2014 杏林大学医学部 化学

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Ⅰ【解答】
問1⑴ア
③
⑵エ
②
イ
④
ウ
①
⑶a. オ
1
カ
0
キ
7
b. ク
1
ケ
5
c. サ
2
シ
8
ス
5
d. セ
5
ソ
4
⑷タ
②
問2⑴チ
⑦
ツ
②
テ
①
⑵ト
②
ナ
④
二
⑤
ヌ
コ
4
③
【解説】
問1
⑴⑵
アルカリ型燃料電池における反応式は以下の通り。電子が流れ込む電極が正極であ
る。
電極 A(負極) :H2+2OH-ア → 2H2O イ + 2e-ウ
①
1
O2+H2O イ+2e-ウ → 2OH-ア
②
2
1
全体:H2+ O2 → H2O イ(液)+Q kJ
③
2
1.80
30 分間の放電で水が(
=)0.100 mol 生じている。上記の①~③式より,
18
電極 B(正極⑵):
⑶ a
電子 e-が 2 mol 流れたとき,H2O が 1 mol 生成することが分かるので,題意の放
電で流れた e-の物質量は,
0.100×2=0.200〔mol〕
である。よって,電流を i〔A〕とすると,
i  (30  60)
9.65  10 4
=0.200
これを解いて,
i≒10.7〔A〕
b
電気エネルギー〔J〕=電気量〔C〕×電圧〔V〕より,
(9.65×104×0.200)×0.800=15440〔J〕≒15.4〔kJ〕
1
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c
H2O(気)の生成熱を x〔kJ/mol〕とする。
H2+
1
O2=H2O(気)+x kJ
2
「反応熱=生成物の結合エネルギーの総和-反応物の結合エネルギーの総和」より,
x=(463×2)-(436+
1
×498)=241〔kJ/mol〕
2
水の蒸発熱は 44.0kJ/mol だから,
H2O(液)=H2O(気)-44.0 kJ
したがって,
Q=241+44.0=285〔kJ/mol〕
d
電気エネルギーに変換された割合(エネルギー変換効率)は,
154
×100≒54〔%〕
285
⑷
リン酸型燃料電池における反応式は以下の通り。
電極 A(負極):H2 → 2H++2e-
電極 B(正極):
1
O2+2H++2e- → H2O
2
よって,水を生成するのは電極 B となる。
問2
選択肢①~⑦の水溶液を電気分解することで発生する可能性のある気体は,H2,Cl2,
⑴
O2 のみ。それぞれの気体が発生する電極と反応式は以下の通り。
陰極: 2H2O+2e- → H2+2OH-
(酸性溶液の場合 2H++2e- → H2)
陽極: 2Cl- → Cl2+2e-
陽極: 2H2O → 4H++O2+4e-
(塩基性溶液の場合 4OH- → 2H2O+O2+4e-)
H2 と Cl2 は e-が 2mol 流れた際に 1 mol 発生するのに対し,O2 は e-が 2 mol 流れ
た際に
1
mol 発生する。a)より,A(陽極)で発生した気体は O2 である。よって,C(陽
2
極)で発生した気体は Cl2,D(陰極)で発生した気体は H2 である。
電解槽 A について,
⑵
〔実験 1〕a) 陽極のとき,O2 が発生。
〔実験 2〕e) 陰極のとき,電極の質量に変化がない。すなわち,気体が発生。
e)より,電解槽 A には,イオン化傾向の小さい金属の陽イオン(Cu2+,Hg2+,Ag+)
は含まれていないことが分かる。また,a)より,Cl-も含まれていないので,電解槽 A
2
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は硫酸水溶液となる。
電解槽 C について,
〔実験 1〕a) 陽極のとき,Cl2 が発生。
〔実験 2〕d) 陰極のとき,電極の質量が 0.198g 増加した。
a)より,電解槽 C には Cl-が含まれていることが分かる。また,d)の条件より,
Cu2+が含まれていることが分かる(☞〔実験 1〕b)の記述より)。よって,電解槽 C は
塩化銅(Ⅱ)水溶液となる。
電解槽 B について,
〔実験 1〕b) 陰極のとき,Cu が析出。
b)より,電解槽 B には Cu2+が含まれていることが分かる。A~D がどれも異なる水
溶液であることから,電解槽 B は塩化銅(Ⅱ)水溶液(電解層 C)以外の Cu2+を含む水溶
液なので,硫酸銅(Ⅱ)水溶液となる。
電解槽 D について,
〔実験 1〕a)+c) 陰極のとき,H2 が発生。同時に OH-が生成し溶液が塩基性を
示す(フェノールフタレイン液を加えると赤色を帯びる)ように
なる。
a)+c)の条件より,中性~塩基性の水溶液で,イオン化傾向の小さい金属の陽イオン
(Cu2+,Hg2+,Ag+)も含まれていないことが分かり,次の反応が起こる。
2H2O+2e- → H2+2OH-
(注) 溶液が酸性であれば,2H++2e- → H2 が起こる。
よって,電解槽 D は塩化ナトリウム水溶液となる。
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Ⅱ【解答】
