要旨 [PDFファイル/211KB]

国際地域学部国際観光学科卒業論文(2013 年 12 月提出用)要旨
指導教員:東海林克彦教授
ドッグラン利用の実態及び目的に関する研究
1820100242 吉岡徹
<論文構成>
本論文は、次の 5 章から構成されている。
第 1 章 序論
1.研究の目的と背景 2.研究方法
第 2 章 ドッグラン概要
1.ドッグランとは 2.ペットビジネスにおけるドッグラン 3.ドッグランの設備・構造
第 3 章 ドッグランでのトラブル及び事故
1.ドッグランでのトラブルとは 2.ドッグラントラブル及びマナー違反事例
3.ドッグラン利用上のルール及びマナー 4.イヌの社会化の場としてのドッグラン
第 4 章 ドッグランの利用実態
1.ドッグラン利用実態
2.利用実態調査 3.まとめ
第 5 章 ドッグラン利用目的のタイプ分類
1.調査目的 2.調査方法 3.アンケート分析 4.まとめ
第 5 章 結論
1.本研究のまとめ 2.今後の課題
<要約>
1.研究の目的と調査方法
今日、ペットビジネスの拡大とともに、イヌを自由に走らせる広場としてのドッグラ
ンも多く整備されるようになった。しかし、ドッグランを整備及び管理するためのマニ
ュアル及びガイドラインがないため、イヌの行動や利用者の立場から考えられた設計が
されていないドッグランが多くみられることが現状としてある。また、ドッグランを管
理する団体も十分な知識を持っていないため、飼主同士のトラブルやマナー違反者への
対応不足が問題となっている。
本論では、ドッグランとはいったいどのような場所なのか、どのように設計し管理運
営すべきかを考えるうえで、ドッグランが利用者にどのような目的で利用されているの
かを明らかにし、ドッグランが飼主にとってどのような場所であるのかを示すことを目
的として行ったものである。
具体的にドッグランの利用実態及び目的を明らかにするため、各種文献や参考資料を
参照しながら、現状の問題と課題を調査した。利用実態を明らかにするため、ドッグラ
ン利用者へのアンケート調査及びドッグランの事例調査を行った。また、ドッグラン利
用者の利用目的を明らかにするため、タイプ分類を行った。このタイプ分類の方法及び
手順であるが、最初に飼主がドッグランをどのように利用しているのかドッグランを観
察し行動を分析した。次に、複数の目的を評価基準として、評定尺度法によるドッグラ
ン利用者を目的としたアンケート調査を行い、クラスター分析を用いてドッグラン利用
者のタイプ分類及び各タイプ別の特徴の分析を行った。この結果からドッグランがどの
ような場所であるのか考察を行った。
2.調査結果
本論では、3 つのことを明らかにしている。1 点目はドッグランにおける現状と課題に
ついてである。飼主の生活環境の変化及び社会環境の変化により全国にドッグランが設
備されるようになったが、ドッグランに関するマニュアルやガイドラインがないために
ドッグランでの飼主トラブル及び事故が生じていることを整理した。2 点目は、ドッグラ
ンの利用実態についてである。飼主はドッグランをどのような目的で利用しているのか。
利用実態調査の結果、ドッグランを利用する飼主はイヌを走らせるだけでなく、気分転
換や他のイヌと遊ばせるために利用することを明らかにした。
3 点目は、ドッグラン利用目的の違いをもとにしたドッグラン利用者のタイプ分類であ
る。ドッグラン利用者は「愛犬家タイプ」「交流タイプ」
「非利用タイプ」以上 3 つのタ
イプに分類できることを明らかにした。各タイプの特徴であるが、愛犬家タイプは、飼
主同士の交流よりもイヌの気分転換や運動ためにドッグランを利用する。また、イヌ同
士の交流を通じてイヌのしつけや社会化をさせる機会の場所として利用する傾向がある。
交流タイプは、ドッグランでの飼主同士の交流を楽しみにドッグランを利用する傾向が
ある。そのため、時間があればドッグランを訪れ飼主との歓談を楽しみ、サークル活動
にも積極的に参加する。非利用タイプは、ドッグランをほとんど利用しない傾向がある。
表1
タイプ名
愛犬家タイプ
(イヌの運動、気分転換の場として利用)
交流活動タイプ
(他の飼主と交流を持つことを重要視する)
非利用タイプ
(ほとんどドッグランを利用しない)
分類されたタイプの名称及び特徴
構成比
(n=58)
66%
(n=38)
10%
(n=6)
24%
(n=14)
特徴
イヌの気分転換や運動のためというはっきりした目的意識を持ってドッグランを訪れ
る傾向がある。たまたまドッグランを利用することはあまりない。
気分転換や運動のためにドッグランを利用するだけでなく、時間があればイヌを連れ
て行き、ドッグランを見つければ他の飼主と交流を持ちたいと思う傾向がある。
ドッグランでなくともイヌの気分転換や運動をさせる方法があると考えていて、時間
やお金を消費してまでドッグランを利用することはないと考える傾向がある。
3.まとめ
ドッグランという場所を理解するうえで「リードをはずし自由に運動する場所」とい
う解釈は、ドッグランそのものを利用したことのない、もしくはあまり関心のない人に
よる解釈であると考えられる。ドッグラン利用者の利用目的の分析から、ドッグランと
は「飼主同士の交流・管理のもと、リードをはずしイヌが自由に運動し気分転換し、イ
ヌ同士のコミュニケーションを通じてイヌ社会のルールを学び成長する場」であると解
釈することが出来ると考えられる。