音楽科 - 山梨県総合教育センター

いきいき教育地域人材活用推進事業 活用事例
甲府市立上条中学校
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はじめに
本 校 は ,「 自 主・協 和・創 造 の 精 神 に 富 ん だ 心 身 と も に 健 康 な 生 徒 の 育 成 」
を学校教育目標に掲げている。その目標を達成するための一環に,開かれた
学 校 づ く り ,特 色 あ る 学 校 づ く り と し て 地 域 の 方 々 を 招 聘 し て 行 う 特 別 授 業 ,
外部講師の指導による部活動,そして,いきいき教育地域人材活用による音
楽の授業がある。
本校では,十数年前から,窪田礼子先生をお招きして,音楽の授業の中で
和楽器の指導を行っている。
これは,音楽科の学習指導要領において,「和楽器の指導については,3
学年間を通じて1種類以上の楽器の表現活動を通して,生徒が我が国や郷土
の伝統音楽のよさを味わうことができるよう工夫すること」とされているこ
とをふまえている。
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講師および活用教科
○講師名:窪田礼子先生(生田流 宮城会師範
ト活動を行っている)
○教 科:音楽 2年(118名)を対象に指導
教室を持ちながらコンサー
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指導のねらい
◎日本音楽の歴史を知り理解を深めるとともに,和楽器の代表である箏の技
法を学び,表現活動の意欲を育てることをねらいとしている。
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実践内容
現在,十三弦の箏八面,十七弦の箏一面がある。全6回授業を実施。その
他,授業を受けた生徒の中から取り出して11月に行われた甲府市連合音楽
会に向けてそのための練習も行った。
教材として,山梨県山梨市(牧丘町)出身の童謡詩人である大村主計(お
おむら かずえ)が作詞した「花かげ」に取り組んだ。
◇授業の中で
窪 田 先 生・・・箏 の 奏 法( 指 の 形 ,間 の 取 り 方 ,音 色 ,
奏法に関わること)を一斉指導と個別指導を行っ
ていただいた。「和楽器を奏でるためには,お茶
席の作法と同じところがあり,ゆっくりとした動
作や「間」を感じて奏することは,「和」ならで
は も の で あ る ・・・ 」な ど ,技 術 だ け で な く お 話 を 交 え て
楽しく授業をしていただいた。
音楽教師・・・「わかった」~「できた」という技術が伴い,
達 成 感 を 持 た せ ら れ る よ う な 支 援 と し て ,視 覚 教 材 写 真 1 ,
写真2 を活用した。
写真2
-上条中 1-
写真1
グループ編成・・・三人一組(奏者・箏の写真, 写真1 で練習する者・サポ
ー ト す る 者 )互 い に サ ポ ー ト し 合 う こ と で 成 功 体 験 に つ な げ る こ と が で
きた。
写真3
◇甲府市連合音楽会へ向けて
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窪田先生の授業を受けて,箏がますます
好きになった五名の生徒が集まった。ほと
んどの生徒は,部に所属していないため,
授業以外に放課後も活動を行った。練習を
熱心に重ね,「花かげ」の曲よりも難易度
の高い「花かげ変奏曲」の合奏(第一箏,
第二箏,十七弦)に取り組ませた。練習で
は,録音したものを視聴して互いに意見を
述べ,よりよい音色や音楽を創り出そうと
写真4
工夫した。また,演奏会の雰囲気を作るた
1
めに,全校生徒に呼びかけた発表会 写真3
や学年集会 写真4 などの発表の場を作った。
発表会に向けて,生徒たちは,「練習は本
番のように…」を合い言葉に,練習にも余
念が無く取り組んだ。
5 授業を終えて
◇生徒の感想より
写真5
*授業の中では,窪田先生とゆったりとした
楽しい時間を過ごしました。甲府市連合音
楽会 写真5 の出演メンバーになり,家でも
練習をしました。目指すところは同じなの
に,気持ちがすれ違い,もどかしい気持ち
もありました。しかし,素晴らしいホ-ル
で演奏できたことやこれまでご指導してくださった 窪田先生に感謝していま
す。素晴らしい演奏をするには,他人のことも思い合って ,「こころ一つに
なる」ことが大切であると,みんなから学ぶことができました。箏の合奏で
一 番 大 変 で あ っ た こ と は ,「 息 を 合 わ せ て 」み ん な で や り 遂 げ る こ と で し た 。
私たちにとっては難しい課題でした。演奏を終えてみて,音楽に対する意識
が変わりました。特に,和楽器はあまりなじみのない楽器ですが大人になっ
てもいろいろな和楽器に挑戦してみたいと思いました。
◇甲府市連合音楽会での講評
毎年,上条中学校の演奏を楽しみにしています。一糸乱れず息のあった演
奏と,それぞれのパートの音色が音楽の役割として演奏されていました。練
習の過程でお互いによく聴き合い,何度も合わせた様子がうかがえた演奏で
した。
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まとめ
限られた時間数の中で箏に触れる機会を増やすとともに,窪田先生の演奏
される和楽器の音色や,「和」の美しさについてのお話など,生徒たちが興
味や関心を持てる授業を行うことができた。和楽器を演奏する機会や先生と
の 出 会 い が 生 徒 た ち の「 将 来 ,ま た ど こ か で 楽 器 に 触 れ て 演 奏 し て み た い・・・」
という気持ちにさせていただいた貴重な授業であった。
-上条中 2-