委員長あいさつ 全文

国労東日本本部第 30 回定期大会委員長挨拶
国労東日本本部第 30 回定期大会に参加された代議員並びに傍聴者の皆さん、大変ご苦労様です。
また、今大会に参加は出来ずとも、現場で働きながら今大会の成功への期待を寄せている組合員並び
に家族の皆様に心から敬意を表します。
そして、今大会にご多忙の中、お越しいただきました、関東交運の滝沢議長はじめ多くのご来賓の皆
さま、そして弁護団の皆様に衷心より御礼を申し上げます。遅れましたが、東日本本部執行委員長の菊
池でございます。東日本本部執行委員会を代表して 4 点に絞ってご挨拶を申し上げたいと思います。
1 点目は、平和と民主主義を守り、労働法制改悪反対の闘いについてです。
7 月 10 日投開票で施行された第 24 回参議院選挙は、安倍政権の暴走を許さず、安全保障関連法(戦争
法)廃止を求めるために一人区で野党各党が一丸となって戦う画期的な野党統一候補を 32 選挙区で擁立
し、11 選挙区で当選するなど大きな成果を上げることができました。とりわけ福島県選挙区と沖縄県選
挙区では現役の大臣候補を破る結果を作り出しました。しかし、全体的な結果は与党自民党の圧勝で参
議院での改憲発動が可能となる 3 分の 2 の勢力を与えるものとなりました。改正公職選挙法の施行によ
り 18 歳以上に選挙権が付与されて初めての選挙となりましたが、残念ながら投票率は上がらず政治離れ
に拍車がかかる状況は改善されませんでした。また、マスコミによる参議院選挙関連報道が意図的に封
印され、憲法改正とアベノミクスの破たんを覆い隠し、争点をぼかした選挙戦を展開した自民党と相ま
って参議院選挙への関心を高めるまでには至りませんでした。
また参議院選挙同様、野党統一候補として臨んだ東京都知事選挙でも与党分裂という情勢の中、様々
な要因はあると思いますが野党統一候補が惨敗をしてしまいました。
すでにマスコミでも報じられていますが、第 3 次改造内閣が 8 月 3 日に組閣され、新たに「働き方改革
担当大臣」が設置されるなど、同一労働同一賃金の考え方を前提とした欧米並みの正社員と非正規労働者
の「待遇改善」、残業代ゼロや労働時間の制限を取り払う労働基準法の改悪に向けた布陣も作られました。
政府は 9 月 15 日に召集されるであろう臨時国会での立法化に向け動き出しています。
また、安倍首相や自民党幹部らがこぞって「憲法議論への参加」を呼び掛けるなど改憲に向けた動き
も強められています。国会の与野党の勢力では与党の圧倒的な数を背景に、これまで以上に強引な運営
によって進められることが懸念される状況にあり、改めて、平和フォーラムを中心に中央・地方から平
和憲法を守る闘いや労働法制の改悪反対の大衆運動を強めなければなりません。
2 点目は、東日本大震災及び東京電力福島第一原発事故からの復旧に関する状況と脱原発・原発再稼働
に反対する取り組みについてです。
東日本大震災から 5 年が経過した一か月後の今年 4 月に九州熊本地方を震源とする熊本地震が発生し、
多くの命や財産が奪われました。改めて、お亡くなりになられました方々に哀悼の誠を捧げるとともに、
けがをされた方々そして財産を失った方々にお見舞いを申し上げます。
また、各地方本部の皆様にご協力いただき、お見舞いを申し上げた、昨年 6 月の利根川堤防の決壊な
どによる洪水被害など、各地で自然災害による多くの被害が出ています。全てに関わることは出来ませ
んが、組合員はもとより、これまで支援をいただいて来た共闘の仲間にも寄り添う取り組みもしてきた
ところです。さて、東日本大震災そして福島第一原発事故から 5 年半が経過しました。現在も福島県で
は 9 万人以上の住民が避難を余儀なくされています。
JR東日本管内の状況は、三陸地方を中心に復興が進み、BRTを含む交通体系が整備されてきまし
た。残された不通区間の山田線、気仙沼線、大船渡線で復興方針が合意され、復旧に向けた工事や自治
体との合意も進んでいます。また、不通区間となっていた常磐線の原ノ町~小高間が自治体の帰還に合
わせ、今年 7 月 12 日、一日 9 往復での運転再開がされました。そして、駒ヶ嶺~浜吉田間の復旧工事も
進み、相馬~浜吉田間が今年 12 月 10 日、運転再開することが決まり、常磐線は竜田~小高までの 36.6
キロを除き、運転再開が決まりました。
常磐線全線の運転再開を 2019 年度末とした政府方針が示されたものの避難住民からは不安や不満の
声が出されていますし、まだまだ空間線量が高い区間を行き交う労働者の被ばくへの不安があることも
事実です。改めて、東日本本部としても働く者の安心、安全の確保に向け、関係地方本部と連携し取り
組んでいくことにします。
まだまだ収束されない東京電力福島第一原発事故を横目に、川内原発、高浜原発、伊方原発と再稼働
を次々に進める政府と、
「原子力推進委員会」に成り下がった原子力規制委員会が一体となって原発再稼
働に前のめりとなっている現状を許さない取り組みも重要な課題となっています。東日本本部も「原発い
