現代ファイナンス論 - 宿題 No.2 (解答例)

現代ファイナンス論 - 宿題 No.2
(解答例)
蛭川雅之
2014 年 11 月 17 日
問題1
V ar (X) = E (X − µ)2
(
)
= E X 2 − 2µX + µ2
( )
( )
= E X 2 − E (2µX) + E µ2
( )
= E X 2 − 2µE (X) + µ2 : [µは定数]
( )
= E X 2 − 2µ2 + µ2 : [µ = E (X)]
( )
= E X 2 − µ2
( )
= E X 2 − {E (X)}2 .
問題2
まず、Z の期待値について、
(
E (Z) = E
X −µ
σ
)
=
1
1
1
E (X − µ) = {E (X) − E (µ)} = (µ − µ) = 0
σ
σ
σ
が成り立つ。次に、問題1の結果より、Z の分散について、
(
V ar (Z) = E Z
2
)
1
1
= 2 E (X − µ)2 = 2 V ar (X) =
σ
σ
が成り立つ。
1
(
1
σ2
)
(
)
σ2 = 1
問題3
まず、
rP = αrA + (1 − α) rB
の両辺に期待値をとることにより、
E (rP ) = E {αrA + (1 − α) rB } = αE (rA ) + (1 − α) E (rB ) ,
即ち (1) が得られる。次に、
]
[
V ar (rP ) = E {rP − E (rP )}2
]
[
= E {α (rA − E (rA )) + (1 − α) (rB − E (rB ))}2
]
[
= α2 E {rA − E (rA )}2 + 2α (1 − α) E [{rA − E (rA )} {rB − E (rB )}]
]
[
+ (1 − α)2 E {rB − E (rB )}2
= α2 V ar (rA ) + 2α (1 − α) Cov (rA , rB ) + (1 − α)2 V ar (rB )
{
}
√
√
Cov (rA , rB )
2
√
= α V ar (rA ) + 2α (1 − α) V ar (rA ) V ar (rB ) √
V ar (rA ) V ar (rB )
+ (1 − α)2 V ar (rB )
( 2 2
)
となる。ここで、(V ar (rA ) , V ar (rB ) , Cov (rA , rB )) = σA
, σB , σAB と書き改め、かつ、
Cov (rA , rB )
√
√
= Corr (rA , rB ) = ρAB
V ar (rA ) V ar (rB )
であることを認識すれば (2) が得られる。
問題4
(1)(2)
X (Y ) の周辺確率関数は、X (Y ) のとり得る 3 (2) 種類の数値それぞれに対し、与え
られた同時確率関数を縦 (横) 方向に合計することにより得られる。具体的な数値は下表の通
りである。
Y =0
Y =1
X の周辺確率
(3)
X=1
3/20
3/20
3/10
X=2
1/10
3/10
2/5
X=3
3/20
3/20
3/10
Y の周辺確率
2/5
3/5
1
X と Y は独立ではない。これは、例えば、
pX,Y (1, 0) =
3
3
2
3
̸=
=
× = pX (1) pY (0)
20
25
10 5
などから確認できる。
2
(4)
X の期待値は
(
E (X) = (1) pX (1) + (2) pX (2) + (3) pX (3) = (1)
3
10
)
+ (2)
( )
( )
2
3
+ (3)
=2
5
10
である。また、
( ) ( )
( )
( )
E X 2 = 12 pX (1) + 22 pX (2) + 32 pX (3) = (1)
(
3
10
)
+ (4)
( )
( )
2
3
23
+ (9)
=
5
10
5
であるから、X の分散は
( )
3
23
− 22 =
V ar (X) = E X 2 − {E (X)}2 =
5
5
となる。
(5)
Y の期待値は
E (Y ) = (0) pY (0) + (1) pY (1) = (0)
( )
( )
2
3
3
+ (1)
=
5
5
5
である。また、
( ) ( )
( )
E Y 2 = 02 pY (1) + 12 pY (1) = (0)
( )
( )
2
3
3
+ (1)
=
5
5
5
であるから、Y の分散は
(
V ar (Y ) = E Y
2
)
3
− {E (Y )} = −
5
2
( )2
3
6
=
5
25
となる。
(6)
まず、
E (XY ) = (1 · 0) pX,Y (1, 0) + (2 · 0) pX,Y (2, 0) + (3 · 0) pX,Y (3, 0)
+ (1 · 1) pX,Y (1, 1) + (2 · 1) pX,Y (2, 1) + (3 · 1) pX,Y (3, 1)
( )
( )
( )
3
3
3
= 0 + 0 + 0 + (1)
+ (2)
+ (3)
20
10
20
6
=
5
であるから、X と Y の共分散は
6
Cov (X, Y ) = E (XY ) − E (X) E (Y ) = − (2)
5
( )
3
=0
5
となる。従って、X と Y の相関係数も ρXY = 0 となる。この数値例は、X と Y は無相関で
あるが独立でない一例である。
3
問題5
(1)
下図の青線部を参照せよ。
図1:効率的ポートフォリオおよび資本市場線
(2)
エクセルのソルバー機能を利用すると、以下の結果が得られる。
1. リスク資産 A と B の組入れ比率は 70.59% : 29.41% となる。
2. マーケット・ポートフォリオの期待収益率は 2.74%、マーケット・リスク・プレミアム
は 2.74% − 1.50% = 1.24%、さらに、マーケット・ポートフォリオの収益率の標準偏差
は 0.0243 となる。
3. 資本市場線のシャープ・レシオは 0.5092 となる。
問題6
S&P500 および GE の超過収益率に関する散布図は図2の通りである。超過収益率を使っ
て GE の β 値を推定すると、β = 1.4643 が得られる。これは講義ノート No.6 に与えられて
いる結果(β = 1.4651)とほとんど変わらない。
4
図2:S&P500 および GE の超過収益率に関する散布図
問題7
(1)
rf = 4%、かつ、E (rm ) = 12% であるから、マーケット・リスク・プレミアムは
E (rm ) − rf = 8%
である。
(2)
β 値が 1.5 であるプロジェクトの期待収益率は
E (r) = rf + β {E (rm ) − rf } = 4% + (1.5) (8%) = 16%
である。
(3)
β 値が 0.8 であるプロジェクトの期待収益率(理論値)は
E (r) = rf + β {E (rm ) − rf } = 4% + (0.8) (8%) = 10.4%
である。実際の期待収益率 9.8% は理論値を下回っており、現状では NPV が負の値をとる可
能性が高い。なお、この 10.4% という期待収益率はマーケット・ポートフォリオ 80%、無リ
スク資産 20% から構成されるポートフォリオからも得られる。このポートフォリオとの裁定
から、問題のプロジェクトは最終的に期待収益率が 10.4% に到達するまで価値を下げると予
想される。
(4)
E (r) = rf + β {E (rm ) − rf } = 4% + β (8%) = 11.2% ⇒ β =
5
11.2% − 4%
= 0.9.
8%