第3回・授業(参考)ノート

解析入門 I e クラス
倉田 和浩
目次
求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
解析入門 I e クラス
倉田 和浩
2014 年 4 月 23 日
解析入門 I e クラス
目次
倉田 和浩
目次
求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
.1. 求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
.2. 1つの応用例(追跡)
解析入門 I e クラス
変数分離形
倉田 和浩
目次
求積法
変数分離形
同次形
• I を R のある区間とし, 与えられた関数 f および g に
対して, 未知関数 u(x) についての
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
du(x)
= f (u(x))g (x),
dx
x ∈I
の形の微分方程式を変数分離形という.
例1.
du(x)
= e u(x) x
dx
は変数分離形. しかし,
du(x)
= u(x) − u(x)2 + cos x
dx
は変数分離形ではない.
(1)
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平衡解
倉田 和浩
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求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
• f (u ∗ ) = 0 となる定数 u ∗ があるとき, u(x) ≡ u ∗ とい
う定数関数は (1) の解となる. このような解を平衡解と
いう.
平衡解でないような解は次の手順で求めることができる.
f (u(x)) ̸= 0 を仮定して
du(x)
1
= g (x).
f (u(x)) dx
今関数 f (u) に対して,
しよう. すなわち,
1
f (u)
の原始関数の1つを F (u) と
dF (u)
1
=
du
f (u)
を満たす.
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変数分離形の解法
倉田 和浩
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求積法
変数分離形
このとき
{
}
d
1
du(x)
F (u(x)) =
= g (x).
dx
f (u(x)) dx
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
従って,
∫
F (u(x)) =
x
g (t) dt + C
0
として一般解 u(x) が求まることとなる.
• 最後に u(x) = · · · とあらわに解を表せなくても, 求積
できた(解けた)という.
• 一般に, 与えられた関数(データ)の加減乗除, 不定積
分, 逆関数等の操作を有限回行うことで解 u(x) を求める
ことを求積法という.
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倉田 和浩
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求積法
変数分離形
例題1
生物の個体増殖モデルとして現れるロジステック方程式
を考える. 時刻 t での個体数を u(t) として,
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
du(t)
= (a − bu(t))u(t)
dt
を考える. ここで a, b はともに正の定数であって, 増殖
率が一定値 a ではなくて, 個体の数が大きくなるにつれ
て, 混雑効果(飽和効果)として (a − bu(t)) で表される
とする数理モデルである. これは f (u) = (a − bu)u,
g (x) = 1 として変数分離形である.
• 以下, 簡単のため a = b = 1 として
du(t)
= (1 − u(t))u(t)
dt
を解こう. まず, 平衡解が2つあって u(t) ≡ 0 と
u(t) ≡ 1 であることがわかる.
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例題1の解法
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求積法
変数分離形
同次形
一般には,
1
(1−u)u
∫
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
の原始関数を
∫
1
1
+ ) du
1−u u
u = − log |1 − u| + log |u| = log
1 − u
F (u) =
1
du =
(1 − u)u
(
として求める手順を経て,
u(t) =t +C
log
1 − u(t) として解けることとなる.
解析入門 I e クラス
この場合さらに
u(t) x+C
.
1 − u(t) = e
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求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
絶対値をはずして
u(t)
= ±e c e t = C ′ e t
1 − u(t)
を得る. これより結局
u(t) =
C ′e t
1 + C ′e t
を得ることができる. ここで C ′ は 0 以外の任意の定数
である. これが一般を与えることとなる.
• C ′ = 0 とすると, u(t) ≡ 0, C ′ = +∞ とすると,
u(t) ≡ 1 となることになるいう意味で, 上記の一般解は
平衡解も含めた一般解の表現となっているとも言える.
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求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
特に, たとえば初期条件 u(0) = 12 を満たすような解は,
′
1
= u(0) = CC′ +1 から, C ′ = 1 と求まるので,
2
1つの応用例
(追跡)
u(t) =
et
1 + et
が初期条件 u(0) = 21 を満たすただ 1 つの解となる. この
とき limt→+∞ u(t) = 1 となることがわかる.
♣ 実は α > 0 に対して, 初期条件 u(0) = α を満たす解
u(t) は, 常に limt→+∞ u(t) = 1 となることもわかる.
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同次形
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次の形の微分布袋式を同次形という.
求積法
du(x)
u(x)
=f(
).
dx
x
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
このとき, 未知関数に関する変換
u(x)
x
を考えると, u(x) = xv (x) なので u ′ (x) = v (x) + xv ′ (x)
v (x) =
を代入して
v (x) + xv ′ (x) = f (v (x))
すなわち
dv (x)
=
dx
{
}
1
f (v (x)) − v (x)
x
と変数分離形となる. 従って, v (x) について解いて,
u(x) = xv (x) としてもとの同次形の解が得られることと
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例題2
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求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
次の微分方程式は
du(x)
u(x) + x
=
dx
u(x) − x
一見同次形に見えないが, 次の変形で同次形であること
がわかる.
du(x)
=
dx
u(x)
x
u(x)
x
+1
−1
.
