物理学演習 IIB 問題 No.3 (物理数学 II) 2014 年 10 月 13 日 1. 実数全体で定義された実関数 f (x), g(x) に対して, 内積を ∫ ∞ 2 (f, g) = dx e−x f (x)g(x) (1) −∞ によって定義する。 (a) φ0 (x) = a0 (a0 は定数, a0 > 0) とおき, (φ0 , φ0 ) = 1 となるように a0 を決定せよ。 (b) φ1 (x) = a1 x + b1 (a1 , b1 は定数, a1 > 0) とおき, (φ0 , φ1 ) = 0, (φ1 , φ1 ) = 1 となるよう に a1 , b1 を決定せよ。 (c) φ2 (x) = a2 x2 + b2 x + c2 (a2 , b2 , c2 は定数, a2 > 0) とおき, (φ0 , φ2 ) = 0, (φ1 , φ2 ) = 0, (φ2 , φ2 ) = 1 となるように a2 , b2 , c2 を決定せよ。 (d) φ0 (x), φ1 (x), φ2 (x) とエルミート多項式 H0 (x), H1 (x), H2 (x) の関係を求めよ。 2. エルミート多項式 Hn (x) は母関数を使って 2 e2tx−t = ∞ ∑ 1 Hn (x) tn n! n=0 (2) と定義される。エルミート多項式の x = 0 における値 Hn (0) を求めよ。 3. エルミート多項式に対する公式 n [2] ∑ (−1)ℓ n! Hn (x) = (2x)n−2ℓ (n − 2ℓ)! ℓ! ℓ=0 [ ] を使って, H0 (x), H1 (x), H2 (x), H3 (x) を求めよ。ここで, n2 は (3) n 2 を超えない最大の整数を 表す。 4. エルミート多項式に対するロドリグの公式 Hn (x) = (−1)n ex 2 dn −x2 e dxn (4) を使って, 漸化式 Hn+1 (x) = 2xHn (x) − 2nHn−1 (x), d Hn (x) = 2nHn−1 (x) dx (5) (6) を証明せよ。 5. エルミート多項式の漸化式 (5), (6) と直交性の公式 ∫ ∞ √ 2 dx e−x Hm (x)Hn (x) = 2n n! π δmn (7) −∞ を使って, 積分 ∫ ∞ ∫ −∞ ∞ I1 = I2 = −∞ dx e−x Hm (x) x Hn (x), 2 dx e−x Hm (x) 2 の値を求めよ。 1 d Hn (x) dx (8) 6. エルミート多項式 Hn (x) を使って, 関数 un (x) を un (x) = Nn Hn (x)e− 2 x , 1 2 と定義する。また, 微分演算子 a ˆとa ˆ † を, ( ) 1 d a ˆ= √ +x , 2 dx ( Nn = 1 a ˆ† = √ 2 1 √ 2n n! π ( − ) 12 d +x dx (9) ) (10) と定義する。 (a) un (x) が正規直交性 ∫ ∞ −∞ dx um (x)un (x) = δmn (11) を満たすことを示せ。 (b) H0 (x) = 1, H1 (x) = 2x を使って, a ˆu0 (x) = 0, a ˆ† u0 (x) = u1 (x) (12) が成り立つことを示せ。 (c) エルミート多項式に対する漸化式 (5), (6) を使って, a ˆun (x) = √ n un−1 (x), a ˆ† un (x) = √ n + 1 un+1 (x) (n = 1, 2, 3, · · · ) (13) が成り立つことを示せ。 (d) (12), (13) から, un (x) が 1 un (x) = √ (ˆ a† )n u0 (x) n! (14) と表せることを示せ。 (e) (14) からロドリグの公式 (4) を導け。 ヒント:任意の関数 f (x) に対して, ( ) 1 2 1 2 d d − x (e 2 x f (x)) = e 2 x f (x) dx dx (15) が成り立つ。 補足:講義や後の問題で説明するように, un (x) は調和振動子のエネルギー固有状態を表す波 動関数である。a ˆ† , a ˆ は, (12), (13) のように n の値を ±1 だけ変化させるので, 昇降演算子(ま たは, 生成・消滅演算子)とよばれる。 2
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