感覚情報の符号化 • 次図は刺激の強さと受容器の応答の様子を 示している。 (a)弱い刺激により 起動電位だけが 生じている (b)強い刺激により 起動電位にインパ ルスが重畳している • 心理実験において感覚の大きさは刺激強度 の対数におおよそ比例することが知られてい る(Weber-Fechnerの法則)。 • この非線形性は多くの場合受容器電位の段 階で起こっている 左図は刺激強度に対する 起動電位の変化を表して いる。 (a)刺激強度に比例する例 (b)刺激強度の対数に比例 する例 • 起動電位とインパルスの頻度は比例関係で ある。 • 非常に弱い刺激から強い刺激まで変化させ ると受容器電位(起動電位)は次図のようなS 字状の変化を示す。 ・弱い刺激では、あるしきい値まで受容器電位 は生じない。 ・強い刺激では飽和する。 ・その中間では前出のように刺激に比例、 あるいは刺激の対数に比例する特性を示す。 ・インパルスは受容器電位に比例するため、同様の特性となる。 • 受容器に一定の大きさの刺激を連続して加 えた場合の反応を次図に示す。 受容器電位とインパルス の頻度は次第に減少し、 感覚も減少していく。 これを順応(adaptation) と呼ぶ。 光受容 • 網膜の構造 – 脊椎動物の網膜の構造を次図に示す。 光 • 網膜の層構造 – 視細胞層 外網上層(シナプス結合の層) – 内顆粒層 内網状層(シナプス結合の層) – 神経節細胞層 • 視覚信号の伝達 光 視細胞層 内顆粒層 電気信号 神経節細胞層 • 水平細胞とアマクリン細胞は横方向に結合して いる。 • ミュラー細胞はグリア細胞の一種である (グリア細胞とは他の細胞間隙を埋める細胞である) • より詳細な網膜の構造図を示す 視細胞による光電変換作用 • 視細胞 – 錐体(corn)・・・色に反応する – 桿体(rod)・・・・色に反応しない 円盤 • 外節において光の受容を行う。 • 外節内部には多数の円盤(disk)が ある。 • 桿体では視物質としてロドプシンが含 まれる。 • 視細胞に光が当たると過分極を起こ すようになっている。 • 視細胞電位発生の様子を次図に示す 膜電位変化のグラフ 明状態になると 膜電位は負の方に 変化する ・視細胞は暗の時に興奮しており、明になると興奮が収まる • 受容器電位Vと刺激強度Iとの関係 V I = Vmax I + σ Vmax:受容器電位の最大値, σ:Vmax/2を与える刺激強度 1.2 1.2 1 1 0.6 0.2 0.2 0 1. 0 0.4 0 1 91 181 271 361 451 541 631 721 811 901 991 刺激強度 直線的になる 0.4 15 .8 39 .8 10 0. 0 25 1. 2 63 1. 15 0 84 .9 39 81 10 .1 00 0 25 .0 11 8 63 .9 09 5. 7 0.6 0.8 6. 3 0.8 2. 5 V/Vmax V/Vmax • 次第に1に収束する特性となる。 刺激強度 横軸を対数的に変化させた場合 • 光の強さに対する錐体の応答の様子 – フラッシュ光を当てたときの錐体の応答を測定 – 光の強さが強くなるに従い(値が負から0に近づく に従い)受容器電位は負に大きく変化している フラッシュの強さ(log(強さ)) 光が強いほど負に大きく変化(過分極) • 桿体と錐体の反応の違い – 桿体の方が暗い光にも反応することが分かる – 桿体は半径約250μm、錐体は約50μmの範囲 で電気的な結合をしており、この差が感度の差を もたらす より暗い光でも 反応が始まる 内顆粒層のニューロンによる情報処理 • 視細胞で受光した情報を一次処理して出力段の神 経節細胞に送る • 水平細胞 – 視細胞と同様の応答 – 半径0.5∼1mm程度で電気的応答の空間荷重をする – 視細胞への負のフィードバックがある • 双極細胞 – OFF中心型とON中心型がある • アマクリン細胞 – 光照射の開始時と終了時に脱分極するON-OFF型(時間 微分) 照射パターン。中心照射では 細胞の存在する中心に光が当たる、 周辺照射では細胞の周辺に光が当たる 照射時間 視細胞と同様に光が当たると 過分極をする OFF中心では、中心に光が当たると 電位は下がる。ON中心では上がる。 周辺照射では中心照射と逆の 反応となる。 時間 ON-OFF型では照射開始と終了時に 電位が上がる。 時間 神経節細胞の応答 光 中心 過分極 周辺 • 視覚情報はここでインパ ルス列に変換される • 細胞にはON型、OFF型、 ON-OFF型がある – ON型・・・中心視野への刺 激でインパルス発生 – OFF型・・・周辺視野への 刺激でインパルス発生 – ON-OFF型・・・刺激開始時 と終了時にインパルス発生 この部分のインパルスは 反応無し 光を当てた影響とは異なり 通常時の応答である。 ON型 ON-OFF型 OFF型 色覚 • 錐体により検出する(ピー ク波長により3種類に分 かれる) – L錐体・・・赤 – M錐体・・・緑 – S錐体・・・青 波長 S錐体 錐体によって 受容器電位の 生じる波長が 異なる • 三原色が視細胞の段階 で生じていることが分か る M錐体 L錐体 波長の値を飛び飛びに変化させて 光を当てていった場合の錐体の 反応(コイによる実験) S錐体 M錐体 L錐体 標準偏差 各錐体の応答するスペクトル(多数の錐体で測定)
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