回帰分析 重回帰(3) 内容 • 分散不均一性 – 分散不均一性とは何か – Heteroskedsticity robust estimator – 分散不均一性の検出 – 加重最小二乗法 (Weighted Least Square) • • • • 誤差項の系列相関 多重共線性 説明変数の誤差 誤差項と説明変数の相関 回帰分析の前提 • モデルの線型性 • ui~N(0,s2) i.i.d. – 誤差項の期待値は0 – 誤差項は互いに独立(系列相関は無い) – 誤差項の分散は一定(分散均一性) – 誤差項は正規分布(t検定,F検定のための前提) • 説明変数と誤差項は独立 • 説明変数の行列Xはfull rank 分散不均一性 heteroskedasticity • 分散均一性(homoskedasticity) – 誤差項は互いに独立で同一の分布に従う var(ui ) s 2 • 回帰係数bの分布はこの仮定に依存 𝑥𝑖 − 𝑥 𝑢𝑖 𝑏=𝛽+ 𝑆𝑥𝑥 2𝜎 2 2 𝑥 − 𝑥 𝜎 𝑖 𝑖 E 𝑏 = 𝛽, var 𝑏 = = 2 (𝑆𝑥𝑥 ) 𝑆𝑥𝑥 𝑏−𝛽 ~𝑡 𝑛 − (𝑘 + 1) s. e. (𝑏) 𝑖 • 分散均一性の仮定が満たされなくても不偏性は成立。bの分散は上の式 のようにはならない。 t 検定,F検定は正しくない。 分散不均一性(2) • 誤差項の分散が説明変数の大きさと何らかのシステマ ティックな関係があると分散均一性の仮定は成立しない。 • 例)賃金方程式で,高学歴者ほど賃金の分散が大きくな る。経験年数の長い人ほど,賃金の分散が大きくなる。 • 誤差項の系列相関も,広い意味での heteroskedasticity • ただし,誤差の分散は,ここで想定しているようなものと 少し異なる 分散不均一性(3) • Eviewsなどの統計パッケージでは,最小二乗法のoptionで, heteroskedasticity robust estimator を算出してくれる • OLSの残差から適切な分散を計算 – EviewsではWhiteの方法とHAC(Newey West)の方法が選択できる – HACは誤差項に系列相関がある場合の方法 • robust t estimator 漸近的に正しい統計量(サンプルサイズ が十分に大きいとき) var(b) 2 2 x x ei i i S xx 2 Heteroskedasticity robust estimator: OLSの残差をeとして,左のように計算 Heteroskedasticity robust estimator Menuから Quick /Estimate Equation でspecicficationに回帰式を 書き(method はLS), options のタブをクリック Coefficient covariance matrix でWhiteを選択する。 (optionはEstimation Default で通常のOLS,White,HAC) 通常のOLSと heteroskedasticity robust estimatorのs.e. やt値を比較 せよ。 分散不均一性の検出 • 残差の平方と説明変数またはyの予測値の間にあ る関係 – 例) – y=a+bx+u, s2=kx • 残差と説明変数x(あるいは被説明変数yの予測値) は,最小二乗法では直交 – e’x=0 – 残差を,説明変数(yの予測値)に回帰してもその係数は ゼロ – 残差の平方と,xやyの予測値との間にシステマティック な関係があるかどうかを調べる。 分散不均一性の検出(2) • Breusch and Paganのテスト estimate : yi a b1 x1,i b 2 x2,i b k xk ,i ui save : ei yi a b1 x1,i b2 x2,i bk xk ,i compure ei 2 estimate : ei 0 1 x1,i 2 x2,i k xk ,i vi 2 test H 0 : 1 2 k 0 ( RSS TSS ) / k ESS / k ~ F k , n (k 1) RSS /( n (k 1)) RSS /( n (k 1)) 分散不均一性の検出(3) • Whiteのテスト • 残差の平方 e2 を被説明変数 • 説明変数:xjをそのままいれず,xjの平方,xj とxhの交差項を加える • これらの説明変数の係数が全て0という仮説 を検定する • 簡便な方法 – yの予測値,その平方を説明変数に加える 分散不均一性への対処 • 分散不均一性のテストは検出のみ – どのような方法で対処すべきかは教えてくれない • 実際には多くの場合 – var(u|x)=s2 f(x) が成立している – f(x)の形状がわかれば (多くの場合はf(x)=x) yi a bxi ui yi a f ( xi ) 1 b f ( xi ) xi f ( xi ) ui f ( xi ) この式を推計すればよい Weighted Least Square Estimate Equations でmethodはLS を指定。Options タブでWeights この場合 はWeights のtypeにinverse std dev. を指定し,weight series を f(x)とする Breusch and Pagan の検定 メニューから 選択する方法 回帰式を推定し た後, View/ Residual Diagnostics/ Heteroskedastici ty Tests を選択 Breusch and Pagan test White testなどの Optionがある Whiteの検定 回帰分析の後, View/ Residual Tests/ Heteroskedasticit y tests を選択 Whiteのtestを選 択すると,自動的 に説明変数のクロ ス項,平方を説明 変数のリストに加 えてくれる Whiteの検定 残差の平方を被説明変数に 説明変数の係数が全て0という仮説は棄 却される 分散不均一性が検出された 問題1 • wage1.rawで賃金方程式を推計し,分散不 均一性のテスト(Breusch and Pagan test)を 行いなさい • Whiteのテストを行いなさい • 分散不均一性が検出された場合,適切な変 数変換をして回帰を行い,最初の回帰と結果 を比較しなさい。 