例題 (整式の割り算 N o.1) (1) 整式 P (x) を x + 2 で割った余りが 20,2x2 − 5x + 2 で割った余りが 2x + 4 のとき, P (x) を x2 − 4 で割ったときの余りを求めよ。 (2) 整式 P (x) を x2 + 5x + 2 で割った余りが 2x − 3, x − 1 で割った余りが 7 のとき,P (x) を (x2 + 5x + 2)(x − 1) で割った余りを求めよ。 整式の割り算 (i) Q(x) 消去型 (ii) 余り変形型 〔解答〕 (1) 整式 P (x) を x + 2 で割った余りが 20 であるから 1 ···⃝ P (−2) = 20 P (x) を 2x − 5x + 2 で割ったときの商を Q(x) とおくと 2 P (x) = (2x2 − 5x + 2)Q(x) + 2x + 4 2 = (2x − 1)(x − 2)Q(x) + 2x + 4 · · · ⃝ P (x) を x2 − 4 で割ったときの商を Q′ (x),余りを :::::: ax + b ←− とおくと 2 次式で割るので, 余りは 1 次式以下。 P (x) = (x2 − 4)Q′ (x) + ax + b と表せる。 P (x) = (x + 2)(x − 2)Q′ (x) + ax + b 3 ···⃝ 2 より,P (2) = 8 であるから,⃝, 1 3 より ⃝ ⃝ P (−2) = −2a + b = 20 P (2) = 2a + b = 8 4 ···⃝ (i) Q(x) 消去型 Q(x) が消えるような 数値を代入します。 5 ···⃝ 4 5 より a = −3, b = 14 ⃝, ⃝ したがって,求める余りは −3x + 14 (2) 整式 P (x) を x − 1 で割った余りが 7 であるから 1 ···⃝ P (1) = 7 P (x) を (x + 5x + 2)(x − 1) で割ったときの商を Q(x), 余りを 2 ax2 + bx + c とおくと P (x) = (x2 + 5x + 2)(x − 1)Q(x) + ax2 + bx + c と表せる。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ここで,P (x) を x2 + 5x + 2 で割った余りが 2x − 3 であるので ax + bx + c = a(x + 5x + 2) + 2x − 3 2 2 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: と表すことができる。 (ii) 余り変形型 条件を利用し,余りの 文字を減らします。 P (x) = (x2 + 5x + 2)(x − 1)Q(x) + a(x2 + 5x + 2) + 2x − 3 1 より P (1) = 8a − 1 = 7 ⃝ ⇐⇒ a = 1 よって,求める余りは (x2 + 5x + 2) + 2x − 3 = x2 + 7x − 1 P (x) | {z } = (x2 + 5x + 2)(x − 1)Q(x) + ax2 + bx + c :::::::::::::::::::::::: x2 + 5x + 2 で割ると 2x − 3 余ります。 ↑ この部分は x2 + 5x + 2 で割り切れます。 P (x) を x2 + 5x + 2 で割ったときの余り 2x − 3 は,ax2 + bx + c を x2 + 5x + 2 で割ったときに出てきます。 ax2 + bx + c を x2 + 5x + 2 で割ると,商が a, 余りが 2x − 3 であるから a x + 5x + 2 ax2 ax2 + bx + c = a(x2 + 5x + 2) + 2x − 3 と変形できます。 2 2x − 3 (1) も同じように解くことが可能です。 〔別解〕 (1) P (x) を x2 − 4 で割ったときの商を Q(x),余りを ax + b とおくと P (x) = (x + 2)(x − 2)Q(x) + ax + b と表せる。 ここで,P (x) を x + 2 で割った余りが 20 であるので ax + b = a(x + 2) + 20 と表すことができる。 2 より,P (2) = 8 であるから 前ページの⃝ P (2) = 4a + 20 = 8 ⇐⇒ a = −3 よって,余りは −3(x + 2) + 20 = −3x + 14 問題 整式 P (x) を (x + 2)3 で割ると x2 + 3x + 4 余り,x − 1 で割ると 2 余る。 (1) P (x) を (x + 2)(x − 1) で割ったときの余りを求めよ。 (2) P (x) を (x + 2)2 (x − 1) で割ったときの余りを求めよ。 + bx + c 〔解答〕 条件より,ある整式 Q(x) を用いて 1 ···⃝ P (x) = (x + 2)3 Q(x) + x2 + 3x + 4 と表すことができる。 2 また,P (1) = 2 · · · ⃝ (1) P (x) を (x + 2)(x − 1) で割ったときの商を Q1 (x), 余りを ax + b とおくと P (x) = (x + 2)(x − 1)Q1 (x) + ax + b と表せる。 1 より,P (−2) = 2,⃝ 2 より,P (1) = 2 であるので ⃝ 3 P (−2) = −2a + b = 2 · · · ⃝ 4 P (2) = 2a + b = 2 · · · ⃝ 3 4 より a = 0, b = 2 ⃝, ⃝ よって,求める余りは 2 1 より (2) ⃝ P (x) = (x + 2)3 Q(x) + (x + 2)2 − x = (x + 2)2 {(x + 2)Q(x) + 2} − x P (x) を (x + 2)2 で割ると余りは −x P (x) を (x + 2)2 (x − 1) で割ったときの商を Q2 (x),余りを cx2 + dx + e とおくと P (x) = (x + 2)2 (x − 1)Q2 (x) + cx2 + dx + e と表せる。 ここで,P (x) を (x + 2)2 で割った余りが −x であるので cx2 + dx + e = c(x + 2)2 − x と表すことができる。 2 より ⃝ P (1) = 9c − 1 = 2 ⇐⇒ c = 1 3 したがって,求める余りは 1 1 (x + 2)2 − x = (x2 + x + 4) 3 3
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