演習問題解答例

電気回路学I及び演習 (web 公開:2014.7.15)
資料 4–5∼4–6,演習解答例 A–28
【演習問題解答】
〔資料 4–5∼4–6〕※講義で解答を示した問題については,解答例を省略しています.
□問題 1.問題図 1 の各回路素子について,インピーダンスを求めなさい.ただし,電
流源は次の式で表わされるものとする.
√
i(t) = 2 2 sin(100πt − 30˚) [A]
i
v
10 [Ω]
i
v
(a)
220 [µF] i
(b)
v
5 [mH]
(c)
問題図 1
(解答例) 問題より,電流源の角周波数 ω は,
抵抗 R のインピーダンス ZR :
ω = 100π ' 314 [rad/s]
ZR = R
カパシタ C のインピーダンス ZC :
(a) 抵抗のインピータンスは,
ZR = 10 [Ω]
1
jωC
インダクタ L のインピーダンス ZL:
(b) カパシタのインピーダンスは,
ZC =
ZC =
1
1
= −j
' −j14.5 [Ω]
jωC
100π × 220 × 10−6
(c) インダクタのインピーダンスは,
ZL = jωL = j × 100π × 5 × 10−3 ' j1.57 [Ω]
□問題 2.問題図 2 の回路について,両者のインピーダンスが等しくなるように,R
と X の値を決定しなさい.
R [Ω]
jX [Ω]
4 [Ω] –j3 [Ω]
(a)
(b)
問題図 2
ZL = jωL
ここで,ω は電源の角周波数である.
電気回路学I及び演習 (web 公開:2014.7.15)
資料 4–5∼4–6,演習解答例 A–29
(解答例) 2 つの回路のアドミタンスが等しくなるように R と X の値を決定する.
回路 (a) のインピーダンス Za は,
2 直列のインピーダンス Z :
Z = Z1 + Z2
Za = R + jX [Ω]
n 直列のインピーダンス Z :
回路 (b) のインピーダンス Zb は,
4 · (−j3)
−12j(4 + j3)
36
48
Zb =
=
=
−j
[Ω]
4 − j3
(4 − j3)(4 + j3)
25
25
Z = Z1 + Z2 + · · · + Zn
2 並列のインピーダンス Z :
Za = Zb より,
R=
36
48
[Ω] , X = −
[Ω]
25
25
···
Z=
(答)
Z1 Z2
Z1 + Z2
n 並列のインピーダンス Z :
Z=
□問題 3.問題図 3 の回路について,両者のアドミタンスが等しくなるように,G と
1
Z1
+
1
Z2
1
+ ··· +
1
Zn
B の値を決定しなさい.
G [S]
jB [S]
6 [S] –j8 [S]
(a)
(b)
問題図 3
(解答例) 2 つの回路のアドミタンスが等しくなるように G と B の値を決定する.計算
の都合上,インピーダンスで比較する.
回路 (a) のアドミタンスを Ya とすると,インピーダンス 1/Ya は,
2 直列のアドミタンス Y :
1
1
1
1
1
=
+
=
− j [Ω]
Ya
G jB
G
B
Y =
Y1 Y2
Y1 + Y2
n 直列のアドミタンス Y :
同様に,回路 (b) のアドミタンスを Yb とすると,
Y =
Yb = 6 − j8 [S]
1
Y1
+
1
Y2
1
+ ··· +
1
Yn
虚数単位:
回路 (b) のインピーダンスは,
j2 = −1(定義) ,
1
1
6 + j8
6 + j8
3
2
=
=
=
=
+j
[Ω]
Yb
6 − j8
(6 − j8)(6 + j8)
100
50
25
1
= −j
j
2 並列のアドミタンス Y :
Ya = Yb より,
G=
50
25
[S] , B = −
[S]
3
2
···
(答)
【解説】
問題 3 では,アドミタンスを直接比較するより,インピーダンス (1/Ya , 1/Yb ) の比較
を行った方が計算量が少ない.
Y = Y1 + Y2
n 並列のアドミタンス Y :
Y = Y1 + Y2 + · · · + Yn
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資料 4–5∼4–6,演習解答例 A–30
□問題 4.問題図 4 の回路について,各素子の電圧または電流のフェーザの関係を求
め,回路のフェーザ図を描きなさい.ただし,電源の角周波数を ω とし,素子の大小
関係を考慮すること.ヒント:基準フェーザ (位相角 0 のフェーザ) は,描きやすいよ
うに選んで構わない.