問題2 • HPRICE1.RAW • 次のモデルを推計せよ – 被説明変数:price(住宅価格) – 説明変数:lotsize, sqrft, bdrms – 分散不均一性のテストを行え • 上のモデルを対数形で推計せよ – 被説明変数: log(price) – 説明変数:log(lotsize), log(sqrft), log(bdrms) – 分散不均一性のテストを行え 分散不均一性の検定 メニューを使わない方法 • Breusch and Pagan – 残差の平方を計算 • series res2 = resid^2 • コマンドウィンドウで上のコマンドをタイプ – res2 を被説明変数にして回帰分析 – 説明変数の係数=0のF検定 • Whiteの検定 – 残差の平方を計算 – 被説明変数の予測値を計算 • series res =resid • series fit = lnwage - res – Res2を被説明変数に,fit , fitの平方を説明変数にした回 帰分析を行い,F検定 Weighted Least Square yi a b1 x1,i b k xk ,i ui (1) (1)式のモデルで,誤差項の分散が次のように表されるとする var(ui ) h( x )s 2 (1)式を次のように変換すれば,分散は均一になる x1,i yi a b1 bk h( xi ) h( xi ) h( xi ) xk ,i ui h( xi ) h( xi ) wi yi awi b1wi x1,i b k wi xk ,i vi vi ui h( xi ) , wi 1 h( xi ) Quick/ Estimate Equation で最小二乗 法LSを選択 Options のタブで Weights を 選択 Type は None, Inverse variance, Inverse std dev. variance std dev から選択 None →通常のOLS Weight Seriesに weight変数名を記入 古いversionだと,Typeの選択ができないかもしれません。 その場合,weight変数名に,1/sqr(EDUC)といれればい いでしょう。詳しくはマニュアルを参照してください。 誤差項の系列相関 • 回帰分析の前提:誤差項は互いに独立 • 誤差項に系列相関がある場合 – 回帰係数bの分散がs2(X’X)-1にならない – クロスセクションデータの場合には問題にならな い • オブザベーションの並び方が,隣接した地域や人の順 番になっている場合には意味がある場合あり。 – 時系列データの場合には意味がある • ある時点で生じたショックがしばらく尾をひく(誤差項の 系列相関アリ) Durbin Watson検定 • 1階の系列相関を調べる検定 現在では,誤差項 はもっと一般的に AR(p)過程に従う として,推計がで きる 2 t 2 et et 1 T DW t 1 et T 2 e e 2t 1 et et 1 t 2 t T 2 T 1 2 t 1 t T 2 t 1 t T 1 e 2(1 ) DW比は多くの統計パッケージでは自動的に出力される 経済データでは,>0のケースが普通 (は1階の相関係数) 大雑把なルールではDW比が1に近いと系列相関あり また,時系列デー タの分析では,説 明変数が定常過 程か非定常過程 かの区別が重要 多重共線性 multicolinearity • 説明変数間の相関が高い場合,回帰分析では,個々の変数 の影響を分離して推計することができなくなる • 実験データ – 個々の変数の影響が十分に分離できるように実験計画を立てる • 経済データ – 上のようなことは不可能 – 分析のレベルの再検討 • 例)地方政府の行動(支出)を,地域の財政状況(債務残高, 税収,国からの補助金,交付税額),地域の属性(山間地, 豪雪地帯,..),所得,面積等で説明 – 国からの補助金は,その地域属性によって決まる – 個々の変数の効果が捉えられない 説明変数の誤差 真のモデル yi a bxi* ui 説明変数xi*は観察できない:そのかわりxiが観察できる xi xi* vi Evi 0, cov( ui , v j ) 0 for all i, j yi a b xi vi ui a bxi ui bvi a bxi wi 誤差項wiの期待値は0,分散は一定。しかし,wiとxiには相 関がある 説明変数の誤差(2) • 説明変数の誤差誤 差項と説明変数の相関 • 最少二乗推定量 b ( X ' X ) 1 X ' y b ( X ' X ) 1 X ' w • 特に単回帰の場合 cov( x, w) cov( x* v, u bv) plim b b b var( x) var( x* v) bs v b 2 2 s x* s v 2 s x* 2 b b 2 2 s x* s v 説明変数の誤差(3) • 例)恒常所得仮説 Ci kYi P ui Yi Yi P YiT E Yi T 0, cov Yi P , Yi T cov Yi T , ui 0 Y:観察される所得, YP: 恒常所得, YT:変動所得 消費は観察不可能な恒常所得に比例する(kはほぼ1に近い) 消費関数を推計すると,消費性向はケインズ型消費関数の消費性向(0.6~ 0.7)と推定される 説明変数の誤差操作変数法(Instrumental Variables Method) 説明変数の誤差,誤差項と説明 変数の相関 対処方法 • 誤差項と説明変数の相関の問題は,連立方 程式モデルでも発生 • 操作変数法(Instrumental Variable Method) • IVについては後述
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