自然科学入門(化学) 第10回 10-1 第3章金属のイオン化傾向(p 55) 金属原子は、電子を放出して陽イオン(カチオン)になるが、その成り易さには相違がある 金属原子が陽イオンとなる場合は、酸化数が増加する――酸化されることに相当 Na のイオン化 (酸化数変化 : 0 → +1) Mg のイオン化 (酸化数変化 : 0 → +2) 第一イオン化 2 Na 2 H2 O Mg 2 H2 O Au H2 O 2 NaOH Mg(OH)2 第二イオン化 爆発的に反応が進行 H2 H2 高温蒸気と反応 反応は起こらない ( Ag, Pt, 陽イオンになりやすさに差 Cu) イオン化傾向 金属のイオン化傾向の大きさと反応 10-2 代表的な金属のイオン化傾向の覚え方 貸そうかな、 K, まあ, 当 て に すん な、 Ca, Na, Mg, Al, Zn, Fe, Ni, Sn, Pb ひ ど 過 ぎる 借 金 H, Cu, Hg, Ag, Pt, Au 酸化されずらい 酸化されやすい 金属と金属イオンとの反応 Zn Fe 2 Zn 2 Fe Zn が Fe 2 に電子を与えた イオン化傾向 : Zn Fe Cu 2 Fe Cu Fe 2 Fe が Cu 2 に電子を与えた イオン化傾向 : Cu Fe 第I族、 II 族の金属はイオン化傾向が大きい→他の金属と比べて陽イオンになりやすい 金属元素の種類によって、イオン化傾向は大きく異なる→貨幣金属はイオン化傾向が小さい** 周期表で右側に行くほどイオン化傾向が小さくなる→電子親和性が大きくなる **Au (金), Ag (銀), Cu (銅) 等は、電子を放出するエネルギーが大きい(イオン化エネルギー) 電子を与える系と電子を受取る系を組合わせると電子が移動する。 例えば、導線でつないだ亜鉛板と銅板を酸溶液に入れると、どちらもイオン化しようとするが、 イオン化傾向から、亜鉛がイオン化してZn2+ が溶液中に溶け込み、 亜鉛板は-に帯電(負極)し、その結果、電子は相対的に電位が高い 銅板へと流れる。 電池 Zn→Cuへ 第 4 章 電池と電気分解 代表的な電池 10-3 素焼き板(塩橋) e 正極(還元) 負極(酸化) e e H2 Zn2+ H2 ガス泡 Zn Zn2+ H+ H+ SO42- H2SO4液 Cu H+ H+ SO42- ボルタ電池 Zn Zn2+ Zn2+ SO42- Zn2+ ZnSO4液 Cu Cu2+ Cu2+ Cu2+ SO42CuSO4液 ダニエル電池 H+ PbO2 Pb H+ H+ H+ SO42- SO42- H2SO4液 鉛蓄電池 ( ) Zn H2SO 4 aq Cu ( ) ( ) Zn ZnSO 4 aq CuSO 4 aq Cu ( ) ( ) Pb H2SO 4 aq PbO 2 ( ) 負極:Zn Zn 2 2e 負極:Zn Zn 2 2e 正極:2H 2e H2 正極:Cu 2 2e Cu 負極:Pb SO 4 2 PbSO 4 2e 起電力: 1 .1 V 起電力: 1 .1 V H2の泡が銅板に付着 → 電子の授受を阻害 H2が電子受け取って逆反応 H2→2H+ + 2e 電流がすぐストップ ボルタ電池の改良 素焼き板で電荷バランス保持 Zn 板薄く、Cu 板厚くなる (ZnSO4↓、CuSO4↑) 電流が流れ続ける 正極:PbO 2 SO 4 2 4H 2e PbSO 4 2H2O 起電力: 2V 二次電池(放電と充電) Pb + PbO2 + 2H2SO4 ⇆ 2PbSO4 + 2H2O 自動車バッテリー その他の電池 マンガン乾電池(アルカリ電池) ( ) Zn ZnCl2 aq MnO 2 C ( ) 負極:Zn 2OH ZnO H2O 2e 正極: 2MnO 2 H2O 2e Mn2O 3 2OH 全電池: 2MnO 2 Zn H2O Mn2O 3 ZnO 起電力: 1 .5 V リチウムイオン蓄電池(二次電池) ( ) C LiBF4 Organic sol. LiCoO 2 ( ) 負極:LiCoO 2 Li(1 x )CoO 2 xLi xe 正極:xLi xe 6C Li x C 6 全電池:LiCoO 2 6C Li(1 x )CoO 2 Li x C 6 起電力: 3 .6 V 一次 化学 酸化銀電池 ( ) Zn KOH aq Ag2O ( ) 二次 電池 負極:Zn 2OH ZnO H2O 2e 正極:Ag2O H2O 2e 2 Ag 2OH 燃料 マンガン乾電池 アルカリ乾電池 酸化銀電池 水銀電池 鉛蓄電池 Ni-Cd 電池 Ni-H2 電池 リチウムイオン電池 全電池:Ag2O Zn 2Ag ZnO 起電力: 1 .5 V 物理 太陽電池 二重層コンデンサー 生物 酵素電池 10-4 電気分解 10-5 電解質溶液の電極(同種類の金属)での化学反応 陰極 : 陽イオンが電子を受け取る(還元) 陽極 : 陰イオンが電子を放出する(酸化) 〇Ag+, Cu2+, H+ 等は還元(電子を受け取る)される Ag+ + e- → Ag Cu2+ + 2e- → Cu 2H+ + 2e- → H2 〇Na+, K+ などイオン化傾向大きいものは還元されない (水分子の還元により、H2 が生成) 2H2O + 2e- → 2OH- + H2 〇OH-やハロゲンイオンは酸化されやすい 4OH- → 2H2O + O2 + 4e2Cl- → Cl2 + 2e2Br- → Br2 + 2e2I- → I2 + 2e〇NO3-,SO42-のようなイオンは酸化されにくい (水分子が酸化されて酸素が発生) 2H2O → O2 + 4H+ +4e- - 電 陰極 解 (還元が起こる) 質 水 溶 液 陽イオン(+) + 陽極 (酸化が起こる) グラファイト (C) 又はプラチナ(Pt) 陰イオン(-) 陽極としてCu,Agやそれ以上イオン化傾向の大きい金属を用いると、電極自身が酸化されて溶ける Cu → Cu2+ + 2eAg → Ag+ + e- 各種溶液の電気分解 10-6 電極として白金 (Pt) あるいはグラファイト (C) を用いた場合 HCl 溶液の電気分解 2Cl Cl2 2e 2H 2e H2 水の電気分解 4OH 2H 2e H2 O 2 2H2O 4e 水の電気分解時には電解を促す ために少量の NaOHを加える CuSO4 溶液の電気分解 4OH Cu 2 2e Cu O 2 2H2 O 4e
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