らない!全国集会」や「原発のない福島を!県民大集会」など中央・地方の取り組みに積極的に参加して来
ました。フクシマを教訓化せず、経済優先に再稼働ありきの政策に強く反対するとともに引き続き、脱
原発、再稼働反対の取り組みに全力をあげていくことにしたいと思います。
3 点目は、組織強化・拡大の取り組みについてです。
国労の最大かつ喫緊の課題である組織拡大は、東日本内で 2006 年一括和解以降○○○名、昨年の大会
以降この一年で、新規採用者○名を含む○○名の国労加入がありました。そしてその特徴は、加入者自
らが職場で積極的に国労加入を呼びかけ、郡山駅連分会や大宮車両所分会のように一斉的や連鎖的な加
入に結びついていることであり、加入者の 7 割以上が平成採用者となっているということです。JR発
足から 30 年となろうとしている中で、JR東日本社員全体の平成採用者が 60%を超え、30 数%の国鉄
採用者は退職年齢まで残り 10 年を切っているのが現状です。2006 年一括和解以降、組織拡大は着実に
前進している反面、退職による自然減は、それを大幅に上回る状況が続いています。その意味では組織
拡大の課題は「待ったなし」の状況になっています。
私たちはJR東日本との一括和解から 10 年、最大の差別とまで言われた「昇進差別」に対し、相互討論
を深め、受験態勢を取りながら「現場末端までの浸透」と「和解の実効性」を求めて取り組んできました。
そうした機関と組合員の努力で国労加入をした若者に昇進の道を開き、現在では、全地方本部合わせて
○○○○人を超える主任職、○○○人を超える主務職の組合員が存在し、○○名近くの助役・専任職が
発令されています。過日、助役・主務職者交流会を開催し、業務上の悩みや不安などを率直に交流し合
いました。私たち役員が経験したことのない立場での交流を通して、そうした仲間の気持ちを組織とし
て受け止める機会となりました。このことは単に試験の合否に関わらず、国労を選択しようとする若者
に対し、「差別や偏見」のない組織であること、職場の中心に国労が座っている証となると思います。
また、JR東日本内での契約社員及び業務委託の拡大による関連会社社員の組織化も重要な課題です。
この一年間でJESS社員○名が国労に加入しました。一方で国労東日本との友好かつ共闘関係を持つ、
JESSーUも着実に組合員を拡大しています。さらに、昨年統合された、東北総合サービス(TSS)
でも組織化を意識した関わりも作られています。そうした実態を機関として関係強化に向け如何なる方
向で機関整備を図っていくのかも重要な課題となっています。
今大会では、この一年間の組織拡大の成果と経験を報告し、学習し、職場に持ち帰って次への実践に
活かしていただくことを切望するとともに、全組合員が一丸となって国労運動の継承と発展に向け、さ
らに組織拡大を追求していきたいと思います。
4 点目は、安全安定輸送確立、労働条件の改善についてです。
昨年度の決算では、JR東日本及びJR貨物ともに好調な企業業績となりました。しかし、2016 春闘
では、過去最高の増収・増益を計上したJR東日本が定昇に加え平均 1,175 円のベア、JR貨物が定昇
及び諸手当改善はあったものの 17 年連続ベアゼロに終わりました。2014 年春闘以降、官製春闘と揶揄
された中でのベア獲得の闘いは、経済状況を理由に抑制される一方、企業は内部留保金をさらに積み増
す傾向が鮮明になっています。いっこうに改善されない日本経済において消費者物価指数の上昇率が限
りなくゼロに近づいている今日、春闘時の統一要求に対する「ベア」の根拠にも影響が出てくる状況の中
で、単に戦術議論に集中するのではなく、2017 年春闘に向けた賃金要求についてもしっかりと議論して
いく必要があると思います。
また、安全問題に目を向ければ、JR東日本管内における重大インシデントが後を絶たない状況とな
っています。昨年 4 月の山手線での電化柱の倒壊以降、東北新幹線や根岸線での架線切断、高崎線での
電気設備故障等、設備に絡む重大インシデントが続いています。そしてその度に大規模輸送障害を発生
させているわけです。設備の老朽化や外注化による安全軽視、技術継承の問題等、解決しなければなら
ない課題が数多くあることも事実です。改めて労働組合の役割と責任を噛みしめ、問題の改善・解消を
強く求めていかなければなりません。
今大会は、東日本本部結成から 30 回目の大会となりました。緊縮財政を迫られているエリア本部とし
て、記念行事などは予定しておりませんが、30 年の節目に当たり、諸先輩とともに私たちが切り開いて
きたJR東日本、JR貨物内での情勢をさらに発展させていく決意を全組合員で確認し合いたいと思い
ます。
結びに、代議員・傍聴者は、各地方から本大会に持ち寄った成果や取り組みの報告や意見に耳を傾け、
真摯に討論し学び合う大会としていただくことをお願い申し上げ、東日本本部執行委員会を代表しての
挨拶とします。ありがとうございました。