有限会社 判田鉄工所 - 公益財団法人 福岡県中小企業振興センター

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情 報 取引企業
No. 76
有限会社
判田鉄工所
判田鉄工所は鉄、アルミ、ステンレスなど、さまざまな素材を用いたマイクロメートル単位での精密
加工を得意とする。職人たちは多様なオーダーに対応することで技術力を向上させ、小所帯の企業なが
らタイヤ製造装置や半導体関連の部品製造などで大手メーカーとの取引実績を持つ。その背景には長年
の実績に裏付けされた、切削、穴開け、研磨など顧客の要望に素早く応える生産体制がある。近年は遠
方に取引先を広げるといった活発な動きもみせる。
企業の歩み
創業は1953年(昭和28年)
。当初は主に地元
の伝統産業である久留米絣(がすり)製造機械の
補修を手がけていた。しかし同産業からの仕事が
減り、業態の転換を迫られた。
そんな中、メンテナンス技術を聞きつけた地元
企業からの受注が契機となり、タイヤ製造装置の
部品製造を手がけるようになった。その後、九州
で半導体産業が発展していくのに合わせ、関連部
品の製造も始めるなど製品の幅は広がり、職人の
技術力も向上していった。
豊富な経験にもとづく職人の腕を頼りに加工物を切削する
以後、旋盤や研削盤などを使った機械加工によ
る多品種少量生産に対応することで顧客の信頼を
得て、現在では「熱処理以外の加工であれば何で
もできる」
(判田 隆典社長)
。従業員の年齢構成
は20代 か ら60代 ま で バ ラ ン ス が と れ、ア ッ ト
ホームな雰囲気でベテランから若手へノウハウを
伝える。
また、近年は生産管理ソフトの更新による、生
産性の向上や3次元測定器の導入による製品の精
度の向上に努めているなど設備を徐々に補強しな
がら、生産性の向上に努めている。こうして構築
した技術等は、受注当日に試作品を完成させるほ
どの対応力もあり売りの一つとなっている。
3次元測定器の導入により
製品精度を高める
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BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2016.11
我が社の取引拡大事例
顧客からのオーダーに即座に対応するため、判
も取り引きするようになった。
田社長も現場に立って見積もりや設計などさまざ
また取引拡大と同業者間の情報共有を目的に、
まな業務をこなす。営業専門の社員がいないた
判田社長が中心となって10年ほど前から月1回
め、自社だけでは新規の顧客開拓に時間を割くの
の頻度で勉強会を開いている。現在、約40社が
には限界がある。(公財)福岡県中小企業振興セ
参加し、自社に足りない技術を学ぶ機会としてい
ンターとのつながりは、取引拡大に悩む中で20
るほか、互いの強みを生かしながら共同受注に結
年ほど前に始まった。
びつけるといった効果が出ている。
最初、どれだけ事業に役立つかという思いが
あったが、同センターの紹介による商談会に参加
していく中で「遠方の取引先とのつながりができ
た」(判田社長)。今では広島や大阪など自社の努
力だけではアプローチできなかった地域の企業と
穴開け機の操作にも経験値が必要
精密な加工から生み出された部品
社長メッセージ
判田 隆典 社長
いつどんな受注が来る
とが大切だと思う。
か分からないという状況
そのためにも、自分たちでできることは自分た
で、今後も生き残ってい
ちで行い、時には同業者と協力していくことで、
くためには、これまで同
当社だけでなく地元の製造業全体のレベルが上が
様に即座に対応できる
るようになればと思う。日本のモノづくりが厳し
フットワークの軽さと社
い環境にあると言われているが、互いに協力する
内のメンバーが協力し
関係が築けていればこれからも生き残る道はある
合って技術力を高めるこ
のではないだろうか。
企業概要
企 業 名
代 表 者
所 在 地
T E L
F A X
お問い合わせ
有限会社判田鉄工所
判田 隆典
久留米市三潴町高三潴1312
0942-65-0506
0942-65-0142
U
R
L
従業員数
事業内容
http://www2.ktarn.or.jp/~handco/
7名
工作機械、半導体関連部品など製造
情報取引推進課 TEL:092-622-6680
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