自然再生事業(水産復興対策調査事業) ∼藻場の造成事業の取り組み∼ 魚たちの産卵・生息場としてアマモ場を育成することで、魚介類の水揚げ向上や自然の復元が可能となります。 育成事業ではアマモの種子散布、発芽、生長、開花等の生育過程や、生育するための底質環境を理解する必要があります。 例えば、種子が発芽するには胞子が海底に付着する必要があり、底質の粒度組成や硬軟、海流の流れ、水温や光量等の物理化学的性質が重要となります。 この調査では、アマモが繁茂しているアマモ場内と、そうでないアマモ場外における環境の相違を調査し、アマモ育成に適した環境を調べました。 アマモ場を育成すると 魚たちが帰ってきます。 生標本 アマモ育成に適した環境とは? 底質 ・アマモ場内の底質は砂泥質であり、粒度組成はアマモ場外に比べ大きい粒子が少ないです。 ・アマモ場内はアマモ場外に比べペネトロメータ貫入深度が大きく、また、せん断強度は小さく深度方向の 柔らかい 底質の範囲が大きいことを示しています。 (写真)アマモ場の風景 せん断強度 ×10 (kgf/cm ) 80 2 70 9 8 60 7 6 5 4 3 2 アマモ場外 アマモ場内 6.3 0.9 2.1 50 -3 ペネトロメータ貫入深度(cm) 10 7.7 2.3 33.7 40 4.9 41.8 20 14.1 太針 アマモ場外 中針 細針 0 35.7 15.2 10 流速ベクトル(cm/sec) 20 粒度組成(%) アマモ場外 アマモ場内 表層から0∼2.0cm 表層から20∼22cm 粘土分 シルト分 細砂分 表層から10∼12cm 表層から30∼32cm 粗砂分 細礫分 中礫分 0 水質 水深(m) アマモ場内はアマモ場外に 比べ水温が高く、 1 日中は光合成が活発となり、溶存酸素量が が増加し、日中は夜間の2倍にまで増加して います。 2 また、深度の特徴から、アマモは浅瀬に生育 していることがわかります。これは、太陽の 3 光が届く光量との関係があるものと考えられ ます。 22 23 水温 24 25 ■ 0 20 07/21 00:00 40 15 27 ● ● ■ ■ ■ ■ 14 ● アマモ場内 ■ アマモ場外 07/21 10:00 07/21 20:00 07/22 06:00 07/22 16:00 07/23 02:00 07/23 12:00 07/21 20:00 07/22 06:00 07/22 16:00 07/23 02:00 07/23 12:00 アマモ場外 ● 13 ■ アマモ場内 アマモ場外 ● 11 40 07/21 00:00 ● 10 8 ● 0 12 9 ■ 4 5 中砂分 アマモ場内 ● ■ ■ 26 溶存酸素量(mg/L) アマモ場内 流速ベクトルは、海底から0.5mの地点を測定しています。 アマモ場内はアマモ場外の流れの速さを比べると、1/2 程度と小さく、10cm/sec内外の流速環境が理想的と判断 されます。 23.4 12.3 30 1 0 海流の流速 ● ● ● ■ ¡ ■ ■ ● 7 15 18 21 0 ■ ● 3 時刻 ■ ● 6 ■ 9 ■ ■ 12 15 07/21 10:00
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