分布定数線路 科 v1.8 Aug.2014 1. 分布定数線路 d2 I(z) − γ 2 I(z) = 0 (21) dz 2 式 (21) を電流に関する波動方程式 (current wave equation) と呼ぶ。 ここで重要な結果である式 (16),式 (21) を再度まとめて表示すると, d2 V (z) − γ 2 V (z) = 0 (22) dz 2 2 d I(z) − γ 2 I(z) = 0 (23) dz 2 ただし,γ 2 = (R + jωL)(G + jωC) である。式 (22) および式 (23) i ( z + ∆z , t ) R∆z L∆z G∆z v( z + ∆z , t ) C ∆z ∆z 図1 番 氏名: となり,最終的に次式が得られる。 i( z, t ) v( z , t ) 年 R [Ω m] L [H m] G [S m] C [F m] 微小長さ ∆z あたりの集中定数等価回路 の一般解はそれぞれ V (z) = V0+ e−γz + V0− e+γz (24) I(z) = I0+ e−γz + I0− e+γz (25) である。ここで式 (24) の微分を考える。 dV (z) = −γV0+ e−γz + γV0− e+γz (26) dz この式の左辺は式 (11) に等しいので, −γ(V0+ e−γz − V0− e+γz ) = −(R + jωL)I(z) (27) が得られる。これを I(z) について求めると, 1 γ I(z)= (V + e−γz − V0− e+γz )= (V0+ e−γz − V0− e+γz )(28) R + jωL 0 Z0 ただし,Z0 を特性インピーダンス (characteristic impedance) と呼 *2 。 び,式 (29) で与えられる √ R + jωL R + jωL Z0 = = (29) γ G + jωC 図 1 において,まず K.V.L (キルヒホッフの電圧則) より, ∂i(z, t) = v(z + ∆z, t) (1) ∂t が得られる。同様に K.C.L (キルヒホッフの電流則) より, ∂v(z + ∆z, t) i(z, t) − G∆zv(z + ∆z, t) − C∆z = i(z + ∆z, t)(2) ∂t が得られる。式 (1) と式 (2) を整理して書き直すと ∂i(z, t) v(z, t) − R∆zi(z, t) − L∆z − v(z + ∆z, t) = 0 (3) ∂t ∂v(z + ∆z, t) i(z, t)−G∆zv(z +∆z, t)−C∆z −i(z +∆z, t) = 0(4) ∂t となる。さらに式 (3) と式 (4) の両辺を ∆z で割ると v(z, t) − v(z + ∆z, t) ∂i(z, t) − Ri(z, t) − L =0 (5) ∆z ∂t i(z, t) − i(z + ∆z, t) ∂v(z + ∆z, t) − Gv(z + ∆z, t) − C = 0 (6) ∆z ∂t となる。ここで ∆z → 0 の極限をとると ∂v(z, t) ∂i(z, t) = −Ri(z, t) − L (7) ∂z ∂t ∂i(z, t) ∂v(z, t) = −Gv(z, t) − C (8) ∂z ∂t となる。電圧と電流がともに正弦的に時間変化するとすれば,∂/∂t = jω であるから v(z, t) = V (z)ejωt (9) i(z, t) = I(z)ejωt (10) v(z, t) − R∆zi(z, t) − L∆z 2. 位相速度と波長 最も簡単な例として,式 (17), (29) において R = G = 0 の無損失の √ 場合を考える。このとき,γ = jβ = jω LC, Z0 = V (z) = (V0+ e−jβz + V0− e+jβz )ejωt Re [V (z)] = V0+ cos(ωt − βz) + V0− cos(ωt + βz) (31) となる。式 (31) の第 1 項目を進行波,第 2 項目を後進波と呼ぶ。こ こで,進行波の位相項 (ωt − βz) に着目して,図 2 における同位相の 2 点 A (z0 , t0 ) と B (z0 + ∆z, t0 + ∆t) について考えると,両者の位 (11) 相は等しいので (12) ωt0 − βz0 = ω(t0 + ∆t) − β(z0 + ∆z) ⇒ ω∆t = β∆z (32) が得られる。従って,A-B 間の波面の移動速度 (位相速度 phase velocity と呼ぶ) は ∆z ω ω 1 vp = = = √ = √ (33) ∆t β ω LC LC となる。一方,波長は位相が 2π 離れた 2 点の距離 A-C なので (ωt0 − βz0 ) − (ωt0 − β (z0 + λ)) = βλ = 2π (34) 従って次式となる。β は単位長あたりの位相角度を表す量で,位相定 数 (phase constant) と呼ばれ 2π λ= (35) β (13) (14) となる。これを整理すると d2 V (z) − (R + jωL)(G + jωC)V (z) = 0 dz 2 (30) となる。物理的に観測できるのは実部のみなので*3 のように電圧と電流に関する 2 元連立 1 階微分方程式が得られる。式 (11) と式 (12) より I(z) を消去する。式 (11) より dV (z) 1 I(z) = − R + jωL dz であるから,これを式 (12) [ ] に代入すれば dV (z) d 1 − = −(G + jωC)V (z) dz R + jωL dz L/C となる。 これを式 (24) に代入して時間項 ejωt を掛けると となるので, dV (z) = −(R + jωL)I(z) dz dI(z) = −(G + jωC)V (z) dz √ (15) となり,最終的に次式が得られる。 で与えられる。 d2 V (z) − γ 2 V (z) = 0 (16) dz 2 ただし,γ を伝搬定数 (propagation constant) と呼び √ γ = (R + jωL)(G + jωC) (17) 1 * で与えられる 。また,式 (16) を電圧に関する波動方程式 (voltage wave equation) と呼ぶ。同様にして,式 (11) と式 (12) より V (z) を消去する。式 (12) より dI(z) 1 V (z) = − (18) G + jωC dz であるから,これを式 (11) [ ] に代入すれば dI(z) d 1 − = −(R + jωL)I(z) (19) dz G + jωC dz t = t0 t = t0 + ∆t cos (ωt0 − β z ) cos (ω (t0 + ∆t ) − β z ) z0 + ∆z A B z0 図2 C λ z z0 + λ 位相速度と波長の概念図 となる。これを整理すると d2 I(z) − (R + jωL)(G + jωC)I(z) = 0 dz 2 (20) *2 *1 *3 通常は複素数で γ = α + jβ の形をとる。無損失 (α = 0) なら γ = jβ のよ うに純虚数となる。 1 通常は複素数となるが,無損失 (R = G = 0) なら実数となる。 [ ] [ ] cos (ωt − βz) = Re ej(ωt−βz) = Re e−jβ(z−vt) である。最後の式は z − vt の関数になっており,速度 v で z+ に進む波を波動を表している。
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