「再開発延期」でまちづくり暗礁に/有力スポンサーが見つからず

再 開 発が 延 期された
西鉄・新栄町駅
2014年11月号の本欄で述べた大牟田市・西鉄新栄町駅周辺の再開発が
延期されることになった。理由は有力なスポンサーが見つからず、資金調達
ができないためだ。これにより、再開発施設を中核施設と位置づけて策定し
てきた市の中心市街地活性化基本計画も国の認定を先送りすることになる。
市は延期期間を1−3年と位置づけ、スポンサー探しを続けるが、現時点で見
通しは立たない。同市の中心市街地の起爆剤と期待されてきた再開発がここ
にきて暗礁に乗り上げてしまった。
ろが、同年 月までスポンサーと
して手を上げる事業者は現れな
かった。市は当初、3月末に同事
業を中核施設とした中心市街地
活性化基本計画の認定を予定し、
そのために1月には都市計画決定
の審議会を開催する予定だった。
しかし、 月時点でスポンサーが
現れないことから、このスケジュ
ールが遂行できないと判断し、再
開発自体を延期することとなった。
市市街地整備課は「延期期間は
1―3年程度と考えている。早く
スポンサーが見つかって欲しい」
業」
。総事業費は
億6000万
る「 第一種 市 街 地 再 開 発 整備 事
現在の建設業界を取り巻く環境
げる事業者が現れなかった理由は
説明会には九つもの事業者が参
加していたのに、結果的に手を挙
と訴えている。
円で、そのうち、 億5000万
年度着工、 年度完成を目指
業計画や資金調達などの資金を
しかし、同事業は実質的に延
期されることになった。理由は事
していたとされる。
方の再開発案件にまで目を向ける
業を多く抱える。そうした中、地
方の建設業者も地元での公共事
興需要がある東北に事業者が集
クを控える東京や、震災からの復
立て替えるスポンサーが見つから
余裕がないという。市街地整備課
場ゼネコン、マンションデベロッパ
明会を開催。準大手ゼネコンや地
い。建築コストがさらに上がる可
がどのように変化するかわからな
年かかる事業。その間、事業環境
中し、人手不足が起きている。地
なかったためだ。市は事業者向け
ーなど9社が参加していた。とこ
に
は「再開発事業は工事着手まで3
19
年5月に再開発に関する説
17
14
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12
円が補助金で賄われる予定だった。 があるとされる。東京オリンピッ
43 72
10
12
有力スポンサーが見つからず
〝仕切り直し〟
5
齢者住宅など の施設を整備す
新栄町駅周辺の再開発は広さ
約1・ ㌶に分譲マンションや高
説明会には9社が参加
人手不足がコスト高に
「再開発延期」
でまちづくり暗礁に
大牟田
市民の活動拠点になっ
ている
「えるる」
大牟田市役所は引き続きスポンサーを募集する
で、なかなか手を挙げる事業者が
況がある。西鉄大 牟田線の特 急
現在の新栄町駅周辺は確かに
事業者が二の足を踏んでしまう状
能性もある。見通しが立たない中
いなかった」と分析している。
停車駅ではあるものの、乗降者数
交流施設は月4000人
地権者は意欲を継続中
ただ、新栄町駅周辺の活性化
にはこれまで市も尽力してきたの
確かに各建設業者は多くの工
事を抱えており、それによって人
した状況で、天神まで1時間とい
ウン大牟田」があるだけだ。こう
一、道を挟んだ反対側に「ゆめタ
現 在では子 育て世 代、学 生、サ
市が買い取って、リニューアルした。
開館した。同施設はパチンコ店を
くに多目的交流施設「えるる」を
は年々減少している。商店街はあ
るものの、人通りはまばらで、食
手不足が引き起こされていること
う利便性の高さだけを売りにマン
ークル関係の活動が盛んに行われ、
事業内容にも魅力ない?
採算性を疑問視する声も
月には同駅近
は確かだ。
は事 実。ただ、今 回の再 開 発に
ションなどが売れるかは不透明だ。
年
品スーパーは次々と撤退した。唯
スポンサーが現れなかった理由は
が売れなければ、赤字をかぶるこ
によって賄われる保留床だ。それ
事業費 億6000万円のうち、
ら販 売しなければならない。総
譲マンションや 高 齢 者 住 宅を 自
もの。そのため、スポンサーは分
今回の再開発計画はまちなか
居住をコンセプトの中心に据えた
かれた。
元経済人)という厳しい意見も聞
現れないのではないだろうか」
(地
ので、参画しようという事業者が
れない。採算がとれる魅力がない
が見当たらないので、事業者が二
いだろう。その引かれるアイデア
れるものがない限り、移り住まな
を推進すると言っても、何か引か
している。しかし、まちなか居住
もらうことで、活性化を促そうと
で利便性が高いまちなかに住んで
現が一つの目的。高齢化社会の中
前述の地元経 済人は「今回の
再開発はコンパクトシティーの実
じられない。
や「大牟田らしさ」は今ひとつ感
画でしかなく、そこに「新しさ」
車場など、どこかで見たような計
マンション、高齢者住宅、立体駐
か。それが再開発実現のカギを握
熱意を持って事業者に訴えられる
描けるか。また、それを一体感と
中身を見直しし、魅力的な絵を
しとなったことで、再度、事業の
発をする必要性はない。仕切り直
もとからにぎわっていれば、再開
再開発は地域が衰退しているか
らこそ、打ち出す最終手段である。
に受け止め、
「もう一度頑張ろう」
担当者が延期を知らせても、冷静
けた意欲を持っている。今回、市
また、今回、事業の仕切り直し
を迫られた地権者も再開発に向
につながる確信が市にはある。
再開 発が実現されれば、活性化
とにもなる。実際、採算がとれる
の足を踏んでいるのではないか」
るのではないか。 (大庭 講平)
億1000万円がそうした販売
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という雰囲気だったという。 確信がなければ、なかなか手を挙
と話した。
「事業そのものに見通しが感じら
月に4000人もの利用者がある。
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それだけではないと話す人もいる。 しかも、事業の内容そのものに
斬新さがあるわけではない。分譲
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げづらい。
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