問1⑴ア
④
⑵イ
⑦
問2⑴オ
⑥
⑵カ
⑧
⑶キ
⑦
⑷ケ
ウ ①
ク
③
②
チ
④
⑸コ
0
サ
4
⑹セ
②
ソ
⑥
エ
⑧
シ
タ
1
ス 6
⑦
【解説】
問1
化合物 A の組成式を CxHyOz とする。
x:y:z=
14.8
100  (77.8  14.8)
77.8
:
:
16
1.0
12
=6.48:7.40:0.925
=7:8:1
化合物 A の組成式は C7H8O である。化合物 A の分子式を(C7H8O)n とすると,分
子量は 108n なので,
108n≦120 より,n=1
よって,化合物 A の分子式は C7H8O である。
化合物 A,化合物 B の溶液は酸性で,塩化鉄(Ⅲ)溶液で呈色したことからフェノ
ール類である。化合物 B は,無水酢酸やメタノールと反応して医薬品となることか
らサリチル酸と考えられる。よって,化合物 A は o-クレゾールと考えられ,化合物
B~D は次のように確定する。
無水酢酸
化合物B
サリチル酸
化合物A
o-クレゾール
OCOCH3
(CH3CO)2O
COOH
OH
OH
CH3
COOH
化合物C
アセチルサリチル酸
解熱鎮痛剤・抗炎症剤
OH
酸化
メタノール
CH3OH
化合物D
サ リチル酸メチル
消炎外用薬
COOCH3
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問2
グルコースは別名をブドウ糖オと言い,親水基であるヒドロキシカ基を複数個もつため
水に溶けやすい。水溶液中では,2 種類の環状構造( -グルコース, -グルコース)と鎖
状構造の合計 3 種類が平衡状態で存在する。このうち,鎖状構造ではアルデヒドク基をも
つため,還元ケ性を示す。
⑥CH
⑥CH
2OH
*C
⑤
H
H
OH
*
C
*C ④
OH
③
⑥CH
2OH
O
*
C①
H
*C
②
H
H
H
*C ④
OH
OH
*C
⑤
OH
H
OH
*
C
H
キ
 -グルコース
H
C
H
*C
②
③
OH
2OH
①
O
H
*C
⑤
O
H
OH
*
C
*C ④
OH
H
*C
②
③
OH
H
OH
*
C①
H
OH
 -グルコース
鎖状グルコース
アルデヒド基
鎖状構造のグルコースには不斉炭素原子が 4 コサ個(上図の*C)存在するため,光学異性
体が 24=16 シス種類存在する。
グルコースのように鎖状構造がアルデヒド基をもつ単糖類はアルドースセという。グル
コースと同じ分子式をもつ単糖にフルクトースソがあるが,フルクトースの鎖状構造には
アルデヒド基はなく,ケトン基をもつのでケトースという。フルクトースは,結晶中では
六員環構造をとるが,水溶液中では鎖状構造および五員環構造との平衡状態で存在してい
る。
H
H
H
C⑥
*C ⑤
H
H
C*
OH
*C
③
OH
H
OH
④
⑥
O
OH
*
C②
 -フルクトース
CH2OH
①
H
C⑥
*C ⑤
H
H
C*
OH
*C
③
OH
H
OH
④
OH
O
C②
鎖状フルクトース
五員環構造
CH2OH
①
CH2OH
*C ⑤
H
H
C*
④
OH
O
OH
*C ②
OH
CH2OH
*C
①
③
H
 -フルクトース
六員環構造
二糖類であるマルトースタは,2 分子の -グルコースが一方の①C に結合したヒドロキ
シ基と他方の④C に結合したヒドロキシ基の間で脱水縮合チした構造をもつ。水溶液中で
は①C に結合したヒドロキシ基をもつグルコースが開環してアルデヒド基をもつ構造が生
じるため,マルトースの水溶液は還元性を示す。
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Ⅲ【解答】
問1ア
①
問2イ
①
問3ウ
④
問4エ
④,⑤
問5オ
⑦
問6ク
③
問7ケ
③
問8コ
③,④
問9サ
②
カ
④
キ
②
【解説】
問1,問2
操作1: 希塩酸で沈殿を形成するものは AgCl,PbCl2 のみであるが,PbCl2 は熱水に溶
けるため,沈殿1は AgCl(白色)となる。AgCl に過剰のアンモニア水を加えると,
次の反応によって直線形イであるジアンミン銀(Ⅰ)イオン[Ag(NH3)2]+アが生成す
る。
AgCl+2NH3 → [Ag(NH3)2]++Cl-
問3
操作 2: 沈殿 1 を分離したろ液は酸性であり,そこに含まれる可能性のある金属イオン
は Li+,Na+,Al3+,K+,Ca2+,Fe3+,Cu2+,Zn2+である。このうち,H2S を
通じるたときに酸性下でも沈殿するのは Cu2+のみである。よって,沈殿 2 は
CuS(黒ウ色)である。
問4
沈殿 2 は CuS であるから単体の Cu について正しく説明した文章を選べばよい。
①誤
イオン化傾向が非常に大きい金属(K,Ca,Na など)に関する文章である。
②正⑦誤
塩酸や希硫酸と反応して水素を発生するのは,水素イオンよりイオン化傾向の
大きい金属のみである。銅は塩酸や希硫酸と反応しない。
③誤④正
