会員企業訪問 No.59 株式会社 ヤナギ研究所 “汚いをきれいに”がモットー ヤナギ研究所は環境に配慮した業務用・家庭用洗浄剤の製造販売会社。 「鉱物汚染油や廃棄動植物油の環境に対す る負荷軽減」を掲げ “中性”にこだわった油脂分解剤の製品開発に取り組む。創業間もない1997年、日本海で起きた「ナ ホトカ号重油流出事故」で、同社の油分解剤が活躍。海岸で使用した器具や作業着などの洗浄に用いられ、高い評価 を得たという。社名は当時の研究開発者の名前が名残をとどめる。 「“汚いをきれいに” が社のモットー」と話す山方美 信社長に経営の現状を聞いた。 山方美信社長インタビュー 一般的な洗剤 Bu-N-Ka-I ―経営の現状は。 「2014 年5月期を終えたばかりだ。売り上げは1億 円で、 3期連続の黒字。扱っている製品が消耗品だから、 商談には時間がかかる。しかし一度使っていただくと 良さが分かり、長く使ってもらっている。新日鉄住金 をはじめブリヂストン、トヨタ自動車九州、西日本鉄道 「Bu・N・Ka・I」は、一般的な洗剤と比べて、油をより微細に分解し水の 中で安定させる。排水時にも油膜が浮き上がらない など大手企業とも取引がある。オンリーワン的な製品 の前の汚れはきれいに落とすかもしれないが、その先 という点は経営の強みだ。今後も競争力強化に努める」 を考えていない。一般的な業務用洗浄剤の界面活性剤 ―経営で大切にしていることは。 含有率は 30-80%だが、当社の製品は 10%前後。さら 「人間形成だ。社員が会社を通じて人間的に成長する に 10 倍に薄めて使う。洗浄後の処理液は一般のバクテ ことを目指している。仏教の教え身口意一致の実践だ。 リアに処理されやすい」 つまり行い、言葉、心の動きがばらばらであってはなら ―環境に優しい製品ですね。 ないということだ。こうしたこともあって当社は、筑後 「複数の界面活性剤などを組み合わせて独自技術で 川の河川敷清掃活動など社会貢献にも取り組んでいる」 開発した。一般には泡で汚れが落ちるイメージがある。 ―製品に込める思いは。 実際は分解力が重要。当社の製品は中性で低発泡だが 「油は汚染の一番の原因だ。廃棄油や汚染油をきれい 油汚れがよく落ちる。油汚れに洗浄液を混ぜて顕微鏡 にして自然に返すのが当社の使命。通常の洗浄剤は目 で見ると、油の粒子を細かく分解しその状態を保つの し ん く い い っ ち が分かる。使い続けることで、例えば配管の中に付着 した油汚れもよく落ちる」 ―課題は何でしょう。 「製品開発の先にあるのは社会貢献だ。そのために常 に新しいことにチャレンジしていくこと。具体的にはな るべく色々な人に会ってニーズを探る。現在、食品工 場や飲食店向けに、固まりやすい動物性廃棄油の分解 「身口意一致」の実践を大切にしている…と山方美信社長 14 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.7 回収用の新製品を開発中だ」 沿革 1994 年、山方社長の義兄の会社の洗剤事業部として スタート。中性油分解剤の製造販売を開始。97 年、事 業を継承し「ヤナギ研究所」設立。同年、ガソリンス タンドや整備工場向けに鉱物油処理溶剤の全国販売を 展開。98 年、食肉処理場や食品工場向けに廃棄動植 物油処理用洗剤の全国販売を始める。07 年家庭用洗剤 「ディスワン」販売開始。 福岡市内の本社工場 事業紹介& NEWS 業務用中性洗剤「Bu・N・Ka・Iシリーズ」は床洗 浄、車両洗浄、作業服洗濯、油膜処理など、これひと つで何にでも使える。用途別にストックする必要がな い。他の洗剤と混ぜても危険性が低い。安心して使用 できる。 「ディスワン」は同様の機能を家庭用にアレン ジした洗剤。 14 年4月、同社の中性洗浄剤の技術を応用したアス ファルト合材付着防止剤を発売した。工事現場でアス ファルトがくっついたり固まったりすることを防ぐ。 油系付着防止剤の代替溶剤として期待される。 これひとつで何にでも使える 「Bu・N・Ka・I」18 リットル缶と5リットルポリ容器 同社の製品は少ない界面活性剤含有率で高い洗浄率を実現。環境負荷も小さい。 企業概要 企 代 所 T F 業 表 在 E A 名 者 地 L X お問い合わせ 株式会社 ヤナギ研究所 代表取締役 山方 美信 福岡市博多区東光寺町1の11の30 092- 472- 0177 092- 472- 0176 情報取引推進課 TEL:092-622-6680 E メール U R L 社 員 数 [email protected] www.yanagi-lab.com 8人 事業内容 洗浄剤、油中和剤などの製造販売 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.7 15
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