高分子化学Ⅱ 平常テスト⑭(H26.07.17)標準解答 1 ビニルポリマーと

高分子化学Ⅱ
1
平常テスト⑭(H26.07.17)標準解答
ビニルポリマーとノンビニルポリマーの相違を、①構造的、②機能的、の両側面から論じよ。
①構造的相違:ビニルポリマー(VP)はポリアセチレンなどの特殊例を除き、sp3 炭素の連続から
なる主鎖と、側鎖置換基により成り立っている。ノンビニルポリマ−(NVP)は、主鎖にヘテロ
原子・飽和,不飽和または芳香族(ヘテロ)環の何れか、あるいは全部を含む。
②機能的相違:VP は sp3 炭素より成る柔軟主鎖を持つので、ガラス転移温度(Tg)が一般に低く、
その物性は側鎖の立体因子・電気的因子ならびに立体規則性に因る。NVP では、合成上の制約か
ら側鎖を持つことは少なく、主鎖中のヘテロ原子・飽和,不飽和または芳香族(ヘテロ)環の接続順序
とそれらの密度からもたらされる主鎖回転の自由度と電気的因子により物性が決定される。
2
酵素が有する3つの特徴(特異性)を挙げ、それぞれ簡潔に説明せよ。
高反応性 : 酵素触媒反応が、きわめて反応速度が大きいこと
基質特異性: 酵素触媒作用を及ぼせる基質がほぼ一種に特定される
作用特異性(反応特異性): ある特定の酵素種は、ただ一種類の酵素触媒反応しか行わないこと
3
E+S
ES 複合体
P+Eのように、複合体を経由する酵素反応において、第一段
の「ES 複合体に至る前平衡」の定数を K1(≡k1/k−1)、第二段の速度定数を k2 とする。一般に k1
>k−1≫k2 と仮定できるので、律速段階は第二段の反応である。
(1) Michaelis-Menten 式を導出せよ。ただし、必要であれば次のパラメータを用いよ:
Km=(K1)−1,v=d[P]/dt,vmax=k2[E]0。ただし添え字 0 は「初期」を意味する。
k1>k−1≫k2 の仮定より、Km=(K1)−1=[E][S]/[ES]、また、[E]0=[E]+[ES]より[E]= [E]0−[ES]なの
で、これを代入すると、
Km=([E]0−[ES])[S]/[ES],Km[ES]= [E]0[S]−[ES][S],[ES]=[E]0[S]/(Km+[S])
v=d[P]/dt=k2[ES] なので、[ES]=v/k2、したがって v=k2[E]0[S]/(Km+[S])= vmax[S]/(Km+[S]) //
(2) Lineweaver-Burk plot の①関数式を示し、②Km と vmax の決定方法(何と何をプロットするの
か図示し・どこの部分からどのように計算するのか)を示せ。
反応初期は、v=vi(初速度)、[S]=[S]0 とみなせる。したがって M-M 式は vi=vmax[S]0/(Km+[S]0)と
なり、この逆数が Lineweaver-Burk plot であるから、(1/vi)=(1/vmax)+(Km/vmax)・(1/[S]0)となる。
y軸(1/vi) vs. x軸(1/[S]0)をプロットすると直線になり、y切片から(1/vmax)が、x切片から
−(1/Km)が算出される。図は略する。なお、Lineweaver-Burk plot は酵素反応のパラメータを求
めるには近似がやや甘い方法と言われており、他にも Eadie-Hofstee や Hanes-Woolf プロットが知ら
れている。http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/biochem5.htm など参照。
(3) [S]0→0、あるいは[S]0→∞のときの酵素反応の特徴を説明せよ。
vi=vmax[S]0/(Km+[S]0)において、[S]0→0 のとき vi≒vmax[S]0/Km なので、
vi は[S]0 の一次に比例する。
[S]0→∞では、vi≒vmax なので、vi は[S]0 の 0 次反応となる。