 9 月 9 日(火) 14:00~15:15
場所:自由が丘キャンパス IVY ホール(ラーニングコモンズ)
参加教員数:91 名(教員 71 名 経営管理研究所員 20 名※)
(1)AL と講義科目の関係
「教え(teaching)から学び(learning)へ」というように、教員が何を教えたかではなく、学生が
何を修得したのかを教育指標にすべきという考えが、大学教育における1つの流れとなっている。知識
の伝達を目的とする「講義」科目に、知識の定着を目的とした「一般的な AL」と、知識の活用・課題
解決型の「高次の AL」が加わることで、学生の実践力向上が期待されるためである。
(2)事例:価格戦略のレクチャー
講義と AL の組み合わせが教育効果につながった例として、価格戦略の教授法を取り上げた。価格戦
略は、以下の 2 点から学びの難易度が高い分野である。1 点目は、学生が売り手の立場に不慣れなこと
である。価格は売り手―買い手の相互作用で決定するが、消費者としてのポジションに慣れている学生
は、売り手としての視点が乏しい。2 点目は、理論と実践の乖離である。企業はコスト、市場、同業状
況を考慮して論理的に価格を設定するが、顧客との関係性、市場状況やその製品の自社内での位置づけ
等により、戦略的な価格や非論理的な価格を設定することも多々ある。ここに、価格設定が理論どおり
いかない現象が生まれる。
このような問題意識から、価格戦略を形成的・段階的に学ぶための手段として、理論学習に演習(AL)
を活用することで、学生に売り手のポジションを意図的に経験させている。一般的な AL、つまり知識
の定着手法として、経営学部必修科目:マーケティングから、企業が利益減になることを認識しながら
値下げに踏み切る意思決定について、参加者が演習問題を解き、その意図と効果を説明した。次に、高
次の AL として、実際に有料イベントを企画開催する経営学部選択科目:アーティストプロモーション
を題材に、イベントの価格設定が全体収益にどのような影響を与えるかについて実体験することが、学
生にどのような効果をもたらすかについて、授業評価データの結果をもとに解説した。
(3)参加者による PBL
発表後、
「高次の AL を進める上での課題」につい
て、参加者を 4 名グループに分割してのグループワ
ークを実施した。教員間の情報共有が希薄なため起
こる学びの冗長や不足、経営学の論理を学修してい
ない段階での AL には、本来の目標である理論と実
践の相乗効果が期待できないこと、現状カリキュラ
ムに関する課題とあるべき姿等、多面的、かつ、活
発な議論がなされた。
※
研修テーマに関連し、本学社会人教育部門の方々の
参加をいただいた。有意義な意見交換の場となった。
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産業能率大学 教育開発研究所 Education Development Research Center
2014 -