I
R
V
L
I
V
R
L
C
C
(a)
(b)
問題図 4
(解答例)
(a) 直列回路であるからインピーダンスで考え,基準フェーザとして電流 I を選ぶ.
回路全体のインピーダンスを Za とおくと,
(
)
1
1
Za = R + jωL +
= R + j ωL −
jωC
ωC
回路の電圧 V は,
(
)
1
V = Za I = RI + j ωL −
I
ωC
リアクタンス分の符号により,このインピーダンスは次の 3 つに場合分けされる.
1
> 0 のとき
i) ωL − ωC
電流 I(基準フェーザ) に対し電圧 V は進んでおり,回路は誘導性である.
ii) ωL −
1
ωC
= 0 のとき
電流 I(基準フェーザ) と電圧 V は同相であり,回路は純抵抗である.
1
iii) ωL − ωC
< 0 のとき
電流 I(基準フェーザ) に対し電圧 V は遅れており,回路は容量性である.
それぞれの場合におけるフェーザ図を下に示す.
6
6
6
7
6Ai0 Q +EiNB4
C4
1
4 C4
1
4 7DC4
1
6Ai0 Q +EiNB4
i0 Q +EiN D 8
i0 Q +EiN 9 8
;<
7
i0 Q +EiN : 8
;;<
フェーザ図–解答例 4(a)
4
;;;<
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資料 4–5∼4–6,演習解答例 A–31
(解答例)
(b) 並列回路であるからアドミタンスで考え,基準フェーザとして電圧 V を選ぶ.
回路全体のアドミタンスを Yb とおくと,
(
)
1
1
1
1
Yb =
+
+ jωC =
+ j ωC −
R jωL
R
ωL
回路の電流 I は,
(
)
V
1
I = Yb V =
+ j ωC −
V
R
ωL
サセプタンスの符号により,このアドミタンスは次の 3 つに場合分けされる.
1
> 0 のとき
i) ωC − ωL
電圧 V (基準フェーザ) に対し電流 I は進んでおり,回路は容量性である.
1
ii) ωC − ωL
= 0 のとき
電圧 V (基準フェーザ) と電流 I は同相であり,回路は純抵抗である.
iii) ωC −
1
ωL
< 0 のとき
電圧 V (基準フェーザ) に対し電流 I は遅れており,回路は誘導性である.
それぞれの場合におけるフェーザ図を下に示す.
u
u
uAjN Q +Ej0B7
4
p
7 7EC
u
7EC
p
p
7 4 D 7EC
uAjN Q +Ej0B7
jN Q +Ej0 D 8
jN Q +Ej0 x 8
z{
jN Q +Ej0 y 8
zz{
zzz{
フェーザ図–解答例 4(b)
□問題 5.問題図 5 の回路の電流 I およびその大きさ |I| を求めなさい.ただし,E , I
はそれぞれ電圧および電流のフェーザである.
I
E = 100 [V]
Z = 5 + j10 [Ω]
問題図 5
(解答例) インピーダンスの定義にしたがって計算を行うと,次のような解を得る.
E
100
100(5 − j10)
=
=
= 4 − j8 ' 8.946 (−63.4˚) [A]
Z
5 + j10
(5 + j10)(5 − j10)
√
√
|I| = |4 − j8| = 42 + 82 = 4 5 ' 8.94 [A]
I
=
7
4
電気回路学I及び演習 (web 公開:2014.7.15)
資料 4–5∼4–6,演習解答例 A–32
j
【解説】
※ |I| の単位は I と同じである.単位を忘れずにつけること.
4
O
– 63.4˚
–8
I
※交流の電流計や電圧計には各種あり,振幅,平均値 (絶対値の平均値),実効値のい
ずれかを指示するようになっている.電力用には,通常,実効値を指示するものが使
われる.例えば,問題図 5 の回路において,実効値指示の電流計を回路に挿入したと
する (補足図).電流 I が実効値に基づくフェーザであるとすると,この電流計は |I| の
I
値 (約 8.94 [A]) を示すことになる.
E
A
Z
補足図