ふくおか6次産業化・農商工連携 No. 1 サポートセンター支援企業訪問 株式会社 カラーリングファーム ラディッシュを全国へ サラダに彩りを加えたり、ステーキに添えたりする野菜として利用が広がっているラディッシュ(ハツカ ダイコン) 。福岡県久留米市の北野町は全国有数の産地で全国シェア30%を占める。農業生産法人のカラー リングファームは、そのラディッシュを生産している。1日に500パック前後を出荷し、その7割が関東方 面だ。同社は、連作障害の回避を兼ねてミズナやホウレンソウなど他の野菜も栽培している。栽培地は筑後 川近くで、面積はハウス2ヘクタール、露地1.5ヘクタール。最近は6次産業化としてラディッシュの酢漬け を製品化、普及を図っている。 こまめな管理に気が抜けない 楢原憲一社長は農家の生まれ。両親は 30 年以上 ラディッシュはその和名の通り、種をまいてから、 前からラディッシュを栽培し、地元で産地を形成す 夏は 20 日間ほど、冬でも 50 日間ほどで収穫でき る先駆けとなった。楢原社長は大学で農学を専攻、 る成長の早さが特徴。年間6、7回作付けできる。 卒業後は農業先進国のオランダに1年間留学、施設 その早さのため温度などのこまめな管理に気が抜け 農業や農業経営を学んで跡を継いだ。JA みいのラ ない。近年は夏の高温に特に気を使う。また半年に ディッシュ部会のメンバーでもある。同部会は春の 1度は土壌分析を行い、土の状態を保っている。 七草の時期にスズナ、スズシロの代わりにラディッ 北海道や関東、沖縄地域への出荷は飛行機を使い、 シュを使う提案などを行い普及を図っている。その 夏場は梱包の箱に氷を入れるなど鮮度保持に努めて 栽培技術は全国的にも先進的で、生産性の高さと安 いる。 全・安心の野菜作りが評価され、全国施設園芸共進 会で農林水産大臣賞を受賞したこともある。 カラーリングファームが法人化したのは 2011 年。 社会保険や給与体系、休日などを整備して従業員の 福利厚生を充実させるのが目的だった。社名には 「従 業員が個性(カラー)を生かせる会社にしたい」 (楢 原社長)という思いが込められている。 丁寧に収穫されるラディッシュ 「さくらんぼ大根のやさしい酢漬け」 楢原社長は 12 年、ラディッシュの認知度向上に し開発に1年ほどかけ、一般の好みに合うよう、知 つなげようと、その形状や色から「さくらんぼ大根」 人に試食してもらうなどして試行錯誤を繰り返した。 とイメージし「さくらんぼ大根のやさしい酢漬け」 楢原社長は「自分たちが作っている物について改 を製品化した。楢原社長にとって酢漬けは、自宅で めて気付くことが多かった」と開発を振り返る。ラ 作り、普段から食卓にある身近なものだった。しか ディッシュ以外に使うのは食塩、穀物酢、砂糖のみ。 16 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2015.7 酒のつまみやカレーの付け合わせなどの食べ方も提 施。地元で開かれる展示会などに積極的に出展し、 案している。販売は農協やインターネットのほか道 ラディッシュの魅力を伝えている。 の駅や高級スーパーでも行っている。 商品化後も改良を重ね、当初1パック 130 グラム だったのを消費者ニーズに合わせて 100 グラムに変 更した。3パックの贈答セットも作った。 12 年 10 月には開発計画が「地域資源を活用した農 林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産 物の利用促進に関する法律(六次産業化法) 」に基づき、 農林水産省に認定された。また6次産業化の商品開発 を支援する久留米市の制度にも採択されている。 楢原社長は製品作りだけでなく、イベントを活用 した PR も行う。バスツアーで消費者に栽培の現場 を見てもらい、農家の家庭料理を提供する催しを実 試行錯誤の末に完成した「さくらんぼ大根のやさしい酢漬け」 さまざまな食べ方を提案している 展示会で製品を PR する楢原社長 楢原社長 企業概要 企 代 所 T F 業 表 在 E A 名 者 地 L X 株式会社 カラーリングファーム 代表取締役 楢原 憲一 福岡県久留米市北野町鳥巣 1280 の 1 0942- 78- 4040 0942- 78- 4009 E メール U R L 社 員 数 [email protected] http://coloring-farm.com/ 25 人 事業内容 ラディッシュ、ミズナ、ホウレンソウの 栽培、ラディッシュの酢漬けの製造販売 お問い合わせ ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンター TEL:092-622-7575 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2015.7 17
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