操作変数法 Instrumental Variables Method 誤差項と説明変数の相関 • 説明変数の誤差 • 説明変数から省かれた変数の影響誤差項 • 説明変数が内生変数であるとき – 連立方程式モデル • 誤差項と説明変数の間に相関がある場合に は,係数の推定値はバイアスを持つ – 操作変数法(Instrumental Variable Method) 説明変数の誤差 真のモデル yi xi* ui 説明変数xi*は観察できない:そのかわりxiが観察できる xi xi* vi Evi 0, cov( ui , v j ) 0 for all i, j yi xi vi ui xi ui vi xi wi 誤差項wiの期待値は0,分散は一定。しかし,wiとxiには相 関がある 説明変数の誤差(2) • 説明変数の誤差誤差項と説明変数の相関 • 最少二乗推定量 b ( X ' X ) 1 X ' y ( X ' X ) 1 X ' w • 特に単回帰の場合 cov( x, w) cov( x* v, u v) plim b var( x) var( x* v) v 2 2 x* v 2 x* 2 2 2 x* v 説明変数の誤差(3) • 例)恒常所得仮説 Ci kYi P ui Yi Yi P YiT E Yi T 0, cov Yi P , Yi T cov Yi T , ui 0 Y:観察される所得, YP: 恒常所得, YT:変動所得 消費は観察不可能な恒常所得に比例する(kはほぼ1に近い) 消費関数を推計すると,消費性向はケインズ型消費関数の消費性向(0.6~ 0.7)と推定される 説明変数の誤差操作変数法(Instrumental Variables Method) 連立方程式モデル • 例)Keynes型マクロモデル C Y u Y C I G 上のモデルからYの均衡値を求めると 1 1 I G Y u 1 1 Yが上のようにきまるとき,ケインズ型消費関数の説明変数は内生変数 Yとuの相関は0ではないcov(Y,u)=2/(1-) ≠0 回帰分析の前提が満たされないOLSの推定はバイアスを持つ 連立方程式 (2) 社会資本の生産性 ln Yi 1 ln Li 2 ln K 3 ln K Z i ui P i G i Y:県民所得,L:労働力,KP:民間資本,KG:社会資本 社会資本の生産性に関する多くの研究では,低い(場合によっ てはマイナスの)3の値が報告されている KGは政治的に決定されているかもしれない(過疎地や低所得 地域に手厚い再分配) KGは内生変数 ln KiG 0 1 ln Yi 2 ln POPi vi omitted variables • 回帰分析の説明変数から省かれた変数の存在 • 例)教育と賃金の関係 真のモデル ln wage = a + b* educ + c* ability + u educ: 教育年数,ability :能力(ただし観察不可能) このとき ln wage = a + b* educ + u というモデルを推定すれば,誤差項uには観察不可能な abilityという変数の影響が含まれる しかし,一般に能力の高い人は高い教育を受けることが期 待される誤差項とeducに相関 推定されたbは,教育の影響を過大に評価 操作変数法 Instrumental Variable Method y x u cov( x, u ) 0 説明変数と誤差項に相関がある状 況を考える 操作変数zを考える。zは次の性質を満たす変数である cov( z , u ) 0 cov( z , x) 0 IV法の推定 cov( z, y ) cov( z, x u ) ˆ cov( z, x) cov( z, x) cov( z, u ) cov( z, x) 操作変数法(2) • 賃金方程式の場合 ln wage = a + b* educ + u 誤差項uは能力を表す変数が反映 • 操作変数として望ましい性質 (a) u(能力等)と無相関 (b) educ と相関 • どの変数が望ましいかはわからない。cov(u,z)≠0をテストする ことはできない。 • 操作変数の候補 – – – – 誕生日 (b)が満たされない 父親・母親の学歴 (a)が満たされない 兄弟の数 (a) も (b)も満たされる? 兄弟の数educと相関あり(マイナスの相関),能力と無相関 操作変数法(3) 重回帰の場合 操作変数の満たすべき条件 1 plim Z X O n 1 plim Z u 0 n y X u 操作変数法とOLSによる推定量の比較 bIV Z X Z y Z X Z u 1 bOLS 1 1 1 X X X y X X X u 誤差項と説明変数に相関がある場合,操作変数法による推定量はバイアスを持 たない(標本数が大きいとき;もちろん,誤差項と相関を持たない操作変数が選べ ればの話)。一方,OLSの推定量はバイアスを持つ。 2段階最小二乗法 Two Stage Least Square Method • 内生変数を外生変数について解き,通常の 回帰分析を行う • その予測値を説明変数にして回帰分析 – ケインズ型モデルの場合 – 消費関数の説明変数にYを用いるのではなく,Y を外生変数(I,G等)に回帰してその予測値を説 明変数に用いる • 操作変数法の1種 操作変数法による推定 (wage2.raw) Quick /Estimate Equation で Estimation settingsのMethod でTSLS を選択すると, Instrument list を記入するダイア ローグが表れる。 ここに操作変数を 記入 操作変数のリストに は自動的に定数項 が含まれる(入れな い場合には,Inclde a constantのチェッ クをはずす) OLSの結果 操作変数法 推定方法が Two-Stage Least Squres 操作変数として, SIBS(兄弟姉妹の数) を使った R2やadj. R2がマイナス になっている(E-Views の計算方法のため) 操作変数法の場合,気 にしなくてよい 操作変数法では,EDUCの係数が大きくなっている(0.060.122). またs.eも.0.0059が0.026と4倍以上になっている 注意 • 操作変数の選択基準 – 説明変数と相関 • これはデータからチェックできる) – 誤差項と無相関 • データからチェックできない • そう考えるのがもっともらしい • 操作変数の数 推定する方程式の説明変数と(少 なくとも)同じ数を指定 • wage2.raw のデータで,educ を被説明変数,sibs を説明変数にした回帰分析を行って,sibsとeducに 相関があることを確かめよ。 操作変数法による推定(重回帰) • card.raw – Card(1995) • 被説明変数: ln(wage) • 説明変数: 教育年数(educ),経験(exper), expersq, 黒人ダミー,地域ダミー(smsa, south,..) • educは誤差項と相関あり – omitted variablesの問題あるいはeducを決める方程式 があって,educは内生変数 • near4c(大学の近隣に居住していた) – 教育年数と相関あり 問題 card.rawのデータを用い,次の賃金方程式を推計す る。 – 被説明変数 ln(wage) – 説明変数 教育年数(educ),経験(exper), expersq, 黒人ダミー, 地域ダミー(smsa, south,..) – educは誤差項と相関があるという想定 – 操作変数 経験(exper), expersq, 黒人ダミー,地域ダ ミー(smsa, south,..),near4c OLSと操作変数法によって推計し,結果を比較せよ。
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