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求積法
ベルヌーイ型
α ̸= 1 とする. 与えられた連続関数 p(x), q(x) に対して,
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
du(x)
= p(x)u(x) + q(x)u(x)α
dx
をベルヌーイ型の微分方程式という. v (x) = u(x)β とし
てみると, v ′ (x) = βu(x)β−1 u ′ (x) なので方程式は
u(x)β−1 u ′ (x) = p(x)u(x)β + q(x)u(x)α+β−1
と変形でき, β = 1 − α と選ぶと,
1
v ′ (x) = p(x)v (x) + q(x)
1−α
となって, v (x) については 1 階の線形微分方程式なので
解けることとなる.
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応用問題(追跡)
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求積法
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
♣ 問題: 長さ2の正方形の 4 隅にいる動物が反時計回り
で見て隣にいる動物に向かってお互いに(毎秒)一定速
度 v で追跡するものとする. お互いが出会うのは何秒後
か?(最後のページの図も参照せよ)
• 座標を時刻 t = 0 で動物 A, B, C , D がそれぞれ,
A(1, 1), B(−1, 1), C (−1, −1), D(1, −1) となるように選
び, 時刻 t での A の座標を (x(t), y (t)) で表すことにす
ると, 対称性から B の座標が (−y (t), x(t)) なることに
注意しよう.
• 追跡に関する仮定より A はベクトル AB の方向に速度
ベクトルが向いていることになるので, ある α が存在し
て次を満たすこととなる.
(
となる.
x ′ (t)
y ′ (t)
)
(
=α
−y (t) − x(t)
x(t) − y (t)
)
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これから
求積法
dy (x)
=
dx
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
dy (t)
dt
dx(t)
dt
=
x −y
y −x
=
−y − x
y +x
(2)
となる. (これは同次形なので解ける.)
一方で, 仮定から
v=
よって
√
(x ′ (t))2 + (y ′ (t))2 = α
√
(x + y )2 + (x − y )2
√ √
v = α 2 x(t)2 + y (t)2
という関係式を得る.
(3)
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目次
求積法
実は (2) を同次形と見て解くより, 次のように極座標変
換を用いた計算をしたほうがよいことがわかる. つまり,
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
x = r cos θ = r (θ),
y = r sin θ = r (θ) sin θ
と書くことにする. ここで動物 A の動く軌道が y = y (x)
として記述できたように, 極座標表現において r は角度
θ から決まって r = r (θ) とかけることを用いている.
このとき, 次の公式
dy
= r ′ (θ) sin θ + r (θ) cos θ,
dθ
dx
= r ′ (θ) cos θ − r (θ) sin θ,
dθ
解析入門 I e クラス
これを (2) に代入すると
dy
y ′ (θ)
r ′ sin θ + r cos θ
= ′
= ′
dx
x (θ)
r cos θ − r sin θ
倉田 和浩
目次
求積法
変数分離形
=
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
r sin θ − r cos θ
sin θ − cos θ
=
r sin θ + r cos θ
sin θ + cos θ
を得る. これを
(r ′ sin θ + r cos θ)(sin θ + cos θ)
= (r ′ cos θ − r sin θ)(sin θ − cos θ)
と変形して整理すると
r ′ (θ) = −r (θ)
を得る. よって r (θ) =√Ce −θ . 動物 A の最初の位置に関
する初期条件 r ( π4 ) = 2 から
r (θ) =
となる.
√ π −θ
2e 4 e
解析入門 I e クラス
倉田 和浩
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求積法
さらに, r ′ (t) =
dr (θ) ′
θ (t)
dθ
= −r θ′ (t) などに注意して,
√
√
v = (x ′ (t))2 + (y ′ (t))2 = (r ′ (t))2 + r (t)2 (θ′ (t))2
√
π
= 2r θ′ (t) = 2e 4 e −θ θ′ (t)
変数分離形
同次形
ベルヌーイ型
1つの応用例
(追跡)
を得る.
よって
v θ(t)
π e
2e 4
という変数数分離形の微分方程式を, 初期条件 θ(0) =
θ′ (t) =
も考慮して解いて
e − 4 − e θ(t) =
π
π
4
v
π t
2e 4
となる. 従って
√
vt
2(1 − )
2
を得る. r = 0 となる (つまり動物 A と B が出会う)の
は時刻 t = v2 (秒後)となることがわかる.
r (t) =
√
2e 4 e −θ(t) =
π
4つの動物の追跡曲線
B
A
y(t)
A’
B’
x(t)
-y(t)
C
x(t)
D