希硝酸は酸化力が強く,イオン化傾向の小さい Cu も酸化されて Cu2+となっ
て溶け,HNO3 は還元されて NO になる。Cu2+は水溶液中で青色である。
3Cu+8HNO3 → 3Cu(NO3)2+4H2O+2NO
⑤正⑥誤
濃硝酸は酸化力が強く,イオン化傾向の小さい Cu も酸化されて Cu2+となっ
て溶け,HNO3 は還元されて NO2(赤褐色)になる。反応している間の溶液は緑色で
ある(Cu2+は青色であるが NO2 が共存すると緑色に見える)が,しばらくすると青色
になる。
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Cu+4HNO3 → Cu(NO3)2+2H2O+2NO2
⑧誤
銅は熱濃硫酸と反応して,二酸化硫黄を発生しながら溶ける。濃硫酸に入れたとき,
不動態を形成する金属はアルミニウム,鉄,クロム,コバルト,ニッケルなど。
Cu+2H2SO4 → CuSO4+2H2O+SO2
⑨正
銅は水酸化ナトリウム水溶液と反応しない。水酸化ナトリウム水溶液と反応するの
は,Al,Zn などの両性元素の単体である。
2Al+6H2O+2NaOH → 2Na[Al(OH)4]+3H2
2Zn+2H2O+2NaOH → Na2[Zn(OH)4]+H2
問5・問6
操作 3: 沈殿 2 を分離したろ液に含まれる可能性のある金属イオンは Li+,Na+,Al3+,
K+,Ca2+,Fe2+(Fe3+が H2S によって還元された),Zn2+である。このろ液を煮
沸して H2S を追い出し問6,硝酸(酸化剤問7)を加えて Fe2+を酸化して Fe3+に戻
した後,過剰のアンモニア水を加えたとき,沈殿するのは Al(OH)3(白色)と
Fe(OH)3(赤褐色)である。よって,沈殿 3 には,Al(OH)3 と Fe(OH)3 の両方が含
まれる可能性がある。
沈殿 3 に過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加えると,Al(OH)3 はテトラヒドロ
キシドアルミン酸イオン[Al(OH)4]-となって溶ける。
Al(OH)3+OH- → [Al(OH)4]-
よって,沈殿 3-1 は Fe(OH)3 である。過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加え
ても沈殿が溶けないものは Fe3+である。Fe(OH)3 を希塩酸に溶かした溶液中には,
Fe3+が含まれる。
Fe(OH)3+3H+ → Fe3++3H2O
したがって,この溶液にヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液を加えると濃青色
沈殿オを生じるが,ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム水溶液を加えても変化なしオと
なる。また,チオシアン酸カリウム水溶液を加えると血赤色溶液キになる。
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問8
操作 4: 沈殿 3 を分離したろ液は塩基性で,そこに含まれる可能性のある金属イオンは
Li+,Na+,K+,Ca2+,[Zn(NH3)4]2+である。このろ液に H2S を通じたとき, 沈
殿する可能性があるのは ZnS(白色)のみである。よって,沈殿 4 は ZnS である。
Zn の性質を正しく述べているものを選べばよい。
①誤
イオン化傾向が非常に大きい金属(K,Ca,Na など)に関する文章である。Zn は
高温水蒸気とは反応する。
2Na+2H2O(冷水) → 2NaOH+H2
Zn+H2O(高温水蒸気) → ZnO+H2
②誤
硫化物は一般に黒色であるが,硫化亜鉛 ZnS は白色,硫化カドミウム CdS は黄色
である。
③正
Zn は両性元素で,その酸化物 ZnO は両性酸化物である。
Zn+2H2O+2NaOH → Na2[Zn(OH)4]+H2
④正
Zn は両性元素で,その水酸化物 Zn(OH)2 は両性水酸化物である。
Zn(OH)2+2H+ → Zn2++H2O
Zn(OH)2+2OH- → [Zn(OH)4]2-
⑤誤
ハロゲン化銀の性質である。
光
2AgBr 
2Ag+Br2
⑥正
硫酸バリウム BaSO4 の性質である。BaSO4 は X 線造影剤として利用される。
問9
ここまでで,もとの水溶液には Ag+(沈殿 1:AgCl),Cu2+(沈殿 2:CuS),Fe3+(沈殿
3-1:Fe(OH)3),Zn2+(沈殿 4:ZnS)の 4 種類が含まれていることがわかった。
操作 5: 沈殿 4 を分離したろ液に含まれる可能性のある金属イオンは Li+,Na+,K+,
Ca2+である。このろ液にはこのうちの 1 つが含まれているが,黄色の炎色反応を
示したことから Na+が含まれていることがわかる。Li+は赤色,K+は赤紫色,
Ca2+は赤橙色の炎色反応を示す。
8
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