24 Zaikai Kyushu / FEB.2015 公による住民サービス考える契機に 通局は撤退の要因 のと言える。県交 の違いが表れたも 県営バス 「撤退エリア」 に民間バス参入 道路整備に伴い住民要望 利用者の利便性考え参入 で参入し維持困難 として、長 崎バス 長崎市では県交通局が「県営 バス」を、 民間の長崎自動車が「長 になったことをあ が安価な自社運賃 崎バス」を運行しており、極力路 住民へのサービス 20 長崎市 せるケースになった。 スの撤退地を民間バス事業者がカバーする〝あべこ べ〟の状況は、地域公共交通機関の存在意義を考えさ げているが〝地域 〟という観点から す なされてきた。 考えれば、それが たえたものであった。 ここで長崎バスが同地域に参入 した経緯について振り返ってみる。 校、保護者たちの熱烈な要望にこ 4万5000人が生活している県 長崎バスは、車両通行可能な道路 県営バス、蛍茶屋から先は長崎バ 特に長崎南高の通学に関して は、以前は矢上から蛍茶屋までは 営バスの単独運行地域だった。市 が整備されたことに伴い、 年 月にバス空白地帯だった同地域の 換えの必要ない路線を設置したこ スに乗り換えねばならず、大変不 数は多いものの、地域内の支線の 年 月には、これも新しい道路 分程度短くな ったほか、月の定期代も 万円程 とで所要時間は 蛍茶屋 ─ 矢上間に路線を延伸・ 1 が整備されたのに伴い長崎南高─ 同地域での県営バスの撤退と長 崎バスの参入は、公共交通機関と 度安くなるなど利用者の利便性 の運行だった。 茂木─ 飯香の浦─ 矢上間に参入。 便なものだった。長崎バスが乗り 11 客数は少なく、赤字を抱えながら 12 開設した。いずれも地域住民や学 4 して地域の足を守ろうとする姿勢 13 地域の このエリアは今まで長崎県営バスが運行していたのだ が、大幅減収を見越して撤退したためである。公営バ 線が重複しないように棲み分けが 東 長 崎 地 域は長 崎 市 中 心 部 のベッドタ ウンとして 発 展 して 地域住民に受け入 6 中心部と結ぶ幹 線 路線沿いの客 は明白だ。 きたエリアで、東 長 崎 地 区( 同 月末 れられるかどうか 年 市東長 崎支所管内)の人口は約 万 9 0 0 0 人( 13 現在) 。 周 辺 ま で 合 わ せる と 約 3 変 わっていく 14年4月、長崎自動車が住民の強い要望を受け、長 崎市東部の東長崎地域でバス運行をスタートさせた。 BUS TAXI RAILWAY 地域住民の要望にこたえ東長崎地域で運行を開始した長崎バス 14年3月末で東長崎地域 から撤退した長崎県営バス 長崎バスは経営努力で日本一安い運賃を維持 費を削減したり、中古バスの購入 なされたが実現には至らなかった 統である。住民からは「利用者無 地─東望道など は埋められなかった。 経費削減に務めてきたが、その差 割高 感はある。県 交 通局も人件 と経済性は格段に向上した。一方、 年 月末で廃止されたのは、 支線にあたる潮見町─矢上、卸団 で車両購入費を抑えたりするなど のである。安価な運賃の長崎バス 視で身勝手」と、怒りの声が上が 県営バス側にも路線新設の要望は 運行系 が参入したことで同地域での運賃 っていた。県交通局は〝長崎地域 してほしい」としているが、 「公に で「大変申し訳ない。事情を理解 字の拡大が見込まれたためである。 のローカル路線廃止のお知らせ〟 関しては雇用や設備投資に充てる からだろう。同社は「バス事業に 通機関の役割に対する意識が高い 交通局の1・5億減収試算 補助金見込めず撤退決断 県交通局は同地域で運賃を長 崎バスに合わせて値下げした場合、 日本一安価な運賃体系は 億5600万円の減収になると 「地域の足としての役割」 試算。路線維持と値下げを両立 させるため、 年から市に赤字路 運賃面では長崎バスに歩がある 線に対する財政負担を求めていた。 のは確かだ。 ㌔㍍当たりの基準 1 費税増税時に 円値上げして以 る場合に限って検討すべきであり、 来、値上げはしておらず、 年 月の %の引き上げ時にも値上げ 14 業施設などのバス事業以外で確保 しているという。地域の足として の役割を果たすことが最優先とい うわけだ。 路線撤退で全国的に路線距離 が減 少 傾 向にある中、むしろ 路 線が延伸しているのもその表れで、 狭小道路や利用者の少ない路線に は小型バスを導入したりするなど 替バスになるのでは」とし、県交 の求めも一切ないし、長崎バスが代 自助努力で頑張っている。補助金 ないのではないかと考えている」 るバス会社が多い中、補助金は全 行政からの補助金で路線を維持す 者が少ない路線も運行しているが、 果が奏功しているためだ。さらに、 と回答。また、 「長 崎バスは利用 く受けていないというから驚きだ。 はもちろん、コスト意識の徹底効 は見送っている。利用者数の多さ でおり、それらが信頼獲得と利用 安全面への取り組みにも力を注い 全教育センター」を開設するなど、 また、経費削減に取り組む一方、 運転手の実技と教育を行う「安 取り組んでいる」という。 わないためにできる限りのことに 「利用者の利便性向上、信頼を失 通局の求めを暗に拒否。補助金の 一方、県営バスは 円 銭で全 国の大手177社中 番目の安さ ている。 率向上につながっているとみられ 見込みがなくなったことから県交 ではあるが、長崎バスと比べると 公的支援を行う状況には至ってい 4 代替手段がないなど特殊事情があ 50 10 21 8 できれば」としており、収益は商 よる住民サービスとは何か」を問 14 分を確保し、最低限の収益を維持 路線 値下げの要望はさらに強まり、赤 長崎バスが低運賃で路線を維持 できるのは、経営トップの公共交 3 いかける出来事になった。 8 14 賃率は 円 銭で「日本一安い」 しかし、市は「公的支援は他事 業者の参入が見込まれない場合や、 と言われている。1997年の消 12 通局は路線廃止に踏み切った。 Zaikai Kyushu / FEB.2015 25 1 15 31 50
© Copyright 2024 ExpyDoc